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粥
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かゆ
ふりがな文庫
“
粥
(
かゆ
)” の例文
ゆるい
粥
(
かゆ
)
と、
茹
(
ゆ
)
で
潰
(
つぶ
)
した
蔬菜
(
そさい
)
であるが、この頃では
顎
(
あご
)
がうまく動かないとみえ、口からこぼしたりするので、ずいぶん時間がかかる。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし、初めはたいしたこともあるまいと思っていたが、日ましに瘠せて弱ってきて、
粥
(
かゆ
)
を一ぱい位しかたべられないようになった。
蓮香
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
または反対に、大変
中
(
なか
)
のよかった夫婦が
飢饉
(
ききん
)
のときに、平生の愛を忘れて、妻の食うべき
粥
(
かゆ
)
を夫が奪って食うと云う事を小説にかく。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
温かいお
粥
(
かゆ
)
を煮て、疲労した身に、過分にならないほどに心づかいをして、その温かいお粥を、わたくしに食べさせて下さいました。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
口をきくことは勿論、湯も
粥
(
かゆ
)
も薬もなんにも通らなくなりまして、しまいには顔一面が化け物のように赤く腫れあがってしまいました。
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
「いずれから来て、いずれへ渡らせられる。無用な事。この先とも、
遁
(
のが
)
れる道などはない。——
粥
(
かゆ
)
なと食わそう、馬を降り召され」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひるくらきこの苔寺にかくろひて
粥
(
かゆ
)
や
食
(
を
)
しけむ岩倉具視(岩倉贈丞国は文治二年九月十五日難を避くるため姿を変じてこの寺にかくる)
閉戸閑詠
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
けれど三度三度の私のすすめるお
粥
(
かゆ
)
、卵その他なにもなにもおいしく食して居らるる母、これなら必ず全快するであろうと思うた。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
京都で著名なのはただ早朝の七種の
粥
(
かゆ
)
の行事のみで、その他の慣行に就いては、もう田舎を求めなければならぬようになっている。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
噛みたるが上にも噛み、和らげたるが上にも和らげ、
粥
(
かゆ
)
の米さへ噛み得らるるだけは噛みしが如き、あながち偶然の癖にはあらざりき。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
あなたが子供等の口に焦げついた
粥
(
かゆ
)
の代りに、パンとチイズをやられるといふ事は、彼等の滅ぶる肉體を養ひ得るかも知れないが
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
あるいは運動に過ぎて心身を疲労させると消化吸収の力は非常に衰えます。昔しの早飛脚が着いた時に先ずお
粥
(
かゆ
)
を与えなければならん。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「こんなお天気のよい日は、めつたにございません……。気持ちが晴々します。奥さま、お
粥
(
かゆ
)
が出来てをりますが、召し上りますか?」
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
おつぎは
決
(
けつ
)
して
卯平
(
うへい
)
を
滿足
(
まんぞく
)
させ
得
(
う
)
ることとは
思
(
おも
)
はなかつたが、
彼
(
かれ
)
が
喫
(
た
)
べて
見
(
み
)
ようといへば
粥
(
かゆ
)
にでも
炊
(
た
)
いてやらうと
思
(
おも
)
つたのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
せめて一椀の
粥
(
かゆ
)
か
湯漬
(
ゆづけ
)
でも差上げる人があったらよいが、誰かお供の侍がお附き添い申していることか、それともお一人なのであろうか。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
また、北茂安村千栗八幡社にては、正月初めに
粥
(
かゆ
)
をたき、旧二月
初卯
(
はつう
)
の日にその粥の状態を検して、豊凶を判知することにきまっておる。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「あれぢや
商人
(
あきんど
)
にもなれんし、百姓にもなれまいし、まあ
粥
(
かゆ
)
でも
啜
(
すす
)
れるくらゐの田地を配けてやるつもりで、抛つて置くか。」
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
どれでも勝手に
箸
(
はし
)
をつけてくれい。
粥
(
かゆ
)
ばかり
啜
(
すす
)
っていさえすれば、
得脱
(
とくだつ
)
するように考えるのは、沙門にあり勝ちの
不量見
(
ふりょうけん
)
じゃ。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ほんのことさ、お前様、なろうならば米よりは
御飯
(
おまんま
)
を下さいやし、御飯よりはまた
老人
(
としより
)
にはお
粥
(
かゆ
)
が
好
(
よ
)
うござる。何のこれ、嘘は申しませぬ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
島方の三人は、
重湯
(
おもゆ
)
をとるやら
粥
(
かゆ
)
をつくるやら、その間に
藜
(
あかざ
)
の葉の
摺餌
(
すりえ
)
をこしらえ、藤九郎の卵を吸わせ、一日中、病人の介抱に忙殺された。
藤九郎の島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「お
昼飯
(
ひる
)
に、お
粥
(
かゆ
)
をホンのぽっちり——牛乳は
厭
(
いや
)
だって飲みませんし——
真実
(
ほんと
)
に、
何物
(
なんに
)
も食べたがらないのが一番心配です」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
島村さんも須磨子も寝ているがお
粥
(
かゆ
)
が食べられるが、初日が目の前なので二人とも気が気でなさそうだとも言っていられた。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
フランス映画「居酒屋」でも
淪落
(
りんらく
)
の女が親切な男に救われて一│
皿
(
さら
)
の
粥
(
かゆ
)
をすすって眠った後にはじめて長い間かれていた涙を流す場面がある。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
さ
候
(
さふら
)
へど私の取り得べき量を十倍もしたるばかりの
粥
(
かゆ
)
を白き平たき皿に盛りて鈴木の参りし時は
呆
(
あき
)
れ申し
候
(
さふらふ
)
。午後赤塚氏の診察を受け申し
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
小盆の上に「
粥
(
かゆ
)
」と「梅びしお」といり卵の乗ったお君の食事を見て栄蔵は、あの卵は今日だけなんだろうなどと思った。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「そればっかしにかかりゃ
半日
(
ひんなか
)
で建つやろまいか。皆で建てよまいか。そしたら私ゃお
粥
(
かゆ
)
位毎日運んでやるし、姉やんとこ抛っときゃええわ。」
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
下等の者は
粥
(
かゆ
)
と言っても
乾酪
(
ほしちち
)
や肉を入れることは困難であるからして脂肪を入れるです。大根などもなかなか得られない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
蕎麦
(
そば
)
もこの頃は
止
(
や
)
めました、
粥
(
かゆ
)
と
野菜
(
やさい
)
少し
許
(
ばか
)
り、
牛乳
(
ぎゅうにゅう
)
二合ほどつとめて
呑
(
の
)
みます、すべて
営養上
(
えいようじょう
)
の
嗜好
(
しこう
)
はありませんと。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
しかし恩は恩です、私はこの家を困らせないように倹約します。お
粥
(
かゆ
)
を喰べて暮そうとします。すると加奈子は体が弱ると言って喰べさせません。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そう言う浪之進は、総髪にチャンチャンコを着て、一刀を左脇の下におき、
炉
(
ろ
)
の中ではグラグラと
粥
(
かゆ
)
を煮て居るのです。
銭形平次捕物控:277 和蘭の銀貨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
格之助も寺で
宵
(
よひ
)
と
暁
(
あかつき
)
とに
温
(
あたゝか
)
い
粥
(
かゆ
)
を
振舞
(
ふるま
)
はれてからは、
霊薬
(
れいやく
)
を服したやうに元気を恢復して、もう遅れるやうな事はない。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
○人病あれば
米
(
こめ
)
の
粥
(
かゆ
)
を
喰
(
くは
)
せて
薬
(
くすり
)
とす。重きは山伏をむかへていのらす。(病をいのらする事源氏にも見えたる古風也。)
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
お
粥
(
かゆ
)
を
拵
(
こしら
)
えてこれを食い、其のうち年も果て正月となり、丁度元日で、元日に寝ていては年の始め縁起が悪いと、田舎の人は縁起を祝ったもので
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これも前と同じく、お
粥
(
かゆ
)
を
拵
(
こしら
)
えて、粥の量の四分の一か五分の一の納豆を加え、五分もしたら火からおろせばよい。
夜寒に火を囲んで懐しい雑炊
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
一方にオシノ婆さんは、少しばかり残っている米で
粥
(
かゆ
)
を作って喰べているが、近所の人が同情をして物を呉れても
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
粥
(
かゆ
)
を啜らせたりして、いたわってやるのと同じ理窟で、次に与える苦痛を、一層効果的にする手段に過ぎないのだ。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
腹這ひになつてお
粥
(
かゆ
)
を召上り乍ら
不圖
(
ふと
)
思ひ出したやうに「圭一郎はなんとしとるぢやろ」と言はれると、ひとり手にお父さまの指から箸が辷り落ちます。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
三度々々食物も満足に
咽喉
(
のど
)
に通らなかった。父親が商売に出たあとでは、清三がお
粥
(
かゆ
)
をこしらえたり、好きなものを通りに出て買って来てやったりする。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
われわれは
粥
(
かゆ
)
をすすりながら多くの斬新な人生理論をでっちあげたが、粥は浮かれ気分の有利さと哲学が要求する頭の良さとを兼ねそなえるものであった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
謡も鼓もあまり上手とも思われぬが、毎日午後の四時に
粥
(
かゆ
)
二椀を食って、然る後高砂一番を謡い、日が暮るゝと
灌水
(
かんすい
)
して床に入るのが、翁の常例だそうな。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
産婦の宮への御
粥
(
かゆ
)
、五十組の弁当、参会した諸官吏への
饗応
(
きょうおう
)
の
酒肴
(
しゅこう
)
、六条院に奉仕する人々、院の庁の役人、その他にまでも差等のあるお料理を交付された。
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
粥
(
かゆ
)
も今はのどを通らなくなって一週間を経たある日の午後、医務の主任が来て突然太田の監房の扉をあけた。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
一手は道筋の里々にて
松明
(
たいまつ
)
を出さしめ、後続する軍の便宜を与うべし、更に一手は長浜の町家に至り米一升、大豆一升宛を出さしめ、米は
粥
(
かゆ
)
に煮て兵糧となし
賤ヶ岳合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
次男の意外な元気の様子に、ほっと安心したのである。次男は、ものも言わず、猛烈な勢いで
粥
(
かゆ
)
を
啜
(
すす
)
り、憤然と梅干を頬張り、食慾は十分に旺盛のようである。
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
何という厭な、苦しい病気だろう! 晩になってようよう発作のおさまったところで、私は少しばかりの
粥
(
かゆ
)
を喰べた。梅雨前の雨が、同じ調子で、降り続いていた。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
うちの爺やがなんだか体の具合が悪いようなの。この頃は胸が痛いって、お
粥
(
かゆ
)
ばかり食べているのよ。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私は
木綿
(
もめん
)
の
厚司
(
あつし
)
に白い
紐
(
ひも
)
の前掛をつけさせられ、朝はお
粥
(
かゆ
)
に香の物、昼はばんざいといって野菜の煮たものか
蒟蒻
(
こんにゃく
)
の水臭いすまし汁、夜はまた香のものにお茶漬だった。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
枕元には、いま障子の破れ穴から飛び込んで来た三毛が、ぶるぶるっと
毛繕
(
けづくろ
)
いして、ものほしそうに鳴いていた。猫の鼻先には、
粥
(
かゆ
)
の土鍋と梅干の器物が置かれてあった。
蜜柑
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
デモ母親は
男勝
(
おとこまさ
)
りの気丈者、貧苦にめげない
煮焚
(
にたき
)
の
業
(
わざ
)
の片手間に一枚三厘の
襯衣
(
シャツ
)
を
縫
(
く
)
けて、身を
粉
(
こ
)
にして
掙了
(
かせ
)
ぐに追付く貧乏もないか、どうかこうか湯なり
粥
(
かゆ
)
なりを
啜
(
すすっ
)
て
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「ねんねんよう、おころりよ」と、彼女はつぶやく、「お
粥
(
かゆ
)
をこさえてあげましょう。……」
ねむい
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
“粥”の解説
粥(かゆ)は、米、麦、粟、ソバなどの穀類や豆類、芋類などを、多めの水で柔らかく煮た料理。粥の上澄み液は重湯(おもゆ)という。関西地方では「おかいさん」ともいう。
(出典:Wikipedia)
粥
漢検準1級
部首:⽶
12画
“粥”を含む語句
白粥
茶粥
粥杖
芋粥
小豆粥
固粥
七草粥
施粥
薄粥
粥鍋
稗粥
粟粥
粥腹
御粥
朝粥
玄米粥
粥釣
粥汁
粥節供
粥鶏卵
...