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急
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いそが
ふりがな文庫
“
急
(
いそが
)” の例文
戸外
(
そと
)
には車を待たして置いていかにも
急
(
いそが
)
しい大切な用件を身に帯びているといった
風
(
ふう
)
で一時間もたつかたたない
中
(
うち
)
に帰ってしまった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と答へたが、其顔に言ふ許りなき感謝の
意
(
こころ
)
を
湛
(
たた
)
へて、『一寸。』と智恵子に会釈して立つ。
急
(
いそが
)
しく涙を拭つて、隔ての障子を開けた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『はゝゝゝゝ。
君
(
きみ
)
はまだ
私
(
わたくし
)
の
妻子
(
さいし
)
を
御存
(
ごぞん
)
じなかつたのでしたね。これは
失敬
(
しつけい
)
々々。』と
急
(
いそが
)
はしく
呼鈴
(
よびりん
)
を
鳴
(
な
)
らして、
入
(
いり
)
來
(
きた
)
つた
小間使
(
こまづかひ
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
只管
(
ひたすら
)
走りて大通りに出で
茲
(
こゝ
)
にて又馬車に飛乗りゼルサレム街に
在
(
あ
)
る警察本署を
推
(
さ
)
して
急
(
いそが
)
せたり目科は馬車の中にても心
一方
(
ひとかた
)
ならず騒ぐと見え
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
花房一郎は駆け寄って、半裸体の美女を抱き起し、
急
(
いそが
)
しく縄を切り払って、脱がせ、着物を着せてやりました。
青い眼鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
勝手に続いて
長火鉢
(
ながひばち
)
の置いてあるところで、お婆さんが房州出の女中を指図しながら
急
(
いそが
)
しそうに立働いた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
我
(
わ
)
が
朝日新聞社員
(
あさひしんぶんしやゐん
)
横川勇次氏
(
よこかはゆうじし
)
を送らんと、
朝
(
あさ
)
未明
(
まだき
)
に
起
(
おき
)
出
(
いで
)
て、
顔
(
かほ
)
洗
(
あら
)
ふ
間
(
ま
)
も心せはしく車を
急
(
いそが
)
せて
向島
(
むかふじま
)
へと
向
(
むか
)
ふ、
常
(
つね
)
にはあらぬ
市中
(
しちう
)
の
賑
(
にぎ
)
はひ、三々五々
勇
(
いさ
)
ましげに
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
ふて
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
すると、「宮ちゃん/\」と、女中の
低声
(
こごえ
)
がして、階段の方で
急
(
いそが
)
しそうに呼んでいる。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
東海道の
上
(
の
)
ぼり
滊車
(
ぎしや
)
、正に大磯駅を発せんとする
刹那
(
せつな
)
、プラットホームに
俄
(
にはか
)
に足音
急
(
いそが
)
はしく、駅長自ら
戦々兢々
(
せん/\きよう/\
)
として、一等室の扉を
排
(
ひら
)
けば、厚き
外套
(
ぐわいたう
)
に身を固めたる一個の老紳士
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
今となって残したのが気まりが悪く、
急
(
いそが
)
わしく袂へ
投
(
ほう
)
り込んで梯子を下りる後から、帽子を持て
随
(
つ
)
いて来た小歌が、帽子の内側に名刺の挾んであるのを
認
(
みつ
)
け、これはあなたの、そうなの
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
急
(
いそが
)
せしが
知者
(
しるもの
)
絶
(
たえ
)
てあらざりけり夜明し後に長家の者は一同
起出
(
おきいで
)
夫々の
業
(
げふ
)
に
就
(
つけ
)
ども家主の庄兵衞方は戸も明ず夫のみならず長家中では
早起
(
はやおき
)
なりと評判する武左衞門の家も戸が
開
(
あか
)
ねば不思議に思ひて起して見んとお金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一車は
急
(
いそが
)
しく一つ手酌して
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
戸外
(
そと
)
には車を待たして置いていかにも
急
(
いそが
)
しい大切な用件を身に帯びてゐると
云
(
い
)
つた
風
(
ふう
)
で一時間もたつかたゝない
中
(
うち
)
に帰つてしまつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
我
(
わ
)
が
一等運轉手
(
チーフメート
)
は
急
(
いそが
)
はしく
後部甲板
(
こうぶかんぱん
)
に
走
(
はし
)
つたが、
忽
(
たちま
)
ち
一令
(
いちれい
)
を
掛
(
か
)
けると、
一個
(
いつこ
)
の
信號水夫
(
しんがうすゐふ
)
は、
右手
(
ゆんで
)
に
高
(
たか
)
く
白色球燈
(
はくしよくきうとう
)
を
掲
(
かゝ
)
げて、
左舷船尾
(
さげんせんび
)
の「デツキ」に
立
(
た
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
戸外
(
おもて
)
を通る人の跫音が、
急
(
いそが
)
しく心を乱す。戸口の溝の橋板が鳴る度、押へきれぬ程動悸がする。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
又店の
急
(
いそが
)
しい最中に店を
空
(
あけ
)
た事も有ます相で(荻)夫では
最
(
も
)
う
何
(
ど
)
うしてもお紺を
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
急
(
いそが
)
わしく格子の開く音に
飛
(
とん
)
で出たのは、彼の円顔の
婢
(
おんな
)
で、おや目賀田さんと云ってそこに有合せの下駄を突懸け、せっかくで御在ますが今日はお約束で、みんなお座敷が塞がって居ますのでと
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
八軒も廻らなければならないような
急
(
いそが
)
しいことがあると言って、月々に
暴騰
(
ぼうとう
)
する米価や物価などは深く念頭に置いていないようにも思われた。
老人
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『新しく組を分けるんですよ。』と、富江は誰に言ふでもなく言つて、
急
(
いそが
)
しく札を切る。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
士官
(
しくわん
)
水兵
(
すいへい
)
の
勇
(
いさ
)
ましき
働
(
はたら
)
きぶりは
言
(
い
)
ふ
迄
(
まで
)
もない。よし
戰鬪員
(
せんとうゐん
)
にあらずとも
如何
(
いか
)
でか
手
(
て
)
を
拱
(
こまぬ
)
いて
居
(
を
)
らるべきぞと、
濱島
(
はまじま
)
も、
私
(
わたくし
)
も、
重
(
おも
)
き
上衣
(
うわぎ
)
を
跳
(
は
)
ね
脱
(
の
)
けて、
彈丸
(
だんぐわん
)
硝藥
(
せうやく
)
を
運
(
はこ
)
ぶに
急
(
いそが
)
はしく。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
余は目科に向いて馬車の隅にすくみしまゝ一つは我が胸に浮ぶ様々の想像を
吟味
(
ぎんみ
)
するに
急
(
いそが
)
わしく一は又目科の様子に気を附けるが忙わしさに一語だも発するひま無し、目科は又暫し考えし末
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ようやく
疲労
(
くたび
)
れて寝附いた貞之進は、いつも上二小間のはずの窓の障子へ一面日の当った頃目を覚し、
周章
(
あわ
)
てゝ起きて筆立に入てあった楊子を取り、
急
(
いそが
)
わしく使いかけたのがだん/″\緩くなって
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
女一人では待合にもいられないので、木村の飲み食した勘定を仕払って外へ出ると、横町は丁度座敷へ出て行く芸者の
行来
(
ゆきき
)
の一番
急
(
いそが
)
しい時分。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『新しく組を分けるんですよ。』と、富江は誰に言ふでもなく言つて、
急
(
いそが
)
しく札を切る。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
遽
(
あわたゞ
)
しく
入来
(
いりきた
)
り何やらん目科の耳に
細語
(
さゝや
)
くと見る間に目科は顔色を変て身構し「
好
(
よ
)
し/\
直
(
すぐ
)
に行く、早く帰ッて皆に
爾
(
そう
)
云
(
い
)
え」と、命ずる間も
急
(
いそが
)
わしげなり、男は此返事を
得
(
う
)
るや又
一散
(
いっさん
)
に走去りしが
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
新橋の待合所にぼんやり腰をかけて
急
(
いそが
)
しそうな
下駄
(
げた
)
の響と鋭い汽笛の声を聞いていると、居ながらにして旅に出たような、自由な淋しい
好
(
い
)
い心持がする。
銀座界隈
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
心持息を
逸
(
はづ
)
ませて、
呆気
(
あつけ
)
にとられてゐる四人の顔を
急
(
いそが
)
しく見巡した。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
新橋の待合所にぼんやり腰をかけて、
急
(
いそが
)
しそうな下駄の響と鋭い汽笛の声を聞いていると、いながらにして旅に出たような、自由な淋しい
好
(
い
)
い心持がする。
銀座
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
西山社長は
急
(
いそが
)
しく
居住
(
ゐずまひ
)
を直して、此新来の人を紹介してから
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
公園の小径をすぐさま言問橋の
際
(
きわ
)
に出ると、巡査は広い道路の向側に在る派出所へ連れて行き立番の巡査にわたくしを引渡したまま、
急
(
いそが
)
しそうにまた
何処
(
どこ
)
へか行ってしまった。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『千早さん、
先刻
(
さつき
)
は
急
(
いそが
)
しい時で……』と
諄々
(
くどくど
)
弁疏
(
いひわけ
)
を言つて
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其の
周圍
(
まはり
)
には子供が大勢泣いたり、騷いだり、喧嘩したりしてゐる。さう云ふ狹い横町をば、包を持ち尻を
端折
(
はしを
)
つた中年の男が幾人も、突當る人の中を
急
(
いそが
)
しさうに通つて行く。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
『やあお
急
(
いそが
)
しい様でごあんすな。
好
(
い
)
いお天気で。』
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
何やらはしゃいだ調子で、ちゃらちゃらと茶碗の中で箸をゆすぎ、さも
急
(
いそが
)
しそうに皿小鉢を手早く茶棚にしまいながらも、
顎
(
おとがい
)
を動して込上げる沢庵漬のおくびを押えつけている。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
主人の大使と大使夫人は來客の婦人連に對する應接に
急
(
いそが
)
しい最中、自分は傍に居たフランスの海軍士官と最初に會話を交へた。其處へ
今日
(
こんにち
)
の席上では一番懇意な書記官のガルビアニ氏が加はる。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
結婚なぞは
急
(
いそが
)
ないでもいゝ。日本人は三十の聲を
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
急
常用漢字
小3
部首:⼼
9画
“急”を含む語句
急遽
性急
急忙
急込
急須
危急
急激
大急
急足
急拵
早急
急流
急立
火急
急々
急歩
急使
急湍
急病
緩急
...