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寝衣
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ねまき
ふりがな文庫
“
寝衣
(
ねまき
)” の例文
旧字:
寢衣
つづいて轟然たる音響と共に花火のような一大閃光を発し、その物凄い震動に驚いて
寝衣
(
ねまき
)
のまま戸外にとびだした村民たちの目にも
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
腕車
(
くるま
)
から降りて行った笹村は、まだ
寝衣
(
ねまき
)
を着たままの正一が、
餡麺麭
(
あんパン
)
を食べながら、ひょこひょこと玄関先へ出て来るのに出逢った。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と思い、重三郎に頼んで
上書
(
うわがき
)
まで致して有る
包金
(
つゝみきん
)
を胴巻からこき出して、そッと
寝衣
(
ねまき
)
にくるみ、帯を締直して屏風の中から出ながら
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……
遊山
(
ゆさん
)
旅籠
(
はたご
)
、温泉宿などで
寝衣
(
ねまき
)
、浴衣に、
扱帯
(
しごき
)
、
伊達巻
(
だてまき
)
一つの時の様子は、ほぼ……お互に、しなくっても
可
(
よ
)
いが想像が出来る。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分は楽な椅子に尻を据ゑて、随分古びた綿入の
寝衣
(
ねまき
)
の裾を膝の上に重ねた。一体この男は己の上役でもなく、イワンの上役でもない。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
▼ もっと見る
彼女
(
かれ
)
は
寝衣
(
ねまき
)
の袂で首筋のあたりを拭きながら、腹這いになって
枕辺
(
まくらもと
)
の
行燈
(
あんどう
)
の
微
(
かすか
)
な
灯
(
ほ
)
かげを仰いだ時に、廊下を踏む足音が低くひびいた。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
寝衣
(
ねまき
)
のままで甲板へ飛び出して来たが、人がちがったようなキャラコさんのきびしいようすにけおされて、そばへ寄ることもできない。
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
おげんは
寝衣
(
ねまき
)
を着かえるが早いか、いきなりそこへ身を投げるようにして、その日あった出来事を思い出して見ては深い溜息を
吐
(
つ
)
いた。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
朝、眼を覚して見ると、もう自分は起きていて、まだ
寝衣
(
ねまき
)
のまゝ、詰らなそうに、考え込んだ顔をして、
静
(
じっ
)
と黙って煙草を吸っていた。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
その頑固な老人が、何を感じたのか、一昨夜、寝室たる座敷の欄間にへこ帯をかけ、
寝衣
(
ねまき
)
のまま首を吊って死んだのであります。
自殺か他殺か
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
わたしは
寝衣
(
ねまき
)
の
袖
(
そで
)
に手燭の火をかばいながら廊下のすみずみ座敷々々の押入まで残る
隈
(
くま
)
なく見廻ったが雨の漏る様子はなかった。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
だが泰三はまったくうわのそらで、うんうんとなま返辞をし、
欠伸
(
あくび
)
をし
寝衣
(
ねまき
)
になるとすぐさま夜具の中へもぐり込んでしまった。
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その時突然岡が立派な西洋絹の
寝衣
(
ねまき
)
の上に厚い
外套
(
がいとう
)
を着て葉子のほうに近づいて来たのを、葉子は視角の一端にちらりと捕えた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
おやじは、
寝衣
(
ねまき
)
すがたを、寒そうに
屈
(
かが
)
めて、内へはいって行った。ほかの部屋の人声もすぐやんで、もとの深い夜更けに返った。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ハア
巨燵
(
こたつ
)
——巨燵はとうに拵へて、今しがたおッ母さんの
寝衣
(
ねまき
)
も掛けて置いたよ。アノネおッ母さん、晩方買つて来た炭団は大変に損だよ。
小むすめ
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
笑話に或人が
寝衣
(
ねまき
)
を着て音楽を聞いた事があつたので、その後音楽の好く聞えない時には、その寝衣を出させて着て見ると云ふことがある。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
フト、下を覗きみると、
寝衣
(
ねまき
)
姿の葉子と由子が、いつ眼を覚ましたのか、何か口をぱくぱくさせながら手を振って見せていた。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
九時
過
(
すぎ
)
にそつと寄つて戸から
覗
(
のぞ
)
くと桃色の
寝衣
(
ねまき
)
を着た二十四五の婦人が腰を掛けて金髪を梳いて居た。
夜明
(
よあけ
)
の光で見た通りの美しい人である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
長い土手を夕日を帯びてたどって行く自分の姿がまるでほかの人であるかのようにあざやかに見えた。涙が
寝衣
(
ねまき
)
の
袖
(
そで
)
で拭いても拭いても出た。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
彼は
寝衣
(
ねまき
)
の上に綿入れを引っかけて外に出た。門松は静かに立っていた。そこには蕎麦や、飯が供えてあった。手洗鉢の氷は解けていなかった。
窃む女
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
日陰に入つて彼は今、はじめてその大きなガラス戸のすぐ後ろの長椅子に起き直つてゐる
寝衣
(
ねまき
)
姿の紳士から直視されてゐる事に気が附きました。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
柏軒は
寝衣
(
ねまき
)
の儘で来て見た。そして良三の大黄を服したことを聞き、一面にはその奇功を奏したのを歓び、一面には将来のために軽挙を戒めた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そして
薔薇色
(
ばらいろ
)
の
寝衣
(
ねまき
)
らしいものを着た、一人の若い娘が、窓の縁にじっと
凭
(
よ
)
りかかり出した。それはお前だった。……
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私は毛布を頭から被って
耳朶
(
みみたぶ
)
の熱するのを我慢して早く風を
癒
(
なお
)
そうと思って枕や、
寝衣
(
ねまき
)
がびっしょり
湿
(
ぬ
)
れる程汗を取った。これで明日は癒りそうだ。
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あの時クリヴォフ夫人は、眼を醒ました時に、胸のあたりで
寝衣
(
ねまき
)
の両端が止められていたように感じた——と云った。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
辰男は物をも言わず、
突如
(
だしぬけ
)
に起上った。そして、
裾
(
すそ
)
の短い
寝衣
(
ねまき
)
のままランプを持って階下へ下りて行った。
行灯
(
あんどん
)
の火は今にも消えそうに揺めいていた。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
彼の腹は白痴のような田虫を浮かべて
寝衣
(
ねまき
)
の
襟
(
えり
)
の中から現れた。彼の爪は再び迅速な速さで腹の頑癬を掻き始めた。頑癬からは白い脱皮がめくれて来た。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
夫人はようように夜の帽子をかぶって、
寝衣
(
ねまき
)
を着たが、こうした
服装
(
みなり
)
のほうが年相応によく似合うので、彼女はそんなに
忌
(
いや
)
らしくも、
醜
(
みにく
)
くもなくなった。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
そういいながらも、京子はある不安にかられて、色のややさめた銘仙の
寝衣
(
ねまき
)
のまま廊下づたいに電話室に入った。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
寝衣
(
ねまき
)
か何か、
袷
(
あわせ
)
に
白地
(
しろじ
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
を
襲
(
かさ
)
ねたのを着て、
扱
(
しごき
)
をグルグル巻にし、上に不断の羽織をはおっている
秩序
(
しどけ
)
ない姿も
艶
(
なま
)
めかしくて、此人には
調和
(
うつり
)
が
好
(
い
)
い。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ねくたれた
寝衣
(
ねまき
)
を着流したような人の行列がぞろぞろあの狭い入口を流れ込んでいた。草花のある広場へはいってみるといよいよ失望しなければならなかった。
雑記(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
と
自棄
(
やけ
)
のようなことを言って、帯を解いて男の着物を
寝衣
(
ねまき
)
にして、
蒲団
(
ふとん
)
をかぶって寝てしまいました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
乱れた黒い髪が枕の上で、エミリイの金髪と
縺
(
もつ
)
れ合っていました。二人ともレエスの
襞
(
ひだ
)
をとった
寝衣
(
ねまき
)
を着、二人とも長い、先のそり上った睫を
頬
(
ほお
)
の上に落していました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
「善さん、しッかりなさいよ、お紙入れなんかお忘れなすッて」と、お熊が笑いながら出した紙入れを、善吉は苦笑いをしながら胸もあらわな
寝衣
(
ねまき
)
の
懐裡
(
ふところ
)
へ押し込んだ。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
伸子はその一箇処で、古風なその道具を見つけてきたのであった——
寝衣
(
ねまき
)
に更えた佐々が来て
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
猿は放り出されまいとして両手で翁の
寝衣
(
ねまき
)
の
臀
(
しり
)
の処のずぼんにかじり付いている。その次は、もう翁の白髪は逆立っている。猿の体が延びて彎曲して
断
(
ちぎ
)
れそうになっている。
ドナウ源流行
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「いいえ、それほどではなかったと思います。自宅へ帰っても、ちゃんと御自身で
寝衣
(
ねまき
)
に着替えて、『有難う、もう君帰って呉れ給え』といって、お
寝
(
やす
)
みになりましたから」
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
私は眠られないのと
熱
(
あ
)
つ苦しいとで、床を出ましてしばらく長火鉢の
傍
(
そば
)
でマッチで煙草を
喫
(
す
)
っていましたが、外へ出て見る気になり
寝衣
(
ねまき
)
のままフイと路地に飛び出しました。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
真正に寝かして置く積りと見えて、着物を出してくれないから、乃公は
寝衣
(
ねまき
)
の上に敷布を
被
(
かぶ
)
った。下には大勢人が詰めかけているから
此様
(
こん
)
な
風体
(
なり
)
をして行けば直ぐに捉まる。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
上を見ると見慣れぬ黒い男が
寝衣
(
ねまき
)
のままで立つてゐる。非常な不愉快と不安と驚愕とが一しよになつて僕を襲つた。尚ほよく見ると、鏡であつた。鏡の中に僕が居るのであつた。
珈琲店より
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
だから、その晩にも、かれはひとりで必死になって上衣を脱いだり、パンツや、シャツの
釦
(
ぼたん
)
をはずしたり、
寝衣
(
ねまき
)
に
着更
(
きか
)
えたり、帯を結んだり、寝床にころがったり、眠ったりした。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
寝衣
(
ねまき
)
に着代えた入道の姿は、
蟇
(
ひきがえる
)
が人間の形をして、歩いているとしか思われなかった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
現場の窓から、殺人の直後にふらふらと房枝らしいその姿が消えてから、「青蘭」の連中が表へかけつけ、そこで
寝衣
(
ねまき
)
を着た君子にぶつかるまでに、殆んど三分位いしか時間がない。
銀座幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
べつに心当りもないのですが、
彼
(
あれ
)
の
寝衣
(
ねまき
)
が後から後からと汚れるものですから、浴衣を着せましたが、その浴衣も皆汚れてしまったので、昨日から女の寝衣を着せましたところが、それを
法衣
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「何んやいな、今時分に大けな声して。……兎も角
明日
(
あした
)
のことにしたらえゝ。」と、お梶が
寝衣
(
ねまき
)
姿で寒さうに出て来たのを
機会
(
しほ
)
に、二人の雇人は、別れ/\に各の寝床へ逃げ込んで行つた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
寝台
(
ベッド
)
の上に懊悩しているのも堪え難く、仕舞いには
上靴
(
スリッパ
)
をつっかけて、私は
寝衣
(
ねまき
)
姿のまま、寝室の中をグルグルと歩き廻っていたが、ええクソー! 思い切って自分のこの富の力をもって
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
マアク・トヱンは
閑
(
ひま
)
さへあれば、ストウ夫人の
許
(
とこ
)
へ出掛けて往つて、夫人と娘さんを相手にお
喋舌
(
しやべり
)
に
耽
(
ふけ
)
つたものだが、一向無頓着な男だけに、
何
(
ど
)
うかすると
寝衣
(
ねまき
)
の儘飛び出したりするので
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼が新しい報告を
齎
(
もたら
)
すまで、僅の時間でも寐て置こうと、話に夢中になって、
寝衣
(
ねまき
)
のままふとんの上に坐っていたのを、元の様に枕について見ましたが、どうして
一旦
(
いったん
)
興奮してしまった頭は
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は
寝衣
(
ねまき
)
の
乾
(
かわ
)
かしやうのないのに困つて、ぼんやりと
窓外
(
まどそと
)
を
眺
(
なが
)
めて居た。
哀しき父
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
噫、病院の窓! 梅野とモ一人の看護婦が、
寝衣
(
ねまき
)
に着換へて
淡紅色
(
ときいろ
)
の
扱帯
(
しごき
)
をしてた所で、
足下
(
あしもと
)
には燃える様な赤い裏を
引覆
(
ひつくらか
)
へした、まだ身の
温
(
ぬくも
)
りのありさうな
衣服
(
きもの
)
! そして、白い脛が! 白い脛が!
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
“寝衣”の意味
《名詞》
寝衣(しんい)
寝る際に着る衣服。寝間着。
(出典:Wiktionary)
寝
常用漢字
中学
部首:⼧
13画
衣
常用漢字
小4
部首:⾐
6画
“寝衣”で始まる語句
寝衣姿
寝衣包
寝衣帯