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鉛色
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なまりいろ
ふりがな文庫
“
鉛色
(
なまりいろ
)” の例文
手
(
て
)
を
見
(
み
)
ると
竦
(
ぞつ
)
とする。
鱗
(
こけ
)
のある
鉛色
(
なまりいろ
)
の
生物
(
いきもの
)
のやうに、
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
にそれが
動
(
うご
)
いてゐる。
噫
(
あゝ
)
、
切
(
き
)
つて
了
(
しま
)
ひたい。
此手
(
このて
)
の
触
(
さは
)
つた
所
(
ところ
)
も
忌
(
いま
)
はしい。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
まだ、
湖
(
みずうみ
)
の
上
(
うえ
)
が
鉛色
(
なまりいろ
)
に
明
(
あ
)
けきらぬ、
寒
(
さむ
)
い
朝
(
あさ
)
、
彼
(
かれ
)
は、ついに
首垂
(
うなだ
)
れたまま
自然
(
しぜん
)
との
闘争
(
とうそう
)
の一
生
(
しょう
)
を
終
(
お
)
わることになりました。
がん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
向
(
むこう
)
にも家が見える。その上には
鉛色
(
なまりいろ
)
の空が一面に胃病やみのように
不精無精
(
ふしょうぶしょう
)
に垂れかかっているのみである。余は首を縮めて窓より中へ引き込めた。
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
十町ほどむこうに、
鉛色
(
なまりいろ
)
の
泥湿地
(
でいしっち
)
が、水面とおなじくらいの高さでひろがり、その涯は、ひょろりと伸びあがった
生気
(
せいき
)
のない
樹林
(
じゅりん
)
で区切られている。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
再び彼は
鉛色
(
なまりいろ
)
に蒼ざめた。しかし、先と同じく彼は怒りを完全に
抑
(
おさ
)
へた。彼は力を入れて、しかし落着いて答へた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
≪夕刻のロングビイチは
鉛色
(
なまりいろ
)
のヘイズに
覆
(
おお
)
われ、
競艇
(
レギャッタ
)
コオスは夏に似ぬ冷気に
襲
(
おそ
)
われ、一種
凄壮
(
せいそう
)
の気
漲
(
みなぎ
)
る時
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
思つたより若くて、精々四十五六、
鉛色
(
なまりいろ
)
をした皮膚は氣になりますが、細面で眼が細くて、薄い唇に、不斷の微笑を
湛
(
たゝ
)
へた先づは申分のない才人らしい殿樣です。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
露八は、淀川に沿って、
枚方
(
ひらかた
)
の方角へと、歩きだした。血か、油か、淀は
鉛色
(
なまりいろ
)
にぎらぎらして、時々、
俯
(
う
)
ッ
伏
(
ぷ
)
せになった幕兵の死骸が
空俵
(
あきだわら
)
みたいにながれて来る。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
霧
(
きり
)
は
何時
(
いつ
)
しか
薄
(
うす
)
らいで
來
(
き
)
たのか、
遠
(
とほ
)
くの
低
(
ひく
)
い
丘陵
(
きうりよう
)
や
樹木
(
じゆもく
)
の
影
(
かげ
)
が
鉛色
(
なまりいろ
)
の
空
(
そら
)
を
背
(
せ
)
にしてうつすりと
見
(
み
)
えた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
戸を
開
(
あ
)
けて、海——かと思うた。家を
繞
(
めぐ
)
って
鉛色
(
なまりいろ
)
の
朝霞
(
あさがすみ
)
。村々の森の
梢
(
こずえ
)
が、
幽霊
(
ゆうれい
)
の様に
空
(
そら
)
に浮いて居る。雨かと
舌鼓
(
したつづみ
)
をうったら、
霞
(
かすみ
)
の中からぼんやりと
日輪
(
にちりん
)
が出て来た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あの、早春の
鉛色
(
なまりいろ
)
の空を背景にして、
節
(
ふし
)
くれだった、そしてひねくれ曲がった枝に、一輪二輪と
綻
(
ほころ
)
び
初
(
そ
)
めるところは、
清新
(
フレッシュ
)
な、本当になんとも言われない妙味のあるものです。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
鉛色
(
なまりいろ
)
の谷窪の天地に木々は
濡
(
ぬ
)
れ
傘
(
がさ
)
のように重く
搾
(
すぼ
)
まって、白い
雫
(
しずく
)
をふしだらに垂らしていた。崖肌は黒く湿って、またその中に水を浸み出す砂の層が大きな
横縞
(
よこじま
)
になっていた。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
トラングボムで
一寸
(
ちよつと
)
降りて、そこで、富岡と加野は、それぞれの用事を済ませて、また、自動車は、もの淋しい
鉛色
(
なまりいろ
)
のうねうねとした官道を、すくんすくんと音をたてて走つて行く。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
うろこぐもと
鉛色
(
なまりいろ
)
の月光、九月のイーハトヴの
鉄道線路
(
てつどうせんろ
)
の
内想
(
ないそう
)
です。
『注文の多い料理店』新刊案内
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
首領——と、きくと、机博士の顔色はさっと
鉛色
(
なまりいろ
)
になった。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
突如
(
とつじょ
)
鉛色
(
なまりいろ
)
の
地平
(
ちへい
)
に
鈍
(
にぶ
)
い
音響
(
おんきやう
)
が
炸裂
(
さくれつ
)
する
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
鉛色
(
なまりいろ
)
の空も
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
鉛色
(
なまりいろ
)
の雲
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
空
(
そら
)
の
色
(
いろ
)
は
一面
(
いちめん
)
に
鉛色
(
なまりいろ
)
に
重
(
おも
)
く、
暗
(
くら
)
く、
濁
(
にご
)
っていて、
地平線
(
ちへいせん
)
に
墨
(
すみ
)
を
流
(
なが
)
したようにものすごく
見
(
み
)
えます。
風
(
かぜ
)
は
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごえ
)
をあげて
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
を
鋭
(
するど
)
く
過
(
す
)
ぎていました。
黒い旗物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
無精髯
(
ぶしょうひげ
)
が伸びほうだいに顔じゅうにはびこり、陽に焼けた
眉間
(
みけん
)
や頬に
狡猾
(
こうかつ
)
の紋章とでもいうべき深い
竪皺
(
たてじわ
)
がより、
埃
(
ほこり
)
と
垢
(
あか
)
にまみれて沈んだ
鉛色
(
なまりいろ
)
をしていた。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
風はまだ
冷
(
つめ
)
たいが、雲雀の歌にも心なしか
力
(
ちから
)
がついて、富士も
鉛色
(
なまりいろ
)
に
淡
(
あわ
)
く
霞
(
かす
)
む。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
第一のは滿々たる海上に捲き起つてゐる低い
鉛色
(
なまりいろ
)
の雲が描かれてあつた。遠景は唯暗澹としてゐる。前景もまた同樣である——否、寧ろ、一番手前の大波と云はう、其處には
陸地
(
りくち
)
はないのだから。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ただ
真
(
ま
)
っ
白
(
しろ
)
な
荒寥
(
こうりょう
)
とした
鉛色
(
なまりいろ
)
に
光
(
ひか
)
る
氷
(
こおり
)
の
波濤
(
はとう
)
が
起伏
(
きふく
)
していて
昼夜
(
ちゅうや
)
の
区別
(
くべつ
)
なく、
春夏秋冬
(
はるなつあきふゆ
)
なく、ひっきりなしに
暴風
(
ぼうふう
)
の
吹
(
ふ
)
いている
光景
(
こうけい
)
が
目
(
め
)
に
浮
(
う
)
かぶのでした。
台風の子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
けるのを
待
(
ま
)
ちました。やがて、あらしの
名残
(
なごり
)
をとめた、
鉛色
(
なまりいろ
)
の
朝
(
あさ
)
となりました。
浜辺
(
はまべ
)
にいってみると、すでに
箱
(
はこ
)
は
波
(
なみ
)
にさらわれたか、なんの
跡形
(
あとかた
)
も
残
(
のこ
)
っていません。
希望
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鉛色
(
なまりいろ
)
をした、
冬
(
ふゆ
)
の
朝
(
あさ
)
でした。
往来
(
おうらい
)
には、まだあまり
人通
(
ひとどお
)
りがなかったのです。
広
(
ひろ
)
い
路
(
みち
)
の
中央
(
ちゅうおう
)
を
電車
(
でんしゃ
)
だけが、
潮
(
うしお
)
の
押
(
お
)
しよせるようなうなり
声
(
ごえ
)
をたて、うす
暗
(
ぐら
)
いうちから
往復
(
おうふく
)
していました。
波荒くとも
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鉛
常用漢字
中学
部首:⾦
13画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“鉛”で始まる語句
鉛
鉛筆
鉛粉
鉛管
鉛錘
鉛華
鉛玉
鉛丸
鉛丹
鉛釉