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緋色
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ひいろ
ふりがな文庫
“
緋色
(
ひいろ
)” の例文
立派な革椅子に、チーク材の卓子など、すこぶる上等な家具が並んでいて、床を
蔽
(
おお
)
う
絨氈
(
じゅうたん
)
は地が
緋色
(
ひいろ
)
で、黒い線で模様がついていた。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
やはり
緋色
(
ひいろ
)
の二布を腰に巻いただけの裸で、いま川からあがったところとみえ、肌も濡れているし、足もとの岩にも水が
溜
(
た
)
まっていた。
鵜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
赤と黄と
緑
(
みどり
)
と青と
紫
(
むらさき
)
との五
色
(
しき
)
のしまのはいった
着物
(
きもの
)
をつけ、三
角
(
かく
)
の金色の
帽子
(
ぼうし
)
をかぶり、
緋色
(
ひいろ
)
の
毛靴
(
けぐつ
)
をはいて、ぶらりとさがっていました。
活人形
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
驃騎兵
(
ひょうきへい
)
の外套、多くのひだのある赤い長靴、
綯総
(
ないふさ
)
で飾った重々しい軍帽、
緋色
(
ひいろ
)
のイギリス歩兵と黒ずんだブルンスウィックの歩兵との混合
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
おおわれても透明なカーテンだから、女人雲のなまめかしい姿は、
緋色
(
ひいろ
)
の
紗
(
さ
)
に隔てられたように、ありありと見えている。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
迎えに行ったとき、その
金塗
(
きんぬ
)
りの船に張ってあった
緋色
(
ひいろ
)
の
帆
(
ほ
)
に似ていると思うわ。ねえ、マイダーノフさん、あなたこの間、その話をして下すったわね?
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
されば
由緒
(
ゆいしよ
)
もなき無格の小寺も、本山への献金によつて寺格を進めらるることのあれば、昨日にび色の法衣着たる身の今日は
緋色
(
ひいろ
)
を飾るも、また黄金の力たり。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼は
黄金
(
きん
)
色のレースのついている
緋色
(
ひいろ
)
の
猟衣
(
かりぎぬ
)
を着ていましたが、その服装こそは聖レオナルドの森で、初めて彼がカトリーヌに逢って、彼女に飲み水をもらって
世界怪談名作集:11 聖餐祭
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
図は横に
画
(
か
)
いてある。
緋色
(
ひいろ
)
の地に
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
の
絞
(
しぼ
)
りのような銀の点線が
這入
(
はい
)
っていて、下に大きな桜の花弁の端が三枚見え、その上に後姿の
舞妓
(
まいこ
)
が半身を出している。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
卓子掛
(
てーぶるかけ
)
や
椅子
(
いす
)
の
緋色
(
ひいろ
)
づくめな
部屋
(
へや
)
には
数人
(
すうにん
)
のR
国
(
こく
)
の
男女
(
だんじよ
)
がゐて、
私
(
わたし
)
の
仲間
(
なかま
)
は
案外
(
あんがい
)
にも
極
(
きわ
)
めて
小数
(
せうすう
)
であつた。その
多
(
おう
)
くは
夫人帯同
(
ふじんたいどう
)
であつたことも、
私
(
わたし
)
には
意外
(
いがい
)
であつた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
何もかも
緋色
(
ひいろ
)
ずくめにした部屋の中に大きな
蝋燭
(
ろうそく
)
をたった一本
灯
(
とも
)
して、そのまわりを、
身体
(
からだ
)
中にお化粧して、その上から
香油
(
においあぶら
)
をベトベトに塗った
素
(
す
)
っ
裸体
(
ぱだか
)
の男と女とが
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
母親
(
はゝおや
)
が
曲彔
(
きよくろく
)
を
立
(
た
)
つて、
花
(
はな
)
の
中
(
なか
)
で
迎
(
むか
)
へた
處
(
ところ
)
で、
哥鬱賢
(
こうつけん
)
は
立停
(
たちど
)
まつて、
而
(
そ
)
して……
桃
(
もゝ
)
の
花
(
はな
)
の
重
(
かさな
)
つて、
影
(
かげ
)
も
染
(
そ
)
まる
緋色
(
ひいろ
)
の
鸚鵡
(
あうむ
)
は、お
孃
(
ぢやう
)
さんの
肩
(
かた
)
から
翼
(
つばさ
)
、
飜然
(
ひらり
)
と
母親
(
はゝおや
)
の
手
(
て
)
に
留
(
と
)
まる。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その度毎に血の池の水の色が、
猩紅
(
しょうこう
)
になったり、
緋色
(
ひいろ
)
になったりするだけの変化はある。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ねむの花のような
緋色
(
ひいろ
)
の花の満開したのや、
仏桑花
(
ぶっそうげ
)
の大木や、扇を広げたような
椰子
(
やし
)
の一種もある。背の高いインド人の巡査がいて道ばたの木の実を指さし「
猿
(
さる
)
が食います」と言った。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
時を移さず姿をやつして、鳥追い
笠
(
がさ
)
に、あだめかしい
緋色
(
ひいろ
)
の
裳裾
(
もすそ
)
をちらちらさせつつ、
三味線
(
しゃみせん
)
片手にお由がやって参りましたので、名人は待ちうけながら、ただちに
忍
(
しのぶ
)
ガ
岡
(
おか
)
目ざしました。
右門捕物帖:18 明月一夜騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
犬山
道節
(
どうせつ
)
が森鴎外で、色は黒、花では
紫苑
(
しおん
)
。
犬飼現八
(
いぬかいげんぱち
)
は森田思軒で、紫に
猿猴杉
(
えんこうすぎ
)
。犬塚
信乃
(
しの
)
が尾崎紅葉で
緋色
(
ひいろ
)
と
芙蓉
(
ふよう
)
。犬田
小文吾
(
こぶんご
)
が幸田露伴、栗とカリン。大法師が坪内逍遥で白とタコ。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
夢の中の
緋色
(
ひいろ
)
であった。その緋色のカーテンが、うねうねと曲線をなして、空一面をおおいつくし、いつまでも下へ下へとたれてくるように見えた。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だが本当に彼女たちの一人が帯を解き、
緋色
(
ひいろ
)
の下着の袖をぬくのを見るとびっくりして手を振りながら
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その眼には極度の衰弱と、極度の興奮とが、熱病患者のソレの如く血走り輝やいております。その唇には普通人に見る事の出来ない
緋色
(
ひいろ
)
が、病的に
干乾
(
ひから
)
び付いております。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
学円 谷の姫百合も
緋色
(
ひいろ
)
に咲けば、何もそれに不思議はない。が、この通り、山ばかり、
重
(
かさな
)
り
累
(
かさな
)
る、あの、
巓
(
いただき
)
を思うにつけて、……夕焼雲が、めらめらと
巌
(
いわお
)
に
焼込
(
やけこ
)
むようにも見える。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのきめの
細
(
こまか
)
い皮膚は、魚のようにねっとりとした
艶
(
つや
)
とピチピチした
触感
(
しょっかん
)
とを持っていた。その白い脛が階段の一つをのぼる
度毎
(
たびごと
)
に、
緋色
(
ひいろ
)
の長い
蹴出
(
けだ
)
しが、
遣瀬
(
やるせ
)
なく
搦
(
から
)
みつくのであった。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
六日前から、そうあるべき事を待ちあぐんでいた矢先でしたから、ひらひらと
緋色
(
ひいろ
)
の
裾端
(
すそはし
)
を
空
(
くう
)
に散らすと、ぱたり、ぱたりと得意の揚心流当て身で、先ずその両三名をのけぞらしました。
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
緋色
(
ひいろ
)
に染めてダマ織りの
帷
(
とばり
)
をまっかに浮き出さした日の光は
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
向う側の板壁、そこに貼った
細
(
こまか
)
い模様の壁紙を背景にして、丸胴の桐の火鉢と、妖婦の唇の様に厚ぼったくふくれ上った、
緋色
(
ひいろ
)
の
緞子
(
どんす
)
の蒲団の小口とが視野に這入った。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
嘗
(
かつ
)
て何かの挿画で見た
路易
(
ルイ
)
王朝式というのであったろう……
緋色
(
ひいろ
)
の
羅紗
(
らしゃ
)
に黄金色の房を並べた
窓飾
(
カーテン
)
や
卓子被
(
テーブルクロス
)
、
白塗
(
しろぬり
)
に金銀宝石を
鏤
(
ちりば
)
めた豪華な椅子や
卓子
(
テーブル
)
がモリモリ並んでいる。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
春の
真昼間
(
まっぴるま
)
、暖い霞のような白い路が、藪の下を
一条
(
ひとすじ
)
に貫いた、二三間
前
(
さき
)
を、一人通った娘があります。
衣服
(
きもの
)
は分らず、何の織物か知りませんが、帯は
緋色
(
ひいろ
)
をしていたのを覚えている。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頭の上には、小さな四角い大学帽がのって、上から赤い房がたれている。そういえば、この怪人は肩から長い
緋色
(
ひいろ
)
のガウンを着ていた。白い顔と白いカラーが、赤い房と緋色のガウンによくうつる。
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そうして西の国の女は、夕陽のように輝やく
緋色
(
ひいろ
)
の肩掛けを床まで波打たせておりました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
ぱらぱらと露を丸く吸ったのが水の中に映るのですが——浮いて通るその
緋色
(
ひいろ
)
の山椿が……藻のそよぐのに引寄せられて、水の上を、少し
斜
(
ななめ
)
に流れて来て、藻の上へすっと留まって、
熟
(
じっ
)
となる。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
七人のしかつめらしい男が(私もその中の一人だった)
態々
(
わざわざ
)
其為
(
そのため
)
にしつらえた「赤い部屋」の、
緋色
(
ひいろ
)
の
天鵞絨
(
びろうど
)
で張った深い肘掛椅子に
凭
(
もた
)
れ込んで、今晩の話手が何事か怪異な物語を話し出すのを
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ぴったり身体についた
緋色
(
ひいろ
)
の洋装が、よく似合う美しい女だった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
深
(
ふか
)
く
濃
(
こ
)
い
眞緑
(
まみどり
)
の
翼
(
つばさ
)
が
晃々
(
きら/\
)
と
光
(
ひか
)
つて、
緋色
(
ひいろ
)
の
線
(
せん
)
でちら/\と
縫
(
ぬ
)
つて、
裾
(
すそ
)
が
金色
(
こんじき
)
に
輝
(
かゞや
)
きつゝ、
目
(
め
)
と
目
(
め
)
を
見合
(
みあ
)
ふばかりに
宙
(
ちう
)
に
立
(
た
)
つた。
思
(
おも
)
はず、「あら、あら、あら。」と十八九の
聲
(
こゑ
)
を
立
(
た
)
てたさうである。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
緋色
(
ひいろ
)
のカーテン
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ト
緋色
(
ひいろ
)
の雲の、
隧道
(
トンネル
)
の入口、突当りに通天門とある。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緋色
(
ひいろ
)
無地の
背負上
(
しょいあげ
)
が
媚
(
なまめ
)
かしい。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
全身
緋色
(
ひいろ
)
なんだつて。……
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
全身
(
ぜんしん
)
緋色
(
ひいろ
)
なんだつて。……
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“緋色”の意味
《名詞》
緋(濃い赤)の色。
銅器につける鳶色。
(出典:Wiktionary)
緋
漢検準1級
部首:⽷
14画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“緋色”で始まる語句
緋色繻珍