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羞
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は
ふりがな文庫
“
羞
(
は
)” の例文
羞
(
は
)
ずかしそうに顔を赤らめながら言うのを見ると、今度こそ
堪
(
たま
)
らぬという様子で、門弟たちは腹を
揉
(
も
)
みながらひいひい笑い崩れた。
半化け又平
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ハリスは又その言葉に「ゴルキイの未だに百姓であることはこの点に——即ち百姓育ちを
羞
(
は
)
ぢる点に露はれてゐる」と註してゐる。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「お前はお嫁になることもできないで、おんだされたのを
羞
(
は
)
じないの。まだ人の家の財産を自分の
所有
(
もの
)
にしているつもりなの。」
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「
処女
(
きむすめ
)
のように
羞
(
は
)
ずかしがることもない、いい
婆
(
ばばあ
)
のくせにさ。私の
所望
(
のぞみ
)
というのはね、おまえさんにかわいがってもらいたいの」
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それにもかかわらずおぬいさんが処女らしい
羞
(
は
)
じらいのために、深々と顔を伏せたのが痛むほどきびしく園の感覚に伝ってきた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
杖は何処にも見出されなかつた。彼はあんな風にして杖を無くした事を、妻には
内所
(
ないしよ
)
にして居るのであつた。全く
羞
(
は
)
づかしい事だつたので。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
「一気、
祁山
(
きざん
)
に出て、人より先に陣を構えてみせる。そのとき丞相が
羞
(
は
)
じるか羞じないでいるか、その顔を足下も見てい給え」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして私はお前自身にもよく分らないらしかった、あの時の
羞
(
は
)
ずかしさとも怒りともつかないものの原因をそれ以上知ろうとはしなかった。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
抽斎は
暫
(
しばら
)
く黙して一座の光景を
視
(
み
)
ていたが、遂に
容
(
かたち
)
を改めて主客の非礼を責めた。瑞長は大いに
羞
(
は
)
じて、すぐに芸者に
暇
(
いとま
)
を遣ったそうである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「カッチ語という言葉はまことに非文明な言葉で、話すことはできますけれど文字というものがないのです」と
羞
(
は
)
ずかしそうに顔を
赧
(
あから
)
められた。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
千枝太郎は更に女の顔をじっと視つめると、玉藻は少し
羞
(
は
)
じらうように顔をかしげて、斜めに男の眼のうちをうかがった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は妻の前に手をついて、あやまって彼女を傷つけたことのわびを言い、自分で自分の性質を
羞
(
は
)
じなければならないようなことも起こって来た。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その事起るべきに定まった当日、正午になっても一向起らず、大騒ぎせし輩、今更軽々しく妖言を信じたを
羞
(
は
)
じ入った。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「イヤ岡本君が見えたから急に
行
(
や
)
りにくくなったハハハハ」と炭鉱会社の紳士は少し
羞
(
は
)
にかんだような笑方をした。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼はこの唐突千万な出来事に変に感動していることを
羞
(
は
)
ずべきことではないのだと自分自身に言いきかせていた。
白痴
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
唇を食いそらすようにしていると、いかなる美女も
羞
(
は
)
じらう容色の振袖小姓が、酒肴を運んで来て酌を取る。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
東方の物語が伝えるところによると、
薔薇
(
ばら
)
の花は神からまっ白に作られたが、まさに開かんとする時アダムにのぞかれたので、それを
羞
(
は
)
じて赤くなったという。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼はそれらの姿が
羞
(
は
)
じらうように
樹
(
こ
)
かげに身をかくすのを目にし、その肌の
温
(
ぬく
)
もりを身に感ずるのだった。そしてこの悩ましさは切ないほどに募って行った。……
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
この
羞
(
は
)
にかみの色は浅黒い饅頭のやうな房一の顔に現れたものだけに、何となく滑稽な感じだつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
それだけに生れついて居るものは生れついているだけの情懐が有る。韓信が
絳灌樊噲
(
こうかんはんかい
)
の輩と
伍
(
ご
)
を為すを
羞
(
は
)
じたのは韓信に取っては何様することも出来ないことなのだ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼が嫌悪し、
羞
(
は
)
じ、痛切な憎しみをさえおぼえているのは、日本人の女たちなのでしかなかった。その逞しさがたまらなかった。なまなましい醜さがやりきれなかった。
その一年
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
宮は
羞
(
は
)
じて横のほうへお向きになったが、以前よりもいっそう小柄にお見えになって、髪は授戒の日にお扱いした僧が惜しんで長く残すようにして切ったのであるから
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
いささかの
羞
(
は
)
ずかしさのために顔を染めてはいたものの、
傲然
(
ごうぜん
)
とした足つきで出ていった、それは丁度、長い酷使と粗食との生活に対して反抗した模範を示すかのように。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
私たち
母子
(
おやこ
)
は叔父の家に寄寓して言うに言われぬ苦労をしたが、私は小学校を出て叔父の仕事の手伝いをしている間も深く自分の無学を
羞
(
は
)
じて、他人ならば学校盛りの年ごろを
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
白鯉
(
しろこい
)
の
鱗
(
うろこ
)
を以て包んだり、
蜘蛛
(
くも
)
の糸を以て織りなした
縮羅
(
しじら
)
の
巾
(
きぬ
)
を引きはえたり、波なき海を
縁
(
ふち
)
どる
夥
(
おびただ
)
しい砂浜を作ったり、地上の花を
羞
(
は
)
じ
凋
(
しぼ
)
ます
荘厳
(
そうごん
)
偉麗
(
いれい
)
の色彩を天空に
輝
(
かがや
)
かしたり
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
公子
(
こうし
)
糾
(
きう
)
敗
(
やぶ
)
るるや、
召忽
(
せうこつ
)
は
之
(
これ
)
に
死
(
し
)
し、
吾
(
われ
)
は
(一〇)
幽囚
(
いうしう
)
せられて
辱
(
はづかしめ
)
を
受
(
う
)
く。
鮑叔
(
はうしゆく
)
、
我
(
われ
)
を
以
(
もつ
)
て
恥
(
はぢ
)
無
(
な
)
しと
爲
(
な
)
さず。
我
(
わ
)
が
(一一)
小節
(
せうせつ
)
を
羞
(
は
)
ぢずして・
功名
(
こうめい
)
の・
天下
(
てんか
)
に
顯
(
あら
)
はれざるを
恥
(
は
)
づるを
知
(
し
)
れば
也
(
なり
)
。
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
と答えながら、口に手を当てて、
羞
(
は
)
にかみ笑いを隠すような仕草をした。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
羞
(
は
)
ずかしい恋をはじめていたのでした。
トカトントン
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
なにゆゑに こゝろかくは
羞
(
は
)
ぢらふ
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
余輩はかえってこれを
羞
(
は
)
ずるなり。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
羞
(
は
)
ぢてひそめる花の影
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
悲劇とはみずから
羞
(
は
)
ずる所業を
敢
(
あえ
)
てしなければならぬことである。この故に万人に共通する悲劇は
排泄
(
はいせつ
)
作用を行うことである。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
自分の身を
羞
(
は
)
じる心と、遠く行く節子を
憐
(
あわれ
)
む心と、この生に徹したいと思う心と、それらの心が一緒になって耳に聞える虫の鳴声と混り合った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
さるにても、
按摩
(
あんま
)
の
笛
(
ふえ
)
の
杜鵑
(
ほとゝぎす
)
に、
拔
(
ぬ
)
かしもすべき
腰
(
こし
)
を、
娘
(
むすめ
)
の
色
(
いろ
)
に
落
(
お
)
ちようとした。
私
(
わたし
)
は
羞
(
は
)
ぢ
且
(
か
)
つ
自
(
みづか
)
ら
憤
(
いきどほ
)
つて
酒
(
さけ
)
を
煽
(
あふ
)
つた。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
身の上を話そうとしてまず燈火を細くする娘らしい
羞
(
は
)
じらいと神経のこまかさが感じられて大助は何やらほのぼのとした気持にうたれるのだった。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それが私を多少
羞
(
は
)
じらわせ、そんな女の子のような遊びを続けることを幾分ためらわせた。が、私はすぐ強情を張って
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私はそれを作家精神や情熱の貧しさと結びつけて
一途
(
いちず
)
に
羞
(
は
)
じ悲しんだこともあったが、持って生れたランダの性は仕方がないと
諦
(
あきら
)
めて、今では
恬然
(
てんぜん
)
としているのである。
文字と速力と文学
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
いくらかの女がまだ何も知らない
乙女
(
おとめ
)
でも、四十九歳の秀吉は、男ざかりの男である。——いいつけても、或いは、
羞
(
は
)
じらいして、ためらうかと思っていると、於通は
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ柔らかで
愛嬌
(
あいきょう
)
があって、
可憐
(
かれん
)
な点は中の君のよさがお思われになる宮であった。話をされた時にする
返辞
(
へんじ
)
も
羞
(
は
)
じらってはいるが、またたよりない気を覚えさせもしない。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
確かフロールも
羞
(
は
)
ずかしげにしかし嬉しげに、私の方へ瞳を送り返してくれたように思われた。……と、私には感ぜられたのであったが、ちょうどその日の放校間際であった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
人として獣に
羞
(
は
)
じざらめやと感動して彼女を許し、久しく無事で活命させたとある。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
千代子はほかの客に押されて私の立っている横手を
袖
(
そで
)
の触れるほどにして行く、私はいたく身を
羞
(
は
)
じてちょっと
体躯
(
からだ
)
を横にしたがその途端に千代子は星のような
瞳
(
ひとみ
)
をちょっと私の方にうつした。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
けれども近頃ではそんな姿を一度も甲野に見せないようになった。それは彼が羽根を抜いた
雄鶏
(
おんどり
)
に近い彼の体を
羞
(
は
)
じている為に違いなかった。
玄鶴山房
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
稀
(
たま
)
に捨吉が小父さんの使として訪ねて行って見ると、最早結い替えた髪のかたちを
羞
(
は
)
じらうほどの人に成った。
揃
(
そろ
)
いも揃って皆急激に
成長
(
しとな
)
って来た。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
剛毅な覚明すら、久しく離れていた
嬰児
(
あかご
)
が母のすがたを見たように
羞
(
は
)
にかんでいるのであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうだお香、あの
縁女
(
えんじょ
)
は美しいの、さすがは一生の大礼だ。あのまた白と
紅
(
あか
)
との三枚
襲
(
がさね
)
で、と
羞
(
は
)
ずかしそうに
坐
(
すわ
)
った
恰好
(
かっこう
)
というものは、ありゃ
婦人
(
おんな
)
が二度とないお晴れだな。
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ある女は豊満なる四肢をくねらせて髪を
梳
(
くしけず
)
り、ある女は
羞
(
は
)
じらいを含んで
櫛
(
くし
)
を
銜
(
くわ
)
えて佇み
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
と
羞
(
は
)
じらいながらできるだけ言葉を省いて言うのが絶え絶えほのかに薫へ聞こえた。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
斯んな風に激しく私は興奮して、もはや
我無者羅
(
がむしゃら
)
に
喚
(
わめ
)
くようになるのであった。すると辰夫は粛然と
襟
(
えり
)
を正して深く
項垂
(
うなだ
)
れ、歴々と
羞
(
は
)
じらう色を見せて悲しげに目を伏せてしまうのだ。
母
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
桃世は「はい」と頷いて、代二郎を見あげながら、
羞
(
は
)
ずかしそうに微笑した。
初夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
羞
常用漢字
中学
部首:⽺
11画
“羞”を含む語句
羞恥
含羞
羞耻
嬌羞
羞明
含羞草
可羞
羞含
羞恥心
面羞
心羞
気羞
珍羞
羞痒
多羞
羞耻心
花羞
羞渋
羞恥家
羞顔
...