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肋
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あばら
ふりがな文庫
“
肋
(
あばら
)” の例文
確かに手応えはあったが、ガーンという音と共に、太刀持つ拙者の手がピーンと
痺
(
しび
)
れて厶る。黒装束の下に、南蛮鉄の一枚
肋
(
あばら
)
の
鎧
(
よろい
)
を
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
昨年の八月三日の晩に私が槍を持って庭先へ忍び込み、源次郎と心得
突懸
(
つッか
)
けたは間違いで、主人平左衞門の
肋
(
あばら
)
を深く突きました
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その腹に一千人をひそませているトロイの馬! ディープ・カットの踏切りで迎え撃ってこの思いあがった悪獣の
肋
(
あばら
)
に復讐の槍を投げつける
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
肋
(
あばら
)
を切り取る無気味の音が、ひとしきり部屋の中へ響いたが、やがて左右十本の
肋骨
(
ほね
)
が、血にまみれながら、抜き取られた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
肋
(
あばら
)
の骨がみな踏み砕かれているのを見ても、かの馬がよほど巨大な動物であることが想像されて、人々は顔をみあわせた。
馬妖記
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
旗野の
主人
(
あるじ
)
は
血刀
(
ちがたな
)
提
(
ひつさ
)
げ、「やをれ
婦人
(
をんな
)
、
疾
(
と
)
く覚めよ」とお村の
肋
(
あばら
)
を
蹴返
(
けかへ
)
せしが、
活
(
くわつ
)
の
法
(
はふ
)
にや
合
(
かな
)
ひけむ、うむと
一声
(
ひとこゑ
)
呼吸
(
いき
)
出
(
い
)
でて、あれと驚き
起返
(
おきかへ
)
る。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
夜が
更
(
ふ
)
けて、
四隣
(
あたり
)
が静かな
所為
(
せゐ
)
かとも思つたが、念のため、右の手を心臓の上に載せて、
肋
(
あばら
)
のはづれに
正
(
たゞ
)
しく
中
(
あた
)
る
血
(
ち
)
の
音
(
おと
)
を
確
(
たし
)
かめながら
眠
(
ねむり
)
に就いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
わが命の
源
(
みなもと
)
は、と、おどろきを新たにいたします、アダムの
肋
(
あばら
)
から生れたなんて、西洋人も想像力が足りないことね。
獄中への手紙:11 一九四四年(昭和十九年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
隙もれた裏屋根の、冴えた
肋
(
あばら
)
に入り交ふものは、しらじらと西風に光る利鎌、はやくも鉤なりに、彼等の額に
※
(
まつは
)
る何ものの翳であらう。ひと時の寂寞。
逸見猶吉詩集
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
「よウし!」一角の
肚
(
はら
)
がきまッた。「多少の心得はあろうとも、およそは知れた虚無僧ずれ、その構えを割りつけて、天蓋から
肋
(
あばら
)
の下までただ一刀!」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小林文吾も
仰天
(
ぎょうてん
)
しないわけにはゆきません。
押取刀
(
おっとりがたな
)
でその場へ駈けつけて見ると、岡村は左の肩から右の
肋
(
あばら
)
を斜めに断たれて、二つになって無残の
最期
(
さいご
)
。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
まだ
焮衝
(
きんしょう
)
が残っているらしく、こころもち
潮紅
(
ちょうこう
)
したまま
萎
(
しな
)
び
潰
(
つぶ
)
れていて、乳首と
肋
(
あばら
)
とを間近く引き寄せた縫い目の処には、黒い血の
塊
(
かたまり
)
がコビリ着いたまま
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
太刀の先が
肋
(
あばら
)
の骨に触れて、強い抵抗を受けたのを感じた。そうしてまた、断末魔の相手が、ふみつけた彼の
藁沓
(
わろうず
)
に、下から何度もかみついたのを感じた。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
拇指
(
おやゆび
)
を
肋
(
あばら
)
の所で背負帶に挾んで兩肘を張つてうつむきながらそろそろと歩く。榾は五尺程の長さである。横に背負つて居るのだから岩角へぶつつかりさうである。
炭焼のむすめ
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
この兒をさほど
欲
(
ほ
)
しと思はゞ、直に連れて歸りても好し。若し
肋
(
あばら
)
二三本打ち折りて、おなじやうなる
畸形
(
かたは
)
となし、
往來
(
ゆきゝ
)
の人の袖に縋らせんとならば、それも好し。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
六人前も
平
(
たい
)
らげるとおっしゃいますがそんなお方に限って牛肉は背の肉が良いか
腿
(
もも
)
の肉が良いか、
肋
(
あばら
)
の肉はどんな味だか、舌や尾はどんなものだか少しも御存知ありません。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ザックセン王宮の女官はみにくしといふ世の
噂
(
うわさ
)
むなしからず、いづれも
顔立
(
かおだち
)
よからぬに、人の世の春さへはや過ぎたるが多く、なかにはおい
皺
(
しわ
)
みて
肋
(
あばら
)
一つ一つに数ふべき胸を
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
これはチベットの仏具に使うために倒れた人があると通る人が皆持って行ってしまうのでただ残って居るのは
肋
(
あばら
)
の骨位です。そういう物を見る度に無常の観念に打たれるです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
病犬のように痩せほそった左膳の
肋
(
あばら
)
骨の奥と、膝わきに引きつけた妖刀濡れ燕のほかは。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
さる時には容赦は致さぬ。お上の縄にかけられて竹
槍
(
やり
)
に
肋
(
あばら
)
を縫わるる前、せめては朋友の情に依り、此の拙者がこの場で命を貰うばかり——世評が
真
(
まこと
)
と解りなば、呉羽之介どのその場を
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「併し君、
肋
(
あばら
)
はあるだらう。胃だの腸だの肝臓だの心臓だのもあるだらう。」
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この動作をもっとも強く助勢するは蛇の腹なる多くの横
濶
(
ひろ
)
い麟板で、その後端の
縁
(
へり
)
が蛇が這いいる場面のいかな微細の凸起にも引っ掛かり得る。この麟板は一枚ごとに左右一対の
肋
(
あばら
)
と相伴う。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
投げられた拍子に石ころで
肋
(
あばら
)
を打ちやしてね、おまけに
溝板
(
どぶいた
)
を蹴上げて
頤
(
あご
)
を叩いたもんでげすから、今見舞いに寄ってみたら、あの気丈なお師匠さんが蒲団をかぶってうんうん唸ってやしたよ。
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
開きコリヤ/\
假令
(
たとへ
)
隱
(
かく
)
したりとて出家の
境界
(
きやうがい
)
今更其を
明
(
あか
)
すべきや
然而
(
まして
)
一向知らぬこと此身體は素より
假
(
かり
)
の世なり殺さば殺せ勝手にしろと云を兩人は聞イヤハヤ
此奴
(
こいつ
)
硬情
(
しぶとき
)
坊主めと云樣力に任せて一打
肋
(
あばら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
正賓は
肋
(
あばら
)
を
傷
(
きずつ
)
けられて卒倒し、
一場
(
いちじょう
)
は無茶苦茶になった。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
背中より
肋
(
あばら
)
の方がくすぐったかった。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
ひからびた
肋
(
あばら
)
にだけつづりながら
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
また見るは
肋
(
あばら
)
のにほひ
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ふたりともに顔や身体の内を何かに
啖
(
く
)
い取られて、手足や
肋
(
あばら
)
の骨があらわれて、実にふた目とは見られない
酷
(
むご
)
たらしい姿になっていたそうです。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
夜が
更
(
ふ
)
けて、
四隣
(
あたり
)
が静かな
所為
(
せい
)
かとも思ったが、念のため、右の手を心臓の上に載せて、
肋
(
あばら
)
のはずれに正しく
中
(
あた
)
る血の音を確かめながら
眠
(
ねむり
)
に就いた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と云いつゝ短刀を右手の
肋
(
あばら
)
へ引き廻せば、おいさは
取付
(
とりつ
)
き
嘆
(
なげ
)
きましたが、丈助は立派に
咽喉
(
のど
)
を
掻切
(
かきき
)
り、相果てました。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
久しく錬磨を怠ったれど、
桶皮胴
(
おけがわどう
)
の二枚
肋
(
あばら
)
、三つ重ねを一町先から
裏掻
(
うらか
)
しまでに射通すことさして困難とも覚え申さぬ、論より証拠、いざ、ご覧あれや
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この時、浪士の右の足が
撥
(
は
)
ねたかと思うと、米友の
胸板
(
むないた
)
めがけて、
肋
(
あばら
)
も砕けよと蹴りが一つ入ったものです。普通ならば、これだけで事は解決してしまうのですが
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
深く、
肋
(
あばら
)
へかけたその切ッ先は、ななめに通った
床框
(
とこがまち
)
の一端にポトッ——と赤い糸をひいていました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしシチュウにするバラーはこの中の
肋
(
あばら
)
の方にあるのです。それからまた首の方へ戻って来てショーランドの一、二、三とありますがこれも
挽肉
(
ひきにく
)
で肉挽器械へかける処です。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ザックセン王宮の女官はみにくしという世の
噂
(
うわさ
)
むなしからず、いずれも顔立ちよからぬに、人の世の春さえはや過ぎたるが多く、なかにはおい
皺
(
しわ
)
みて
肋
(
あばら
)
一つ一つに数うべき胸を
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
拾った場所へ
旧
(
もと
)
の通り差置こうというではなく、ともあれ、沼の底へ葬り返そうとしたのであるが、いざ、となると
汀
(
みぎわ
)
が浅い、ト白骨は
肋
(
あばら
)
の数も隠されず、蝶々
蜻蛉
(
とんぼ
)
の影はよし
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
モニカの千太郎は顔面に三ヶ所と
肋
(
あばら
)
を五寸ほど斬り下げられ、生命危篤であった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
いつの間にか私は一糸も
纏
(
まと
)
わぬ
素
(
す
)
っ
裸体
(
ぱだか
)
になって、青白い
肋
(
あばら
)
骨を骸骨のように波打たせて、骨だらけの左手に麻酔薬の残った小瓶を……右手にはギラギラ光る舶来の鋏を振りまわしながら
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
陰翳
(
いんえい
)
は彼が
肋
(
あばら
)
に
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
突然何者か表の雨戸を
破
(
わ
)
れるほど
叩
(
たた
)
く。そら来たと心臓が飛び上って
肋
(
あばら
)
の四枚目を
蹴
(
け
)
る。何か云うようだが叩く音と共に耳を襲うので、よく聞き取れぬ。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
虚無僧は其の上へ片足かけて脊筋から
肋
(
あばら
)
へ深く突き通し、鍔元の血振いをしながら落着いて
後
(
あと
)
へ
退
(
さが
)
りました。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
忝
(
かたじ
)
けない!」と飛び
交
(
ちが
)
え、腰を捻ると真の居合い。抜いた時には斬っていた。左の耳の附け根から
顎
(
あご
)
を割り
咽喉
(
のど
)
を裂き脇の
肋
(
あばら
)
三枚を切り皮を残して真っ二つ……
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
色を失って飛び
退
(
の
)
いたが、時遅し、法月弦之丞に持たれた一刀は、あだかも名刀に変ったかと思われるばかりな冴えを増して、片手打ちに、ズウンと弥助の
肋
(
あばら
)
まで斬りこんでしまった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
屹
(
きっ
)
となって、さあ始めやがった、あン畜生、また
肋
(
あばら
)
の骨で遣ってるな、このままじゃ居られないと、
突立
(
つッた
)
ちました小宮山は、早く既にお雪が話の内の一員に、化しおおしたのでありまする。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
案
(
あん
)
の
定
(
じょう
)
、その当人は、老いぼれの
痩
(
や
)
せこけた、
肋
(
あばら
)
の骨が一本一本透いて見える、髪の毛の真白なのを振りかぶり、腰巻の
真紅
(
まっか
)
なのを一腰しめただけで、そのほかは、しなびきった裸体のまま
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
妻君「ハイ」お登和「西洋料理屋のシチュウのようにお
美味
(
いし
)
く出来ますまい」妻君「出来ません。ナゼでしょう」お登和「シチュウにする肉はバラーといって
肋
(
あばら
)
の
処
(
ところ
)
の肉でなければ
美味
(
おい
)
しくなりません。 ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
と云いながら懐よりすらりと短刀を抜いて權六の
肋
(
あばら
)
を目懸けてプツーり突掛けると、早くも身を
躱
(
かわ
)
して
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ガッ」という悲鳴、そのとたんに、飛び込んで来たもう一人の山窩、野太刀を揮うを払い上げ、片膝敷くと
掬
(
すく
)
い切り、五枚目の
肋
(
あばら
)
を三日月に、内臓深く切り込んだ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
騒動のあった
明
(
あく
)
る朝、何かの必要に
促
(
うな
)
がされて、
肋
(
あばら
)
の左右に横たえた手を、顔の所まで持って
来
(
き
)
ようとすると、急に持主でも変ったように、自分の腕ながらまるで動かなかった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“肋(
肋骨
)”の解説
肋骨(ろっこつ)は、胸部内臓を覆う骨であり、脊椎・胸骨とともに胸郭を形成している。あばら骨とも言い、脊椎から内臓を取り囲む形で付いている。ほとんどの脊椎動物には肋骨があり、外界からの衝撃から内臓を保護する役割を果たしている。
(出典:Wikipedia)
肋
漢検準1級
部首:⾁
6画
“肋”を含む語句
肋骨
肋材
肋肉
肋膜
肋膜炎
鶏肋
肋木
肋立
肋状
真肋骨
肋軟骨化骨
板肋虬髯
肋骨君
肋骨服
肋骨材
肋骨材等
脇肋
雞肋
崖肋腹