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愛宕
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あたご
ふりがな文庫
“
愛宕
(
あたご
)” の例文
かくて、日は
愛宕
(
あたご
)
の西に去って、暮るれば大江戸は宵の五つ——。五つといえば、昔ながらに江戸の町はちょうど夕涼みのさかりです。
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
『
愛宕
(
あたご
)
さんの
方
(
はう
)
がよろしいな。第一大けおますわ。』と、お光は横の方に
簾
(
みす
)
のかゝつた
局
(
つぼね
)
とでも呼びさうなところを見詰めてゐた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
少し季節には早いけれども、香川
景樹
(
かげき
)
の
嶺
(
みね
)
夕立、———夕立は
愛宕
(
あたご
)
の峰にかかりけり清滝河ぞ今濁るらん、の懐紙を床に掛けて貰った。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二人は婢に
跟
(
つ
)
いて二階の六畳の室へ往った。
中敷
(
ちゅうじき
)
になった方の
障子
(
しょうじ
)
が一枚
開
(
あ
)
いていた。そこからは
愛宕
(
あたご
)
の塔が
右斜
(
みぎななめ
)
に見えていた。
雨夜続志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
陸中国
胆沢
(
いさわ
)
郡衣川村増沢と正しくは呼ぶ。今は
愛宕
(
あたご
)
まで水沢から
乗合
(
のりあい
)
が通うから、そこから一と山越えて一里余りを歩けばいい。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
桜田の上屋敷が、甲府綱重の本邸になるため、新たに麻布白金台に替地が与えられ、伊達家では
愛宕
(
あたご
)
下の中屋敷を本邸に直した。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
六日に十四年在牢の僧宥長出牢し
愛宕
(
あたご
)
下円福寺へ預けに相成り候。獄中の様子御承知
成
(
な
)
されたくばこの僧を訪い
玉
(
たま
)
え。善く譚ずる人なり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
内地の方でも正月の二十四日とその前後を、祭の日としたものが諸処にあるが、その大部分が現在は
愛宕
(
あたご
)
様の祭となっている。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
虹汀此の所の
形相
(
けいそう
)
を見て思ふやう。此地、北に
愛宕
(
あたご
)
の霊山半空に
聳
(
そび
)
えつゝ、南方
背振
(
せぶり
)
、
雷山
(
らいさん
)
、
浮岳
(
うきだけ
)
の諸名山と
雲烟
(
うんえん
)
を連ねたり。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼らは京に育って、子供のときから鞍馬や
愛宕
(
あたご
)
の天狗の話を聞かされているので、それに対する恐怖はまた一層であった。
半七捕物帳:52 妖狐伝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その夜
愛宕
(
あたご
)
の下屋敷では、
脇息
(
きょうそく
)
にもたれて松平忠房が、さっきから
自鳴鐘
(
とけい
)
ばかり睨んで、仇討の首尾如何にやと、しきりに気懸りな様子である。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たださえ京は
淋
(
さび
)
しい所である。原に
真葛
(
まくず
)
、川に
加茂
(
かも
)
、山に
比叡
(
ひえ
)
と
愛宕
(
あたご
)
と
鞍馬
(
くらま
)
、ことごとく昔のままの原と川と山である。
京に着ける夕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
凡
(
およ
)
そ裁判には、
寸毫
(
すんごう
)
の私をも挟んではならぬ。西方を拝するのは、
愛宕
(
あたご
)
の神を驚かし奉って、私心
萌
(
きざ
)
さば
立所
(
たちどころ
)
に神罰を受けんことを誓うのである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
水菓子屋或は飴菓子団子氷水を商う店が
所々
(
しょ/\
)
に出まして、中々賑やかな事でございます。近郷のものが皆参詣に出ます。鎮守は
愛宕
(
あたご
)
でございます。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
歳の市は浅草観音の市が昔から第一、その次は神田明神の市、
愛宕
(
あたご
)
の市、それから
薬研堀
(
やげんぼり
)
の不動の市、
仲橋
(
なかはし
)
広小路の市と、この五ヶ所が大きかった。
幕末維新懐古談:43 歳の市のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
我が国の奈良の七大寺は荒れ果てているし、昔は堂塔が軒を並べていた
愛宕
(
あたご
)
、
高雄
(
たかお
)
も
天狗
(
てんぐ
)
のすみかになってしまった。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
江戸で徳川家光が亡くなつて、家綱が
嗣
(
つ
)
いだ年の翌年である。利章の墓と大きな碑とが、今陸中國巖手群米内村
愛宕
(
あたご
)
山法輪院
址
(
あと
)
の山腹に殘つてゐる。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
この度の戦乱の模様では、京の町なかは危いとのことで、どこのお
公卿
(
くげ
)
様も主に
愛宕
(
あたご
)
の南禅寺へお運びになります。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
旭山の向うから、第二艦隊の『
愛宕
(
あたご
)
』『
高雄
(
たかお
)
』『
那智
(
なち
)
』『
妙高
(
みょうこう
)
』が出て来る。はるか遠くを水雷戦隊が進んで行く。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
前の方に
逢坂
(
おうさか
)
、
比叡
(
ひえい
)
、左に
愛宕
(
あたご
)
や
鞍馬
(
くらま
)
をのぞんだ生絹は、何年か前にいた京の美しい景色を胸によみがえらせた。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
如何に
愛宕
(
あたご
)
の申子なればとて、飯綱愛宕の魔法を修行し、女人禁制の苦を甘ない、
経陀羅尼
(
きょうだらに
)
を
誦
(
じゅ
)
して、印を結び
呪
(
じゅ
)
を保ち、身を虚空に
騰
(
あが
)
らせようなどと
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
丑松は右へ
避
(
よ
)
け、左へ避けして、
愛宕
(
あたご
)
町をさして急いで行かうとすると、
不図
(
ふと
)
途中で一人の少年に
出逢
(
であ
)
つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
愛宕
(
あたご
)
の
下
(
した
)
、屋敷々々の下水も落ち込む故
宇田川橋
(
うだがはばし
)
にては少しの川のやうに見ゆれども
水上
(
みなかみ
)
はかくの如し。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
呼子の市街を纏へる
阜
(
をか
)
の半腹には、
愛宕
(
あたご
)
、天満、権現、八幡などの諸殿堂、その他二三の寺院は緑樹のあひだに連り、かしこに
朱
(
あけ
)
の欄干はその半勾をほのめかし
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
いいではありませんか、いちいちあちらへ報告されるのであれば遠慮もいるでしょうが、
愛宕
(
あたご
)
山にこもった
上人
(
しょうにん
)
も
利生方便
(
りしょうほうべん
)
のためには京へ出るではありませんか。
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
鎌よりは少し幅の広い月が、たしか
愛宕
(
あたご
)
の山の上あたりに隠れていなければならない晩でありました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
病がやうやく
癒
(
い
)
えたころ、程近い
愛宕
(
あたご
)
神社まで散歩して蟻の歩いてゐるのを見る毎に、金瓶村、十右衛門裏庭での、大きい蟻と小さい蟻との
闘
(
たたかひ
)
を想起するのであつた。
三年
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
少しは調べたいもの、見たい所もあって、五六日は随分歩くつもりで、足慣らしもして来たのであるが、これでは
愛宕
(
あたご
)
、
乙訓
(
おとくに
)
、
久世
(
くぜ
)
、
綴喜
(
つづき
)
と遠っ走りは出来そうにない。
雨の宿
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
栂尾に居た年から八年程後、斯少し下流
愛宕
(
あたご
)
の
麓
(
ふもと
)
清滝の里に、余は
脚気
(
かっけ
)
を口実に、実は学課をなまけて、秋の一月を遊び暮らし、ミゼラブルばかり読んで居たことがある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
愛宕
(
あたご
)
下三丁目、当時世間に持て
囃
(
はや
)
されていた、蘭医
大槻玄卿
(
おおつきげんきょう
)
の屋敷の裏門口まで来た時であったが、
駕籠
(
かご
)
が一
挺
(
ちょう
)
下ろしてあった。と裏門がギーと開いて、中老人が現われた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それで二人は半日ほど捜しあるいて、
漸
(
やっ
)
と見つけた
愛宕
(
あたご
)
の方の或る印判屋の奥の三畳
一室
(
ひとま
)
を借りることに取決め、持合せていた
少
(
すこし
)
ばかりの金で、そこへ引移ったのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
愛宕
(
あたご
)
警察署を訪ねて署長に面会し、事情を話すと、丁度折よく韮崎の住居の近くの交番詰の巡査が居合せているというので、署長はその巡査を三好憲兵達の前に呼んでくれた。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私が
六歳
(
むつつ
)
位の時、
愛宕
(
あたご
)
神社の
祭礼
(
おまつり
)
だつたか、
盂蘭盆
(
うらぼん
)
だつたか、何しろ仕事を休む日であつた。何気なしに裏の小屋の二階に上つて行くと、其お和歌さんと源作叔父が、藁の中に寝てゐた。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
伝右衛門は、こう云う前置きをして、それから、内蔵助が
濫行
(
らんこう
)
を尽した一年前の
逸聞
(
いつぶん
)
を、長々としゃべり出した。
高尾
(
たかお
)
や
愛宕
(
あたご
)
の紅葉狩も、
佯狂
(
ようきょう
)
の彼には、どのくらいつらかった事であろう。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かつそれ
烟管
(
キセル
)
・喜世留、
硝子
(
ガラス
)
・玻璃、
莫大小
(
メリヤス
)
・目利安、
不二山
(
ふじさん
)
・冨士山の
類
(
たぐい
)
、
一物
(
いちぶつ
)
字を
異
(
こと
)
にし、
長谷
(
はせ
)
、
愛宕
(
あたご
)
、
飛鳥
(
あすか
)
、
日下
(
くさか
)
、
不入斗
(
いりおまず
)
、
九十九
(
つくも
)
のごとく、別に字書を作るにあらざれば知るべからず。
平仮名の説
(新字新仮名)
/
清水卯三郎
(著)
遠くの
愛宕
(
あたご
)
から西山の一帯は
朝暾
(
あさひ
)
を浴びて淡い
藍色
(
あいいろ
)
に染めなされている。
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
芝
愛宕
(
あたご
)
下界隈の男の切れつ端は、顫へ上がつたと言つてもいゝ位です。
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その方舟がアララテの山、アララット山の山巓にひっかかったというのだから、私はつい近頃まで、アララットなる山は上野の山か
愛宕
(
あたご
)
山——どちらも東京の——くらいな岡だとばかり思っていた。
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
愛宕
(
あたご
)
の石段を上るほどもないんですからね
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
間もなく芝の
愛宕
(
あたご
)
下
(
した
)
の
高谷
(
たかたに
)
塾に入塾した。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
仲秋の
其
(
その
)
一峰
(
いっぽう
)
は
愛宕
(
あたご
)
かな
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
例の
愛宕
(
あたご
)
山の連歌で
山崎合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この度の戦乱の模様では、京の町なかは危いとのことで、どこのお
公卿
(
くげ
)
様も主に
愛宕
(
あたご
)
の南禅寺へお運びになります。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「もしご両所、七日の後に
愛宕
(
あたご
)
のお下屋敷へそッとお越しあるようにと、殿より
密
(
ひそ
)
かのご内意。お分り召されたか」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『黒い煙の中を蜂が子を
銜
(
くは
)
へて逃げて行つたね。』と、小池はこの名も知れぬ神の宮の
大銀杏
(
おほいてふ
)
を、
愛宕
(
あたご
)
さんの大銀杏でゝもあるやうに、見上げつゝ言つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そして、
愛宕
(
あたご
)
山の下で塩沢丹三郎に追いつかれ、彼と相対して立ったとき、その悔恨と苦痛は頂点に達した。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
木挽町
(
こびきちょう
)
はなかなか景気がようござんしたよ。御承知でしょうが、中幕は光秀の
馬盥
(
ばだらい
)
から
愛宕
(
あたご
)
までで、団十郎の光秀はいつもの渋いところを抜きにして大芝居でした。
半七捕物帳:53 新カチカチ山
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それからもう一度清涼寺の門前に出、
釈迦堂
(
しゃかどう
)
前の停留所から
愛宕
(
あたご
)
電車で嵐山に戻り、
三度
(
みたび
)
渡月橋の北詰に来て一と休みした後、タキシーを拾って平安神宮に向った。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
『
愛宕
(
あたご
)
』『
高尾
(
たかお
)
』『
摩耶
(
まや
)
』『
鳥海
(
ちょうかい
)
』『
那智
(
なち
)
』級四隻もいる。『
加古
(
かこ
)
』もいる。『
青葉
(
あおば
)
』もいる。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
連
(
つれ
)
ては向島兩國淺草吉原或は
芝神明
(
しばしんめい
)
愛宕
(
あたご
)
又は目黒不動と神社佛閣名所舊跡等を見物して
歩行
(
あるき
)
氣隨
(
きずゐ
)
氣儘
(
きまゝ
)
に
日々
(
にち/\
)
酒
(
さけ
)
而已
(
のみ
)
多く
飮
(
のみ
)
凡そ十四五日も逗留せしが後藤は萬事心を付新藤夫婦を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
宕
漢検準1級
部首:⼧
8画
“愛宕”で始まる語句
愛宕山
愛宕下
愛宕町
愛宕下町
愛宕様
愛宕権現
愛宕郡
愛宕台
愛宕塔
愛宕道