純情少年の兄天魔太郎は、自分のためにめいわくしている多勢のひとを見るといのちを投げだして名のってでる気になるのでしょう。
その様子は隣人の不幸をいたむというよりも、むしろ、多勢の人の中で、立ち働く機会が降って湧いたのを喜んでいるという風だった。
寺僧も多勢いたのだが、そんな風に一人減り二人減って、今では和尚のほかにわしたち三人が残るばかりになってしまったのだ。
「さっそく困るだろ。君だって多勢の子供をかかえて、仕事をしなくちゃならない。——待ちたまえ、僕にも心当りがないことはない。」