合點がてん)” の例文
新字:合点
合點がてん行ずとかんがへ居るに又々あとからも女共が來り旦那樣へんな客人で御座ります奧座敷おくざしきが明て居ますから御通りなされ御酒にしますか御膳を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さすれば生きてあるものでないから、思慮分別に渉ることがない。そこで生死の二つあるものでないと合點がてんの心が疑はぬと云ふものなり。
遺教 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
こたへられたがあいちやんには愈々いよ/\合點がてんがゆかず、福鼠ふくねずみ饒舌しやべるがまゝにまかせて、少時しばらくあひだあへくちれやうともしませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
殊更ことさら少將殿の御事、不肖弱年の時頼、如何いかでか御託命の重きに堪へ申すべき。御言葉のゆゑよし、時頼つや/\合點がてん參らず
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
今宵限こよひかぎせきはなくなつてたましゐ一つがまもるのとおもひますれば良人おつとのつらくあたくらゐねん辛棒しんぼう出來できさうなこと、よく御言葉おことば合點がてんきました
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
(云ひすてゝ、外記は門内は入る。十吉は合點がてんのゆかぬ體にて、しばらくあとを見送る。お米もおづ/\門内をうかゞふ。茶屋の奧にて唄の聲きこゆ。)
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
父親ちゝおや合點がてん母親はゝおや承知しようちで、向島むかうじま花見はなみかへりが夜櫻見物よざくらけんぶつつて、おいらんが、初會惚しよくわいぼれ、と寸法すんぱふるのであるが、耕地かうち二十石にじつこく百姓ひやくしやう次男じなんではうはかない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし汽車きしやいままさ隧道トンネルくちへさしかからうとしてゐることは、暮色ぼしよくなか枯草かれくさばかりあかる兩側りやうがは山腹さんぷくが、間近まぢか窓側まどがはせまつてたのでも、すぐに合點がてんことであつた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
待つてくれ、お前は早合點がてんしさうだが、佐野松とお葉は、その頃からわけがあつたのではなく、内弟子の佐野松や下男の猪之松に取つては、言はばお葉は主人のやうなものだ。
しかし私は堅く決心してゐたので——私の從兄姉いとこたちはとう/\、私がたゞ財産を分けるといふことのみに、眞實變ることなく心をめたのを合點がてんしたので——また彼等自身の心にも
漸く合點がてんの行つた源太郎は、小さい聲でかうお文に答へて
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
見て取さては此上七右衞門を吟味ぎんみすれば相分あひわかるべしと心に合點がてんして夫より須田町一丁目なる七右衞門方へと急ぎ赴きたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
合點がてんがいつたら何事なにごとむねおさめて、らぬかほ今夜こんやかへつて、いままでどほりつゝつしんでおくつてれ、おまへくちさんとてもおやさつしるおとゝさつしる
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
生きてあるもの、一度は是非死なではかなはず、とりわけ合點がてんの出來さうなものなれども、凡そ人、生を惜み死を惡む、是皆思慮分別を離れぬからのことなり。
遺教 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
五郎 けふの晝間の一條といひ、かれが屋敷を出でし折に、合點がてんのゆかぬ節もありしと、三左衞門の知らせに付き、とりあへず跡を慕うてまゐつたが、よもやかゝる始末とは……。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
くるしめてなぐさまむはこゝろあるもののすべきことかは、いかに合點がてんのゆきたるか
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あそすごしてつかすてしとは合點がてんゆかねど其方が打叩うちたゝかれても一言の言譯いひわけさへもせざりしゆゑ如何成いかなる天魔てんまみいりしかと今が今迄思ひ居たるに全く若旦那の引負を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
本宅ほんたく三番町さんばんちやう何處どこやらにて表札へうさつればむゝひとうちかと合點がてんのゆくほどの身分みぶんいまさら此處こゝにははずもがな、名前なまへはづかしければ病院びやうゐんれることもせで
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ござります、へい、成程なるほど。」となか合點がてんしたふうをした。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
合點がてんつたらかくかへれ、主人あるじ留守るすことはりなしの外出ぐわいしゆつ、これをとがめられるとも申譯まをしわけことばるまじ、すこ時刻じこくおくれたれどくるまならばひ一トとびはなしはかさねてきにかう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
表向おもてむきにはなんとも月日つきひ大凡おほよそどのくらいおくつたもの御座ござんすか、いま千葉ちば樣子やうす御覽ごらんじても、れの子供こどもときならばと大底たいていにお合點がてんゆきましよ、病氣びやうきしてわづらつて、おてらものなりましたを
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)