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認
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したた
ふりがな文庫
“
認
(
したた
)” の例文
そして、直ぐかの女へ當て、「カシウノシラヌヤドヘウツレ」といふ電報を打ち、またその意味をこま/″\と
認
(
したた
)
めた手紙を出した。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
と
細字
(
さいじ
)
に
認
(
したた
)
めた
行燈
(
あんどん
)
をくるりと廻す。綱が禁札、ト捧げた
体
(
てい
)
で、
芳原被
(
よしわらかぶ
)
りの若いもの。別に
絣
(
かすり
)
の羽織を着たのが、板本を抱えて
彳
(
たたず
)
む。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「さようさよう、申すまでもござらぬ。……が、萩丸様今日まで、
我
(
が
)
を張って宥免状
認
(
したた
)
めませぬ。じゃによって殺そうと申すまでで」
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それを見るがいい。曹賊め、自分のことを、
漢大丞相
(
かんのだいじょうしょう
)
と署名し、周都督に付するなどと、まるで此方を臣下あつかいに
認
(
したた
)
めておる」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それには少年らしい志望が
認
(
したた
)
めてあり、
築地
(
つきじ
)
に住む教師について英学をはじめたいにより父の許しを得たいということが
認
(
したた
)
めてある。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
けれども、どうぞ御願いで御座いますから、お心をお鎮めになって、これから私が
認
(
したた
)
めますことを、おしまいまで御覧下さいませ。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
幸いに実隆にはその
認
(
したた
)
めた日記があって今日までも大部分は保存されてあり、足利時代の公家の日記としては、最も長き歳月にわたり
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
一匹の毒蛇が悠々と
絨毯
(
じゅうたん
)
の上を
匐
(
は
)
っていた。その毒蛇の首には紙片が結びつけてあって、それには次のような文字が
認
(
したた
)
めてあった。
奇賊は支払う:烏啼天駆シリーズ・1
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
病中の日記を
検
(
しら
)
べて見ると九月二十三日の部に、「午前ジェームスを
読
(
よ
)
み
了
(
おわ
)
る。好い本を読んだと思う」と
覚束
(
おぼつか
)
ない
文字
(
もんじ
)
で
認
(
したた
)
めてある。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と急がわしく
硯
(
すずり
)
を引き寄せ、手早く
認
(
したた
)
めたる電信三通、
婢
(
おんな
)
を呼び立ててすぐにと
鞭打
(
むちう
)
たぬばかりに追いやり、
煙管
(
きせる
)
も取らず茶も飲まず
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
地図らしいものを
認
(
したた
)
めていると、それを
覗
(
のぞ
)
き込んでいるのが、
鬢
(
びん
)
をつめて色の浅黒い四十恰好のドコかで見たことのあるような男です。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この書信は
維納
(
ウィンナ
)
の
客桟
(
きゃくさん
)
ホテル・ブリストルの記章を印刷したる書簡箋にペンにてこまごまと
認
(
したた
)
められたり文中悦子とあるは令夫人なり。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
急ぎ足に小山屋の隠宅まで来てみると、頭領大石は今国元へ送る書面を
認
(
したた
)
めていられるというので、すぐには面会ができなかった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
その美しい都の中のどんな美しいところに座を占めて今私がこの手紙を
認
(
したた
)
めているか、周囲を少しく振り返ってみることにしましょう。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
と云うのは、危く
看過
(
みすご
)
そうとするところだったが、奥まった空瓶の横腹に、算哲博士の筆蹟で次の一文が
認
(
したた
)
められている事だった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
色
(
いろ
)
よい
返事
(
へんじ
)
を
認
(
したた
)
めたおせんの
文
(
ふみ
)
を、
見
(
み
)
せろ
見
(
み
)
せないのいさかいに、しばし
心
(
こころ
)
を
乱
(
みだ
)
していたが、この
上
(
うえ
)
の
争
(
あらそ
)
いは
無駄
(
むだ
)
と
察
(
さっ
)
したのであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
細字
(
さいじ
)
にて
認
(
したた
)
めたる長文の手紙、中には議論文もあり歎願書もあり、
一
(
ひと
)
たび読みおわりてまた繰返し、再び読みおわりて思案に沈み
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
大王殿下の同情 私の仕事はチベット語の
上書
(
じょうしょ
)
はもはや
認
(
したた
)
めてあるですが、その上書をネパール語に
翻訳
(
ほんやく
)
して貰わなければならぬ。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
中食も
認
(
したた
)
めさせますが、横へ廻ると立派な
旅籠
(
はたご
)
屋で、土地も家作も持ち、車町から金杉へかけての、物持として有名な家でした。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小田刑事は俊夫君の探偵ぶりを見るのが好きですから、私たちといっしょに途中で
昼飯
(
ひるめし
)
を
認
(
したた
)
めて巣鴨の博士邸さして行きました。
髭の謎
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
八重が神田紺屋町なるお沢と申す者を襲って奪った捨蔵様の御居所を示す『大』という一字を
認
(
したた
)
めたものが、手にあるだけでございます。
顎十郎捕物帳:01 捨公方
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
私は家へ帰って、夕食を
認
(
したた
)
めてから、淀橋の新邸へ出頭する。そこでは滅多に邪魔が入らない代りに、社長は思う存分待たせる。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
前夜私の下宿へ来られて帰ると直ぐ
認
(
したた
)
めて投郵したらしいので、(この頃の郵便はこう早くは届かないが、その頃は今よりも迅速だった。)
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
とにかくに
人相書
(
にんそうがき
)
を
認
(
したた
)
める必要があるので、一人の少尉がその死体の顔から再び帽子を
取除
(
とりの
)
けると、彼は思わずあっと叫んだ。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この事在国の日にも御申越し
成
(
な
)
され候故、一通り貴答相
認
(
したた
)
め候えども、この行ある故、その書は杉蔵へ密蔵させ置き候。大意遠大の論なり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
私の転々とした住所がそのつど故人の筆で
認
(
したた
)
められてあるのを見出した時、生前私に打ち解けてくれた数々の言動が新しく思い起され、ああ
前途なお
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
少し学者風でその
表書
(
うわがき
)
に何々様
下執事
(
かしつじ
)
と書いて
遣
(
やっ
)
たら
大
(
おおい
)
に
叱
(
しか
)
られ、下執事とは何の事だ、
御取次衆
(
おとりつぎしゅう
)
と
認
(
したた
)
めて来いと
云
(
いっ
)
て、手紙を
突返
(
つきかえ
)
して来た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
二人が遺書を
認
(
したた
)
めていることで、無理心中の疑いは少しもありませんでしたが、自殺幇助の疑いは、十分にあるのでした。
島原心中
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
非常に大急ぎで、しかも乗り物の中か何かで書いたものと見えて、手跡はひどく乱れていましたが、相当な達筆で次のように
認
(
したた
)
めてありました。
祭の夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
雪明りを頼りに急ぎ
認
(
したた
)
めたものとみえて、荒々しい鉛筆の走書きであったが、窓際によって、私は顫えながらも、
辛
(
かろう
)
じて読みとることが出来た。
寒の夜晴れ
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
妾をば別に
咎
(
とが
)
めざるべき模様なりしに、
宵
(
よい
)
のほど
認
(
したた
)
め置きし葉石への
手書
(
てがみ
)
の、寝床の内より現われしこそ口惜しかりしか。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
とあるレストランで夕食を
認
(
したた
)
めていた時、背後に異様な気配を感じて、ヒョイと振向くと、そこに品川四郎の顔があった。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私も先ずそうしたいと思っていたところだったから、その日の夕ぐれ、その志賀の御方のところへ最初の消息を
認
(
したた
)
めた。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
これは恐らく、京都の妻女へ送る消息でも、
認
(
したた
)
めていたものであろう。——内蔵助も、
眦
(
まなじり
)
の
皺
(
しわ
)
を深くして、笑いながら
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
十一日に貯金の全部百二十円を銀行から引出し、同店員で
従兄
(
いとこ
)
に当る若者
宛
(
あて
)
の
遺書
(
いしょ
)
を
認
(
したた
)
め、己がデスクの
抽斗
(
ひきだし
)
に入れた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
逝去
(
せいきょ
)
二年後に発表のこと、と書き
認
(
したた
)
められた紙片が、その蓄積された作品の上に、きちんと載せられているのである。
愛と美について
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
この遺書蝋燭の下にて
認
(
したた
)
めおり候ところ、只今燃尽き候。最早
新
(
あらた
)
に燭火を
点
(
ともし
)
候にも及ばず、窓の雪明りにて、
皺腹
(
しわばら
)
掻切
(
かっきり
)
候ほどの事は出来申すべく候。
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
……一週間前に、妻は小さな手帳に鉛筆で遺書を
認
(
したた
)
めていた。枕頭に置かれていたので彼も読んでそれは知っていた。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
待ちに待った獄吏の通信! 何が
認
(
したた
)
めてあったか? 不幸な囚人が何を訴えんとしたか? いかなる救いを求めたか?
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
私は息を殺して爪立ちをしてそうっと忍んで行くと、彼は一枚の大きな紙に向って、熱心に何か
認
(
したた
)
めているのです。
無駄骨
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
お次第書は、追加の御沙汰といって、当の式の順序を
認
(
したた
)
めた、重要な書類だった。饗応役のもっとも大切な一日を、具体的に説明しているものだった。
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ラウペパは信じなかった。彼は覚悟していた、自分は二度とサモアの地を踏めまいと。彼は、全サモア人への
訣別
(
けつべつ
)
の辞を
認
(
したた
)
めて、マターファに渡した。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼はオイフラートへ交響詩を一つ送って、真情に満ちた寸簡を
認
(
したた
)
めた。向こうからは秘書の手に成った返事が来た。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お辰
素性
(
すじょう
)
のあらまし
慄
(
ふる
)
う筆のにじむ墨に
覚束
(
おぼつか
)
なく
認
(
したた
)
めて守り袋に父が書き
捨
(
すて
)
の
短冊
(
たんざく
)
一
(
ひ
)
トひらと共に
蔵
(
おさ
)
めやりて、明日をもしれぬ
我
(
わ
)
がなき後頼りなき
此子
(
このこ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その
後
(
のち
)
教師都に帰りてより
幾年
(
いくとせ
)
の月日
経
(
た
)
ち、ある冬の夜、
夜
(
よ
)
更
(
ふ
)
けて一時を過ぎしに
独
(
ひと
)
り小机に向かい手紙
認
(
したた
)
めぬ。そは
故郷
(
ふるさと
)
なる旧友の
許
(
もと
)
へと書き送るなり。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
誰も知らない遠國の山の中へ入つて行つて、そこから
一伍一什
(
いちぶしじふ
)
を
認
(
したた
)
めて、姉や父母に詫を言はう。そして誰も知らないやうにこの世界から別れてゆかう……
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
停車時間は二十分、三皿の料理と一本の葡萄酒と、スウィスチースを平げて絵はがきを
認
(
したた
)
める暇は充分ある、カフェーにキルシワッサーも中々うまかった。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
もっともの次第とあって倒れた動物を食う事を
免
(
ゆる
)
された。犬の望みで免状を
認
(
したた
)
め賜わったのを、犬の内もっとも大きく信用もあらばとて牧羊犬に預け置いた。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
万事、間接の話では見当がつけかねるという結論に達したので、その旨、簡単に百瀬にあてゝ返事を
認
(
したた
)
めた。
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
第一「摂政に鎖国政策を
抛棄
(
ほうき
)
させるための第二策」として「朝鮮文で
認
(
したた
)
めて(オッペルトが)署名した」
撥陵遠征隊
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
認
常用漢字
小6
部首:⾔
14画
“認”を含む語句
相認
認識
認印
承認
書認
認知
認可
確認
是認
見認
否認
認証
認知証
認置
証認
認識手段
認識標
非認
默認
黙認
...