“落人:おちうど” の例文
“落人:おちうど”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花10
泉鏡太郎6
中里介山5
谷崎潤一郎3
岡本綺堂3
“落人:おちうど”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 戯曲1.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.8%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行0.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
馬道の留守宅では、押かけ女房のおよつが、これも押かけ落人おちうどの日下部欽之丞を介抱して、世間を狭く暮して居りました。
芳年写生帖 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
道行みちゆきの二人連れ、さしずめ清元か常磐津の出語りで『落人おちうどの為かや今は冬枯れて』とか云いそうな場面です。
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
此方こなたは鷹狩、もみじ山だが、いずれいくさに負けた国の、上﨟じょうろう、貴女、貴夫人たちの落人おちうどだろう。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
——むかしから、落人おちうど七騎しちき相場さうばきまつたが、これは大國たいこく討手うつてである。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
討手でないのに、阿部が屋敷に入り込んで手出しをすることは厳禁であるが、落人おちうどは勝手に討ち取れというのが二つであった。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
落人おちうど両人の者は夜分ひそかにその艀船はしけに乗り移り、神奈川以東の海岸からのぼる積りに用意した所が
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あめ嵩増かさまながれたるを、平家へいけ落人おちうどすさまじきたきあやまりけるなり。
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やがて、合方あひかたもなしに、落人おちうどは、すぐ横町よこちやう有島家ありしまけはひつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
弟は予々かねがね上海行を夢想していたが、こんな風にして落人おちうどとなってゆこうとは思いも寄らなかったろう。
秘められたる挿話 (新字新仮名) / 松本泰(著)
先触れもなく、無論それらしいお供も連れない落人おちうどのようなこの度のお帰りが、思わしくないという蝦夷の土地柄とむぞうさに結びついた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
落人おちうどへば、をどつた番組ばんぐみなにうしたたぐひかもれぬ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし、落ち行くところは必ずや紀州竜神——竜神は昔から落人おちうどの落ち行くによい所であります。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
馬上ばじやうたまらず武智光秀たけちみつひで、どうと落人おちうどから忠兵衞ちうべゑで、あし捗取はかどらぬ小笹原こざさはら
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
落人おちうど盤纏ろようにとて、危急の折に心づけたる、彼媼の心根こそやさしけれ。
そでふりみだれたまゝを汽車きしやつた落人おちうどらしい。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「きまってますよ、平家の落人おちうどにきまってますよ、白川郷っていうんでしょう」
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
三十一人わずか三人に減じられて、落人おちうどのごとく胴の間にさらされているのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
なるほど、水の流れ、山のたたずまい、さも落人おちうどみそうな地相である。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
さても我父は如何にしませしか、一門の人々と共に落人おちうどにならせ給ひしか。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
末望みなき落人おちうどゆゑの此つれなさと我を恨み給はんことのうたてさよ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
それに対抗する城方しろがたの方は、最初は七八千も籠っていたけれども、日に/\降人や落人おちうどが頻出して、しまいには三四千にも充たない、微々たるものになった。
それにあなた、あの人たちは平家の落人おちうどの流れだというではありませんか
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いばらなか徉徜さまよつた落人おちうどに、しらんだやうでもあるし、生命懸いのちがけ喧嘩けんくわからあはたゞしく抜出ぬけだしたのが
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
物騒千万な世の中で、落人おちうどとなったが最後、誰に殺されても文句がないのであるし、また所在匪賊ひぞくのような連中がいて、戦争があるとすぐ落人狩をやり出すのである。
山崎合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
もし四、五羽も同時に鳴いたならば恐らくは落人おちうどを驚かすであらう。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
阿久の三味線で何某が落人おちうどを語り、阿久は清心せいしんを語った。
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と御維新以来このかた江戸児えどッこの親分の、慶喜様が行っていた処だ。第一かく申すめの公も、江戸城を明渡しの、落人おちうどめた時分、二年越居た事がありますぜ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人目をはばかる落人おちうどにとっては、これこそまたとない機会だ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
かれらは伊勢物語に見る武蔵野の落人おちうどのように、そこらの高い草むらをかき分けて身を忍ばせていると、やがて武者一騎が馬の腹にとどくほどの枯れすすきをざわめかして駈けて来た。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
世を忍ぶ落人おちうどが大勢つながってゆくのは利益でない。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「平家の落人おちうどの流れだから、どうしたというのだ」
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
うつくしきひとの、葉柳はやなぎみのたる忍姿しのびすがたを、落人おちうどかとれば、あにらんや、あつ情思おもひ隱顯ちら/\ほたるすゞむ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そんなだつたら、いつ女房かないの里に落付く事だ。一体女房かないの里といふものは、落人おちうどの隠れ場所にとつて恰好なものだ。ベルンストロフ伯夫人は人も知つてるやうに米国生れの女である。
落人おちうどそれならで、そよと鳴る風鈴も、人は昼寝の夢にさへ、我名わがなを呼んで、讃美し、歎賞する、微妙なる音響、と聞えて、其の都度つど、ハツと隠れ忍んで、微笑ほほえみ/\通ると思へ。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
落人おちうどの借衣すずしく似合いけり。
おしゃれ童子 (新字新仮名) / 太宰治(著)
これは落人おちうどの姿であった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「ああ、天誅組の落人おちうどか」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
なにしろ初役の勘平というのであるから、わたしたちも一種の興味を以て待ち受けていたのであるが、例の“落人おちうど”で花道にあらわれた勘平は実に水々しく若やいだもので、その当時綺麗きれいざかりの福助のお軽と立ちならんで
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
村の人々に落人おちうどと見られて取り囲まれ、主従ここで討死をした、姫は父を失い、母にはぐれ、山路に行き暮れて、悩んでいるのを、通りがかりの杣人そまびとが案内を承るといつわり、姫を檜にいましめ、路銀を奪って去った
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
この二人は、木茅きかやに心を置く落人おちうどのつもりでいるのか、それとも道草を食う仔馬こうまの了見でいるのか、居候から居候へと転々して行く道でありながら、こし方も、行く末も、御夢中であるところが子供といえば子供です。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
父も、摂津殿も、安国寺殿も、捕われた時は衣服などもぼろ/\に破れ、見すぼらしい落人おちうどの姿をしていたのを、車に乗せるときに内府どのが御覧になって、此の三人はいずれも一国一城の主、分けても治部少輔は天下の政務を執りし者
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
草ノ露分難わけがたク、急グトスレド道見ヘズ、ヤウ/\瓜生野うりふのマデゾ付ニケル、三人打向ヒ如何いかガセント語レドモ、先ヘ可行道モナシ、隼人正申ケルハ、此アリサマニテ野ニ伏シ山ニ隠レテハ疑ヒ無キ落人おちうどト見知ラヌ人ハ有マジ、本道ヲ露見シテ通ルベシト言ヘバ
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
落人おちうどというのだな。秩父在ちちぶざいに昔から己の内に縁故のある大百姓がいるから、そこへ逃げて行こうというのだ。いの背中で、上野の焼けるのを見返り見返りして、田圃道たんぼみちを逃げたのだ。秩父在では己達を歓迎したものだ。己の事を江戸の坊様と云っていた。
里芋の芽と不動の目 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
東海道の沿岸に住む多くの穢多の種族のやうに、朝鮮人、支那人、露西亜ロシア人、または名も知らない島々から漂着したり帰化したりした異邦人の末とは違ひ、その血統はむかしの武士の落人おちうどからつたはつたもの、貧苦こそすれ、罪悪の為に穢れたやうな家族ではないと言ひ聞かせた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
舊暦きうれきぐわつ二十一にちばかりの宵闇よひやみに、覺束おぼつかない提灯ちやうちんひとふたつ、をんなたちは落人おちうど夜鷹蕎麥よたかそばかゞんだかたちで、溝端どぶばたで、のどにつかへる茶漬ちやづけながした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「いや、拙者なぞもこの時節がらいつどのような御咎おとがめこうむる事やら落人おちうど同様風の音にも耳をそばだてています。それやこれやでその後はついぞお尋ねもせなんだがこの間はまたとんだ御災難。とうとうお江戸構いとやら聞きましたが思掛けない今時分どうして此処ここへはお出でなすった。」
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ところで、さしあたり一つ心配なのは、その一揆暴動の崩れが、或いはこの辺へ押寄せて来ないとも限らない、胆吹山いぶきやまというところは昔から落人おちうどの本場なんだから——そこをひとつ、念のために用心をして置いて下さいよ、一時にそううしおの押寄せるようにここまで押寄せて来るはずはなかろうけれども、一人二人
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)