けむり(ラヂオ物語) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
二人はお互に鋭い眼光で睨み合って、物もいわず油断なく構えて、今にも血腥きことが起りそうに見えた。ああこの恐るべき闘争に勝つ者は誰ぞ。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
しかるに仏教徒は肉食を忌むことの宣伝として、肉を喰った者はその血腥い気が身体に残るから、神様に近づくことはできないといい出したのです。
融和問題に関する歴史的考察 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
さすがに松の内だけは血腥い噂もないと思っていると、春の初めの斬初めでもあるまいが、またしてもここに甚右衛門井戸の女殺しとなったのである。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話 (新字新仮名) / 林不忘(著)
決して血腥い偉大さとか、荒々しい美とかいう幻影として——つまり異常なものとして、われわれ異常な者たちの眼に映じているのではありませんよ。
トニオ・クレエゲル (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
セエラは寝台の上で肩を夜具に包み、膝を抱えて、血腥いフランス革命の話を始めました。アアミンガアドは眼を見張り、固唾をのんで耳を傾けました。
小公女 (新字新仮名) / フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット(著)
あんなにごたつき、血腥くても、その時代には未だ人物は人物を見出すよろこびをもち得ていたのでした。ケプラーは巨大であり、あの時代は巨大な渾沌でした。
獄中への手紙:10 一九四三年(昭和十八年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
バオレルは一八二二年六月の血腥い騒動の時、若いラールマンの葬式のおりに顔を出したことがあった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
甚三郎が提灯を突きつけて見ると、つい土台石の下にのめっている一つの血腥い死骸があります。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚 (旧字旧仮名) / 江見水蔭(著)
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
もちろん血腥からぬ世となりて長刀疵などは見たくても見られぬにつけ、名句も自然その力を失い行くは是非なしとして、毛皮や刀創を多く見る社会にはそれについて同一の物を期せずして聯想する
十二支考:07 猴に関する伝説 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
ファウスト (新字新仮名) / ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(著)
銭形平次捕物控:097 許嫁の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)