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頑固
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がんこ
ふりがな文庫
“
頑固
(
がんこ
)” の例文
テナルディエはそれを翻訳して「徒刑場の仲間の一人」だとした。ブーラトリュエルは
頑固
(
がんこ
)
にその名前を言うことを拒んだのである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
有体
(
ありてい
)
に言えば、少年の岸本に取っては、父というものはただただ恐いもの、
頑固
(
がんこ
)
なもの、窮屈で
堪
(
たま
)
らないものとしか思われなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「いいえね、女房たちが私らを
頑固
(
がんこ
)
過ぎる女だと言いもし、思いもしているらしいから、いろいろとほかの道のことも考えたのですよ」
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
老医師はその妻子だけを
瑞西
(
スイス
)
に帰してしまい、そうして今だにどういう気なのか
頑固
(
がんこ
)
に一人きりで看護婦を相手に暮しているのだった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
安斉先生は
頑固
(
がんこ
)
のようだが、けっしてわからず屋でない。正三君の努力を理解して、顔に似合わぬやさしいことばをかけてくれる。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
客観情勢がどんなに変化しても、一つの政策を
頑固
(
がんこ
)
に
固執
(
こしゅう
)
していると、基本目的が失われる危険がある。そうなると正に
本末転倒
(
ほんまつてんとう
)
である。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
彼女は
頑固
(
がんこ
)
に、圧倒的な悲痛さで自己流に歌いつづけた。——でついにある日クリストフは——もうよくわかったと冷やかに言い放った。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
頑固
(
がんこ
)
の——おっと
卿
(
おまえ
)
が
母
(
おっか
)
さんを
悪口
(
あっこう
)
しちゃ済まんがの——とにかくここにすわっておいでのこの
母
(
おっか
)
さんのように——やさしくない人だて。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
仕方がないと云えばそれまでだが、そう
頑固
(
がんこ
)
にしていないでもよかろう。人間は
角
(
かど
)
があると世の中を
転
(
ころ
)
がって行くのが骨が折れて損だよ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いや、なかなか以って、丹波屋さんは
頑固
(
がんこ
)
で始末は悪いが、人間は立派な人で、間違ったことなどをする人ではありません」
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この絢尭斎というは文雅風流を以て聞えた
著名
(
なだい
)
の殿様であったが、
頗
(
すこぶ
)
る
頑固
(
がんこ
)
な旧弊人で、洋医の薬が大嫌いで毎日持薬に漢方薬を用いていた。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「……田舎は日本語の発音でも下等で
頑固
(
がんこ
)
じゃから、それが癖になってしまって英語でもすらすらと音が出しにくいんじゃないかと思うがな」
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
頑固
(
がんこ
)
というものよ。職掌がら、しめっぽい空気がご自分に毒なことぐらい、百も承知でいらっしゃるくせに、まだ私をやきもきさせたいのねえ。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
となお手まねを続けながら、事務長は
枕
(
まくら
)
もとにおいてある
頑固
(
がんこ
)
なパイプを取り上げて、指の先で灰を押しつけて、吸い残りの
煙草
(
たばこ
)
に火をつけた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
これらの小さくて
頑固
(
がんこ
)
な部屋部屋との闘いにおいて——Kにはしばしば部屋部屋との闘いのように思われるのだった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
スペインの争乱が日日銃火を切って殺し合う図を思い描いても、思想の戯れの恐怖より銭欲しさの生活の
頑固
(
がんこ
)
さが盗賊のように浮んで来るのであった。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
彼は熱湯と竹の棒とで、化学的及び物理的の作用を応用して、
頑固
(
がんこ
)
に凍りついた兄弟たちのきたない物を排除する。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
モー二時間ばかり
苦
(
くるし
)
んでいるが段々激烈になって当人は死ぬような騒ぎだ。そらあの苦しむ声が
幽
(
かすか
)
に聞えるだろう。あんな
頑固
(
がんこ
)
な吃逆は見た事がない。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
押問答をしているうちに、一人の青年がそう言って庸三を
勧説
(
かんぜい
)
した。彼は
頑固
(
がんこ
)
に振り切るのも
潔
(
いさぎよ
)
くないと思ったので、彼らの好意に
委
(
まか
)
せることにした。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
長い
頑固
(
がんこ
)
な病気を持てあましている堅吉は、自分の身辺に起こるあらゆる出来事を知らず知らず自分の病気と関係させて考えるような習慣が生じていた。
球根
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかし
頑固
(
がんこ
)
な意見はそれに注意を配らずに、全作品について、全
生涯
(
しょうがい
)
について、同じ一つの批判——あるいは黒のあるいは白の批判——で満足している。
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
ところが、ある偉大な
妖術者
(
ようじゅつしゃ
)
がこの木を切って不思議な琴をこしらえた。そしてその
頑固
(
がんこ
)
な精を和らげるには、ただ楽聖の手にまつよりほかはなかった。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
頑固
(
がんこ
)
で困るというものもあった、が結局先生に対してはなにもいわなくなった、英語の先生とはいうものの、この
朝井
(
あさい
)
先生は猛烈な
国粋主義者
(
こくすいしゅぎしゃ
)
であった
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
あの
頑固
(
がんこ
)
な三河武士が、そんな大した通人に出来上ってしまったということが、やがて徳川の亡びた理由であると、
賢
(
さか
)
しげに説いている人もありましたが
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
釜
(
かま
)
の下の灰まで自分のもんや思たら大間違いやぞ、
久離
(
きゅうり
)
切っての勘当……」を申し渡した父親の
頑固
(
がんこ
)
は死んだ母親もかねがね泣かされて来たくらいゆえ
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
彼の態度はひどく
頑固
(
がんこ
)
で、みちみち彼の
唇
(
くちびる
)
をもれるのは「あのいまいましい虫めが」という言葉だけであった。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
クラシズムの表現が欲するものは、何よりも骨骼のがっしりした、重量と安定のある、数学的
頑固
(
がんこ
)
を持った、言わば「物に動ぜぬ直立不動の精神」である。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「あいよ。」とおかあさんが
言
(
い
)
って、
函
(
はこ
)
の
中
(
なか
)
から
美麗
(
きれい
)
な
林檎
(
りんご
)
を
出
(
だ
)
して、
女
(
おんな
)
の
子
(
こ
)
にやりました。その
函
(
はこ
)
には
大
(
おお
)
きな、
重
(
おも
)
い
蓋
(
ふた
)
と
頑固
(
がんこ
)
な
鉄
(
てつ
)
の
錠
(
じょう
)
が、ついていました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
なお胸の奥底で「そうかなあ」と
頑固
(
がんこ
)
に渋って、首をひねっていたところも無いわけではなかったのである。
散華
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それを聞いた知人で、
訝
(
いぶ
)
かしがらぬ者はありません。祖父があまりに
頑固
(
がんこ
)
だと
誹謗
(
ひぼう
)
する人さえあったのです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
彼は、岩に立てかけた自分の背負いごから
頑固
(
がんこ
)
な
火繩銃
(
ひなわじゅう
)
を取りだした。そして、
木
(
こ
)
の
下闇
(
したやみ
)
に吸われて行った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
君は斎藤と正式に結婚したけれども、財産は手ばなさなかった。戦後
成金
(
なりきん
)
だった君のなくなったお父さんに譲られた財産は、君自身のものとして
頑固
(
がんこ
)
に守っていた。
断崖
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
飲料
(
のみもの
)
がほしければはいりそうなものであるが、若い人の、歓楽境のようにされてるそうしたところへは、
女人
(
おんな
)
はまず近よらない方がいいという、変な
頑固
(
がんこ
)
なものが
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
建振熊命
(
たけふるくまのみこと
)
は見る見るうちに
宿禰
(
すくね
)
の軍勢を負かし
崩
(
くず
)
して、ぐんぐんと、どこまでも追っかけて行きました。すると敵は
山城
(
やましろ
)
でふみ
止
(
とど
)
まって、
頑固
(
がんこ
)
に
防
(
ふせ
)
ぎ
戦
(
いくさ
)
をしだしました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
この老人の
頑固
(
がんこ
)
さ加減は立派な漢学者でありながらたれ
一人
(
ひとり
)
相手にする者がないのでわかる。
初恋
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
久しく隠れたる尼の発心、再び寡婦の胸に浮びしはこの沈黙の折にてありし、さりながら機会すでに過ぎ感情の
潮
(
うしお
)
またすでに退き一方には里方の
頑固
(
がんこ
)
、他方には道なき絶峰
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
それを
折角
(
せっかく
)
いろいろの新らしい便利なものがもうあたえられているのに、
頑固
(
がんこ
)
で物知らずで古いものにくっついているのだと言おうとする人もあるが、そんな事をいうのは
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あの節くれだって、そしてひねくれているところは、なんといっても
頑固
(
がんこ
)
なお爺さんです。併し、なんとなく気品のある老人です。それだけ梅の樹には、老人がよくうつります。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
彼は、お祖母さんが自分を叱るなら叱るで、さっさと叱ってくれるといい、と思ったが、恭一の背中に押しあてたその頭は、石のように
頑固
(
がんこ
)
だった。彼はそろそろ腹が立って来た。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
この比較癖が
頑固
(
がんこ
)
な習性となって、僕らの信仰や愛情を知らず知らずの裡に
歪
(
ゆが
)
めているのではなかろうか。一つの
茶碗
(
ちゃわん
)
を熱愛し、この唯一つにいのちを傾けるだけの時間をもたぬ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
真佐子が何気なく帯の上前の合せ目を直しながらそういうと、あれほど
頑固
(
がんこ
)
をとおすつもりの復一の拗ね方はたちまち性が抜けてしまうのだった。けれども復一は必死になっていった。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
歌会の雅遊を風流としてたのしめないから
頑固
(
がんこ
)
で駄目だと後鳥羽院が『御口伝』に記された通りで、和歌の嗜みに風流をもとめず、和歌の上に「詩」を
創
(
はじ
)
めようとしたのであったから
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
あれは、
頑固
(
がんこ
)
な佐幕方で、勤王派の者といえば、往来でも
鐺
(
こじり
)
を上げて
挑
(
いど
)
んでくる。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
実は貴方の
頑固
(
がんこ
)
なのを私
歯痒
(
はがゆ
)
いやうに存じてをつたので御座います……ところが!
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
しかし成親殿はまるで何ものかにつかれているように
頑固
(
がんこ
)
だった。わしは力の限り抵抗したけれども、彼の欲望に征服されてしまった。彼の欲望は
奈落
(
ならく
)
の底に根を持っているように強かった。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
旧式な
頑固
(
がんこ
)
な
爺
(
おやじ
)
、若いものの心などの解らぬ爺、それでもこの父は優しい父であった。母親は万事に気が附いて、よく面倒を見てくれたけれど、何故か芳子には母よりもこの父の方が好かった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
この七人組の博士たちは、なかなか偉い人たちの集りで、少しも欠点がなかったが、しいて欠点をあげると、少しばかり
頑固
(
がんこ
)
なところがあった。他人の言うことを、あまり取上げないのであった。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
火山
(
かざん
)
に
關
(
かん
)
する
迷信
(
めいしん
)
がこのように
國民
(
こくみん
)
の
腦裡
(
のうり
)
を
支配
(
しはい
)
してゐる
間
(
あひだ
)
、
學問
(
がくもん
)
が
全
(
まつた
)
く
進歩
(
しんぽ
)
しなかつたのは
當然
(
とうぜん
)
である。
昔
(
むかし
)
の
雷公
(
らいこう
)
が
今日
(
こんにち
)
我々
(
われ/\
)
の
忠實
(
ちゆうじつ
)
な
使役
(
しえき
)
をなすのに、
火山
(
かざん
)
の
神
(
かみ
)
のみ
頑固
(
がんこ
)
におはすべきはずがない。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
さて心の
剛柔
(
ごうじゅう
)
とは、すでに前に女という字についていえるごとく、善意にも悪意にも解せられる。剛が過ぎれば剛情となり、
頑固
(
がんこ
)
となり、
意気地
(
いきじ
)
となる。柔に過ぐれば
木偶
(
でく
)
となり、
薄志
(
はくし
)
弱行となる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
餘程
(
よほど
)
の
頑固
(
がんこ
)
な
人
(
ひと
)
を
除
(
のぞ
)
いてたいてい
皆
(
みな
)
信
(
しん
)
ずることになりました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
頑
常用漢字
中学
部首:⾴
13画
固
常用漢字
小4
部首:⼞
8画
“頑固”で始まる語句
頑固爺
頑固者
頑固親爺
頑固張
頑固派
頑固連
頑固一徹