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渠
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かれ
ふりがな文庫
“
渠
(
かれ
)” の例文
それから
硯友社
(
けんいうしや
)
の傾向に私が同化することが出来なかつたことを説く条に、『その癖、
渠
(
かれ
)
は渠等と共通な感傷性を脱し切れなかつた』
エンジンの響
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
韻文には
適
(
む
)
かぬから小説を書いて見ようと思ふと云ふのが
渠
(
かれ
)
の癖で、或時其書かうとして居る小説の結構を竹山に話した事があつた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その信仰や極めて
確乎
(
かっこ
)
たるものにてありしなり。海野は熱し詰めて
拳
(
こぶし
)
を握りつ。
容易
(
たやす
)
くはものも得いはで唯、唯、
渠
(
かれ
)
を
睨
(
にら
)
まへ詰めぬ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
も勤め此家の
番頭
(
ばんとう
)
と
呼
(
よば
)
れたる
忠
(
ちう
)
八と云者
何時
(
いつ
)
の程にかお熊と
人知
(
ひとし
)
らぬ中となりけるが母のお常は是を知ると雖も其身も
密夫
(
みつぷ
)
有
(
ある
)
故
(
ゆゑ
)
に
渠
(
かれ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
この原野全體が
濕地
(
ヤチ
)
であるのだから、その全體を乾燥させる爲めの大排水工事をしない以上は、
渠
(
かれ
)
が動かす鍬さきから、不毛の濕りが
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
▼ もっと見る
渠
(
かれ
)
はよろめいたが、また座に直り、しばらくして、今度は十分に警戒しながら、先刻の問いを繰返した。今度は棒が
下
(
お
)
りて来なかった。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
一八〇
あはれかの女召して問はせ給へ。助、武士らに向ひて、県の
真女子
(
まなご
)
が家はいづくなるぞ。
一八一
渠
(
かれ
)
を押して
捕
(
とら
)
へ来れといふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
日本の現時の教育家や宗教家がこれらの科学的知識を欠くため
渠
(
かれ
)
らの手に成る救済事業が往々無用の徒労に終るを遺憾とし
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
而して彼は此冒頭を結びて曰く「文章は事業なるが故に
崇
(
あが
)
むべし、吾人が頼襄を論ずる、即ち
渠
(
かれ
)
の事業を論ずるなり」と。
人生に相渉るとは何の謂ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
兼好が人に代って
鹽谷
(
えんや
)
の妻に送るの
文
(
ふみ
)
に比するも、人の感情を動かすの深き決して
渠
(
かれ
)
に劣らざる可し、是も亦他に非ず其の文の
直
(
たゞち
)
に
言
(
ことば
)
を写せばなり
松の操美人の生埋:01 序
(新字新仮名)
/
宇田川文海
(著)
舟歌畢りしとき、主婦は我に對ひて、君は歌ひ給はずやと問ひぬ。われ、さらば即興の詩一つ試みばやと答へぬ。
四邊
(
あたり
)
には
渠
(
かれ
)
は即興詩人なりと
耳語
(
さゝや
)
く聲す。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「今日は。ああさうか。君は日本人か。君はドクトルSを知つてゐるか。
渠
(
かれ
)
は戦争まへに僕の友達ぢやつた」
接吻
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
これは小千谷の下た町といふ所の
酒楼
(
しゆろう
)
に
居
(
を
)
る
酌採
(
しやくとり
)
の
哥妓
(
げいしや
)
どもなり、
岩居
(
がんきよ
)
朋友
(
はういう
)
と
計
(
はか
)
りて
竊
(
ひそか
)
に
此
(
こゝ
)
に
招
(
まねき
)
おきて
余
(
よ
)
に
興
(
きやう
)
させん
為
(
ため
)
とぞ。
渠
(
かれ
)
は狐にあらずして
岩居
(
がんきよ
)
に
魅
(
ばか
)
されたるなり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
阿部侯が宴を設けて群臣を召しても、独り蘭軒は
趨
(
おもむ
)
くことを要せなかつた。わたくしはこれを読んでビスマルクの事を憶ひ起す。
渠
(
かれ
)
は一切の燕席に列せざることを得た。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
読者若し
渠
(
かれ
)
が楠河州を詠じたるの詩を読まば如何に勤王の精神が渠の青年なる脳中に
沸々
(
ふつ/\
)
たるかを見ん。渠をして
此処
(
こゝ
)
に至らしめたるものは何ぞや。嗚呼是れ時勢なるのみ。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
もってか
酬
(
むく
)
いん。弾丸硝薬これ
膳羞
(
ぜんしゅう
)
。客なお
属饜
(
しょくえん
)
せずんば、よし宝刀をもって
渠
(
かれ
)
が頭に加えん
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
思ひあたることが無いでもない、人に迫るやうな
渠
(
かれ
)
の筆の
真面目
(
しんめんもく
)
は斯うした
悲哀
(
あはれ
)
が伴ふからであらう、斯ういふ記者も
亦
(
ま
)
たその為に
薬籠
(
やくろう
)
に親しむ一人であると書いてあつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
帝曰く、
渠
(
かれ
)
みずから
焚死
(
ふんし
)
すと。孝孺曰く、成王
即
(
もし
)
存せずんば、何ぞ成王の子を立てたまわざるやと。帝曰く、国は
長君
(
ちょうくん
)
に
頼
(
よ
)
る。孝孺曰く、何ぞ成王の弟を立てたまわざるや。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その子諸父に謀りていわく、われ聞く、里中葛秀才、天性よく記すと、
渠
(
かれ
)
、昨わが家を
過
(
よぎ
)
り、かつてこの籍を閲す、あるいはよく記憶せん、なんぞ情をもって叩かざるや、と。
失うた帳面を記憶力で書き復した人
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
彼は暴風の如く来り暴風の如く去った、予は独り
渠
(
かれ
)
の為に一夜の弔宴を張ってやる。渠も又予の為に役立ってくれた一人である。平安あれ沢田の魂の上に平安あれ。(三、四)
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
渠
(
かれ
)
のいふ所によると、これでも
舊
(
もと
)
は「
大政
(
たいまさ
)
」ともいはれた名たたる棟梁の
悴
(
せがれ
)
である。
もつれ糸
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
且つ今人の作詩、亦た未だ嘗て出処なきはあらざるも、
渠
(
かれ
)
自ら知らざるのみ、若し之が箋注を為さば、亦た字字出処あらん、但だ其の悪詩なるを妨げざるのみ。(老学庵筆記、巻七)
放翁鑑賞:07 その七 ――放翁詩話三十章――
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
ナニ己は婦人などに眼はくれぬ、
渠
(
かれ
)
は魔である化物であるなんかと力んでいらッしゃる方もありますが、その遊ばすことを
窃
(
そっ
)
と伺って見ますると矢ッ張り人情と申すものは変りません
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
村の
紳縉王子良
(
しんしんおうしりょう
)
という者の世話になったことを思いだして、自分は今こんなに栄達しているが、
渠
(
かれ
)
はまだ官途につまずいていて昇進しないから、一つ引きたててやらなくてはならないと思って
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
渠
(
かれ
)
には、妻も子もなかつた
雲
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
挺刀一呼
(
ていたういっこ
)
、
渠
(
かれ
)
が魂を奪ふ
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しからざりし以前より、
渠
(
かれ
)
はこの僂麻質の持病に悩みて、
仮初
(
かりそめ
)
なる
俥
(
くるま
)
の上下にも、小幾、重子など、肩貸し、腰を抱きなどせしなり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今朝出社した時、此二人が何か
密々
(
ひそひそ
)
話合つて居て、自分が入ると急に止めた。——それが少なからず
渠
(
かれ
)
の心を悩ませて居たのだ。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
渠
(
かれ
)
がまだ故郷にゐた時、姉や友達につれられて、山へ
椎
(
しひ
)
の
實
(
み
)
を拾ひに行つたことが度々あるが、その椎の實の味を思ひ出す樣な味がする。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
ここに播磨の国
印南郡
(
いなみのこほり
)
七七
荒井
(
あらゐ
)
の里に、彦六といふ男あり。
渠
(
かれ
)
は袖とちかき
従弟
(
いとこ
)
の
因
(
ちなみ
)
あれば、先づこれを
訪
(
とぶら
)
うて、しばらく足を休めける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
渠
(
かれ
)
はここに来て軍医をもとめた。けれど軍医どころの騒ぎではなかった。一兵卒が死のうが生きようがそんなことを問う場合ではなかった。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
汲
(
くみ
)
て
參
(
まゐ
)
りし者は當時は拙者弟子なれども元は
師匠
(
ししやう
)
天道
(
てんだう
)
が弟子にて
渠
(
かれ
)
は師匠が未だ
佐渡
(
さど
)
の
淨覺院
(
じやうがくゐん
)
の持主たりし時門前に
捨
(
す
)
て有しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
女偊
(
じょう
)
氏は一見きわめて平凡な
仙人
(
せんにん
)
で、むしろ
迂愚
(
うぐ
)
とさえ見えた。悟浄が来ても別に
渠
(
かれ
)
を使うでもなく、教えるでもなかった。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
恰も我が力なく能なく弁なく気なきを罵るに似たり。
渠
(
かれ
)
は斯の如く我に徹透す、而して我は地上の一微物、渠に悟達することの
甚
(
はな
)
はだ難きは如何ぞや。
一夕観
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
一家の葛藤を処理するための
聊
(
いささ
)
かの金ですらが筆の
稼
(
かせ
)
ぎでは
手取早
(
てっとりばや
)
く調達しがたいのを
染々
(
しみじみ
)
と感じた
渠
(
かれ
)
は、「文学ではとても駄目だ。
金儲
(
かねもう
)
け、金儲け!」
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
我等は
凝息
(
ぎやうそく
)
して行くほどに、一英人の導者と共に歸り來るに逢ひぬ。
渠
(
かれ
)
、汝等の間に英人ありやと問ふに、われ、無しと答ふれば、一聲
畜生
(
マレデツトオ
)
と叫びて過ぎぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
これは小千谷の下た町といふ所の
酒楼
(
しゆろう
)
に
居
(
を
)
る
酌採
(
しやくとり
)
の
哥妓
(
げいしや
)
どもなり、
岩居
(
がんきよ
)
朋友
(
はういう
)
と
計
(
はか
)
りて
竊
(
ひそか
)
に
此
(
こゝ
)
に
招
(
まねき
)
おきて
余
(
よ
)
に
興
(
きやう
)
させん
為
(
ため
)
とぞ。
渠
(
かれ
)
は狐にあらずして
岩居
(
がんきよ
)
に
魅
(
ばか
)
されたるなり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
華麗の辞、美妙の文、幾百巻を遺して天地間に止るも、人生に
相
(
あひ
)
渉
(
わた
)
らずんば是も亦空の空なるのみ。文章は事業なるが故に崇むべし、吾人が
頼襄
(
らいのぼる
)
を論ずる即ち
渠
(
かれ
)
の事業を論ずる也。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
予は自らひどく
蔑
(
さげす
)
んでいる、二五八九・四・二八の清水三十六は愚かな貪欲家である。人々は
渠
(
かれ
)
の面に唾をかけて通るがよい。今は午前二時だ。麦酒を呑んで寝る。明日は又良き日があるだろう。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
小親
行
(
ゆ
)
きて、泣く泣く小六の
枕頭
(
まくらもと
)
にその恐しきこと語りし時、
渠
(
かれ
)
の
剛愎
(
ごうふく
)
なる、ただ
冷
(
ひやや
)
かに笑いしが、われわれはいかに悲しかりしぞ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遂
(
つい
)
今迄その感情の満足を
図
(
はか
)
らなかつた男だけに、言ふ許りなき不安が、『男は死ぬまで
孤独
(
ひとりぼつち
)
だ!』といふ
渠
(
かれ
)
の
悲哀
(
かなしみ
)
と共に、胸の中に乱れた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
買ひて歸りがけ
直
(
すぐ
)
に
笠原粂之進
(
かさはらくめのしん
)
の
方
(
かた
)
へ行き
夜前
(
やぜん
)
の火付は原町の煙草屋喜八と云ふ者なり
今朝
(
こんてう
)
私し煙草を
買
(
かひ
)
候時
渠
(
かれ
)
が布子の
縞
(
しま
)
能
(
よ
)
く
似
(
に
)
たれば心を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いつもの通り、案内なしであがつて行き、氷峰の二階の室のふすまを明けると、
渠
(
かれ
)
とお鈴とがびツくりして、ひらき直つた。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
今の細君が大きい
桃割
(
ももわれ
)
に結って、このすぐ下の家に娘で居た時、
渠
(
かれ
)
はその
微
(
かす
)
かな琴の
音
(
ね
)
の
髣髴
(
ほうふつ
)
をだに得たいと思ってよくこの八幡の高台に登った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
遠方から見ると小さな
泡
(
あわ
)
が
渠
(
かれ
)
の口から出ているにすぎないようなときでも、実は彼が
微
(
かす
)
かな声で
呟
(
つぶや
)
いているのである。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
渠
(
かれ
)
は「油地獄」の主人公の如く癡愚無明なりしものなるか。余は、しかく信ずること能はず。彼の文、彼の識、世間の道法を弁ぜざるものとは認め難し。
心機妙変を論ず
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
優美よりは快活、柔順よりは才発、家事よりは社交、手芸よりは学術というが女に対する
渠
(
かれ
)
の註文であった。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
我は
諛
(
へつら
)
はんことを欲せず。又藝術は我等の批評もて輕重すべきものにあらず。されど我は夫人に告げんとす。夫人よ、
渠
(
かれ
)
の即興詩をいかなる者とか思ひ給ふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
人々を見てあやしげにまもりたるに、真女子もまろやも此の人を
二七五
背
(
そがひ
)
に見ぬふりなるを、翁、
渠
(
かれ
)
二人をよくまもりて、あやし、此の
邪神
(
あしきかみ
)
、など人をまどはす。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
江河
(
こうが
)
潔清
(
けつせい
)
なれば女に
佳麗
(
かれい
)
多しと
謝肇淛
(
しやてうせつ
)
がいひしも
理
(
ことはり
)
なりとおもひつゝ
旅宿
(
りよしゆく
)
に
帰
(
かへ
)
り、
云々
(
しか/″\
)
の事にて
美人
(
びじん
)
を
視
(
み
)
たりと
岩居
(
がんきよ
)
に語りければ、岩居いふやう、
渠
(
かれ
)
は人の知る美女なり
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
渠
漢検準1級
部首:⽔
12画
“渠”を含む語句
溝渠
船渠
渠奴
暗渠
張横渠
大溝渠
小渠
大渠
渠女
渠等
出渠
泥渠
車渠
入渠
溝渠鼠
渠門
集合溝渠
渠槽
渠輩
渠水
...