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きむすめ
ふりがな文庫
“
生娘
(
きむすめ
)” の例文
餅菓子店
(
もちぐわしや
)
の
店
(
みせ
)
にツンと
濟
(
す
)
ましてる
婦人
(
をんな
)
なり。
生娘
(
きむすめ
)
の
袖
(
そで
)
誰
(
たれ
)
が
曳
(
ひ
)
いてか
雉子
(
きじ
)
の
聲
(
こゑ
)
で、ケンもほろゝの
無愛嬌者
(
ぶあいけうもの
)
、
其癖
(
そのくせ
)
甘
(
あま
)
いから
不思議
(
ふしぎ
)
だとさ。
神楽坂七不思議
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時にやっと後家さんは、云い損ないに気が付いたらしく、
生娘
(
きむすめ
)
のように真赤になったが、やがて袖に顔を当てるとワーッと泣き出した。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
昔はどうだかわからねえが、当節はね、
生娘
(
きむすめ
)
のままで嫁にゆく女なんて、千人に一人、いや、五千人に一人もいやあしねえぜ。
赤ひげ診療譚:04 三度目の正直
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
憚
(
はばか
)
りながら妾はね、まだ立派な
生娘
(
きむすめ
)
さ、
聾者
(
つんぼ
)
のお六って聞いてごらん、神代原から萩原かけ、知らない人はありゃあしないよ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お此というのは、山城屋のひとり娘で、町内でも評判の
容貌
(
きりょう
)
好しであるが、どういうわけか縁遠くて、二十六七になるまで
白歯
(
しらは
)
の
生娘
(
きむすめ
)
であった。
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
先刻、耳に入れた話、何か預かり物の一件、
生娘
(
きむすめ
)
だとかお邸奉公だとか言っていたが、あれは何、それを種に使えまいか。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
売女なら売女でもいいわよ、あなただって
生娘
(
きむすめ
)
のくせに、お金欲しさに夕方になると色男のところへいらっしゃったじゃありませんか、その器量を
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
だが、色々試してゐるうち、孔雀の世間馴れた
素振
(
そぶり
)
が、これまで
初心
(
うぶ
)
な
生娘
(
きむすめ
)
でなかつた事を証拠立てて来た。草人は不安さうな目付をして
訊
(
たづ
)
ねた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
乙女心
(
をとめごゝろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、ああ、まだ口もきかれぬぼんやりした
薄紅
(
うすあか
)
い
生娘
(
きむすめ
)
、
乙女心
(
をとめごゝろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、まだおまへには話がなからう、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
よしておくれよ、お嬢さんなんて、私はもう、
生娘
(
きむすめ
)
じゃない、男のために、さんざんになった女だよ。おまけに、
癆咳
(
ろうがい
)
もちで、長生きのできない、女なんだよ。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
瑠璃子は
生娘
(
きむすめ
)
の様にソワソワして、どこか不安らしくさえ見えたが、その代り美しさは飛び切りであった。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
化粧のないゆき子の顔は、
蒼
(
あを
)
ざめてゐたが、女らしくて、昔の
生娘
(
きむすめ
)
には違ふなまめかしさを持つてゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
かれは決してきむすめ以外には手出しをしなかったし、
生娘
(
きむすめ
)
なればたいがい大丈夫だとも言っていた。
性に眼覚める頃
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
レヴィー・クールは、富裕閑散な中流市民階級の腐敗した
生娘
(
きむすめ
)
らと、いたってよく気が合っていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その時分にはいくら
淫奔
(
いんぽん
)
だといってもまだ肩や腰のあたりのどこやらに
生娘
(
きむすめ
)
らしい様子が残っていたのが、今では
頬
(
ほお
)
から
頤
(
おとがい
)
へかけて
面長
(
おもなが
)
の横顔がすっかり
垢抜
(
あかぬ
)
けして
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
莫連者
(
ばくれんもの
)
の大姐御でも、恋となれば
生娘
(
きむすめ
)
も同然。まるで人が変わったように、かいがいしく左膳の世話をする。何かぽっと、一人で顔をあからめることもあるのでした。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
生娘
(
きむすめ
)
の恋愛ぢやあるまいし、あんな男に二度と気まぐれを許すもんかといふ切ない矜りもあるにはあつたが、さうかと云つて、向うがあのまま黙つてゐるのでは、また
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
却
(
かえ
)
って当人をみすぼらしく、相手を引きたてるようなもので、加代子さんほどの清純な
生娘
(
きむすめ
)
でも、やっぱり聞き手に苦しい気持を与えるから、ヤキモチヤキの美しい鬼
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼女は枕もとの
火鉢
(
ひばち
)
の前へ、
生娘
(
きむすめ
)
がするように、つつましくすわって、はにかみながら話した。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
患者の中には良家の者らしい若い女性もゐたが、産婦人科へ
生娘
(
きむすめ
)
が来る
例
(
ため
)
しもすくなかつた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
おとよさんが人の妻でなかったらその親切を恋の意味に受けたかもしれないけれど、
生娘
(
きむすめ
)
にも恋したことのない省作は、まだおとよさんの微妙なそぶりに気づくほど経験はない。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
何
(
なに
)
より
先
(
さき
)
に
私
(
わたし
)
が
身
(
み
)
の
自墮落
(
じだらく
)
を
承知
(
しやうち
)
して
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
され、もとより
箱入
(
はこい
)
りの
生娘
(
きむすめ
)
ならねば
少
(
すこ
)
しは
察
(
さつ
)
しても
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さろうが、
口奇麗
(
くちぎれい
)
な
事
(
こと
)
はいひますとも
此
(
この
)
あたりの
人
(
ひと
)
に
泥
(
どろ
)
の
中
(
なか
)
の
蓮
(
はす
)
とやら
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この答へを
生娘
(
きむすめ
)
の口から引出すのは、錢形平次と
雖
(
いへど
)
も容易のことではありません。
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
門跡の寝室近く妙齢の
生娘
(
きむすめ
)
を臥せさせもらい、以て光彩
門戸
(
もんこ
)
に生ずと大悦びした。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
御嶽
(
おんたけ
)
の雪の
肌
(
はだ
)
清らかに、
石楠
(
しゃくなげ
)
の花の顔
気高
(
けだか
)
く生れ
付
(
つい
)
てもお辰を嫁にせんという者、七蔵と云う名を
聞
(
きい
)
ては山抜け
雪流
(
なだれ
)
より恐ろしくおぞ毛ふるって思い
止
(
とま
)
れば、
二十
(
はたち
)
を
越
(
こ
)
して痛ましや
生娘
(
きむすめ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
だけれど
生娘
(
きむすめ
)
でいた時より美しくはなっても、醜くはなっていない。その上どうしたのが男に気に入ると云うことは、
不為合
(
ふしあわせ
)
な目に逢った
物怪
(
もっけ
)
の
幸
(
さいわい
)
に、次第に分かって来ているのである。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
いや、たまたまこれはお粂の
生娘
(
きむすめ
)
であった証拠で、おとこおんなの契りを一大事のように思い込み、その一生に一度の晴れの儀式の前に目がくらんだものであろう、と言って見るものもある。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
破る
殊
(
こと
)
に世間見ずの千太郎と又相手は遊女とは云へまだ
生娘
(
きむすめ
)
も同樣なる小夜衣のことなれば
後先
(
あとさき
)
の
考
(
かんが
)
へも無く千太郎を招き
田舍
(
ゐなか
)
に
在
(
あり
)
ては見る事も成らぬ
斯
(
かゝ
)
る御人と
連理
(
れんり
)
の
契
(
ちぎ
)
りを
結
(
むす
)
ぶ嬉しさは身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
勤めの身でいてまるで
生娘
(
きむすめ
)
のような恋をしようとするのですからね。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
一、
生娘
(
きむすめ
)
の
袖
(
そで
)
誰が引いて雉の声 也有
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
お前が本当の
生娘
(
きむすめ
)
の倅と云うのだ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
氣の
狂
(
ふ
)
れやすい
生娘
(
きむすめ
)
暮らし
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
青地に金モールの
給仕服
(
ユニフォーム
)
が
身体
(
からだ
)
にピッタリと
吸付
(
すいつ
)
いているが、
振袖
(
ふりそで
)
を着せたら、お化粧をしなくとも坊主頭のまんま、
生娘
(
きむすめ
)
に見えるだろう。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「お紋かな? いや
異
(
ちが
)
う! 似ても似つかない
生娘
(
きむすめ
)
だ!」悩乱した頭脳にも感じられたのは、処女性を備えた豊満の肉体。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
生娘
(
きむすめ
)
が初夜をおそれるようなもので、そこを踏み越えればなんでもなくなるのだ、などというのであった。
初夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それから
乳母
(
ばあや
)
、七兵衛入道が押しつけられて来た南部の
生娘
(
きむすめ
)
のお喜代——番外としては、ほとんど監禁同様に船室に留められている兵部の娘、それだけのもので
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それに、
生娘
(
きむすめ
)
でもない彼女は、はしたなく悲鳴を上げる様なことはなかったけれど、でもやっぱり、いい知れぬ恐怖に胸の辺がビクビク震え出すのをどうすることも出来なかった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その両手といふのは、
従来
(
これまで
)
幾度か観音様を半殺しにした事があるので、仏様はそれが目につくと、急に
生娘
(
きむすめ
)
のやうに真青な顔になつて、
平素
(
ふだん
)
のたしなみも何も忘れてお
了
(
しま
)
ひになる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
他の一人は銀座の
或
(
ある
)
ダンスホールでクラリネットを吹いている音楽師を恋人にしていたが、あとの三、四人は年も二十になるかならず、手入らずの
生娘
(
きむすめ
)
だかどうだか、それは分らないが
心づくし
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
生娘
(
きむすめ
)
の役をしてる女優が「腐ったソースのような」鈍い声を出してると言ったり、花形女優が「ランプの
笠
(
かさ
)
のような」着物をつけてると言ったりした。——あるいはまた、夜会へ出かけた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
土蔵の中には大きな蛇が
祀
(
まつ
)
ってあるんだそうで……。それに三度の食物を供える。それには男の肌を知らない
生娘
(
きむすめ
)
でなければいけないというので、お通がその役を云い付けられたのでございます。
半七捕物帳:20 向島の寮
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その
生娘
(
きむすめ
)
のお園が、
脂
(
あぶら
)
ぎつた丹右衞門の餌になつて、夜となく晝となく毒々しいほどさいなまれ、一寸試し五分試しに
玩具
(
おもちや
)
にされてゐるのを見て、小半次はすつかり氣が變つてしまつたことだらう
銭形平次捕物控:209 浮世絵の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もとより箱入りの
生娘
(
きむすめ
)
ならねば少しは察してもゐて下さろうが、口奇麗な事はいひますともこのあたりの人に泥の中の
蓮
(
はす
)
とやら、
悪業
(
わるさ
)
に染まらぬ
女子
(
おなご
)
があらば、繁昌どころか見に来る人もあるまじ
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ヒソヒソと
匐
(
は
)
い進んで行くのであったが、そのうちに闇夜の草花の水っぽい、清新な
芳香
(
におい
)
が、
生娘
(
きむすめ
)
の体臭のように、彼の空腹に
泓
(
し
)
み透って来た。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
生娘
(
きむすめ
)
だ生娘だ、この女は! お紋とは
異
(
ちが
)
う、
全然
(
まる
)
で異う! ……胸の円さ、乳房のふくよかさ! ……そうして何んと清浄なんだ! ……見たこともない
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「おい、しっかりしろ」と彼は云った、「
生娘
(
きむすめ
)
だから遠慮をしていたんだ、それだけのこった、こんどこそ、力ずくでもものにしてみせるから見ていやあがれ」
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
気前と心意気にはうぶなところがまる残りなんだから掘出し物さ、いわば、
生娘
(
きむすめ
)
と、お部屋様と、お女郎と、
間男
(
まおとこ
)
とを、ひっくるめたような相手なんだから、近ごろ気の悪くなる
代物
(
しろもの
)
だあ。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
五十を越しても
生娘
(
きむすめ
)
のように肌を見せるのを嫌がったので、行く先々の
鍼灸
(
はりきゅう
)
治療師が困らせられる事が多かった。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あの
淫蕩
(
いんとう
)
な習慣からぬけだして、
生娘
(
きむすめ
)
のようにきりっとし、清潔な女になった。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
上様、あなたはお気の毒なお方、
瞞
(
だま
)
されているのでございます。田沼に、ええ、田沼の爺に! ……
妾
(
わたし
)
は
生娘
(
きむすめ
)
ではなかったのです。……妾の生娘は田沼めが……だのに上様はご存知なく、妾を
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
娘
常用漢字
中学
部首:⼥
10画
“生娘”で始まる語句
生娘漁