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猥
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みだ
ふりがな文庫
“
猥
(
みだ
)” の例文
猥
(
みだ
)
らな
仕草
(
しぐさ
)
は平気、
下卑
(
げび
)
た戯談はおかまひなしで、あたくしなぞ、そばにゐたたまれないやうなことが、しよつちゆうでございます。
緑の星
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
少し手を上げると、袖がまくれ落ちて、
肱
(
ひじ
)
の上まで
素肌
(
すはだ
)
だった。クリストフはそれを見て、見苦しいようなまた
猥
(
みだ
)
らなような気がした。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
通りかかると六、七名の兵が一人のみやびな
女性
(
にょしょう
)
をとらえ、必死な悲鳴もなんの、見るにたえぬ
猥
(
みだ
)
らな乱暴におよぼうとしておった
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世の中は
漸
(
ようや
)
く押詰って、人民安からず、去年は諸国に盗賊が起り、今年は
洛中
(
らくちゅう
)
にて
猥
(
みだ
)
りに兵器を携うるものを捕うるの令が出さるるに至った。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
帰りのおそい浅井を待っているお増の耳に、美しい
情婦
(
おんな
)
の笑い声が聞えたり、
猥
(
みだ
)
らな目つきをした、白い顔が浮んだりした。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
伝統を
猥
(
みだ
)
りに崩さぬためと思われます。もし今後醜いものが現れますなら、それは新しく試みた品物に限るでありましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「君は他人の娘を侮辱するつもりですか、富美子がそんな
猥
(
みだ
)
らな娘だということを親の私に面と向かって云うんですか」
花咲かぬリラ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
茶の湯の方式など全然知らない代りには、
猥
(
みだ
)
りに酔い
痴
(
し
)
れることをのみ知り、孤独の家居にいて、床の間などというものに一顧を与えたこともない。
日本文化私観
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それがあまりにしつこいのと
猥
(
みだ
)
りがましいのとで、帳場にいた金兵衛が聞き兼ねて、大きい声で長太郎を叱り付けた。
半七捕物帳:16 津の国屋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何しろ江戸一の大祭なので、当日は往来を止めて
猥
(
みだ
)
りに通行を許さず、
傍小路
(
わきこうじ
)
には
矢来
(
やらい
)
を結い、辻々には、
大小名
(
だいしょうみょう
)
が
長柄
(
ながえ
)
や槍を出して厳重に警固する。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
雨はまた一としきり硝子窓を
撲
(
う
)
つ、淋しい秋の雨と風との間に
猥
(
みだ
)
りがましい子守女の声が絶えてはまた聞えて来る。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
こうして手前
供
(
ども
)
がお茶屋へ奉公いたしておりますのをどうやら好きこのんで
猥
(
みだ
)
らな事でもいたすように仰有いますが、まアお聞きなすって下さいまし。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼らは家に妻子を蓄え、口に
腥膻
(
なまぐさ
)
を
啖
(
くら
)
い、私に髪を剃り
猥
(
みだ
)
りに法服をつけて、形は沙門の如きも心は屠児すなわちエトリに似たものであると云っている。
牛捨場馬捨場
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
予壮時諸方のサーカスに随い行きし時、黒人などがほめき盛りの牝牡猴に種々
猥
(
みだ
)
りな事をして示すと、あるいは喜んで注視しあるいは
妬
(
ねた
)
んで騒ぐを毎度
睹
(
み
)
た。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
猥
(
みだ
)
りに刀を抜き敵に狙撃せられた例が少なくない。そうすれば指揮刀なるものは自然必要なくなる。日本軍人が指揮刀を腰にするのはどうも私の気に入らない。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
惚
(
ほれ
)
っぽくて、物の道理もわからないのが、此時代の江戸の市井に、幾多の物語と伝説とを作ったことは事実で、芝居と絵本と、
猥
(
みだ
)
らな話で、娘をこう教育した
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この外藩政に関係する役人の詰所は、この御次ぎを離れた場所にそれぞれあって、それらの役人はこの御次ぎへは
猥
(
みだ
)
りに一歩も踏み入ることを許されていない。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
古来、仏教では「法を
猥
(
みだ
)
りに
冒
(
おか
)
したものは、その罪、死に値す」とまで
誡
(
いまし
)
めておりますが、この意味において、私もおそらく、死に値する一人でありましょう。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
さうかと思ふとまたの日は急に朗らかで、いそ/\して来て、どこから探し出して来たか、古風な
猥
(
みだ
)
らな絵巻物をかの女にそつと拡げかけるやうなこともあつた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
それが近年高山植物保護指定地になって、
猥
(
みだ
)
りに採取することを禁じて以来、またぽつぽつ目に入るようになったから、幾年かの後には面影を恢復するであろう。
白馬岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
その時お前たちが芝生で腰を下して休んでいたら、やはり近くで休んでいた労働者風の男が二・三人、明らかに
故意
(
わざ
)
と聞えるような声で
猥
(
みだ
)
らな話を交していたろう。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
百万の
烝民
(
じようみん
)
善
(
よ
)
くこの神を拝するときは死後生を波羅葦増雲の楽園に
享
(
う
)
く。然るに、耳目あれども此神を知らず、
猥
(
みだ
)
りに神徳を
害
(
そこな
)
ふものは、即ちいんへるのの苦淵に沈む。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
結婚というものはごく打ち解けた
公
(
おおやけ
)
の祝いであり、
淳朴
(
じゅんぼく
)
な祝宴は家庭の尊厳を汚するものではなく、たといそのにぎわいは度を越えようと、
猥
(
みだ
)
らなものでさえなければ
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
と
独言
(
ひとりごと
)
をいいながら元の座敷へ参りましたが、忠義も度を
外
(
はず
)
すと
却
(
かえ
)
って不忠に
陥
(
お
)
ちて、お米は決して主人に
猥
(
みだ
)
らな事をさせる積りではないが、
何時
(
いつ
)
も嬢様は別にお
楽
(
たのし
)
みもなく
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
永らく英国に暮していた私は、見知らぬ他人から
猥
(
みだ
)
りに言葉をかけられるのを快く思わなかった。
殊
(
こと
)
に態度が気に入らない。私はムッとして相手の顔を視詰めた。男は肩をすぼめて
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
しかるに久保さん、病院の他の人々は
猥
(
みだ
)
らな、卑しい眼で二人を見ました。そしていろいろな不愉快な事情の後に、お絹さんは私の室にもはや訪れられないことになってしまいました。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
そして彼が去らうとした時、眼の前にあつて手に取るやうに
猥
(
みだ
)
らな高声の聞こえて来る和蘭屋敷の二階に女の叫び声が聞こえて、けたゝましい
跫音
(
あしおと
)
と同時に大きな菊の鉢が窓から落ちた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
「暑い、暑い。」と
腰紐
(
こしひも
)
を取る。「暑いんだもの。」とすらりと脱ぐ。その
皓
(
しろ
)
さは、雪よりもひき
緊
(
しま
)
って、玉のようであった。お
侠
(
きゃん
)
で、
凜
(
りん
)
としているから、いささかも
猥
(
みだ
)
りがましい処がない。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かの
墻
(
かき
)
を越えて
奔
(
はし
)
るなどの
猥
(
みだ
)
りがましき類ならねば、
将
(
は
)
た何をか包み
秘
(
かく
)
さんとて、
頓
(
やが
)
て東上の途中大阪の親戚に立ち寄らんとの意を
洩
(
も
)
らしけるに、さらばその親戚は
誰
(
た
)
れ町名番地は
如何
(
いか
)
になど
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
夏のある夕べ、かの雑居房の四人がひとしきり
猥
(
みだ
)
らな話に興じたあげく、そのうちの一人が、いきなり四ツんばいになって動物のある時期の姿態を真似ながら、げらげらと笑い出したのを見た時には
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
肉
(
ししむら
)
の
香
(
か
)
に
倦
(
う
)
める
猥
(
みだ
)
らなる
頬
(
ほ
)
のほほゑみに。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
見兼
(
みかね
)
たりけん客人には餘程
草臥
(
くたびれ
)
しと見えたり
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
勝手
(
かつて
)
に休み給へ今に家内の者共が
大勢
(
おほぜい
)
歸り來るが
態々
(
わざ/\
)
起
(
おき
)
て
挨拶
(
あいさつ
)
には及ばず明朝まで
緩
(
ゆる
)
りと
寢
(
ねら
)
れよ
夜具
(
やぐ
)
は
押入
(
おしいれ
)
に
澤山
(
たくさん
)
ありどれでも勝手に着玉へ
枕
(
まくら
)
は
鴨居
(
かもゐ
)
の上に
幾許
(
いくつ
)
もありいざ/\と進めながら
奧座敷
(
おくざしき
)
は
差支
(
さしつか
)
へ有れば是へは
猥
(
みだ
)
りに
這入
(
はいり
)
給ふな此儀は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
小宰相はしいんと眸を澄まして、そういう能登の
猥
(
みだ
)
らな唇を憎むように
睨
(
ね
)
めかえした。ぱっと紅葉をちらした顔でもない。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現にゆうべの祈祷の休息のあいだに、彼はお姫様をとらえて
猥
(
みだ
)
らなことを云い出した。実に言語道断の
不埒
(
ふらち
)
である。
半七捕物帳:26 女行者
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それから話の花が咲いて、あることないこと、果ては聴くに忍びないような
猥
(
みだ
)
りがましい噂に落ちて、ドッと笑う。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
機嫌のいい時には、これまで口にしたこともなかった、
猥
(
みだ
)
らな
端唄
(
はうた
)
の文句などを
低声
(
こごえ
)
で
謡
(
うた
)
って、一人で
燥
(
はしゃ
)
いでいた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
肉欲的な陰険な輝いた眼で、
狡猾
(
こうかつ
)
そうな横目を使い、あらゆる冗談を待ち受け、あらゆる
猥
(
みだ
)
らな話を拾い取り、どこかで男の心を
釣
(
つ
)
ろうとつとめていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
惚
(
ほれつ
)
ぽくて、物の道理もわからないのが、この時代の江戸の市井に、幾多の物語と傳説とを作つたことは事實で、芝居と繪本と、
猥
(
みだ
)
らな話で、娘をかう教育した
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして隠岐ではその「
名
(
みょう
)
」の数に制限があって
猥
(
みだ
)
りにそれを殖やさぬ慣例であったと見え、間脇のものが百姓に仲間入りするにはその株を買う必要があったのだ。
間人考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
むしろときによると身のこなしをことさら
猥
(
みだ
)
らがましくして相手の注意にこたえるようでさえあった。
蛮人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この蝮は平生頭のみ露わして体を沙中に埋め、その烈毒を
憑
(
たの
)
んで
猥
(
みだ
)
りに動ぜず。人畜近くに及び、わずかに首を
擡
(
もた
)
ぐ。人はもとより馬もこれに咬まるれば数時の後
斃
(
たお
)
る。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
在営期間も最も有利に活用すべく、幹部候補生の特別教育は極めて合理的であるが、
猥
(
みだ
)
りに将校に任命するのは同意し難い。除隊当時の能力に応ずる階級を附与すべきである。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
他人に見られるやうなところで、どんな必要の場合でも肌を脱いだり、
裾
(
すそ
)
をからげたりは決してしなかつた。兄弟同志の間では、なほ更それは
猥
(
みだ
)
らなものを見るやうに嫌つた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
その村に伝わる一定の形や作り方があり、また好んで用いる材料も
定
(
き
)
まっていて、凡てが伝統的な仕事だと知れる。式を
猥
(
みだ
)
りにくずさないから、背後には遠い歴史が重なるのであろう。
蓑のこと
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
入口に林区署員の外
猥
(
みだ
)
りに入る
可
(
べか
)
らずという意味のことが立てかけた板に書いてある。去年は見なかったものだ。
已
(
や
)
むを得ないから片隅を借用することにした。田部君は夕食の支度にかかる。
釜沢行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
というとぞっとするような
猥
(
みだ
)
らがましい
流眄
(
ながしめ
)
をつかいながら
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
乗円 咄、此
老狐
(
らうこ
)
、
猥
(
みだ
)
りに愚民を
誑
(
たぶ
)
らかし居るな。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
新開
(
しんかい
)
の
街
(
まち
)
は
鏽
(
さ
)
びて、色赤く
猥
(
みだ
)
るる屋根を
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
猥
(
みだ
)
らな厭らしいものゝ限りであつた。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
たとえ、太守のおことばがあろうとも、兵器をたずさえて動くからには、兵部や他の重臣たちの同意ないうちに、
猥
(
みだ
)
りに、立ち
噪
(
さわ
)
ぐことは相成らぬ
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
猥
漢検1級
部首:⽝
12画
“猥”を含む語句
猥褻
淫猥
猥歌
卑猥
猥雑
猥談
婬猥
醜猥
猥本
猥画
鄙猥
猥雜
猥漢
花園猥入不可
痴言猥歌
猥雑放縦
俗猥
猥語
猥言
閭巷猥瑣
...