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山科
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やましな
ふりがな文庫
“
山科
(
やましな
)” の例文
ある日のこと、よく出かける
山科
(
やましな
)
へ行こうと思って出かけたのでありました。山科の農家や田圃は、いつも愉しくしてくれるのです。
蝶が飛ぶ 葉っぱが飛ぶ
(新字新仮名)
/
河井寛次郎
(著)
山科
(
やましな
)
や
円山
(
まるやま
)
の謀議の昔を思い返せば、当時の苦衷が再び心の中によみ返って来る。——しかし、もうすべては行く処へ行きついた。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大石
内蔵助
(
くらのすけ
)
が
山科
(
やましな
)
を引払った後、在京の同志も、前後して江戸へ下って行ったが、小野寺父子も、いよいよ都を立つことになった。
日本名婦伝:小野寺十内の妻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この道を真直ぐに行くと
山科
(
やましな
)
へ出ることに間違いはありますまいな。時に、この道中には目洗い地蔵というのはございませんか」
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼の
山科
(
やましな
)
の
丿貫
(
べちかん
)
という大の侘茶人が
糊
(
のり
)
を入れた竹器に朝顔の花を生けて
紹鴎
(
じょうおう
)
の賞美を受け、「糊つぼ」という一器の形を遺したと共に
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
京
(
きやう
)
の
山科
(
やましな
)
、近松半二の家。さのみ廣からねど、風雅なる家の作りにて、
上
(
かみ
)
の
方
(
かた
)
に床の間、それに近松
門左衞門
(
もんざゑもん
)
の畫像の一軸をかけてあり。
近松半二の死
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ああ、だいぶ遅くなってしまった。
山科
(
やましな
)
の里では
供奉
(
ぐぶ
)
の者達がさぞや待ちかねていることだろう。では、文麻呂。さらばじゃ!
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
まず、ゆるゆると、異った世界の消息などを語りあうことに致しましょう。さいわい、ほど近い
山科
(
やましな
)
の里に、私の召使う者の住居があります。
紫大納言
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
山科
(
やましな
)
に着きて、東行の列車に乗りぬ。上等室は他に人もなく、浪子は開ける窓のそばに、父はかなたに
坐
(
ざ
)
して新聞を広げつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
其後ふっつりM君の消息を聞かなかったが、
翌年
(
よくとし
)
ある日の新聞に、M君が
安心
(
あんしん
)
を求む可く妻子を捨てゝ京都
山科
(
やましな
)
の
天華香洞
(
てんかこうどう
)
に
奔
(
はし
)
った事を報じてあった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
都へ入ることは許されなかったので、大津から
山科
(
やましな
)
、
醍醐
(
だいご
)
を通ることとなった。この道筋からは、重衡の北の方、大納言佐殿が忍び住む日野は程近かった。
現代語訳 平家物語:12 第十二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
長歌の反歌で、長歌は、「
山科
(
やましな
)
の
石田
(
いはた
)
の森の、
皇神
(
すめがみ
)
に
幣帛
(
ぬさ
)
とり向けて、吾は越えゆく、
相坂
(
あふさか
)
山を」云々。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
山科
(
やましな
)
街道追分近くの裏道。冬も近くで畑には何も無い。ところどころ大根の葉の青みが色彩を点じている。
畦
(
あぜ
)
の雑木も葉が落ち尽し梢は竹藪と共に風に鳴っている。
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
人足等の総数は二十五萬人に達し、
醍醐
(
だいご
)
、
山科
(
やましな
)
、比叡山
雲母坂
(
きらゝざか
)
より大石を引き出すこと
夥
(
おびたゞ
)
しく、堀普請などは、幾つにも区分けをして奉行衆が代る/″\人夫を督励し
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
山科
(
やましな
)
の
上醍醐
(
かみだいご
)
寺の宝蔵に「
平中将将門
(
へいちゆうじやうまさかど
)
」の
髑髏
(
しやれかうべ
)
がある。桐の二重箱に入れて、大切に
蔵
(
しま
)
つてある。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
九代目市川団十郎が『忠臣蔵』の大石
内蔵之助
(
くらのすけ
)
で、
山科
(
やましな
)
の別れに「冬の
恵
(
めぐみ
)
」を
奏
(
かな
)
で、また四国旅行の
旅土産
(
たびづと
)
に、「三津の眺め」の唱歌をつくったので、一層評判になった。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
女の静養しているという
山科
(
やましな
)
の方の在所へ往く道順や向うのところを委しく訊ねると、小村は、君が
独
(
ひと
)
りで往ったのではとても分らない、ひどく分りにくいところだといっていたが
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
雨戸の
中
(
うち
)
は、相州西鎌倉
乱橋
(
みだればし
)
の
妙長寺
(
みょうちょうじ
)
という、
法華
(
ほっけ
)
宗の寺の、本堂に
隣
(
とな
)
った八畳の、横に長い
置床
(
おきどこ
)
の附いた座敷で、向って
左手
(
ゆんで
)
に、
葛籠
(
つづら
)
、
革鞄
(
かばん
)
などを置いた
際
(
きわ
)
に、
山科
(
やましな
)
という医学生が
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
七月の
初
(
はじめ
)
には山名方が吉田に攻め寄せ、月ずえには細川方は
山科
(
やましな
)
に陣をとります。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
先年江戸へ上るとき世話になった
駿河本町
(
するがほんまち
)
二丁目、
旅籠屋
(
はたごや
)
菱屋与右衛門
(
ひしやよえもん
)
方へ
先度
(
せんど
)
の礼かたがた三日程泊り、八月二十四日に京都へ着いて
山科
(
やましな
)
の
三井八郎右衛門
(
みついはちろうえもん
)
の
四季庵
(
しきあん
)
でまた三日ばかり
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
とにかく、内蔵助からしてそういう気持であったために、正月の
山科
(
やましな
)
会議では、
持重派
(
じちょうは
)
が勝ちを制して、今年三月亡君の一周忌を待って事を挙げようというかねての誓約も当分見合せとなった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
伏見人形に思い出す事多く、祭り日の
幟
(
のぼり
)
立並ぶ景色に
松蕈
(
まつたけ
)
添えて画きし
不折
(
ふせつ
)
の筆など胸に浮びぬ。
山科
(
やましな
)
を過ぎて竹藪ばかりの里に入る。左手の小高き岡の向うに大石
内蔵助
(
くらのすけ
)
の住家今に残れる由。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
近衛
(
このえ
)
殿老女村岡、
御蔵
(
おくら
)
小舎人
(
こどねり
)
山科
(
やましな
)
出雲、三条殿家来丹羽
豊前
(
ぶぜん
)
、一条殿家来若松
杢
(
もく
)
、久我殿家来春日
讃岐
(
さぬき
)
、三条殿家来森寺
困幡
(
いなば
)
、一条殿家来入江
雅楽
(
うた
)
、大覚寺
門跡
(
もんぜき
)
内
六物
(
ろくぶつ
)
空万
(
くうまん
)
、三条殿家来富田織部。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
早いめに昼食を済ませて、わたしは
山科
(
やましな
)
の方へ行ってみた。
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
山科
(
やましな
)
を越ゆるあらしの音づれにこたへて動く庭の柴垣
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
山科
(
やましな
)
や、
竹
(
たけ
)
の
入日
(
いりひ
)
に
哀音
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
まだ
山科
(
やましな
)
は過ぎずや
純情小曲集:02 純情小曲集
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「久太郎(堀秀政)はただちに兵をひきつれ、
山科
(
やましな
)
から
粟田口
(
あわだぐち
)
へ押し通れ。目的は大津へ出て、安土と坂本との通路を
遮断
(
しゃだん
)
するにある」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あつた
所
(
ところ
)
でございますか? それは
山科
(
やましな
)
の
驛路
(
えきろ
)
からは、四五
町
(
ちやう
)
程
(
ほど
)
隔
(
へだ
)
たつて
居
(
を
)
りませう。
竹
(
たけ
)
の
中
(
なか
)
に
痩
(
や
)
せ
杉
(
すぎ
)
の
交
(
まじ
)
つた、
人氣
(
ひとけ
)
のない
所
(
ところ
)
でございます。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
姫君の首は死のうとしますが大納言のささやきに負けて尼寺を逃げて
山科
(
やましな
)
の里へかくれて大納言の首のかこい者となって髪の毛を生やします。
桜の森の満開の下
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
五か月
前
(
ぜん
)
山科
(
やましな
)
の停車場に今この墓標の
下
(
もと
)
に
臥
(
ふ
)
す人と相見し彼は、征台の艦中に加藤子爵夫人の書に接して、浪子のすでに世にあらざるを知りつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
二人は
山科
(
やましな
)
の方をさして夜の野路を急いで行った。いったんは男らしく強そうに言ったものの、少年の胸の奥にも三年坂の不安が微かに宿っていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
竜之助と、薩州の壮士と、棒を持った変人と、三人の姿を
山科
(
やましな
)
の
奴茶屋
(
やっこぢゃや
)
の一間で見ることができました。三人まるくなって、酒を
酌
(
く
)
みかわしながら、薩州の壮士
曰
(
いわ
)
く
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
山科
(
やましな
)
の
木幡
(
こはた
)
の
山
(
やま
)
を
馬
(
うま
)
はあれど
歩
(
かち
)
ゆ
吾
(
わ
)
が
来
(
こ
)
し
汝
(
な
)
を
念
(
おも
)
ひかね 〔巻十一・二四二五〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
下では
石清水八幡
(
いはしみづはちまん
)
の本宮の徒と
山科
(
やましな
)
の八幡新宮の徒と大喧嘩をしたり、東西両京で陰陽の具までを
刻絵
(
きざみゑ
)
した男女の神像を供養礼拝して、岐神(さいの神、今の
道陸神
(
だうろくじん
)
ならん)
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
雨戸
(
あまど
)
の
中
(
うち
)
は、
相州
(
さうしう
)
西鎌倉
(
にしかまくら
)
亂橋
(
みだればし
)
の
妙長寺
(
めうちやうじ
)
といふ、
法華宗
(
ほつけしう
)
の
寺
(
てら
)
の、
本堂
(
ほんだう
)
に
隣
(
とな
)
つた八
疊
(
でふ
)
の、
横
(
よこ
)
に
長
(
なが
)
い
置床
(
おきどこ
)
の
附
(
つ
)
いた
座敷
(
ざしき
)
で、
向
(
むか
)
つて
左手
(
ゆんで
)
に、
葛籠
(
つゞら
)
、
革鞄
(
かばん
)
などを
置
(
お
)
いた
際
(
きは
)
に、
山科
(
やましな
)
といふ
醫學生
(
いがくせい
)
が
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
七月の
初
(
はじめ
)
には山名方が吉田に攻め寄せ、月ずゑには細川方は
山科
(
やましな
)
に陣をとります。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
母親の言った
詐
(
つく
)
りごとを真に受けて、あの十二月の初め寒い日に、
山科
(
やましな
)
の
在所
(
ざいしょ
)
という在所を、一日重い
土産物
(
みやげもの
)
などを両手にさげて探し廻ったこと、それから去年の暮のしかも二十九日に押し迫って
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
山科
(
やましな
)
の里まで行けば、
供奉
(
ぐぶ
)
の者がたくさん待っているそうだから……
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
越路
(
こしぢ
)
の「
山科
(
やましな
)
」11・13(夕)
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
竹藪続きの
山科
(
やましな
)
街道。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
だから逢坂山を経、
山科
(
やましな
)
をこえ、やがて洛中の屋根が一ト目に見えだすと、ものめずらしげに、うだるような汗もわすれて、どよめきあった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、あの
山科
(
やましな
)
の駅路では、とてもそんな事は出来ません。そこでわたしは山の中へ、あの夫婦をつれこむ
工夫
(
くふう
)
をしました。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昨日
(
きのう
)
奈良
(
なら
)
より宇治に宿りて、平等院を見、扇の芝の昔を
弔
(
とむら
)
い、
今日
(
きょう
)
は
山科
(
やましな
)
の停車場より
大津
(
おおつ
)
の
方
(
かた
)
へ行かんとするなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「木幡」は地名、山城の
木幡
(
こはた
)
で、天智天皇の御陵のある
山科
(
やましな
)
に近く、古くは、「山科の
木幡
(
こはた
)
の山を馬はあれど」(巻十一・二四二五)ともある如く、山科の木幡とも云った。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ひとり
朧
(
おぼ
)
ろげな足どりをして、しょんぼりと、月夜の下に見えつ隠れつして、ふらふらと
辿
(
たど
)
り行くのは、三条から白川橋、東海道の本筋の夜の道、
蹴上
(
けあげ
)
、千本松、
日岡
(
ひのおか
)
、やがて
山科
(
やましな
)
。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
秋の宵はまだ
戌
(
いぬ
)
の刻(午後八時)をすぎて間もないのに、
山科
(
やましな
)
の村は明かるい月の下に眠っていた。どこの
家
(
いえ
)
からも灯のかげは洩れていなかった。大きい柿の木の下に藻は立ちどまった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
深草から
醍醐
(
だいご
)
、小野の里、
山科
(
やましな
)
へ通う峠の路も歩いたし、市街ときては、何処を歩いても迷う心配のない街だから、伏見から歩きはじめて、夕方、北野の天神様にぶつかって慌てたことがあった。
日本文化私観
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
驚きひるむ原士の前に、降って湧いたように立っていた編笠は、前の日、
山科
(
やましな
)
から三挺の駕の行方を追跡していた常木
鴻山
(
こうざん
)
。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、あの
山科
(
やましな
)
の
驛路
(
えきろ
)
では、とてもそんな
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
ません。そこでわたしは
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
へ、あの
夫婦
(
ふうふ
)
をつれこむ
工夫
(
くふう
)
をしました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
科
常用漢字
小2
部首:⽲
9画
“山科”で始まる語句
山科言継
山科在
山科辺
山科郷
山科御坊
山科普請
山科荘園
山科道理