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毛脛
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けずね
ふりがな文庫
“
毛脛
(
けずね
)” の例文
宗近君は脱いだ両袖をぐるぐると腰へ巻き付けると共に、
毛脛
(
けずね
)
に
纏
(
まつ
)
わる
竪縞
(
たてじま
)
の
裾
(
すそ
)
をぐいと
端折
(
はしお
)
って、同じく
白縮緬
(
しろちりめん
)
の
周囲
(
まわり
)
に畳み込む。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
牛飼いの若者はその火に
毛脛
(
けずね
)
を焼かれながら、悲鳴を挙げて飛び起きると、無我夢中に
高這
(
たかば
)
いをして、裏手の方へ逃げ出そうとした。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
毛脛
(
けずね
)
が大の字を書いている。胸は、はだけているし、
涎
(
よだれ
)
は畳にベットリだ。鼻から
提灯
(
ちょうちん
)
を出していないのがまだしもの寝顔であった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして教授の長い脛をズボン下から
剥
(
む
)
き出すと、商売ものの懐中電灯をさっと照らしつけて、教授の
毛脛
(
けずね
)
をまざまざと検視した。
大脳手術
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
島野は持余した様子で、苦り切って、ただ
四辺
(
あたり
)
を見廻すばかり。多磨太は藁草履の片足を脱いで、砂だらけなので
毛脛
(
けずね
)
を
擦
(
こす
)
った。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
パリパリパリッ! と、うずら目天井板の真ン中が割れたかと思うと、太い
毛脛
(
けずね
)
が一本、ニュウッ! と長くたれさがって来た。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その
傍
(
そば
)
で
半襦袢
(
はんじゅばん
)
の
毛脛
(
けずね
)
の男たちが、
養蚕
(
ようさん
)
用の
円座
(
えんざ
)
をさっさっと水に浸して勢いよく洗い立てる。
空
(
から
)
の高瀬舟が二、三
艘
(
ぞう
)
。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
毛脛
(
けずね
)
を手で叩きながらみんなを
睨
(
にら
)
みまわした、「ふん、どいつもこいつも
田吾作
(
たごさく
)
づらあしてやがる、これからおれがちっとずつ
性
(
しょう
)
をつけてやるぜ」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「安心して下さい、ありゃ確かに男ですよ。
毛脛
(
けずね
)
が大変で——その上切り立ての
犢鼻褌
(
ふんどし
)
をして、威張って居ましたよ」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
折角
睡
(
ねむ
)
らうとすればもしもしと呼び起され、少しとろとろしたと思ふと、頭を
毛脛
(
けずね
)
で跳ね飛ばされなどして、
一寸
(
ちよつと
)
の
間
(
ま
)
も不自由な思ひをしないことはない。
茶話:08 大正十五(一九二六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『
脛押
(
すねおし
)
か。』と
轟大尉
(
とゞろきたいゐ
)
は
顏
(
かほ
)
を
顰
(
しか
)
めたが、
負
(
ま
)
けぬ
氣
(
き
)
の
大尉
(
たいゐ
)
、
何程
(
なにほど
)
の
事
(
こと
)
やあらんと
同
(
おな
)
じく
毛脛
(
けずね
)
を
現
(
あら
)
はして、
一押
(
ひとおし
)
押
(
お
)
したが、『あ
痛
(
い
)
た、たゝゝゝ。』と
後
(
うしろ
)
へ
飛退
(
とびの
)
いて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
しまい忘れた枕の上に、どっかと腰かけて男のように膝を立てて、首を鏡台につき出しているもの。男のようにと言えば、裸の足が男の
毛脛
(
けずね
)
のように毛深いもの。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
細い
毛脛
(
けずね
)
を風になびかせ、だんだら模様の古風な
水浴着
(
マイヨオ
)
を一着におよんだコン吉は、
蜘蛛
(
くも
)
の子のような小さい
紅蟹
(
べにがに
)
が這い廻る岩の上へ、腰を掛けたり立ち上ったり
ノンシャラン道中記:01 八人の小悪魔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
途中、阪急の夙川駅から、半ズボンの下に
毛脛
(
けずね
)
を見せた兄のキリレンコが乗って来て、車室の中の色彩にはっと眼を見張ったが、貞之助達の前へ来て
吊
(
つ
)
り革にぶら下りながら
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「左様、ここは空家でござる。……幽霊屋敷で通っている。外桜田の
毛脛
(
けずね
)
屋敷でござる」
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
足を洗って、三吉は涼しい風の来る表座敷へ行った。そこで畳の上に
毛脛
(
けずね
)
を投出した。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
さア、どうだと言わんばかりに
胡坐
(
あぐら
)
の腰をゆるがし、左手で
毛脛
(
けずね
)
をさすりあげた。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
こりゃ野郎のみえでするんじゃございません、さあ、この通り潔白、頭のてっぺんから、
毛脛
(
けずね
)
の穴まで見通しておくんなせえ、イカサマ、インチキは
卯
(
う
)
の毛ほどもございやせん、という
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
骨太で、しかももの凄い
毛脛
(
けずね
)
である。伸ばしたら二寸はあらうと思はれる真黒な太い毛が、脛骨の峯をさかひに渦を巻きながらひしめき合つてゐる。立派に行者ぐらゐは勤まりさうな脚である。
春泥:『白鳳』第一部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
風呂ぎらいだった和一郎の
毛脛
(
けずね
)
を考えて、伸子は笑い出した。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
のどぶえの飛び出た頸、骨ツぽい手足や
毛脛
(
けずね
)
にも移つた。
泡鳴五部作:01 発展
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
決して
胡坐
(
あぐら
)
をかいたり
毛脛
(
けずね
)
を出したりする事はない。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ころも、
腕
(
わん
)
に至り、
毛脛
(
けずね
)
が
濡
(
ぬ
)
れる。
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
硝子越しの夏の日が
毛脛
(
けずね
)
を照し
心の姿の研究
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
法師たちの高歯の下駄や
木履
(
ぼくり
)
が彼の背をふんづけた。牛若はくやしがって、その
毛脛
(
けずね
)
へしがみついたが、荒縄で
縛
(
くく
)
りあげられてしまった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いちばん明るい窓の下で、
毛脛
(
けずね
)
を撫でているところへ、例によって案内も
乞
(
こ
)
わず、友人の
鳴海三郎
(
なるみさぶろう
)
がぬっと入ってきた。
大脳手術
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
手の裏かえす無情さは、足も手もぐたりとした、烈日に裂けかかる氷のような
練絹
(
ねりぎぬ
)
の、紫玉のふくよかな胸を、
酒焼
(
さかやけ
)
の胸に
引掴
(
ひッつか
)
み、
毛脛
(
けずね
)
に挟んで
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「安心して下さい、ありや確かに男ですよ。
毛脛
(
けずね
)
が大變で——その上切り立ての
犢鼻褌
(
ふんどし
)
をして威張つてゐましたよ」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕は山賊のような
毛脛
(
けずね
)
を
露出
(
むきだ
)
しにした叔父と、
静御前
(
しずかごぜん
)
の
笠
(
かさ
)
に似た
恰好
(
かっこう
)
の
麦藁帽
(
むぎわらぼう
)
を
被
(
かぶ
)
った女二人と、黒い
兵児帯
(
へこおび
)
をこま結びにした弟を、縁の上から見下して
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と学士に言われて、子安は随分苦学もして来たらしい締った
毛脛
(
けずね
)
を
撫
(
な
)
でた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『
殘念
(
ざんねん
)
だな、よし。』と
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
忽
(
たちま
)
ち
毛脛
(
けずね
)
を
突出
(
つきだ
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
少々くらい
毛脛
(
けずね
)
でも人間の脚ならば
我慢
(
がまん
)
しますから。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
毛脛
(
けずね
)
屋敷の床の下に、大きな地下室が出来ていた。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
硝子越しの夏の日が
毛脛
(
けずね
)
を照し
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
左次郎は、この男のザラザラした
毛脛
(
けずね
)
も、日に焦けた皮膚も光る目も、すべて親切気に富んだ特質のように見えて、一ぺんに頼もしくなった。
醤油仏
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するすると向うへ流れて、横ざまに近づいた、細い黒い
毛脛
(
けずね
)
を
掠
(
かす
)
めて、蒼い水の上を
鴎
(
かもめ
)
が
弓形
(
ゆみなり
)
に大きく
鮮
(
あざや
)
かに飛んだ。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
橋本と余は、勢いよく
浴衣
(
ゆかた
)
を
抛
(
な
)
げて、競争的に
毛脛
(
けずね
)
を
突込
(
つっこ
)
んで、急に顔を見合せながら
縮
(
ちぢ
)
んだ事がある。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は自分の脚の
毛脛
(
けずね
)
を——いや、これはあのとき売物を買って取付けたものであるが、今はこれが自分の脛の第二世となっている——それを撫でるともなしに撫で始めたが
大脳手術
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
八五郎は寒空に
毛脛
(
けずね
)
を出し駈け出しさうにして居ります。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「賛成賛成」と
孰
(
いずれ
)
も疲れ切ったる
毛脛
(
けずね
)
を叩く。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
見ると、そこに一人の体の巨きな僧が、
毛脛
(
けずね
)
をだし、袖をたくしあげて、まるで土工のように真っ黒になって働いている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
する/\と
向
(
むか
)
うへ
流
(
なが
)
れて、
横
(
よこ
)
ざまに
近
(
ちか
)
づいた、
細
(
ほそ
)
い
黒
(
くろ
)
い
毛脛
(
けずね
)
を
掠
(
かす
)
めて、
蒼
(
あを
)
い
水
(
みづ
)
の
上
(
うへ
)
を
鴎
(
かもめ
)
が
弓形
(
ゆみなり
)
に
大
(
おほ
)
きく
鮮
(
あざや
)
かに
飛
(
と
)
んだ。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのうちに
総身
(
そうしん
)
の毛穴が急にあいて、
焼酎
(
しょうちゅう
)
を吹きかけた
毛脛
(
けずね
)
のように、勇気、胆力、分別、沈着などと号するお客様がすうすうと蒸発して行く。心臓が肋骨の下でステテコを踊り出す。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
八五郎は寒空に
毛脛
(
けずね
)
を出し駆け出しそうにしております。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「よくも——、ちイッ……」と死にものぐるい、
迂濶
(
うかつ
)
にのしかかった宅助の
毛脛
(
けずね
)
へ、
芒
(
すすき
)
の葉で切ったほどな
痕
(
あと
)
をつけた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ちと気が
狂
(
ふ
)
れて血相変り、取乱してはいるけれど、すらっとして中肉中脊、
戦慄
(
ぞっ
)
とするほど
美
(
い
)
い女さ。と
空嘯
(
そらうそぶ
)
いて
毛脛
(
けずね
)
の蚊をびしゃりと叩く
憎体面
(
にくていづら
)
。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
膝に
這
(
は
)
った頃の、
幼心
(
おさなごころ
)
に返って——形こそ皆、腕枕をかったり、足の裏を天井にあげたり、
毛脛
(
けずね
)
をむき出したりして、ごろごろ寝転んではいたが
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手の裏かへす無情さは、足も手もぐたりとした、
烈日
(
れつじつ
)
に裂けかゝる氷のやうな
練絹
(
ねりぎぬ
)
の、紫玉の、ふくよかな胸を、
酒焼
(
さかやけ
)
の胸に
引掴
(
ひっつか
)
み、
毛脛
(
けずね
)
に挟んで
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
抛
(
ほう
)
り出していた
毛脛
(
けずね
)
をひっ込めたり、横にしていた体を起して、
絃歌
(
げんか
)
ようやく盛んならんとする頃おい、小女が来て
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
縁のすぐ
傍
(
わき
)
に居て、ぐるりと
毛脛
(
けずね
)
を
捲
(
まく
)
ったなりで、真三に声を掛けたものがある。
言
(
ことば
)
つきで、軍人の
猛者
(
もさ
)
か、田舎出の紳士かと思われるが、そうでない。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
毛
常用漢字
小2
部首:⽑
4画
脛
漢検1級
部首:⾁
11画
“毛”で始まる語句
毛
毛氈
毛布
毛頭
毛唐
毛皮
毛繻子
毛孔
毛利
毛色