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砌
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みぎり
ふりがな文庫
“
砌
(
みぎり
)” の例文
あの夜逃がしてつかわす
砌
(
みぎり
)
、もしや重罪人であってはならぬと、のちのち迄の見覚えに、奴めの
頤
(
あご
)
に目印の疵をつけておいたのじゃ。
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
大正六年に京都行啓の
砌
(
みぎり
)
、京都市公会堂で、梅の木を配して鶯の初音をきいている享保時代の娘を
描
(
えが
)
きました。初音と題しました。
画筆に生きる五十年:――皇太后陛下御下命画に二十一年間の精進をこめて上納――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
付させられ
懷姙
(
くわいにん
)
し母お三婆の
許
(
もと
)
へ歸る
砌
(
みぎり
)
御手づから御
墨付
(
すみつき
)
と御
短刀
(
たんたう
)
を
添
(
そへ
)
て下し置れしが御懷姙の
若君
(
わかぎみ
)
は御
誕生
(
たんじやう
)
の夜
空
(
むな
)
しく
逝去遊
(
おかくれあそ
)
ばせしを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼の朝鮮征伐の
砌
(
みぎり
)
これは名産の薬用人参で
候
(
そろ
)
と朝鮮人に騙されそれを真に受けてこれこそ貴い朝鮮人参だと信じて携え帰ったものらしい。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
その
砌
(
みぎり
)
は、御ふびんと思召し、このかねにていかよう共、御始末たまわりたく、途上の仁人とおやくにん様方へ、おねがい申上げおきそろ
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
大抵
(
たいてい
)
此
(
これ
)
には
昔
(
むかし
)
の
名僧
(
めいそう
)
の
話
(
はなし
)
が
伴
(
ともな
)
つて
居
(
ゐ
)
て、いづれも
讀經
(
どきやう
)
の
折
(
をり
)
、
誦念
(
しようねん
)
の
砌
(
みぎり
)
に、
其
(
そ
)
の
喧噪
(
さわがし
)
さを
憎
(
にく
)
んで、
聲
(
こゑ
)
を
封
(
ふう
)
じたと
言
(
い
)
ふのである。
坊
(
ばう
)
さんは
偉
(
えら
)
い。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
家康の軍勢に大垣城が取囲まれ、落城する
砌
(
みぎり
)
の実状を、そのとき城中にあった、おあんという女の想い出話の記録であります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
また一挙の後、老中自訴の
砌
(
みぎり
)
、誰か惣代にならねば口上区々となって不都合を生ずる。これは、金君からかねて斎藤君へお願い申してある。
『七面鳥』と『忘れ褌』
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
かかる
砌
(
みぎり
)
にも思う人は出来るものぞとか、月いでて後の帰るさに、宵までは見ず知らずの男と女とが、肩をつらねて語りつつ行くもおかし。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
(高綱はなほ答へず。)その
砌
(
みぎり
)
、父が申しまするには、其方は叔父上のおん供して、今夕刻よりつゞいて出發いたせと……。
佐々木高綱
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「隣村萩原村慶長年暦御検地の
砌
(
みぎり
)
、皮田の者三人之由、此節にては多人数に相成、野山等苅込にて、本郷一統迷惑に及び」
特殊部落の人口増殖
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
幸い、先年長崎留学の
砌
(
みぎり
)
、蘭語少々は記憶いたしてござるほどに、それを種といたし、共々このターヘルアナトミアを読みかかろうではござらぬか
蘭学事始
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
万法蔵院の婢女が、息をきらして走って来て、何時もなら、許されて居ぬ無作法で、近々と、廬の
砌
(
みぎり
)
に立って叫んだ。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
ところが夏民藝館の田中洋子さんが九州帰省の
砌
(
みぎり
)
、土地の窯々を訪ねる旅に出たので、是非多々良に立寄ってもらうことを頼むのを忘れませんでした。
多々良の雑器
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
前田利家や浅野長政からも、又秀吉の後たるべき三好秀次からも、明年小田原征伐の
砌
(
みぎり
)
は兵を出して武臣の職責を尽すべきである、と云って来ている。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
秀次高野山で生害の
砌
(
みぎり
)
、介錯を勤めたのは篠部淡路守、刀は
浪游
(
なみおよぎ
)
と云う兼光の業物であったが、此の記事に依ると
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
晋の
趙簡子
(
ちょうかんし
)
の所から荘公に使が来た。衛侯亡命の
砌
(
みぎり
)
、及ばず
乍
(
なが
)
ら御援け申した所、帰国後一向に御挨拶が無い。
盈虚
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
万が一にも
雑兵
(
ぞうひょう
)
乱入の
砌
(
みぎり
)
などには
却
(
かえ
)
って
僧形
(
そうぎょう
)
の方が御一統がたの介抱を申上げるにも好都合かと思い返し、慣れぬ手に
薙刀
(
なぎなた
)
をとるだけのことに致しました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
不束
(
ふつつか
)
ながら行末は儒者とも
相
(
あい
)
なり家名を揚げたき心願にて有之候処、十五歳の春、父上は殿様御帰国の
砌
(
みぎり
)
御供廻
(
おともまわり
)
仰付
(
おおせつ
)
けられそのまま
御国詰
(
おくにづめ
)
になされ候に
依
(
よ
)
り
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は
日向
(
ひうが
)
國耳川(川口は神武天皇御東征の
砌
(
みぎり
)
其處から初めて船を出されたといふ美々津港になつてゐます)
樹木とその葉:31 故郷の正月
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
文化二年に武公
治紀
(
はるとし
)
が家督して、四年九月九日に十代目眞志屋五郎兵衞が先祖書を差し出した。「先祖儀御入國の
砌
(
みぎり
)
御供仕來元和年中引續」
云々
(
うんぬん
)
と書してある。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
吉原開基の
砌
(
みぎり
)
より寛永年中まで、吉原町の役目として、御評定所へ太夫遊女三人
宛
(
ずつ
)
、御給仕に上りし也。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
または軍人の妻女が良人出陣の
砌
(
みぎり
)
に痴情の涙を
湛
(
たた
)
えて離別を惜しむと、あるいは
潔
(
いさぎよ
)
く
袂
(
たもと
)
を別ちて奉公義勇の精神を
鼓吹
(
こすい
)
するとは、そのいずれか国家の富強に益あるか
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
それはかつて欧洲大戦の
砌
(
みぎり
)
、
遥々
(
はるばる
)
欧洲の戦場に参戦して不幸にも陣歿したわが義勇兵たちのため
建立
(
こんりゅう
)
してあった忠魂塔と、同じ形同じ大きさの記念塔をもう一つ作って
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すると築土は微笑したが、「その
砌
(
みぎり
)
たしか天草殿には、巻軸をお持ち出しなされた由で」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もっともこの速記本の
上梓
(
じょうし
)
されたは明治十七年、作者四十六歳の
砌
(
みぎり
)
であるから、すこんからんと派手に画面の大見得を切った芝居噺のころの構成とはよほど異なっていることだろう。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
そこには宮殿の楼閣が
参差
(
しんし
)
と列っていて、その間には珍しい木や草が花をつけていた。すこし行くと大きな殿堂がきた。それは白壁の柱で、
砌
(
みぎり
)
に青玉を敷き、
牀
(
こしかけ
)
には珊瑚を用いてあった。
柳毅伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
當初
御萱堂
(
ごけんだう
)
不幸之
砌
(
みぎり
)
、
存寄
(
ぞんじよ
)
らざる儀とは
申
(
まうし
)
ながら、拙者の身上共禍因と連係候故、報謝の一端にもと志候御世話も、此の如く相終候上は、最早債を
償
(
つぐの
)
ひ
劵
(
ふだ
)
を折候と同じく、何の
恩讐
(
おんしう
)
も無之
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
爺さんに聞いたら、果して其は事実であった。其後爺さんは湘南漫遊の
砌
(
みぎり
)
老父が
許
(
もと
)
に立寄って、八十八の旧患者は八十一の旧医師と互に白鬚を撫して五十年前崎陽の昔を語ると云う一幕があった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼の父親は、大坂城代部下の、一
勘定
(
かんじょう
)
役人であったが、お城修理の
砌
(
みぎり
)
、作事奉行配下の、腕自慢の侍と口論し、筋が立っていたので、その場は言い分を通したが、程経て、闇打ちに会ってしまった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
熊本藩横井平四郎、壮年の
砌
(
みぎり
)
諸国遊歴いたし、国々人物を尋ね
廻
(
めぐ
)
り、人材と彼らが目し候人に、その後名を挙げざる者はこれ無く、加州の長沼某と申す者ただ一人、その名
顕
(
あら
)
われざるよしに御座候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
与作病死の
砌
(
みぎり
)
より、
専
(
もつぱ
)
ら切支丹宗門に
帰依
(
きえ
)
致し、隣村の
伴天連
(
ばてれん
)
ろどりげと申す者方へ、繁々
出入
(
でいり
)
致し候間、当村内にても、右伴天連の
妾
(
てかけ
)
と相成候由、取沙汰致す者なども有之、兎角の批評絶え申さず
尾形了斎覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
取りましたが、その果合の
砌
(
みぎり
)
、綱手殿が、二人の中へ、割って入り、止めようとなされたのへ——過ち、と申そうより未熟、不覚、血迷っていたと申しましょうか、打ち込んだ刀が、止まらずに、急所へ斬込み——
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
おとなひて待つ
間
(
ま
)
は久し
檐板
(
のきいた
)
の影は
砌
(
みぎり
)
の
外
(
そと
)
に移りぬ
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
の
砌
(
みぎり
)
敢
(
あえ
)
なくも鉄の
門扉
(
とびら
)
を
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
燒け野つ原の
砌
(
みぎり
)
の上で
駱駝の瘤にまたがつて
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
そのほか
戰場
(
せんぢやう
)
の
砌
(
みぎり
)
は
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
「
大慈大悲
(
だいじだいひ
)
、
観世音
(
かんぜおん
)
。おなくなりの母ぎみも、あなたにお
疎
(
うと
)
しかろうとは存ぜぬ。が、その
砌
(
みぎり
)
、何ぞ怪我でもなさったか。」
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
着御
(
ちゃくぎょ
)
の、その夜は休んで、あくる日、道誉は隠岐ノ判官佐々木清高を
伴
(
ともな
)
って、御堂の縁の
砌
(
みぎり
)
に、二人してひざまずき
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『御した』というのは、主上ご食事の
砌
(
みぎり
)
ご正膳の外に、副膳を奉るのであるが、その副膳のことを称えるのである。
にらみ鯛
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
趣味の江戸ッ児はかくして常にこの唄にそそられ、建前のここかしこ、もしは祭りの日、物の催しの
砌
(
みぎり
)
など、折りおりにこれを聞いては盃の数もめぐる。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
「左様でござります。政高公御最期の
砌
(
みぎり
)
、お
傷
(
いた
)
わしくも
御遺骸
(
おんなきがら
)
に大切なものが缺けていらしった筈でござります」
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
桓武天皇崩御の
砌
(
みぎり
)
は、慟哭して起つ事が出来なかつたと伝へて居る。其血は、皇孫行平・業平にも引いて居る。
万葉集のなり立ち
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
万が一にも
雑兵
(
ぞうひょう
)
乱入の
砌
(
みぎり
)
などには
却
(
かえ
)
つて
僧形
(
そうぎょう
)
の方が御一統がたの介抱を申上げるにも好都合かと思ひ返し、慣れぬ手に
薙刀
(
なぎなた
)
をとるだけのことに致しました。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
引又
所持
(
しよぢ
)
の
鼻紙
(
はながみ
)
入が
殺害
(
せつがい
)
人の
傍邊
(
かたはら
)
に
落
(
おち
)
て在しと申が此儀は如何なるぞと
糺
(
たゞ
)
さるゝに九助は其儀は同日私し儀も金谷村の
法會
(
ほふゑ
)
の
席
(
せき
)
へ參り居り
混雜
(
こんざつ
)
の
砌
(
みぎり
)
鼻紙入を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ついこの春でござりました。念日様が
御弘法旁々
(
ごぐほうかたがた
)
御修行のお山の川を下って岩淵の宿へおいでの
砌
(
みぎり
)
、ついした事から割りない仲となりましたのでござります。
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
予には
比企
(
ひき
)
の判官
能員
(
よしかず
)
の娘若狹といへる
側女
(
そばめ
)
ありしが、能員ほろびし
其
(
その
)
砌
(
みぎり
)
に、
不憫
(
ふびん
)
や若狹も世を去つた。今より後はそちが二代の側女、名もそのまゝに若狹と云へ。
修禅寺物語
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
御臨終の
砌
(
みぎり
)
、
嫡子
(
ちゃくし
)
六
丸
(
まる
)
殿御幼少なれば、大国の領主たらんこと
覚束
(
おぼつか
)
なく思召され、領地御返上なされたき由、
上様
(
うえさま
)
へ申上げられ候処、泰勝院殿以来の忠勤を思召され
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
やつすとも、よも忘れはいたすまい。汝、市九郎と呼ばれし若年の
砌
(
みぎり
)
、主人中川三郎兵衛を
恩讐の彼方に
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
空しく門前の大木を打仰ぎ候て、幹の穴に五拾両有之候上は、時節到来の
砌
(
みぎり
)
は、如何なる浮世の楽しみも思ひのまゝなる身の上。別に急ぎ候には及ばぬ事と我慢致し月日を送り申候。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
砌
漢検1級
部首:⽯
9画
“砌”を含む語句
宗砌
其砌
梵砌
此砌
階砌