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くちょう
ふりがな文庫
“
口調
(
くちょう
)” の例文
女は例のごとく過去の
権化
(
ごんげ
)
と云うべきほどの
屹
(
きっ
)
とした
口調
(
くちょう
)
で「犬ではありません。左りが熊、右が
獅子
(
しし
)
でこれはダッドレー
家
(
け
)
の紋章です」
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
歯
(
は
)
のない口にきゅうに
奥歯
(
おくば
)
がはえたような気がするほど若がえった
口調
(
くちょう
)
だった。治安維持法というものを、彼女はよく知らない。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
矢野は
興奮
(
こうふん
)
した
口調
(
くちょう
)
にいうのであった。わかりきったことでも、まじめに大木の口から聞かせられると、矢野はいつでも
感奮
(
かんぷん
)
するのである。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「先生」と、これまで一言も言わなかった書生らしい人が言葉にその神経質らしい
口調
(
くちょう
)
を帯びさせながら、初めて口を出した。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
かれは、
帽子
(
ぼうし
)
をとっただけで、べつに頭もさげず、ジャンパー姿の次郎をじろじろ見ながら、いかにも
横柄
(
おうへい
)
な
口調
(
くちょう
)
でたずねた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
▼ もっと見る
投げつけるような
口調
(
くちょう
)
でそう鋭く言ったと思うと、執拗なまで私の顔にそそいでいた視線をふいと
外
(
そ
)
らし、再び私の方を見ようともしなかった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
お
爺
(
じい
)
さんはしんみりとした
口調
(
くちょう
)
で、ただそう
仰
(
お
)
ッしゃられたのみでした。つづいて
守護霊
(
しゅごれい
)
さんも
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
かれました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
如何にも他人の不都合を
詰
(
なじ
)
るような
口調
(
くちょう
)
で、原田と私を
睨
(
ね
)
めつけながら、自分の企てた計畫を堂々と攻撃した揚句、とうとう滅茶苦茶にして了った。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「おまえは、
私
(
わし
)
を
見
(
み
)
たことがない。けれど、
空想
(
くうそう
)
したことはあったはずだ。おまえは
私
(
わし
)
をなんと
思
(
おも
)
うのだ。」と、おじいさんは、
重々
(
おもおも
)
しい
口調
(
くちょう
)
でいいました。
銀のつえ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
別府
(
べっぷ
)
さんの
口調
(
くちょう
)
が
熱
(
ねつ
)
してきて、そのほおが赤くなるにつれて、
星野仁一
(
ほしのじんいち
)
の顔からは、
血
(
ち
)
の
気
(
け
)
がひいていった。
選手
(
せんしゅ
)
たちは、みんな、頭を深くたれてしまった。
星野くんの二塁打
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
しかも演説
口調
(
くちょう
)
をもってあるいは高々に説明するにあらずして、平生の個人と個人との会話のごとき調子で
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
やがてはっきりとした
口調
(
くちょう
)
で「さあ帰ろう、お母さんが待っているだろう」と強い足どりで歩き出した。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
するとさすがに大井の顔にも、
瞬
(
またた
)
く
間
(
ま
)
周章
(
しゅうしょう
)
したらしい
気色
(
けしき
)
が漲った。けれども
口調
(
くちょう
)
だけは
相不変
(
あいかわらず
)
傲然と
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
べつに
怨恨
(
えんこん
)
など
抱
(
いだ
)
いてはいないのだと
答
(
こた
)
えたが
事実
(
じじつ
)
としては
青流亭
(
せいりゅうてい
)
の
女将
(
おかみ
)
と
同
(
おな
)
じく、いつも
夜
(
よる
)
になつてから
老人
(
ろうじん
)
を
訪
(
たず
)
ねるのが
常
(
つね
)
で、ある
時
(
とき
)
、ひどくはげしい
口調
(
くちょう
)
で
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
四
方
(
ほう
)
に大きな
絵蝋燭
(
えろうそく
)
をたて、
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
は、中央に
毛皮
(
けがわ
)
のしとねをしき、大あぐらをかいて、
美酒
(
びしゅ
)
をついだ
琥珀
(
こはく
)
のさかずきをあげながら、いかにも
傲慢
(
ごうまん
)
らしい
口調
(
くちょう
)
でいった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いわば当時の文壇は何にも知らないシロウトが
白粉
(
おしろい
)
を塗って舞台に踊り出し、巡査が人民を
諭
(
さと
)
すような
口調
(
くちょう
)
で女の
声色
(
こわいろ
)
を
遣
(
つか
)
ったり政談演説をしたりするようなものばかりで
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
トラ十の、毒々しいことばがきいたのか、師父は、このとき、急にすなおな
口調
(
くちょう
)
になって
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今や文壇の趨勢既に『万葉』『古今集』以来古歌固有の音律を喜ばずまた
枕詞
(
まくらことば
)
掛言葉
(
かけことば
)
等邦語固有の妙所を
排
(
しりぞ
)
けこれに代ふるに各自辺土の方言と英語翻訳の
口調
(
くちょう
)
を以てせんとす。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これだけはリズムの節調ではなく、散文の
口調
(
くちょう
)
で、すらすらと口をついて出でました。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
倹約家の父は珍しく金口を吹かしながら、いつになくニコニコした
口調
(
くちょう
)
で申しました。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
外国と
通商条約
(
つうしょうじょうやく
)
を取結びながら、
或
(
あ
)
る
産物
(
さんぶつ
)
を或る一国に
専売
(
せんばい
)
するがごとき
万国公法
(
ばんこくこうほう
)
に
違反
(
いはん
)
したる
挙動
(
きょどう
)
ならずやとの
口調
(
くちょう
)
を以て
厳
(
きび
)
しく
談
(
だん
)
じ
込
(
こ
)
まれたるが
故
(
ゆえ
)
に、政府においては
一言
(
いちごん
)
もなく
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
と講義録の
口調
(
くちょう
)
そっくりで申され候間、小生も思わずふきだし候
初孫
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
すると
為朝
(
ためとも
)
はおそれ
気
(
げ
)
もなく、はっきりと
力
(
ちから
)
のこもった
口調
(
くちょう
)
で
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
彼は、私達にはわざとらしいように思われる
口調
(
くちょう
)
で言った。
再度生老人
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
という類の、近ごろの新文章
口調
(
くちょう
)
で問うているものが多い。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
と浩二がませた
口調
(
くちょう
)
で云ったので、皆大笑いをした。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
少佐はそれを打消されるような
口調
(
くちょう
)
で
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
と富士男は
謹厳
(
きんげん
)
なる
口調
(
くちょう
)
でいった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「なかなか
器用
(
きよう
)
には作者の
狙
(
ねら
)
ったところは一貫しています」と、天神さまみたような顔つきの人が熱心な
口調
(
くちょう
)
で口を出した。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「なに、そんな大切な草稿でも書ける暇があるようだといいんだけれども——駄目だ」と自分を
軽蔑
(
けいべつ
)
したような
口調
(
くちょう
)
で云う。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あるものは演説
口調
(
くちょう
)
で郷土の
偉人
(
いじん
)
や、名所
旧蹟
(
きゅうせき
)
や、
特殊
(
とくしゅ
)
の産業などを
紹介
(
しょうかい
)
し、あるものは郷土の
民謡
(
みんよう
)
や
舞踊
(
ぶよう
)
を
披露
(
ひろう
)
した。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
電話機の具合が悪く、夜光虫、というのが
仲々
(
なかなか
)
通じないらしかった。その声に混って、外の準士官等の、疲れたような
口調
(
くちょう
)
の会話を耳にとめていた。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
ようやくのこと、すこし
年上
(
としうえ
)
らしいほうの男が、顔のようすをつくろうて、あらたまった
口調
(
くちょう
)
に
口上
(
こうじょう
)
をのべる。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「みんなが
騒
(
さわ
)
いで、わったのだから、みんなで
弁償
(
べんしょう
)
するのがあたりまえでしょう。
一人
(
ひとり
)
に
半分
(
はんぶん
)
出
(
だ
)
させる
法
(
ほう
)
はないだろう。」と、おどすような
口調
(
くちょう
)
で、いいました。
眼鏡
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
とはなはだ
尋常茶飯事
(
じんじょうさはんじ
)
のごとき
口調
(
くちょう
)
で答えた。これが日本ならいろいろな
嫌疑
(
けんぎ
)
も受けるであろうが、自由の天地は違うと思いながら、僕はそのほうに足を運んだ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
彼は中学校で同級だったときのあの飾り気のない
口調
(
くちょう
)
で、こんな風に最後の解決を語った。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それらの
人
(
ひと
)
について
調査
(
ちょうさ
)
の
結果
(
けっか
)
は、ついに
発表
(
はっぴょう
)
されなかつたが、
事件解決後
(
じけんかいけつご
)
、
青流亭女将
(
せいりゅうていおかみ
)
進藤富子
(
しんどうとみこ
)
は、
醉
(
よ
)
つて
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
てた
口調
(
くちょう
)
になつて、やはり、ある
料亭
(
りょうてい
)
の
女将
(
おかみ
)
である
女友達
(
おんなともだち
)
に
向
(
むか
)
い
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
そのしんみりした
口調
(
くちょう
)
に涙ぐんだ女の子もいた。この小林先生だけは、これまでの女先生の例をやぶって、まえの先生が病気でやめたあと、三年半も岬の村を動かなかった先生であった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
何も知らぬ
頑是
(
がんぜ
)
ない私に、
宥恕
(
ゆうじょ
)
を
乞
(
こ
)
うような
口調
(
くちょう
)
で言ったのを私は覚えている。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
何か目算が立って
居中
(
きょちゅう
)
悠々としているもののごとく、天堂一角が朗吟
口調
(
くちょう
)
で
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
牧野の
口調
(
くちょう
)
や顔色では、この意外な
消息
(
しょうそく
)
も、満更冗談とは思われなかった。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
補欠
(
ほけつ
)
も入れて十五人の
選手
(
せんしゅ
)
たちの目は、じっと
別府
(
べっぷ
)
さんの顔を見つめている。
別府
(
べっぷ
)
さんの、おもおもしい
口調
(
くちょう
)
のそこに、何かよういならないものがあることを、だれもがはっきり感じたからである。
星野くんの二塁打
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
七兵衛はお松の説明のあとをついで、やはり
律儀
(
りちぎ
)
な百姓の
口調
(
くちょう
)
で
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
厭味
(
いやみ
)
のある言い方ではなかった。ただ三四郎にとって自分は興味のないものとあきらめるように静かな
口調
(
くちょう
)
であった。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
田川は、例のしゃがれた、
激
(
はげ
)
しい号令
口調
(
くちょう
)
で、ほかの塾生たちをせきたてながら、自分でも椅子や机を運んで
敏捷
(
びんしょう
)
にたちはたらいていた。これに反して、青山の態度はきわめて冷静だった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
すると漢師長は、あたりを
憚
(
はばか
)
るような
口調
(
くちょう
)
になって、私に云ったことに
今昔ばなし抱合兵団:――金博士シリーズ・4――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
という
口調
(
くちょう
)
を放つときは、
神
(
かみ
)
ならぬわれわれは肉も血もあり、多くの弱点を備うるものなれば、時にこれしきの
罪業
(
ざいごう
)
をするのは
免
(
まぬか
)
れぬと、
半獣性
(
はんじゅうせい
)
の欠点に富めることをいいあらわすに
用
(
もち
)
いられる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
暫くして、また改まったように、甘えた
口調
(
くちょう
)
で呼びかけました。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は突然
口調
(
くちょう
)
を変え Brother と僕に声をかけた。
彼 第二
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
まるでそれは、とんでもないといわぬばかりの
口調
(
くちょう
)
である。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
“口調”の意味
《名詞》
口 調(くちょう)
発音したときの、言葉の調子。
声の出し方や言葉の選び方などにみられる特徴。話し方。語調。
(出典:Wiktionary)
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
調
常用漢字
小3
部首:⾔
15画
“口”で始まる語句
口惜
口
口吻
口説
口髭
口籠
口許
口上
口々
口吟