トップ
>
害
>
そこな
ふりがな文庫
“
害
(
そこな
)” の例文
皆西洋の歌曲を採り、之が歌詞に代ふるに我歌詞を以てし、単に字句の数を割当るに止まるが故に、多くは原曲の妙味を
害
(
そこな
)
ふに至る。
「四季」緒言
(新字旧仮名)
/
滝廉太郎
(著)
家庭の平和と純潔とを乱せば一身の破滅ばかりでなく、
延
(
ひ
)
いては一家の協同生活を危くし、社会の幸福をも
害
(
そこな
)
う結果が予想せられる。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
又、農作物は神物であつて、
害
(
そこな
)
ふ者の罪の
贖
(
あがな
)
ひ難い事を言うて、
祓
(
ハラ
)
への事始めを述べ、其に関聯して、鎮魂法の霊験を説いて居る。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
却って往々生を
害
(
そこな
)
う恐れすらある。健全な生の必須条件は、生の新しくなるに従って、絶えず新しくなる芸術の出来る事である。
新しき世界の為めの新しき芸術
(新字新仮名)
/
大杉栄
(著)
またもし殘らば、請ふ告げよ、汝等が再び見ゆるにいたる時、その光いかにして汝等の目を
害
(
そこな
)
はざるをうべきやを。 一六—一八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
▼ もっと見る
それから、パーシウス、ゴーゴンの首を切る時、その形を
害
(
そこな
)
うようなことのないように、ばっさりと、きれいに切るように気をつけてくれ。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
村人が獣を殺すと残肉を食い言わば村の掃除役だが、万一村の人畜を
害
(
そこな
)
うと一同これを撃ち殺す(ラッツェル『人類史』一)。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
特に茶趣味は多くの陶器を
害
(
そこな
)
いました。真の茶器は、趣味の遊びから出たものではないことを忘れるからに
因
(
よ
)
るのであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
中には鋼鉄針よりはむしろレコードを
害
(
そこな
)
うことが多いと唱える人がある。しかしこれは宣伝のための説で一向に信じられない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
環境が自然に発生させているマイナスによってこれまた自然発生的に
害
(
そこな
)
われ、
萎靡
(
いび
)
させられ、未開発のまま消滅してしまう。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
一方には世を
害
(
そこな
)
ひ、一方には原作を害ふ、この場合シエイクスピアの言を逆に、災害は二重になる。甚だ恐るべきである。
翻訳製造株式会社
(新字旧仮名)
/
戸川秋骨
(著)
彼らはたとい自分自身を
害
(
そこな
)
いもしくは欺いても、自分の生活の重要さを肯定したがる。しかしそういう感情は、時期によって多少鋭鈍の差がある。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
安寧秩序をみだし良良なる風俗を
害
(
そこな
)
ふ
底
(
てい
)
の人騒がせは許しがたい悪徳であるなぞと途方もないことが書いてあつたよ。
西東
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
文化存在の理解の
要諦
(
ようたい
)
は、事実としての具体性を
害
(
そこな
)
うことなくありのままの生ける形態において把握することである。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
それは彼に
嫉妬
(
しっと
)
の念を燃やさした。そして彼はマドレーヌを
害
(
そこな
)
うために機会あるごとにできるだけのことをした。そのうちに彼は破産してしまった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
迂濶
(
うかつ
)
な真似をして此の身を
害
(
そこな
)
ってはならぬ、いよ/\一命が
危
(
あやう
)
いという時にこそ、この短刀を持って突殺してくれよう、それまでは獣の様子を見ましょう
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
甚だしきは家に帰りて学校の科程を復習せざる事のために食物を与へずしてこれを苦めこれを
悔
(
く
)
いしめんとする者あり。子を愛するの極、子を
害
(
そこな
)
はんとす。
病牀譫語
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
あの依頼の手紙を書いて、君の気持を
害
(
そこな
)
う結果になろうとは夢にも思わなかったし、悪意をもってああいうことをお願いするほど愚かな者もいないだろう。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
また万有を神の変形の如くに
見做
(
みな
)
すのは神の超越性を失いその尊厳を
害
(
そこな
)
うばかりでなく、悪の根源も神に帰せねばならぬような不都合も出てくるのである。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
フサは疑っているようなようすは微塵もなく、ときどき、顔をうつむけて考えこむことがあるが、そのほかは、どんなことでも上機嫌を
害
(
そこな
)
うものはなかった。
虹の橋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そして
悪
(
あ
)
しき交りがそれの善き光沢を一日か二日のうちに
害
(
そこな
)
う
★
のである。諸君の証券は台所と流し場とを改造した俄か造りの貴重品室の中へ入ってしまう。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
方今の芝居は
婬
(
いん
)
に過ぎ、哀に過ぎ、誕に過ぎ、濃に過ぎ、人心を
害
(
そこな
)
うこと多し。裁制を加えざるべからず。
国楽を振興すべきの説
(新字新仮名)
/
神田孝平
(著)
その前から悪くなっていた正一の胃腸は、ビールと一緒に客の前に出ていた
葡萄
(
ぶどう
)
のために烈しく
害
(
そこな
)
われた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
我は天性
怯懦
(
けふだ
)
にして、強盗殺人の罪を犯すべき猛勇なし、豆大の昆虫を
害
(
そこな
)
ふても我心には重き
傷痍
(
しやうい
)
を受けたらんと思ふなるに、法律の手をして我を縛せしむる如きは
我牢獄
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
彫刻的契機に乏しい。作れば作れるが作ると
却
(
かえっ
)
て自然の美と品位とを
害
(
そこな
)
い、彫刻であるよりも玩具に近い、又は文人的骨董に類するものとなる。其点でセミは大に違う。
蝉の美と造型
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
その表現の率直なるは善良なる趣味性を
害
(
そこな
)
ふの感あるも、誰も泡鳴の天賦を疑ふものあるを聞かず、彼が文学的円熟期に入らずして死せるは、最も惜しむべきものとす。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
百万の
烝民
(
じようみん
)
善
(
よ
)
くこの神を拝するときは死後生を波羅葦増雲の楽園に
享
(
う
)
く。然るに、耳目あれども此神を知らず、
猥
(
みだ
)
りに神徳を
害
(
そこな
)
ふものは、即ちいんへるのの苦淵に沈む。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
誰がお前のことをどういっていたぞという風にばかり吹聴して他人と他人との感情を
害
(
そこな
)
わせた。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
もちろんそれには、あの耐えられない憂鬱や、多産のせいもあるとは云え、たかが三十を二つ越えたばかりの肉体が、なぜにそう見る影もなく
害
(
そこな
)
われているのであろうか。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
老博士はなおしばらく、文字の霊の害毒があの
有為
(
ゆうい
)
な青年をも
害
(
そこな
)
おうとしていることを悲しんだ。文字に親しみ過ぎてかえって文字に疑を抱くことは、決して
矛盾
(
むじゅん
)
ではない。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
心なるものは、
沖虚
(
ちゅうきょ
)
妙体、
炳煗
(
へいなん
)
霊明、去ることなく来たることなく、三際に
冥通
(
みょうつう
)
し、中にあらず外にあらず、十方を洞徹し、滅せず生ぜず、あに
四山
(
しせん
)
これを
害
(
そこな
)
うべからんや。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
血気は
尤
(
もっと
)
もこれ事を
害
(
そこな
)
い、
暴怒
(
ぼうど
)
またこれ事を害う。血気暴怒を粉飾する、その害さらに甚し。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
届書に俊良、食べ合せ物宜しからず、
脾胃
(
ひい
)
を
害
(
そこな
)
い頓死
云々
(
うんぬん
)
。正に立会候者也と書き立てた。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
お前たちはそんな風に
害
(
そこな
)
はれ、焦げ燒けてゐるけれど、まだお前たちの中には、あの忠實な正直な根にしつかり着いてゐる、そこから上つて來る
生命
(
いのち
)
の意識が少しはある筈だ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
いくら狂言綺語とはいえ人心を
害
(
そこな
)
うものだという建前に発しているので、自分は一つ、一人も人が死なず一滴も血をこぼさない敵討物を書いて一世を驚倒させてやろうと考えた。
仇討たれ戯作
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もしかかる観念に虐げられてその幸福を傷つけるならば、その人はみずからの気分によりてみずからを
害
(
そこな
)
うものである。気分というものは人生において大なる権威をなすものだ。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
吾々が
捷利
(
せうり
)
——即ち救ひを得る道は、徒らにその事実にあらがふ事でなく、
苟
(
いやしく
)
も自分の霊が
害
(
そこな
)
はれ、縛られ、殺されるのでない限りは、此運命を諦め、出来るならばそれに超越して
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
たとい現在は姿を
窶
(
やつ
)
して当道の座に加わっておろうとも、やわか軽々しく両眼を
害
(
そこな
)
うことやある、又その方が盲人の真似を致せしは、敵方に油断をさせて様子を探るためではないか
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
然
(
しか
)
しわれは
人
(
ひと
)
を
傷
(
きずつ
)
け
害
(
そこな
)
ふ
党
(
やから
)
とは
違
(
ちが
)
ふ。
幼児
(
をさなご
)
の
眼
(
め
)
を
剞
(
く
)
り
抜
(
ぬ
)
き、
足
(
あし
)
を
断
(
た
)
ち、
手
(
て
)
を
縛
(
しば
)
つて、これを
曝物
(
さらしもの
)
に、
憐愍
(
あはれみ
)
を
乞
(
こ
)
ふ
悪人
(
あくにん
)
どもが
世間
(
せけん
)
にある。さればこそ
今
(
いま
)
この
幼児等
(
えうじら
)
を
観
(
み
)
て、
心配
(
しんぱい
)
いたすのだ。
浮浪学生の話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
「この上は余り御気色を
害
(
そこな
)
わぬ程に、軽くお伝え申しおくほかはあるまい」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此は
怪
(
け
)
しからず、
天津乙女
(
あまつおとめ
)
の威厳と、場面の神聖を
害
(
そこな
)
つて、
何
(
ど
)
うやら
華魁
(
おいらん
)
の道中じみたし、
雨乞
(
あまごい
)
には
些
(
ち
)
と
行過
(
ゆきす
)
ぎたもののやうだつた。が、何、降るものと
極
(
きま
)
れば、
雨具
(
あまぐ
)
の用意をするのは賢い。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
奥様の御心を
害
(
そこな
)
ったのを、しみじみと恥じられ悔いられてなりません。
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
早春風やはらいで
嫩芽
(
どんが
)
地上に萌ゆるより、晩冬の寒雪に草根の
害
(
そこな
)
はれむを憂ふるまで、
旦暮
(
たんぼ
)
三百六十日、生計の為めにすなる
勤行
(
ごんぎやう
)
は、やがて彼が心をして何日しか自然の心に近かしめ、
凭
(
よ
)
らしめ
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
隧道内の空気中にはレールや機関の摩擦のために生ずる微細な鉄粉がかなりに浮游しているが、これは案外人体を
害
(
そこな
)
わないそうである。むしろ坑内の温度の急変が健康に悪いだろうとの事である。
話の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私は自分の小さい時から失わずにいる甘美な人生へのかぎりない夢を、そういう人のこわがるような
苛酷
(
かこく
)
なくらいの自然の中に、それをそっくりそのまま少しも
害
(
そこな
)
わずに生かして見たかったのだ。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
囹圄
(
ひとや
)
のタツソオが身を
害
(
そこな
)
ひしは、獨り戀路の關を据ゑられしが爲めのみにあらず。その詩の爲めに
知音
(
ちいん
)
を得ざるを恨みしが爲めなり。夫人。われは今おん身が上を語れり。タツソオが事を言はず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
見られし所如何樣にも
篤實
(
とくじつ
)
面
(
おもて
)
に
顯
(
あら
)
はれ
勿々
(
なか/\
)
人を殺し
盜賊
(
たうぞく
)
をする者にあらず
併
(
しか
)
し
今
(
いま
)
強
(
しひ
)
て吟味する時は
裁許
(
さいきよ
)
を破り殊に郡代の
不詮議
(
ふせんぎ
)
と相成事なり
然
(
さり
)
とて人一人たり共
無實
(
むじつ
)
に
害
(
そこな
)
ふは大事なれば
先々
(
まづ/\
)
能
(
よく
)
實否
(
じつぴ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
この「障らば」をば、母の
機嫌
(
きげん
)
を
害
(
そこな
)
うならばと解する説がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
民が皆
傷
(
やぶ
)
り
害
(
そこな
)
い、皆
痛
(
いた
)
み悩んでいましたら、4810
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
毒を持ついかり心に世の中の人を
害
(
そこな
)
ふ
毒虫
(
どくむし
)
ぞわれ
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
“害”の解説
仏教用語での害(がい)(sa: vihiṃsā、ヴィヒンサー)は、仏教が教える煩悩のひとつ。
害意。他者への思いやりの心が無い状態、すなわち、慈悲心無き心の状態をさす。大善地法の「不害 (アヒンサー)」の逆 。
説一切有部の五位七十五法のうち、小煩悩地法の一つ。唯識派の『大乗百法明門論』によれば随煩悩位に分類され、そのうち小随煩悩である。
(出典:Wikipedia)
害
常用漢字
小4
部首:⼧
10画
“害”を含む語句
殺害
迫害
妨害
損害
生害
禍害
障害
要害
御生害
惨害
障害物
被害者
有害
害意
殺害者
殘害
水害
被害妄想
残害
自害
...