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術
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すべ
ふりがな文庫
“
術
(
すべ
)” の例文
「いつの間にか君の方が正直な人間になつてしまつたな。俺は、君の悪影響を蒙つて他人の言葉を
疑
(
うたぐ
)
るといふ
術
(
すべ
)
を知つてしまつた!」
夏ちかきころ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
今まで幾十百人の
髻
(
もとゞり
)
を切られた方々も、さすがは青江
備前守
(
びぜんのかみ
)
樣と言はれるだらうと、——今ではそれより外に汚名を救ふ
術
(
すべ
)
はないのだ
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼の望むところは、お馴染の魔窟であり、悪習慣である。友は友を呼び、類は類を
以
(
もっ
)
て集まるのであるから、
施
(
ほどこ
)
す
術
(
すべ
)
がないのである。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
塔のまわりは群集の
垣
(
かき
)
、階段の下には警官隊が見張っていた。翼でもない限り、
如何
(
いか
)
な怪物とても、この重囲を逃れる
術
(
すべ
)
はない筈だ。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
朝夕に燈明と、水と、
小豆
(
あずき
)
と、
洗米
(
あらいごめ
)
を供えてまわるのが私の役目とされていた。だから今でも私は
燧石
(
ひうちいし
)
から火を得る
術
(
すべ
)
は心得ている。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
▼ もっと見る
撃たれても傷つけられても、いかに無念の涙を呑んでみても、ただ全速をもって逃げる以外には何らの
術
(
すべ
)
とてもなかったのであった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
漁夫の
部落々々
(
むらむら
)
をたずね、たずね——はい、こんなに皆さまを待たしたのでございます、それよりほかにどうする
術
(
すべ
)
がございましたか
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「内惑星軌道半径⁉」このあまりに
突飛
(
とっぴ
)
な一言に眩惑されて、真斎は
咄嗟
(
とっさ
)
に答える
術
(
すべ
)
を失ってしまった。法水は厳粛な調子で続けた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
即ち堕落は常に孤独なものであり、他の人々に見すてられ、父母にまで見すてられ、ただ自らに頼る以外に
術
(
すべ
)
のない宿命を帯びている。
続堕落論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
娘は村を追ひ出されても
行
(
ゆ
)
く先もありませぬ、又乞食する
術
(
すべ
)
も知らず
只
(
ただ
)
声を限りに泣き叫びながら広い/\野原の方へ参りました。
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
嚇されて、二人も争う
術
(
すべ
)
がなかった。かれらは権田原心中の浮き名を流す機会を失って、おめおめと庄太に追い立てられて行った。
半七捕物帳:60 青山の仇討
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
人はこの下に膝を屈して「無」の中にぢつと生活するしか
術
(
すべ
)
がない。それは限りのない「無」である。果てしのない「無」である。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
迷の
羈絆
(
きづな
)
目に見えねば、勇士の刃も切らんに
術
(
すべ
)
なく、あはれや、鬼も
挫
(
ひし
)
がんず六波羅一の
剛
(
がう
)
の
者
(
もの
)
、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか戀の
奴
(
やつこ
)
となりすましぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
誰一人としてその意味がわからなかった。いたずらにまごまごして彼女の背中を
擦
(
さす
)
ってやったりするほかになす
術
(
すべ
)
も知らなかった。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
人間に向つて云ひ現はす
術
(
すべ
)
を知らない畜生の悲しみと云ふやうなものを、自分だけは読み取ることが出来る気がしてゐたのであつたが
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
、どうする
術
(
すべ
)
もございません。いっそ死のうか。いっそ、和子を
奪
(
と
)
り返して、身を隠そうか。……時には、鬼になりそうな気もして来て
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その手で行くより
術
(
すべ
)
はあるまいが、いったん味を占めてみると忘れられないらしい。事実、こんな面白い商売はないと思っている。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さしも遣る方無く
悲
(
かなし
)
めりし貫一は、その悲を
立
(
たちどこ
)
ろに抜くべき
術
(
すべ
)
を今覚れり。
看々
(
みるみる
)
涙の
頬
(
ほほ
)
の
乾
(
かわ
)
ける
辺
(
あたり
)
に、
異
(
あやし
)
く
昂
(
あが
)
れる
気有
(
きあ
)
りて青く
耀
(
かがや
)
きぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
僅か五隻のペリー艦隊の前に
為
(
な
)
す
術
(
すべ
)
を知らなかったわれらが、日本海の海戦でトラファルガー以来の勝利を得たのに心を躍らすのである。
マードック先生の『日本歴史』
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私はあらゆる本をあさって人を殺す
術
(
すべ
)
を考えはじめました。私はあなたが高等学校時代に私に教えてくれた凡ての本を又よみ返しました。
悪魔の弟子
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
俗に言う触らぬ神に
祟
(
たたり
)
なしの趣意に従い、一通りの会釈挨拶を奇麗にして、思う所の
真面目
(
しんめんぼく
)
をば胸の中に
蔵
(
おさ
)
め置くより外にせん
術
(
すべ
)
もなし。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
丈
(
たけ
)
より高い
茅萱
(
ちがや
)
を
潜
(
くぐ
)
って、肩で
掻分
(
かきわ
)
け、
頭
(
つむり
)
で
避
(
よ
)
けつつ、見えない人に、物言い
懸
(
か
)
ける
術
(
すべ
)
もないので、高坂は
御経
(
おきょう
)
を取って
押戴
(
おしいただ
)
き
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云いながら力に任せて孝助の膝をつねるから、孝助は身にちっとも覚えなき事なれど、証拠があれば云い解く
術
(
すべ
)
もなく、
口惜涙
(
くやしなみだ
)
を流し
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それかと言って器用に身を
交
(
かわ
)
すだけの
術
(
すべ
)
もなく、信じないながらにわざと信じているようなふうをして、苦悩の
泥濘
(
でいねい
)
に足を取られていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
海老を正木美術学校長の似顔に
描
(
か
)
いたか
何
(
ど
)
うかは知らない、海老と正木氏と——強い者の前では、
孰方
(
どつち
)
もよく腰を屈める
術
(
すべ
)
を知つてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
窮策としては、インドの色の地に桃色の
縞
(
しま
)
がはいりこむというような
術
(
すべ
)
もあるが、いかにもまずい。何かもっといい方法がありそうである。
映画『人類の歴史』
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
(7) その後(一八一六年に)彼はいった——「死ぬ
術
(
すべ
)
を悟らぬ人間は気の毒だ。私は十五歳ですでにそれを悟っていた。」
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
夢の中のようになす
術
(
すべ
)
を知らないのである、はげしく自分をお思いになる方に対しては、なぜこうまでもと感激はしているが、
良人
(
おっと
)
と思い
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その罪の恐ろしさは、なかなか
贖
(
あがな
)
うべき
術
(
すべ
)
のあるべきに
非
(
あら
)
ず、今もなお亡き父上や兄上に向かいて、心に
謝
(
わ
)
びぬ日とてはなし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
奥方様の花のようなお顔が、醜い
般若
(
はんにゃ
)
の
形相
(
ぎょうそう
)
となって物の云いよう立ち居振舞い
羅刹
(
らせつ
)
のように荒々しくなりお側へ寄りつく
術
(
すべ
)
もないとは……
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いかなる事にてもあれただ何か起こることを望むだけで、考えをまとめることもできず、決心を固める
術
(
すべ
)
も知らずに、彼はただ待っていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そして出来ることなら母親に内証で、こちらの胸をそっと向うに通ずる
術
(
すべ
)
もないものかと、いろいろに心を砕いたが、好い方法も考えつかぬ。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
とにかく私は、勇気を奮って書いて見よう。ただ小説家でない私は、脚色や趣向によって、読者を興がらせる
術
(
すべ
)
を知らない。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
また処女に特有な
嬌羞
(
はにかみ
)
というものをあたりさわりなく軟らげ崩して、安気な心持で彼と向い合うようにさせる
術
(
すべ
)
をまったく知らなかったから。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼こそこの不思議な事件の持つ秘密を僕等よりもはるかに詳しく知っているのであろうが、失踪したとすると、聞く
術
(
すべ
)
もないのが残念だった。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
未来を覗く
術
(
すべ
)
を、——それは恐ろしい「未来」への冒涜であろうけれど——どうしたはずみかで、身につけてしまったのだ。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
キヌ子に殴られ、ぎゃっという奇妙な悲鳴を挙げても、田島は、しかし、そのキヌ子の怪力を逆に利用する
術
(
すべ
)
を発見した。
グッド・バイ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「どんな忘れられぬ言葉が、あの可哀想な人を死に追いやったのか、この謎を解く
術
(
すべ
)
をあなたはご存知じゃありません?」
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
と言って、のがれる
術
(
すべ
)
はない。死んだ金魚をうらんでもはじまらないし……と、しばし真っ蒼で
瞑目
(
めいもく
)
していた柳生対馬守
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
こんな日の続いて行く中で、座敷牢にいる人が火いじりの
危
(
あぶな
)
さを考えると、
炬燵
(
こたつ
)
一つ入れてやって凍えたからだを
温
(
あたた
)
めさせる
術
(
すべ
)
もないとしたら。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あまりに
執拗
(
しつよう
)
な愛情というものは女の愛情をついに封じこめてしまうものであった。つまり、どういう
術
(
すべ
)
も施しようもなくなってしまうのである。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
全く自力を施す
術
(
すべ
)
はどこにもなかった。いくら危険を感じていても、滑るに任せ止まるに任せる外はなかったのだった。
路上
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
山田ははや為す
術
(
すべ
)
を知らない
深傷
(
いたで
)
を身に蒙った。而も、「伊藤が居る間は……」という言葉は、その傷をして殆んど致命的のものたらしめていた。
掠奪せられたる男
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
私たちが生れてから物心がつき、人から教えられて箸を持つ
術
(
すべ
)
、着物を着る術、学校通い、読み方、書き方、算術——みな「智」の方に属します。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
我戲れに彼に告げて空飛ぶ
術
(
すべ
)
をしれりといひ、彼はまた事を好みて智乏しき者なりければこの
技
(
わざ
)
を示さん事を我に求め
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
賣
(
うる
)
術
(
すべ
)
など知らざる上に
都
(
みやこ
)
は知らず
在方
(
ざいかた
)
では身の
賣買
(
うりかひ
)
は
法度
(
はつと
)
にて誰に
頼
(
たの
)
まん樣もなく
當惑
(
たうわく
)
なして居たりしが十兵衞
鐺
(
はた
)
と
膝
(
ひざ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
吃驚仰天して、真蒼になつた彼は、なすべき
術
(
すべ
)
も知らなかつた。そこで彼はすんでのことに十字を切らうとした……。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
青年期への新入者は性慾を抑制する
術
(
すべ
)
を知らない。
手綱
(
たづな
)
をかけられぬ性慾は
恣
(
ほしいまま
)
に荒れまわる。鶴見は最初から性慾道をそんな風に経験したのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「心安い多くの婦人から奪われた大事の物の紛失は
癒
(
いや
)
すに
術
(
すべ
)
なきを見てやむをえず、勝者の
愍憐
(
びんれん
)
を乞いに来ました」
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
でも祈るよりほかに
術
(
すべ
)
はありませんね。もっとよくなったら手紙をかきます。今はかなしみに打ちかたれています。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
“術”の意味
《名詞》
(ジュツ) わざ。技能。
(ジュツ) 不思議なわざ。妖術。魔術。
(すべ) 手段。方法。
(ばけ、古典語) てだて。はかりごと。
(出典:Wiktionary)
“術”の解説
術 (じゅつ)は、特別の技。技術。手段。方法。
テクニカルなことつまり技に関係することを示す接尾語 。
(出典:Wikipedia)
術
常用漢字
小5
部首:⾏
11画
“術”を含む語句
技術
藝術
手術
美術館
魔術
芸術
剣術
催眠術
奇術
柔術
詐術
芸術家
蠱術
忍術
呪術
錬金術
幻術
施術
術策
幻術師
...