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血腥
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ちなまぐさ
ふりがな文庫
“
血腥
(
ちなまぐさ
)” の例文
それは前に襲撃をうけた高坂隊の一組などとは比較にならないほど
血腥
(
ちなまぐさ
)
い突風を持っていた。いや狂気に近い怒りをすら帯びていた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日も戦い明日も戦い、昨日も落城、
一昨日
(
おととい
)
も討ち死に。
血腥
(
ちなまぐさ
)
い噂が天地をこめて人の心を狂わせるのが戦国時代の有様であった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
是
(
こ
)
れはドウしたのかと云うと、
会津
(
あいづ
)
で分捕りした着物だと
云
(
いっ
)
て
威張
(
いばっ
)
て居る。実に
血腥
(
ちなまぐさ
)
い怖い人物で、一見
先
(
ま
)
ず手の着けようがない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
静子に久し振に逢へると云つたやうな楽しい平和な期待は、偶然な
血腥
(
ちなまぐさ
)
い出来事のために、滅茶苦茶になつてしまつたのである。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
血腥
(
ちなまぐさ
)
い事件の豫感に、平次は
一寸
(
ちよつと
)
憂欝
(
いううつ
)
になりましたが、直ぐ氣を變へて、ぞんざいに顏を洗ふと、
鬢
(
びん
)
を撫で付け乍ら家へ
入
(
はひ
)
つて行きました。
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
「殺しの場」のやうな
血腥
(
ちなまぐさ
)
き場面が、
屡
(
しばしば
)
その伴奏音楽として用ひられる独吟と、如何に不思議なる詩的調和を示せるかを聞け。
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
弘一君は思ったよりも元気で、
血腥
(
ちなまぐさ
)
い事件は忘れてしまったかの様に、小説の腹案などを話して聞かせた。夕方例の赤井さんが訪ねて来た。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
周囲はほの暗く、憤怒に燃え立った黒吉の
瞳
(
め
)
は、殺意を含んで、ギラギラと輝き、無恰好な体からは、陰惨な
血腥
(
ちなまぐさ
)
い吐息が、激しく乱れた。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
笹村も、一度経験したことのある、お産の時のあの甘酸ッぱいような
血腥
(
ちなまぐさ
)
いような
臭気
(
におい
)
が、時々鼻を
衝
(
つ
)
いて来るように思えてならなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そして、二人が
血腥
(
ちなまぐさ
)
い手をアルコールで消毒し、
臭
(
におい
)
のついた着物を脱いで寝間着に着換え、これから寝床へ這入ろうとしている時であった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
先づ、今を去る十五六年前、欧洲大戦の幕が
下
(
お
)
りた、そのすぐ
後
(
あと
)
の、陸にも海にもまだ
血腥
(
ちなまぐさ
)
い印象の数々を残してる時代を思ひ出して下さい。
けむり(ラヂオ物語)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
スペイン人を極度に憤激せしめた
血腥
(
ちなまぐさ
)
い人身犠牲の風習も、右の如きアステーク族の恐怖政治より出たものと見られている。
鎖国:日本の悲劇
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
そんな殺伐なことがまだ戦国時代の
血腥
(
ちなまぐさ
)
い風の脱け切らぬ江戸ッ子の
嗜好
(
しこう
)
に投じて、遂には市川流の
荒事
(
あらごと
)
という独特な芸術をすら生んだのだ。
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
こうして、幾つかの
因子
(
ファクター
)
を排列しているうちに、法水は
噴
(
ふ
)
っと
血腥
(
ちなまぐさ
)
いような
矢叫
(
やさけ
)
びを、自分の呼吸の中に感じたのであった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
血腥
(
ちなまぐさ
)
い噂がそこら中に広がってる時である。女のような美術家が
袋叩
(
ふくろだた
)
きにされて半死半生になったという噂も聞いている。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
いかに武芸をひとわたりは心得たとて……この
血腥
(
ちなまぐさ
)
い世の中に……ただの女の一人身で……ただの
少女
(
おとめ
)
の一人身で……夜をもいとわず一人身で……
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
二人はお互に鋭い眼光で睨み合って、物もいわず油断なく構えて、今にも
血腥
(
ちなまぐさ
)
きことが起りそうに見えた。ああこの恐るべき闘争に勝つ者は誰ぞ。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
しかるに仏教徒は肉食を忌むことの宣伝として、肉を喰った者はその
血腥
(
ちなまぐさ
)
い気が身体に残るから、神様に近づくことはできないといい出したのです。
融和問題に関する歴史的考察
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
夜深しに汗ばんで、
蒸々
(
むしむし
)
して、
咽喉
(
のど
)
の乾いた処へ、その匂い。
血腥
(
ちなまぐさ
)
いより
堪
(
たま
)
りかねて、縁側を開けて、私が一番に庭へ出ると、
皆
(
みんな
)
も
跣足
(
はだし
)
で飛下りた。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さすがに松の内だけは
血腥
(
ちなまぐさ
)
い噂もないと思っていると、春の初めの斬初めでもあるまいが、またしてもここに甚右衛門井戸の女殺しとなったのである。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
決して
血腥
(
ちなまぐさ
)
い偉大さとか、荒々しい美とかいう幻影として——つまり異常なものとして、われわれ異常な者たちの眼に映じているのではありませんよ。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
月世界のうえにまたもや
血腥
(
ちなまぐさ
)
い事件がもちあがったのである。辻中佐はじめ、アシビキ号の乗組員たちは、底しれぬ
戦慄
(
せんりつ
)
の
淵
(
ふち
)
へなげこまれた形であった。
大宇宙遠征隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
セエラは寝台の上で肩を夜具に包み、膝を抱えて、
血腥
(
ちなまぐさ
)
いフランス革命の話を始めました。アアミンガアドは眼を見張り、固唾をのんで耳を傾けました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
直ぐに己の目に附いた「パアシイ族の
血腥
(
ちなまぐさ
)
き争闘」という標題の記事は、かなり客観的に書いたものであった。
沈黙の塔
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
行きちがう人々は、
悉
(
ことごと
)
く、
血腥
(
ちなまぐさ
)
い話を、声高にして、行った。駕が、山角を曲ると、草叢のところに、旅人が集まっていて、菅笠や、手拭頭が動いていた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
一しきりモリモリモリと音を立てて
反
(
そ
)
りかえって来たと思う間もなく、底深い、
血腥
(
ちなまぐさ
)
い溜息と一所に、自然自然とピシャンコになって行くのを見ると品夫は
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
恰度野村の前にある赤インキの大きな
汚染
(
しみ
)
が、新らしい机だけに、胸が苛々する程
血腥
(
ちなまぐさ
)
い厭な色に見える。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
あんなにごたつき、
血腥
(
ちなまぐさ
)
くても、その時代には未だ人物は人物を見出すよろこびをもち得ていたのでした。ケプラーは巨大であり、あの時代は巨大な渾沌でした。
獄中への手紙:10 一九四三年(昭和十八年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
バオレルは一八二二年六月の
血腥
(
ちなまぐさ
)
い騒動の時、若いラールマンの葬式のおりに顔を出したことがあった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
また喧嘩ならば、こちらにも何かの傷がある訳である。しかも昨夜小石川に
血腥
(
ちなまぐさ
)
い喧嘩があったという報告はなく、血腥い事件といえばこの殺人事件ばかりである。
呪われの家
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
甚三郎が提灯を突きつけて見ると、つい土台石の下にのめっている一つの
血腥
(
ちなまぐさ
)
い死骸があります。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
太平洋のまん中に亡霊の如く漂っている三本
帆檣
(
マスト
)
の船、その中には全く人の姿無く、
然
(
しか
)
も船内は到るところ生々しい鮮血にまみれていると……無気味な、
血腥
(
ちなまぐさ
)
い話なのである。
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
思ってもみたまえ、フランスの少年らは、敗北の影たちこめた喪中の家に生まれ、意気
沮喪
(
そそう
)
した思想に養われ、
血腥
(
ちなまぐさ
)
い宿命的なそしておそらく無益な
復讐
(
ふくしゅう
)
のために育てられたのだ。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
血腥
(
ちなまぐさ
)
いことにならなければよいがと云う気持ちと一緒に、隆吉が思いきりよく、新しい嫁を選んでくれればいいと云った様々な思いが、千穂子の頭の中を
焙
(
あぶ
)
るように
弾
(
は
)
ぜているのだ。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
嚴罰
(
げんばつ
)
を
怖
(
おそ
)
るゝならば、
其
(
その
)
血腥
(
ちなまぐさ
)
い
手
(
て
)
から
兇暴
(
きょうばう
)
の
劍
(
けん
)
を
抛
(
なげう
)
ち、
怒
(
いか
)
れる
領主
(
りゃうしゅ
)
が
宣言
(
ことば
)
を
聽
(
き
)
け。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
何事か
血腥
(
ちなまぐさ
)
い騒動が持ち上りそうな雰囲気に腰を浮かせた訳では有りません。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
島原
(
しまばら
)
の
切支丹
(
きりしたん
)
退治
(
たいじ
)
があって、
血腥
(
ちなまぐさ
)
い
噂
(
うわさ
)
が伝わったのは昨年のことである。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
ちと
具合
(
ぐあひ
)
が
惡
(
わる
)
いので、三
人
(
にん
)
其所
(
そこ
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
ると、それと
知
(
し
)
つた
男子達
(
をとこたち
)
は、
聽
(
きこ
)
えよがしに
高話
(
たかばなし
)
である。
何處
(
どこ
)
の
奴
(
やつ
)
だか、
這
(
こ
)
んな
大穴
(
おほあな
)
を
穿
(
あ
)
けやアがつた。
今度
(
こんど
)
は
見附次第
(
みつけしだい
)
、
叩殺
(
たゝきころ
)
してやるといふ
血腥
(
ちなまぐさ
)
い
鼻息
(
はないき
)
※
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
療治
(
れうぢ
)
の
報酬
(
はうしう
)
に
藥箱
(
くすりばこ
)
の
進物
(
しんもつ
)
といふのは、
少
(
すこ
)
し
變
(
へん
)
だが、
本道
(
ほんだう
)
のほかに
外療
(
げれう
)
も
巧者
(
かうしや
)
の
玄竹
(
げんちく
)
は、
若
(
わか
)
い
者
(
もの
)
の
怪我
(
けが
)
を
十針
(
とはり
)
ほども
縫
(
ぬ
)
つて、
絲
(
いと
)
に
絡
(
から
)
んだ
血腥
(
ちなまぐさ
)
いものを、
自分
(
じぶん
)
の
口
(
くち
)
で
嘗
(
な
)
め
取
(
と
)
るといふやうな
苦勞
(
くらう
)
までして
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
ああ年代の歴史に書かれたる
血腥
(
ちなまぐさ
)
き画図や。サルマシヤは罪なきに亡滅したり。しかして泣く者とてはあらず。
矛
(
ほこ
)
を揮うてこれを救う
義侠
(
ぎきょう
)
の友もなく、不運を憐れみ
菩提
(
ぼだい
)
を弔う慈悲ある敵もあらず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
もちろん
血腥
(
ちなまぐさ
)
からぬ世となりて長刀疵などは見たくても見られぬにつけ、名句も自然その力を失い行くは是非なしとして、毛皮や刀創を多く見る社会にはそれについて同一の物を期せずして聯想する
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
墺国
(
オーストリヤ
)
皇太子フェルジナンド大公夫妻がボスニヤ、サライエヴォの遭難以来、地球上のありとあらゆる国は、ことごとく戦禍の巷に捲き込まれ、世を挙げて、まったく
血腥
(
ちなまぐさ
)
き戦場と化し去っている時に
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
血腥
(
ちなまぐさ
)
い復讐の
報
(
むくい
)
を受けることになった。今はあの
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
静子に久し振に
逢
(
あ
)
えると
云
(
い
)
ったような楽しい平和な期待は、偶然な
血腥
(
ちなまぐさ
)
い出来事のために、
滅茶苦茶
(
めちゃくちゃ
)
になってしまったのである。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
あとになって考えて見れば、おかしい様なことですけれど、その時の私達は、その
血腥
(
ちなまぐさ
)
い光景をまざまざと目の前に描いていた訳なのです。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
血腥
(
ちなまぐさ
)
い事件の予感に、平次はちょっと
憂鬱
(
ゆううつ
)
になりましたが、すぐ気を変えて、ぞんざいに顔を洗うと、
鬢
(
びん
)
を
撫
(
な
)
で付けながら家へ入って行きました。
銭形平次捕物控:097 許嫁の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
先刻
(
さっき
)
から
血腥
(
ちなまぐさ
)
い風が、黒犬を発狂に近い
昂
(
たか
)
ぶりにさせたのかもしれない。
谺
(
こだま
)
が声をよび、声が谺をよび、陰々と、その吠えたけびは、止まなかった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六樹園ははじめこの流行に苦笑していたが、あまり度を外した
血腥
(
ちなまぐさ
)
い趣向立てに、婦女童子に害あり、人心を誤るものという意見で非常に憤慨していた。
仇討たれ戯作
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いかに次回が
血腥
(
ちなまぐさ
)
く、いかに素晴らしい大修羅場が次々に行われ演ぜられるか? いよいよ物語は佳境に入った。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いくつかの
血腥
(
ちなまぐさ
)
い記録を持っていたからであり、また一つには、そこを
弾左谿
(
だんざだに
)
と呼ぶ地名の出所でもあった。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
血
常用漢字
小3
部首:⾎
6画
腥
漢検1級
部首:⾁
13画
“血腥”で始まる語句
血腥気