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昨夜
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ゆうべ
ふりがな文庫
“
昨夜
(
ゆうべ
)” の例文
おれは
昨夜
(
ゆうべ
)
あの
混血児
(
あひのこ
)
の女が
抛
(
はう
)
りこんだ、
薔薇
(
ばら
)
や
百合
(
ゆり
)
の花を踏みながら、わざわざ玄関まで下りて行つて、電鈴の
具合
(
ぐあひ
)
を調べて見た。
窓
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「そんな人聞きの悪い事を言っちゃいけない——
昨夜
(
ゆうべ
)
遅くまで
麻雀
(
マージャン
)
を付き合って、寝が不足のせいだろう、頭痛がして
敵
(
かな
)
わないんだ」
葬送行進曲
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
は
夜
(
よ
)
もすがら
靜
(
しづか
)
に
眠
(
ねぶ
)
りて、
今朝
(
けさ
)
は
誰
(
た
)
れより
一
(
いち
)
はな
懸
(
が
)
けに
目
(
め
)
を
覺
(
さま
)
し、
顏
(
かほ
)
を
洗
(
あら
)
ひ
髮
(
かみ
)
を
撫
(
な
)
でつけて
着物
(
きもの
)
もみづから
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りしを
取出
(
とりいだ
)
し
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
昨夜
(
ゆうべ
)
、あなたのお兄さんから
戴
(
いただ
)
いた金が、別に盗賊も入ったようにもないのに、そっくりなくなったのです、どうしたのでしょう」
白っぽい洋服
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
はお客様方がいらっしゃいますので、久しぶりで金庫からお出しになりましたの。早く見つかってくれれば、嬉しいと思いますわ
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
それだのに、今朝は、最初のひとつきが鳴る前に、
昨夜
(
ゆうべ
)
あんまり
秣
(
まぐさ
)
をふるいすぎたその疲れが出て、
椅子
(
いす
)
にかけたまま居眠りをした。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
一晩中思い続けていたお増は、朝になると、いくらか気が晴れて、
頭脳
(
あたま
)
のなかのもやもやした
妄想
(
もうそう
)
が、拭うように消えて行った。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「なんとどうでございます。声が悪くって節は附かぬが、新聞種には面白いよ。大方こんな事だろうと、
昨夜
(
ゆうべ
)
の
中
(
うち
)
に
拵
(
こせ
)
えておいた。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
テントはまだ手が着けられずに、
昨夜
(
ゆうべ
)
のままになっている。焚火は燃えている。人夫と一行の者とは、それぞれのことをしている。
烏帽子岳の頂上
(新字新仮名)
/
窪田空穂
(著)
あくる朝俊夫君は、
昨夜
(
ゆうべ
)
、叔父さん
宛
(
あ
)
てに書いたという手紙を投函してくると言って出かけたまま、
正午
(
ひる
)
頃まで帰ってきませんでした。
紅色ダイヤ
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
のことが気がかりなので、教会堂へ行っても上の空で
起
(
た
)
ったり膝まずいたりして、
弥撒
(
ミサ
)
もろくろく耳に入らなかったのである。
老嬢と猫
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「ああこの怪ったいな臭いですかいな。これ
昨夜
(
ゆうべ
)
からしてましたがな。さよう、十時ごろでしたな。おう今、えらいプンプンしますな」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
新聞配達 実は今朝早く女中さんに頼んだんですけど、みなさん
昨夜
(
ゆうべ
)
からお留守で、そんな話はわからないつていふもんですから……。
五月晴れ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「
昨夜
(
ゆうべ
)
のことは、みんな
夢
(
ゆめ
)
ではなかったか、あの
人
(
ひと
)
たちは、どうなったのだろう?」と、すずめは、
小
(
ちい
)
さな
頭
(
あたま
)
を
傾
(
かたむ
)
けて
思
(
おも
)
いました。
春になる前夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この記事を夕刊の佐賀版で見た時枝のおやじが、
昨夜
(
ゆうべ
)
のうちに佐賀から自動車を飛ばして来て、
今朝
(
けさ
)
暗いうちに僕をタタキ起したんだ。
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お前が
昨夜
(
ゆうべ
)
、あの二人の逃げ出すのを、気がつかなかったというのがおかしいわね、あの二人は当然ここを出て行くべき人なんだから
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そうですよ。
昨夜
(
ゆうべ
)
は私の所へ来て泊まりましたよ。
身体
(
からだ
)
が悪いからあなたに尼の戒を受けさせてほしいと言っておられましたよ」
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「わしに、手紙をよこした
昨夜
(
ゆうべ
)
の酔っぱらい、あれは、本位田又八というて、昔の友達なのだ。あの人に会ってもらいたいのだが」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おい
昨夜
(
ゆうべ
)
枕元で大きな音がしたのは、やっぱり夢じゃなかったんだ。泥棒だよ。泥棒が坂井さんの
崖
(
がけ
)
の上から
宅
(
うち
)
の庭へ飛び下りた音だ。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「細君」と「丸善」とは学校教員が住むでる世界の二大人格だが、蚤は
昨夜
(
ゆうべ
)
二人ともそれに
螫
(
さ
)
されて、とうと寝付かれなかつたからだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
の
豪雨
(
ごうう
)
は幸にからり
霽
(
は
)
れて、道も大抵乾いて居る。風が南からソヨ/\吹いて、「諸行無常」「是生滅法」の
紙幟
(
はた
)
がヒラ/\
靡
(
なび
)
く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
由「
昨夜
(
ゆうべ
)
は
些
(
ちっ
)
とも寝られませんでしたから、此処で昼寝をして顔を洗ってから、何か
誂
(
あつら
)
い物を致しましょう……姉さん何が出来るかい」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
先刻
(
さっき
)
突然
(
いきなり
)
這入ッて来て、今朝
慈母
(
おッか
)
さんがこうこう言ッたがどうしようと相談するから、それから
昨夜
(
ゆうべ
)
慈母さんが言た通りに……」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
Aは
昨夜
(
ゆうべ
)
ギンザ・シネマへいったので今日寝坊してしまったのです。大急ぎで学校へくる道で、学校の方から帰ってくるBに
逢
(
あ
)
いました。
誰が・何時・何処で・何をした
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
もっとあとだって、
昨夜
(
ゆうべ
)
は大財産をなすったなんて、財産と散財と、とんちんかんなのを、どうしても
得
(
え
)
とく出来なかったものさえある。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「
憤
(
おこ
)
らないでもいゝよ。でも周子、お前
昨夜
(
ゆうべ
)
はよく来たな。どうだい、お父さんが芸者に
惚
(
のろ
)
けてゐたところは、どうだ。……驚いたか。」
熱海へ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
、そうだ、この船での第二夜、一等の食堂で、期せずして私たちの間に童謡音楽会が開かれた。どうせみんなが酔っていた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
小母さんがにわかに黙ってしまったのは、眠いからばかりではなかったらしい。どういうことなのであろうかとしきりに考えてみる。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「
昨夜
(
ゆうべ
)
は
太
(
いと
)
う
軍
(
いくさ
)
のことに胸なやませていた
体
(
てい
)
じゃに、さてもここぞまだ
児女
(
わらわ
)
じゃ。今はかほどまでに
熟睡
(
うまい
)
して、さばれ、いざ呼び起そう」
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
「今日から始めて頂きましょうか。」準之助氏は、
昨夜
(
ゆうべ
)
と今朝と、新子と話をするごとに、よりふかく新子に満足してくれるらしかった。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
時々、番頭だの手代だのが、
眠
(
ねむ
)
そうな顔つきをして、
昨夜
(
ゆうべ
)
は持てたの振られたのと、こそ/\話をやって居るのを聞く事がある。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「すみちゃん。おれは
昨夜
(
ゆうべ
)
から急に何だか若くなったような気がしているんだ。昨夜だけでも
活
(
いき
)
がいがあったような気がしているんだ。」
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
平田さんから私んとこへ来た手紙の中で、
反故
(
ほご
)
にしちゃ、あんまり義理が悪いと思うのだけ、
昨夜
(
ゆうべ
)
調べて別にしておいたんだよ。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
よりも一層やつれている。色情狂じみた
眼
(
まなこ
)
の光! ふとその眼で認めたのは、衣裳乱れた若い女! 死んだように動かない一人の娘!
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「お! こちらの松島さんはよ、
昨夜
(
ゆうべ
)
、夜業をして
怪我
(
けが
)
をしてな。うんで病院のほうへ行ったからよ、そのつもりで心配しねえでいてくれ」
猟奇の街
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
垣根の外には村の小供等が
鼻汁
(
はな
)
を嘗めながら珍らしさうに眺めて居る。今度の洪水に就て、急に用事が出来たので
昨夜
(
ゆうべ
)
出で来たと云ふお話。
大野人
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
子爵は
昨夜
(
ゆうべ
)
の疲れでまだ寝ていた。しかし龍介のきたことを聞くと、寝不足な顔をこすりながら、起き出てきた。——それを見るより龍介。
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ところが、僕はあれでひどい目に逢っちまったんですよ。実は僕
昨夜
(
ゆうべ
)
浅草公園へ行ったのです」紋三は
極
(
きま
)
り悪そうにいった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
は僕の
枕頭
(
まくらもと
)
へも来た。
慣
(
な
)
れなければ、鼠だつて気味が悪いぢやないか。あまり不思議だから、今朝其話をしたら、奥様の言草が面白い。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼女は
昨夜
(
ゆうべ
)
よりもいい
服装
(
なり
)
をして、黒っぽい着物をきていたが、頭巾はもう被っていなかった。けれど、頸にはやはり何か巻きつけていた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
……
昨夜
(
ゆうべ
)
のおでんはうまかったナ……と思ったら、もういけません。……しみ/″\、かなしくなったわ、あたし、心の
住処
(
すみか
)
のないことが……
三の酉
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「そうですね。診断は僕もお上さんに同意します。
両側下顎脱臼
(
りょうそくかがくだっきゅう
)
です。
昨夜
(
ゆうべ
)
脱臼したのなら、直ぐに整復が出来る見込です」
カズイスチカ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
の座敷の様子が、
再
(
また
)
鮮かに私の目に浮んだ。然うだ、菊池君の住んで居る世界と、私達の住んで居る世界との間には、余程の
間隔
(
へだたり
)
がある。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
昨夜
(
ゆうべ
)
出されたきりで、ものも云えない宮口を今朝からどうしても働かさなけアならないって、さっき足で
蹴
(
け
)
ってるんだよ」
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
から変に心細い気がしてならない。こんな気のすることはこの島に来てからはじめてだ。不幸が近づいてくるような……
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
通りに臨んだ三階の明るい窓
硝子
(
がらす
)
に
日蔽
(
ひおひ
)
を
下
(
おろ
)
して、自分達は
昨夜
(
ゆうべ
)
の不眠を補ふ為に
倫敦
(
ロンドン
)
へ着いた第一日を昼過ぎまで寝て居ねば成らなかつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
かれは
昨夜
(
ゆうべ
)
も二人の涙が床を浸したことを思ひ起した。その涙を
禁
(
とゞ
)
めるためにすら二人は互ひに相抱かなければならなかつたことを思ひ起した。
浴室
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
林中のふくろうは、今夜は一人も泣いてはいませんでしたが
怒
(
おこ
)
っていることはみんな、
昨夜
(
ゆうべ
)
どころではありませんでした。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
お前がやれ量炭も買えんだのッて
八
(
や
)
か
間
(
ま
)
しく言うから
昨夜
(
ゆうべ
)
金公の家へ
往
(
い
)
って借りようとして
無
(
ない
)
ってやがる。それから直ぐ初公の
家
(
とこ
)
へ往ったのだ。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかし、
昨夜
(
ゆうべ
)
この人形のいた最初の位置が、もし扉口でなかったとしたら、昨夜はこの
室
(
へや
)
から、一歩も外へ出なかったと云うことが出来るのだよ
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
“昨夜”の意味
《名詞》
昨日の夜。
(出典:Wiktionary)
昨
常用漢字
小4
部首:⽇
9画
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
“昨夜”で始まる語句
昨夜来
昨夜処
昨夜方
昨夜一夜
昨夜一晩
昨夜間潭夢落花
昨夜雨爾将懲鴨