)” の例文
新字:
若い者の事だから、決して責めるではないが、身分違ひの者とさういふ事をすると、出世のさまたげになるからせと書いてあるのです。
反古 (旧字旧仮名) / 小山内薫(著)
「何、安田の炭鑛へかゝつてたんですがね。エ、二里ばかり、あ、あの山の陰になつてます。エ、最早しちやつたんです」
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
きつちやんおまへにもゝうはれなくなるねえ、とてたゞふことながらしをれてきこゆれば、どんな出世しゆつせるのからぬが其處そこくのはしたがからう
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
柿の市も我慢の角を折つて、ゆかりと勇三郎を一緒にし、按摩をして氣樂に送つたことは言ふまでもありません。
が自分は今年入らなければすと迄誓つたため、やつと許して呉れたのだ。だからいづれにもせよ、今年入らなければ生きては歸れないのだ。それに弟だ。
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
で講武所總體は右の御進發の御供おんとも、親父も同じく大阪に滯在するうち徒目附かちめつけといふ役に轉じた。そこで私も京都の方をして、親父と一緒に大阪に來て居た。
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
『もうせ/\、あしれるぞ/\。』と虎髯大尉こぜんたいゐ二人ふたり周圍めぐりをぐる/\まはつて、結局とう/\引分ひきわけになつた。
中途でしてもいゝと云つて學校通ひを嫌つた時は、學校の難有味を説いて勉強するやうに忠告したが、忽ち彼が熱烈に學校生活を續け度いと夢中になつて來たのを見て
「ぢや御菓子おくわししにしませう。それよりか、今日けふにいさんはうしました」といた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
煙草入たばこいれ虚空からであつた。かれ自分じぶん體力たいりよく滅切めつきりへつ仕事しごとをするのにかなくなつて、小遣錢こづかひせん不足ふそくかんじたとき自棄やけつたこゝろから斷然だんぜんそのほどすき煙草たばこさうとした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
愚にもつかぬ無意味な風習さ! こんな惡風をこれまでさせなかつた歴代の王の無分別さ加減が分らない。かれこれ思ひ合はせると、どうもおれは宗教裁判の手にひつかかつたのぢやないかと思ふ。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
『南米に? そんな事で學校もしたんだな。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「いや、もう、まことに迷惑、私も甚だ困りますよ。どうだらう、親分。このくらゐにして、もう探索をしては」
れはおまへなくなつたらすこしも面白おもしろことくなつて仕舞しまふのだから其樣そんいや戯言じようだんしにしておれ、えゝつまらないことひとだとかしらをふるに
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いつでもお時にこれを言はれると、默つて直ぐふざけるのはして了ふのです。そして
反古 (旧字旧仮名) / 小山内薫(著)
お勢は其後踊の師匠をして、お町をほうむつた寺の花屋の株を買ひ取りました。美く清らかな花屋のおかみが暫くの間江戸の評判になつた事は言ふ迄もありません。
彼れほど利く手を持つて居ながら何故つまらない其樣な事を始めたのか、餘り情ないでは無いかと吉は我身の潔白に比べて、おしよ、お廢しよ、斷つてお仕舞なと言へば
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しよ、ことわつてお仕舞しまひなとへば、こまつたねとおきやう立止たちどまつて、それでもきつちやんわたしあらはりきがて、もうおめかけでもなんでもい、うで此樣こんつまらないづくめだから
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もう此樣こんはなしはしにして陽氣ようきにおあそびなさりまし、わたしなにしづんだこと大嫌だいきら
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
からつきりんなそでのぺら/\した、おそろしいながものまくあげるのだからね、うなれば來年らいねんから横町よこちやうおもてのこらずおまへ手下てしただよとそやすに、してれ二せんもらふと長吉ちやうきちくみるだらう
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
振向ふりむひててくれねば此方こちらひかけてそでらへるにおよばず、それならせとてりにりまする、相手あいてはいくらもあれども一せうたのひといのでござんすとてなげなる風情ふぜい
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
姉樣ねえさまたちの御存ごぞんじはなきことなり、もう此話このはなしはしまするほどに、なんぞお前樣まへさま今日けふあそびて、面白おもしろおもひしおはなしがあらばかしてくだされ、今日けふ吾助ごすけがどのやうなおはなしをいたしました。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ねへ正太しようたさん左樣さうであらう、とくちきわめて信如しんによことわるへば、夫れでも龍華寺りうげじはまだものわかつてるよ、長吉ちようきちたられははやと、生意氣なまいき大人おとなくち眞似まねれば、おしよ正太しようたさん
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今更いまさら難義なんぎおもときもあれど、召使めしつかひの人々ひと/″\こゝろ御命令おいひつけなきに眞柴ましばをりくべ、お加减かげんよろしう御座ござりますと朝床あさどこのもとへげてれば、しませうと幾度いくたびおもひつゝ、なほあひかはらぬ贅澤ぜいたくの一つ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)