“盤纏”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ろよう50.0%
はんてん50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
嗚呼、嘗て一たび我性命を救ひ、我に拿破里に至る盤纏ろようを給せしフルヰアは、今此梟木の上より我と相見るなり。この藍色なる唇は、曾て我額に觸れしことあり。
落人おちうど盤纏ろようにとて、危急の折に心づけたる、彼媼の心根こそやさしけれ。三人ひとしくさし伸ぶる手を待たで、われは財布の底を掴みて振ひしに、焚火に近き匾石ひらいしの上に、こがねしろかね散り布けり。
一年余の間無益な往反をして、貞固の盤纏はんてんわずか一分銀いちぶぎん一つをあましていたのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)