“煉瓦:れんが” の例文
“煉瓦:れんが”を含む作品の著者(上位)作品数
海野十三10
寺田寅彦10
泉鏡花8
夢野久作7
夏目漱石6
“煉瓦:れんが”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語13.5%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行2.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語2.0%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
壁は煉瓦れんがだろうが、外部は一面の灰色で、中には日のとおりそうもない、薄暗い空気をたたえるごとくに思われた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたしたちは黄いろの実習服じっしゅうふくて、くずれかかった煉瓦れんが肥溜こえだめのとこへあつまりました。
イーハトーボ農学校の春 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
葉子はわざと宿で車を頼んでもらわずに、煉瓦れんが通りに出てからきれいそうな辻待つじまちをやとってそれに乗った。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
先生の説によると、こんなに古い燈台が、まだ残っているそばに、偕行社かいこうしゃという新式の煉瓦れんが作りができた。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この死滅した昔の栄華と歓楽の殿堂の跡にこんなかよわいものが生き残っていた、石や煉瓦れんがはぽろぽろになっているのに。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
いくらデモクラシーが世界に瀰漫びまんしても、ルビーと煉瓦れんがの欠けらとが一つになるか、と、どなりたくなった。……
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
自身は僅かに残した庭園の片隅の図書館に、粗末な赤煉瓦れんがの煙突を取付けて住み込んで、通勤の家政婦を一人置いていた。
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
湾内に入りかけると、津軽半島に相対した松前方面へつらなる丘の上に、トラピスト男子修道院の赤煉瓦れんがの建物がみえる。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
鉄筋の残骸ざんがいや崩れ墜ちた煉瓦れんがや無数の破片や焼け残って天を引裂こうとする樹木は僕のすぐ眼の前にあった。
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
壁の上方の狭い風窓から空気もかよい明るみもさし、煉瓦れんがの仕切りで分かたれているが、まるい低い扉で通行ができる。
死刑囚最後の日 (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
鋼線はりがねはりを持ち、橋がペンキぬりになって、黒塀が煉瓦れんがかわると、かわず、船虫、そんなものは
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
家は旧式赤煉瓦れんが造りの天井の高い平屋建で、狭い門口かどぐちや縦長い窓口には蔦蔓つたかずらが一面にまつわり附いていた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その音楽の神といえば、見たまえ、この硝子窓がらすまどの向うに見える、下の外科室の屋根を隔てた煉瓦れんが造りを。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、「煉瓦れんが」と呼ばれた、東京唯一の歩道時代からのいろ/\のうつりかわりにはまた語るべきことも多い様である。
新古細句銀座通 (新字新仮名) / 岸田劉生(著)
そのなかには、煉瓦れんがつくつたいつつのしつのある漢時代かんじだいはかがありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
砂利を敷き詰めた門内の坂もかなり長く、二階建ての、暖炉の赤煉瓦れんが煙突が三本も四本も屋根の上に突き出ている。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
私の記憶の中から高い赤煉瓦れんがの建物の二階に並んだ窓の二つが、ぎらぎらと夕陽に輝いて現れて来るようである。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
考古学教室は、五区の左側にある赤い煉瓦れんがづくりの古風な二階建であって、まわりには銀杏樹いちょうとポプラとがとりまいていた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
翌日の午後の公園は、炎天の下に雲よりは早く黒くなって人が湧いた。煉瓦れんが羽蟻はありで包んだようなすさまじい群集である。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「荘田さんですか。それじゃあの停留場のぐ前の、白煉瓦れんがの洋館の、お屋敷がそれです。」と、小僧は言下に教えてれた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
各室は皆赤い煉瓦れんがで敷かれていて、それは毎週洗われ、また寝台の前には藁で編んだむしろが置かれていた。
うぐいすに似て少し渋味しぶみの勝ったつばさに、胸はくすんだ、煉瓦れんがの色に似て、吹けば飛びそうに、ふわついている。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
煉瓦れんがやアスファルトの所はすべらないのに、適当にどろの皮膜をかぶった人造石だとなかなかよくすべる。
日常身辺の物理的諸問題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
荒廃したその翼部のうちに、鉄格子のついた窓をとおして、煉瓦れんが造りの本館のこわれた室々がのぞき見られる。
二、三人自動車でき殺してから、又煉瓦れんがを掘りかえして工事をはじめるよりも、めい/\の命が無事なうちに願い度いものである。
丸の内 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
出口でぐち煉瓦れんがかべに、かせぎ人夫にんぷ募集ぼしゅうのビラがられていました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
たがいちがいの煉瓦れんがの急な切阿きりずまが上についてる十五世紀式の壁に沿って百歩ばかりも行くと、彼は大きな弓形の石門の前に出た。
翌日の午後の公園は、炎天の下に雲よりは早く黒く成つて人がいた。煉瓦れんが羽蟻はありで包んだやうなすさまじい群集である。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
この絵ハガキの道庁の写真には「赤煉瓦れんが古風床しき」と書いてあるのだが、いつ建ったものか聞きもらした。
下は芝生の底から、三方煉瓦れんがへいに囲われた一間余いっけんよの高さに至るまで、何も見えない。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼等の周囲にあるものは、はてしない雪の曠野こうやと、四角ばった煉瓦れんがの兵営と、撃ち合いばかりだ。
渦巻ける烏の群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
街の小道の上に煉瓦れんが積みのトンネルが幅広く架け渡され、その上は二階家のようにして住んでいるらしい。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
わずかに二坪あまりのその部屋は寝台代りの炕の外は煉瓦れんがを敷いた土間で、卓が一つ、入口にあせた棉門帘メンメンレンが垂れている。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
そこにある広場にはけやきや桜の木がまばらに立っていて、大規模な増築のための材料が、煉瓦れんがや石や、ところどころに積み上げてあった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
あるいはまた、粉々にくずれた煉瓦れんが堆積たいせきからむくむくと立派な建築が建ち上がったりする。
映画の世界像 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
もっともその煉瓦のうえには、立派な絨緞じゅうたんいてあったが、それは小さくて、本棚の下は煉瓦れんがだけがむき出しになっていた。
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
爆撃されているところは、煉瓦れんがなどが、ボールほどの大きさにくだかれ、天井裏てんじょううら露出ろしゅつし、火焔かえんに焦げ
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼が一けんの家をじっと見ている中に、その家は、彼の眼と頭の中で、木材と石と煉瓦れんが漆喰しっくいとの意味もない集合に化けてしまう。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
英領植民地のシンガポーアの、マレーストリートとバンダストリートとの二街に、赤色煉瓦れんがの三階建ての長屋が両側二町余にわたって続いていた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
道ばたにところどころ土饅頭どまんじゅうがあって、そのそばに煉瓦れんがを三尺ぐらいの高さに長方形に積んだ低い家のような形をしたものがある。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
一里四方の城壁で、漆喰しっくい煉瓦れんが瀝青チャンとをもって、堅固に造られているのである。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ちょうど、そこには、たけぼうや、ちかかったくいのようなものや、れた煉瓦れんがなどがかさねられてあって
親木と若木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
騒ぎの跡を見に行ったら、京町一丁目のある店の鎧扉の下りた鉄格子の間に煉瓦れんがが押し込んであった。
生い立ちの記 (新字新仮名) / 小山清(著)
たね子は紋服もんぷくを着た夫を前に狭い階段を登りながら、大谷石おおやいし煉瓦れんがを用いた内部に何か無気味ぶきみに近いものを感じた。
たね子の憂鬱 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
御維新後、煉瓦れんが焼きが流行はやった際に、村から半道ばかりかみの川添いの赤土山を、村の名主どんが半分ばかり切り取って売ってしまった。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
生物学会は、同じ大学構内の、青いツタのおいしげった古めかしい煉瓦れんがづくりの建物の中にあった。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
伊曾はその反対側の赤煉瓦れんがの兵営の蔭を、紫色に染まりながら大股おおまたに歩いてやつて来た。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
暗黒やみの中に恐ろしい化物かなんぞのようにそそり立った巨大な煉瓦れんが造りの建物のつづいた、だだッ広い通りを、私はまた独りで歩き出した。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
向う側は古い禅寺の杉の立木が道路の上へ覆いかかり、煉瓦れんが造りの便所の上まで枝を垂れていた。
三階の家 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
家並が大抵土蔵造りだったので、京橋の向うの銀座の新しい煉瓦れんがの街に比べてわるく陰気な大通。
日本橋附近 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
町もつじも落ち葉が散り敷いて、古い煉瓦れんがの壁には血の色をしたつたがからみ、あたたかい日光は宮城の番兵のかぶとに光っておりました。
先生への通信 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
鉄柵と云うのは、ホンの腰位の高さの煉瓦れんがの柱の間に、やはり同じ位の高さでめぐらしてあるので、飛越えるには大した造作はないのです。
計略二重戦:少年密偵 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
くずれかかった煉瓦れんが肥溜こえだめの中にはビールのようにあわがもりあがっています。
イーハトーボ農学校の春 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
狭い小路こうじの左右は煉瓦れんがへいで、ちょっと見ると屋敷町のように人通りが少い。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
煉瓦れんがの大きな門の前には、弟の宗蔵や三吉が迎えに来ていて、久し振で娑婆しゃばの空気を呼吸した時の心地こころもちは、未だ忘れられずにある。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
たのしそうな音楽おんがくこころのうきたつようなうたにききほれるだけで、煉瓦れんがのかべをへだてて、そこには、どんな世界せかいがあるのか
はたらく二少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小屋の外に煉瓦れんがと石で組んだ即席かまどがあり、煮炊きをするようになっているが、そこに石油罐せきゆかんを掛け、買って来たぼろ布を入れて煮る。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
煤煙ばいえんでまっ黒にすすけた煉瓦れんが壁の陰に汽車がまると、中からいちばん先に出て来たのは、右手にかのオリーヴ色の包み物を持った古藤だった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
いつだか銀座のある時計屋の飾窓の硝子を悪漢あっかん煉瓦れんがたたき破って、その中にあった二万円の金塊きんかいを盗んで行ったことがあります。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
赤い煉瓦れんがづくりであり二階の両側にはブロンズの人像も決してまずいものではない。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
二人は玄関に立ちました。玄関は白い瀬戸せと煉瓦れんがで組んで、実に立派なもんです。
注文の多い料理店 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ガランとした煉瓦れんが建てのうまやのみが、真昼の直射を浴びて立っているばかりです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
右側にビール会社の煉瓦れんがの建物がからびた血のような色をしてそびえていた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
茶の間から植込と塀越しに、お隣の古風な煉瓦れんが造りの赤いがっちりした煙突が見える。
四次元漂流 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ふるくからいし煉瓦れんが家屋かおくつくつた外國がいこくなどでは
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
浅草諏訪町の河岸にて木造の外だけを飾りに煉瓦れんがに積みしなれば、暗くして湿りたり。
良夜 (新字新仮名) / 饗庭篁村(著)
くろい木立。百姓家。街道。そして青田のなかに褪赭たいしゃ煉瓦れんがの煙突。
城のある町にて (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
煤煙に汚れた赤煉瓦れんがの建物が、重々しく麦畑の上に、雄牛のように横たわっていた。
汽笛 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
塚のやや円形まるがた空虚うつろにして畳二ひら三ひらを敷くべく、すべて平めなる石をつみかさねたるさま、たとえば今の人の煉瓦れんがを用いてなせるが如し。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これにペンキあるいは煉瓦れんがの色彩を対時せしめるのは余りに無謀といわねばならぬ。
同時に三介のうしろにある煉瓦れんがの壁がやみを通して燃えるごとく光った。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
赤い煉瓦れんが造りの壁面を蔦蔓つたづるがたんねんにい繁ってしまっている。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
長い廊下の行手に、沢山の鉄格子の窓を持った赤い煉瓦れんがの建物がつッ立っていた。
独房 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
この力は大変強いので、北満ほくまんでは煉瓦れんが造りの家屋がそのために崩壊したり、それよりも困るのは、鉄道線路に凹凸おうとつが出来て汽車が走れなくなる。
「地面にはすっかり煉瓦れんがが敷いてあるんでね、それほど骨を折らずにすみましたよ。煉瓦のあいだのこけを調べたんだが、動かされていないことがわかったのです」
また江州のかわら屋根に、煉瓦れんがの所をわざわざ二つに割っておく家がある。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「なんだって?」課長は頭をイキナリ煉瓦れんがなぐられたような気がした。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
石造や煉瓦れんが造り建築の伝統によって育てられた欧州建築家の目には、木材や竹を用いるわが日本式建築法は建築としての部類に入れる価値はほとんどないように思われる。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
炉のすみ煉瓦れんがの上に、酒のはいった小さい土瓶どびんが置いてある。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
——山上の煉瓦れんがの中から、不意に一群の看護婦たちがくずした。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
窓の外は病院の中庭で、そこに外郭がいかく煉瓦れんがで囲った手術室がある。
夕張の宿 (新字新仮名) / 小山清(著)
へやのゆかは煉瓦れんがが半分くずれた上を掘りかえしたようなていさいでした。
マリユスが借りてるへやには、とにかくどうにか煉瓦れんがが敷いてあった。
葉子は窓のほうに頭を向けて、煉瓦れんがの通りの上にぼうっと立つの照り返しを見やりながら、夜風にほてった顔を冷やさせて、貞世を抱いたまま黙ってすわり続けていた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
煉瓦れんがの鋪道の片隅に、二銭のコマを売っている汚れたお爺さんがいた。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
震災以後の銀座には昔の「煉瓦れんが」の面影はほとんどなくなってしまった。
銀座アルプス (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
料理場の跡らしい煉瓦れんがかまどの崩れたのもそのままになっていた。
雑記(Ⅱ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
江川がその反射炉を立てる時に最も苦心したのは煉瓦れんがでありました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
人々はあの壁に石や煉瓦れんがめて美しい模様を出すことを好む。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
と、片側の赤煉瓦れんがの、寮舎——ニコライ寺の学寮——の窓から、讃美歌がれて来て、オルガンの合奏もきこえだしたので、美妙斎は錦子をかかえるようにして歩き出した。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「あかくなっているのは煉瓦れんがの塀です。そう見えるでしょう……」
或る少女の死まで (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ここはおそらく明治時代における文明開化の発祥地で、またその中心地帯であったらしく、均平の少年期には、すでに道路に煉瓦れんがの鋪装が出来ており、馬車がレールの上を走っていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
三平は風呂場の裏にまわって積んである煉瓦れんがを一ツ取り上げた。
黒白ストーリー (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
上流の赤岩に煉瓦れんがを積んで行く船が二そうも三艘も竿を弓のように張って流れにさかのぼって行くと、そのかたわらを帆を張った舟がギーとかじの音をさせて、いくつも通った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
そして鉄格子は、酸化した肱金ひじがねの上にめったに開閉された様子も見えず、石のかまちに厚い錠前で固定してあり、錠前は赤くびて、大きな煉瓦れんがのようになっていた。
そこには大きい煉瓦れんがづくりの店がならんでいると言った。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
見ると、向うには真青な空と赤い煉瓦れんがへいがあった。
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
並木路のつきるところ、正面に赤い化粧煉瓦れんがの大建築物。
逆行 (新字新仮名) / 太宰治(著)
その周囲に監獄然たる煉瓦れんがの壁をめぐらして外界との連絡を絶つのを見ても、人間には相互に排斥する本能のいちじるしく存していることが知れるが、かかる根性が生まれながらに存する間は
動物の私有財産 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
煉瓦れんが石材を用いるやや永続的な様式は移動できないようにしたであろう、奈良朝ならちょう以後シナの鞏固きょうこな重々しい木造建築を採用するに及んで実際移動不可能になったように。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)