ぞう)” の例文
「とに角、三浦屋のお職まで張つた女が、袈裟けさを掛けて數珠じゆず爪繰つまぐり乍ら歩くんだから、ぞうの上に乘つけると、そのまゝ普賢菩薩ふげんぼさつだ」
何しろ、竹棒のてっぺんからぞうの足下までは七メートルもあるのですから、たとえ死なないまでも、大怪我おおけがをするにきまっています。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
ぞうは、下手へたですから、なにか、ほかのものをつくってあげましょう。」といいました。けれど、子供こどもたちは、もう、しんじませんでした。
夏の晩方あった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今一つは大きなぞうひっぱってきて、この象の重さは何千貫かという問いで、これも相応な難題だが、支那の古い本に出ている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この間も、博物標本室の、ぞう剥製はくせい標本の中から、のこのこと出て来た諜者ちょうじゃがいたからね、わしの教室だって、決して安全な場所ではないんだ
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのぞうがまた、平素へいそはごくあらっぽいのに、その時ばかりは、王子をにのせたまま、おとなしくのそりのそりと歩いているのではありませんか。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そのほかおほきな動物どうぶつ標本ひようほんにはぞうくぢらもあり、鑛物こうぶつ植物しよくぶつ標本ひようほんもすっかりそろつてゐることはまをすまでもありません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
加減を知ること、それには料理でも、やはり、学ぶことが必要で、群盲ぐんもうぞうずるようなことではいけない。
味覚馬鹿 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
立って追おうとすると、岩に牡丹ぼたん咲重さきかさなって、白きぞうおおいなるかしらの如きいただきへ、雲にるようと立った時、一度その鮮明あざやかまゆが見えたが、月に風なき野となんぬ。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ぞうでも、一口にのみそうなものばかりです。昼間はロックがこわいので、じっとしていても、夜になると、のたりのたりとはいまわって、食べ物をさがすのでした。
何故ならばその當時私はまだほんののみ兒で當歳か、やつと二歳ふたつかであつたのである。次で乳母のなかから見た海はにごつた黄いろいぞうの皮膚のやうなものだつた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
そしておしまいとうとう国のたからの白いぞうをもおあたえなされたのだ。けらいや人民じんみんははじめはこらえていたけれどもついには国もほろびそうになったので大王を山へもうしたのだ。
仲善なかよしのぞうくまとは、をりふし、こんなかなしいはなしをしてはおたがひの不幸ふしあはせなげきました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
それはこの深山しんざんんで白頭猿はくとうえんばるゝ、きわめて狡猾こうくわつさる一種いつしゆで、一群いちぐんおよそ三十ぴきばかりが、數頭すうとう巨大きよだいぞうまたがつて、丁度ちやうどアラビヤの大沙漠だいさばく旅行りよかうする隊商たいしやうのやうに
外國がいこくたとへにも、金持かねもちが天國てんごくくのは、おほきなぞうはりあなをとほらせるよりもむつかしいといつてゐますが、さういつた滿足まんぞくしきつた氣持きもちばかりでゐては、人間にんげんにはしみ/″\と
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
向うの角からまがってきたかみしも姿のりっぱな武士……ぞうのような柔和な眼、しもぶくれの豊かな頬には、世の中と人間に対する深い理解と、経験のしわが刻まれ、びんにすこし白いものがまじって
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
一寸法師は、目の前のぞうふくろのすそをめくりました。一しゃくほど象の鼻の先があらわれると、一寸法師はそれへ片手かたてけました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
その忙しさの間に、園長をつかまえてきて、これも料理しスペシァルの御馳走としてぞう河馬かばなどにやらなきゃならんそうで、いやはや大変なさわぎですよ
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
第二十二圖だいにじゆうにず)これにはまへ時代じだいにはられなかつた品物しなものです。そこに、おほきなひらたいほねのようなものゝうへに、ぞうかたち彫刻ちようこくしてあるのをるでせう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「はい、はい、ぞうをこしらえますかな。」と、いって、おじさんは、あめをくださきにつけて、まるめたり、いたりして、やっと一ぴきのぞうができがりました。
夏の晩方あった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おや、これはまた、ぞうでものみそうな、大きな蛇の皮じゃないか。ああ、背中のもんがまるで、金のように光ってるな。これさえあれば、どんな病気だってなおせる。
ある時なんかは、しろの中にってあるぞう背中せなかって、裏門うらもんから町へでて行こうとまでしました。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「どうです、ぞうさん。あついぢやありませんか」とこゑをかけました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
倉庫の前のレールには貨車かしゃが三つほど引きこまれていました。荷物は、ぞうやライオンやとらやその他の動物といっしょに、まれて行くのです。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
「おじさん、たぬきや、ぞうをつくるより、よっぽどおはなしのほうがおもしろいよ。」
夏の晩方あった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
第二十三圖だいにじゆうさんず)これはながえたぞうであることはすぐづくのでありまして、今日こんにちぞうとはちがつて、むかしシベリアなどにんでゐたまんもすといふ大象たいぞうかたちあらはしたものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
あるあさ、こんどはぞう
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)