くわつ)” の例文
むし居所ゐどころくわつともたがの、かんがえてれば、お前様めえさまは、たゞ言托ことづけたのまれたばかりのことよ。なにつてかゝるにはあたらなんだか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「君等に大人たいじんの心がわかつてたまるものか」と村井はくわつ一睨いちげいせり「泥棒の用心するのは、必竟つまり自分に泥棒根性こんじやうがあるからだ、世に悪人なるものなしと云ふのが先生の宗教だ、 ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
驟雨しううが来れば涼しいが、大抵三四十分でれて仕舞しまふとくわつと真昼の日光が直射する。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
よろづに淡々あわ/\しき女子おなごこゝろするやうひとことばに、おもはずくわつ上氣じやうきして、昨日きのふまではうちすてしかみつやらしうむすびあげ、端折はしおりつゞみ取上とりあげてれば、いかう眉毛まゆげえつゞきぬ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
むかしやうくわつげきして、すぐ叔母をばところ談判だんぱんける氣色けしきもなければ、今迄いままで自分じぶんたいして、世話せわにならないでもひとやうに、餘所よそ々々/\しく仕向しむけておとうと態度たいどきふ方向はうかうてんじたのを
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
木彫きぼりのあの、和蘭陀靴オランダぐつは、スポンとうらせて引顛返ひつくりかへる。……あふりをくつて、論語ろんごは、ばら/\と暖爐だんろうつつて、くわつしゆそゝぎながら、ペエジひらく。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いま客人きやくじんながさまだ車代しやだいくれんともせず何時いつまでたするこゝろにやさりとてまさかにはたりもされまじなんとしたものぞとさしのぞおくかた廊下らうかあゆ足音あしおとにもおもてくわつあつくなりて我知われしらずまたかげ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けてさむからうと、深切しんせつたにちがひないが、未練みれんらしいあきらめろ、と愛想尽あいさうつかしをれたやうで、くわつかほあつくなる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
本気ほんき沙汰さたではない、にあるまじき呵責かしやく苦痛くつうけてる、女房にようばう音信おとづれいて、くわつつてちがつたんです。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
途次みちすがらきこえた鬼門關きもんくわんぎようとして、不案内ふあんないみち踏迷ふみまよつて、やつ辿着たどりついたのが古廟こべうで、べろんとひたひ禿げた大王だいわうが、正面しやうめんくちくわつけてござる、うらたゞひと
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
坂上さかがみえるあとをくわつる。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)