)” の例文
旧字:
こいつが、なかなかがあって、それからというものは敵の陣地や砲台が、どんどん落ちるようになった。わが工兵隊のお手柄だ
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
つ、蹴る、払う。虎の戦法はこう三つを奥の手とする。そのすべてがかないとなると、さしもの獣王も気萎きなえをするものだとか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
君の家の亀はいつごろから存在するのか、その薬は何にくのか、香水か、それとも線香か、私は随分その答弁に悩まされたものであった。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
伝吉でんきち駕籠かごなかはなあたまッこすってのひとり啖呵たんかも、駕籠屋かごやにはすこしのもないらしく、駕籠かごあゆみは、依然いぜんとしてゆるやかだった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
自分は子供心にも、破れた古太鼓の皮などのを信じる事が出来ず、その丸薬を求めに五里の路を往復するのが、ひとしお苦痛であった。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「神尾は、確かに乱心致したとみえる。小心者しょうしんもののことじゃ。薬がき過ぎたかも知れぬ。いま追うて出るは不策ふさくじゃ」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しかしここでの半艇身ばかりの差では敵のラスト・ヘビーがけば何の役にも立たない。久野は「あと一分だ。もう死んでもいいぞ」などと激励した。
競漕 (新字新仮名) / 久米正雄(著)
この作り話のがいつもあるわけではなかったが、たまにそれが当たるといい一晩ひとばんごされた。そうだ、わたしはほんとにひつじのちちいていた。
一週間で直すと云ひながら、一月ひとつきかゝつても直さない。初めのうちは、かない薬を飲ましよるに違ひない。
医術の進歩 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
頼朝の許へは何度も使いをやって、いろいろ陳情してみたが、景時の讒言ざんげんが余程いたと見えて、どんな義経の弁明も一向に耳を貸そうとしないのであった。
そんなこともしまいにはかなくなって、へっ、うちの嫁はん景気えいことやんのやな、育ちがえいさかいようけ銭でも持ってきたんやろ、といやみをいう。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
遥かかなたの太平洋の上に、不連続線が現れても、その影響が敏感に、これらの高層雲にくようである。
黒い月の世界 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「君、医者に売るんだよ。医者ならそこは彼らの手先でどこへでも自由がくのさ。もともと僕だって、学術用に英国人の医者から頼まれたのが初まりなんだ。」
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
然し内心(!)心配していたことが起らずに、不思議でならなかったが、かえって「サボ」がいてゆくのを見ると、若い漁夫達の云うように、動きかけてきた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「へい、万病にきますそうで。そうしてそいつを水へ入れると、ポンと天井へ飛び上がりますそうで」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ここで七兵衛は種々なる探偵眼と猟犬性を働かしてみたけれども、さっぱりき目がありませんでした。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
旦那様だんなさま、誠にまア結構けつこうくすりでございます、有難ありがたぞんじます、疼痛いたみがバツタリりましてございます。主「それはるよ、くすりだもの……はおまへかえ。 ...
あまりしばしば繰り返してやると、がないのである。好運も同じ合図にいちいちこたえることは面倒なのであろう。で、にんじんは、控え目にを置くのである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
まぐろ茶漬けのわさびは、お茶を注ぐ前に飯茶碗の中に入れては、からさが消えてしまう。お茶を注いでおいて、最後に入れてまぜて食べる方が、わさびのきめがある。
鮪の茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
駄賃がいたのか、小僧が肴を二品ずつに、酒を四本持って来た。それを見たとたん、作次の眼がき活きと光を帯び、落ち窪んだ頬にも赤みがさすように感じられた。
おさん (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
これによって汝は防腐せられ、汝の罪は癒される。聖言に接して己が罪の傷口の痛みを感ずる者は、塩がいているのだ。痛くとも我慢して、十分に罪の審判を受けよ。
僕は怒髪天をつき、その空箱をはっしと壁に投げつけました。学校出入りの薬屋か何かが売込みに来たのを、くか効かないか、僕を実験台にして使ってみたのでしょう。
ボロ家の春秋 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
地中の球根をきつぶせば強力なのりとなり、女の乳癌にゅうがんれたのにつければくといわれる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
それから大声で(それは麦畑の穂の列を吹き抜けて行く、乾いた快い風のやうな響きを帯びてゐた)彼の持牛についたしらみをとる薬はやはり人間にも同じがあるのかね
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
「なァに、ちょっとした神経性の頭痛でしょう。この甘美な、詩人の飲料(シャンパン酒)の泡のなかでぶくぶくいっている快活なたましいほど、よくく薬はありませんよ」
「熱はもうすっかり退がりました。津軽先生が、この薬とてもよくくとおっしゃるの」
秋日記 (新字新仮名) / 原民喜(著)
奥方おくがたがこのごろおもやまいにかかって、いろいろの医者いしゃせてもすこしもくすりえないものですから、ちょうど自分じぶんのにいさんが芦屋あしや道満どうまんといって、その時分じぶん名高なだか学者がくしゃ
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
今もチャーコールなどというのがありますから、きっとき目があったのでしょう。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
ふた回りか三回り入浴して来なければ、温泉のき目はないものと決められていた。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「いや、薬がいたんですよ。わしは責任の地位にある重役が思惑をやることは反対ですから、行く度に議論をしたんです。ひとの金の自由の利く人ほど危いんです。お気をつけ下さいって」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それならば暗い顔をする訳はないがと思うと、きすぎたのだとまた言った。
でないと出来上った六神丸のすくないだろうから、だが、——私はその階段を昇りながら考えつづけた——起死回生の霊薬なる六神丸が、その製造の当初に於て、その存在の最大にして
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
「ガラスの破片はへん道路どうろにまきちらすのです。透明人間とうめいにんげんは、はだかで、はだしで歩いていますから、これはきめがありますよ。すこし残酷ざんこくなやりかたですが、そんなことは言っておられませんので」
ふつふつたる香りにばかりあおられていると酔ったとも酔わぬとも名状もなしがたい、前世にでもいただいたから天竺てんじくのおみきの酔いがいまごろになっていて来たかのような、まことに有り難いような
鬼涙村 (新字新仮名) / 牧野信一(著)
き目がそろそろ出て来たことを私は看て取った……
この企画を「皇太子殿下の御結婚記念」とうたって、第一室にこれをおいた当事者のあたまは見事に全館すべての展列品にいている。
正倉院展を観る (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敬二が早口はやくちに、あの黒眼鏡のローラがいまそこまで追っかけてきていることを告げると、さすがのドン助もこれが大いにいたと見え
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
くのは当然、というようなお顔で深くうなずき、ていねいにご診察なさって、そうして私のほうに向き直り
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ところがさ、そのお金のき目が一向現れて来ないつて、それを出した男が、あたしを責めるんだよ
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
だがぼくは……さてとうとうガロフォリは、ぶってもたたいてもぼくにはがないのをみて、ほかのしかたを考えた。それは毎晩まいばんぼくの晩飯ばんめしのいもをらすのだ。
「散歩してきます」と云うと、何時いつも黙っているおばさんが、「行っていらっしゃい」と、こっちを向いて云った。きめはあらたかだ。私は暗がりに出ながら苦笑した。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
これがいた。殿中ということも、元旦であるということも、忘れていたわけではないが、前後して出て行った喬之助と近江之介が、何となく気になる空気を残して行った。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
表面はもちろんでこぼこしているし、また全体としてゆがんでもいる。それであまり精密に測ると、偏差が大きくいて来て、かえって本当の形から離れた曲線が出来てしまう。
くすりるから……お美那みな其粉薬そのこぐすりしてんな……此薬これほかにないくすりだからな……血止ちどめにはくし、ぐにいたみるから、此薬これるから此方こつちへ足を出しな。
うちの高さよりも高く、天まで届くほど抛り上げても、さっぱりき目がない。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
「大難が小難でした。このお灸がけば、千円のお灸も安くつきます」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
余人にはくかもしれぬが、世情の表裏から、戦争のかけひきまで、あらゆる人間の機微を、めつくしている池田入道勝入には
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
というドクター・ヒルの紹介状が、とんだところでき目をあらわして、仏は、無事に駅の階段を、町へ降りることが出来た。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
よく見ると、どうもその秘訣ひけつの一つは、歩脚の先の指節にあるらしく、針のように細いしかし強い線で描かれた指節の突端が、石にい入っていた。それがいているらしい。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
このうえよけいなぐられるのはそんだからね。なにしろこのごろいただくげんこはせんよりもずっとくからね。人間はなんでもれっこになるなんて言うが、それはお人よしの言うことだよ