盤纏ろよう)” の例文
嗚呼、嘗て一たび我性命を救ひ、我に拿破里に至る盤纏ろようを給せしフルヰアは、今此梟木の上より我と相見るなり。この藍色なる唇は、曾て我額に觸れしことあり。
落人おちうど盤纏ろようにとて、危急の折に心づけたる、彼媼の心根こそやさしけれ。三人ひとしくさし伸ぶる手を待たで、われは財布の底を掴みて振ひしに、焚火に近き匾石ひらいしの上に、こがねしろかね散り布けり。