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めいせき
ふりがな文庫
“
明晰
(
めいせき
)” の例文
ところが一方の意志が薄弱なるときは、頭脳が
明晰
(
めいせき
)
なれば、先の先までも見えて心配の苦を増し、はなはだしく人を臆病ならしめる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
頭脳
明晰
(
めいせき
)
にして、組織だった宇宙観、人生観を有せる人である。
故
(
ゆえ
)
に彼の言う所は常に理性的にして、その論理は整然としておる。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
しかし司令は、がんらい頭の
明晰
(
めいせき
)
な人であったので、山岸中尉の話の中におごそかな事実のあるのを見てとり、中尉の願いをききいれた。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
例の崋山の力のある筆致で箱の裏に字句は忘れたがたしか短く二行ほどに書いてあったかと記憶する。勿論、印顆も
明晰
(
めいせき
)
に
捺
(
お
)
してあった。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてその男の話に充分の理解と最も
明晰
(
めいせき
)
な
洞察
(
どうさつ
)
をもって、今の社会の
如何
(
いか
)
に改造すべきや、現内閣の政治上の事に至るまで
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
我々はここに、「いき」と「いき」に関係を有する他の諸意味との区別を考察して、外延的に「いき」の意味を
明晰
(
めいせき
)
ならしめねばならない。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
A イヤ、あれは
本統
(
ほんとう
)
だよ
君
(
きみ
)
。ちやんと
新聞
(
しんぶん
)
に
書
(
か
)
いてあつた。それを
精密
(
せいみつ
)
に
記憶
(
きおく
)
してるのが
即
(
すなは
)
ち
俺
(
おれ
)
の
頭腦
(
づなう
)
の
明晰
(
めいせき
)
なる
所以
(
ゆゑん
)
さ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
人々は「しッ!」と叫んだ。そして皆黙った。楽長はなおちょっと待った。それから口を開いた。——(
明晰
(
めいせき
)
で冷やかでよく通る声だった。)
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あとになって
明晰
(
めいせき
)
な理性の保証するところによると、その無意識らしい状態にだけ関している記憶を、呼び起した短い、ごく短い時期があった。
落穴と振子
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
そこのところがちょっと
明晰
(
めいせき
)
に区別が立たないものだから、相手はばかのような気がするにもかかわらず、あまり与次郎の感化をこうむらない。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あなたはみごとに正確にいっさいのことを要約しましたね。あなたの考えかたはなんて驚くほど
明晰
(
めいせき
)
なんでしょう!」
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
僕は論文を書く場合に、言語をできるだけ
明晰
(
めいせき
)
にし、辞書が正解する通りの、最も普遍的な字義解によって使っている。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
口の利き方もいつものような
明晰
(
めいせき
)
を欠いていた。病勢のおそろしく増進して来た先生の内部には、生きようとする苦しい努力、はかない
悶
(
もだ
)
えがあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ところが男の
明晰
(
めいせき
)
確乎
(
かっこ
)
たる返答に出会って、その不思議な男はただ不思議なばかりで何らとらうべきところがないのを見た時、彼は自分の弱味を感じた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
頭脳の
明晰
(
めいせき
)
と相まって、その心は広く厚く、老成した君子のおもかげがある。広太郎ほどの人間でも、舞二郎には一目置き、むしろ
兄事
(
けいじ
)
しているのである。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
室内は
寂然
(
ひっそり
)
した。彼の言は、
明晰
(
めいせき
)
に、口
吃
(
きっ
)
しつつも
流暢
(
りゅうちょう
)
沈着であった。この独白に対して、汽車の
轟
(
とどろき
)
は、一種のオオケストラを聞くがごときものであった。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
結局十歳の
亀
(
かめ
)
さんや、試写会における児童の端的で
明晰
(
めいせき
)
なリマークに及ばざることはなはだ遠いようである。
生ける人形
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私はエレベーターの前まで戻って来た時、かれこれ五時に近く廊下の電灯が
点
(
つ
)
いたばかりの時間であった。にわかに頭脳が
明晰
(
めいせき
)
になりからだが軽快になった。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そして、船長にしろチーフにしろ、頭脳が
明晰
(
めいせき
)
なために、その地位を得たのではないことを知ったのだった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
明晰
(
めいせき
)
に書いてみようもないのではあったが、もしまだ出さなかった材料を出し、簡略に失した説明を少し詳しくしてみたら、あれほどにはあるまいというのが
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼の行文は
明晰
(
めいせき
)
で平明だ。言語学者の眼から見ると、
殆
(
ほと
)
んどスラヴ語のニュアンスを欠いているとさえ言われている。しかしその底には
怖
(
おそ
)
るべき漠然さがある。
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
立ち上がると、
明晰
(
めいせき
)
な言葉で、自分で作った詩を、少しばかり皆に披露するのを許してくれと言いました。皆が呆れたように微笑しながら、その許しを与える。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
一——自由な
明晰
(
めいせき
)
な
真摯
(
しんし
)
な眼、ヴォルテールや
百科全書派
(
アンシクロペジスト
)
らが、当時の社会の
滑稽
(
こっけい
)
と罪悪とを
素朴
(
そぼく
)
な視力によって
諷刺
(
ふうし
)
させんがために、パリーにやって来さした
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
そうしてこの結論は、特に実業界などに志す一部の青年の間には、さらにいっそう
明晰
(
めいせき
)
になっている。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
食事をとると、子供は見る見る元気になって、こちらの問うことには、非常に
明晰
(
めいせき
)
に何でも答えた。
夏の夜の冒険
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
この珍しい素直さを取戻してみると、それからのこの男の頭が驚くばかり
明晰
(
めいせき
)
なものとなりました。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それが
明晰
(
めいせき
)
に語られるならば、異端の
烙印
(
らくいん
)
を蒙るおそれは決して存しないわけではなかった。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
たゞ予習復習の奮励が教室でめき/\と眼に立つ成績を挙げるのを楽しみにした。よし頭脳が
明晰
(
めいせき
)
でないため
迂遠
(
うゑん
)
な答へ方であつても、答へそのものの心髄は必ず的中した。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
砲術家の出だけに
明晰
(
めいせき
)
な頭脳の持主でしたが、趣味があって、書道を
嗜
(
たしな
)
み、俳句を作り、水彩画をかいたり、園芸を楽しんだり、色々に趣味をもって自ら慰めて居りました。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
人間、九死一生の場合には
迚
(
とて
)
も頭が
明晰
(
めいせき
)
になるものだと聞いていたが、確かに然うだった。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
壁の一点を中心にしてその
周
(
まわり
)
へ尺平方ほどの円を描きながら、彼女はいっそう
明晰
(
めいせき
)
な口調で妙な繰り言をくどくどと並べ出した。聞いて行くうちに伝二郎は二度びっくりした。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
疑いもなく何人の模倣をもまたは追随をも許さぬ自律の美である。ただ朝鮮の内なる心を経由してのみあり得る美である。私は朝鮮の名誉のためにもこれらの事を
明晰
(
めいせき
)
にしたい。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
自分は偶然
輪郭
(
りんくわく
)
の極めて
明晰
(
めいせき
)
な古代の裸体像を思出した。クラシツク芸術の美麗を思出した。ベルサイユ
庭苑
(
ていゑん
)
の一斉に刈込まれた樹木の列を思ひ出した。わが作品も
此
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
くあれ。
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
寅二郎が、日本字なりと答えると、ウィリアムスは笑って、それは
唐土
(
もろこし
)
の字ではないかといった。ウィリアムスの
明晰
(
めいせき
)
な日本語と日本についての知識とが、寅二郎たちを
欣
(
よろこ
)
ばした。
船医の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
戦慄すべき、犯罪の天才、私は嫉妬に狂った、而かも肺結核という——
夫
(
そ
)
れは寧ろ患者の頭脳を病的にまで
明晰
(
めいせき
)
にする
傾
(
かたむき
)
のある所の——不治の
病
(
やまい
)
に
罹
(
かか
)
った、一人の暗い女を想像した。
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
永眠する数日前までも頭脳は
明晰
(
めいせき
)
で、息の通う間は一行でも余計に書残したいというほど元気
旺勃
(
おうぼつ
)
としていた精力家の
易簀
(
えきさく
)
は希望に輝く青年の死を
哀
(
かなし
)
むと同様な限りない恨事である。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それは一種不可思議な思いがけない平静の、最初の瞬間だった。彼の動作は正確
明晰
(
めいせき
)
で、その中には固い意図がのぞいていた。『今日だ、いよいよ今日だ!……』と彼はつぶやいた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
彼が公文書の
遒麗
(
しゅうれい
)
富贍
(
ふうせん
)
にして、
而
(
しか
)
も
指画
(
しかく
)
明晰
(
めいせき
)
なる、
而
(
しこう
)
してその措置の尋常に非ざる、決して
誣
(
し
)
ゆべからざるものありといえども、これを以て
真個
(
しんこ
)
の経世家カブールの手腕に比すれば
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
この日、先生
頗
(
すこぶ
)
る
心
(
こころ
)
能
(
よ
)
げに
喜色
(
きしょく
)
眉宇
(
びう
)
に
溢
(
あふ
)
れ、言語も
至
(
いたっ
)
て
明晰
(
めいせき
)
にして
爽快
(
そうかい
)
なりき。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
言語は非常に
明晰
(
めいせき
)
でニュアンスに富み、頭脳のみだれも思考の障害も感じさせないが、最近二十年間ぐらいの日本の社会事情に触れると当惑の色をあらわしてしどろもどろになってしまう。
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
頭脳の
明晰
(
めいせき
)
なことは確かとしてもその頭脳に自信をもちすぎた、人づき合いの悪い男、議論においてけっして
他人
(
ひと
)
に負けない男、たかだか強情我慢の
偏窟人
(
へんくつじん
)
としてしか知られていなかった。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その時のわずかな
明晰
(
めいせき
)
な言葉が、永久にわたしをこの世の人のかずから引き離してしまって、わたしは自分の手で自分の墓の
石蓋
(
いしぶた
)
をとじ、自分の手で自分の牢獄の門をとじたのでありました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
明晰
(
めいせき
)
な頭脳、胆力、識見、そして堂々たる風貌、すべてが群を抜いていた(筆者の所有する資料に白描の肖像が載っているが、それは英国の前首相ウインストン・チャーチル氏に瓜二つである)
半之助祝言
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一条忠衛氏が本年一月の『
六合
(
りくごう
)
雑誌』で
明晰
(
めいせき
)
に論断しておられます。
婦人改造の基礎的考察
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
我々の自己自身を、デカルトの如き意味において一つの実体と考えるならば、それにおいての内的事実として、いわゆる
明晰
(
めいせき
)
判明なる真理も、主観的たるを免れない。デカルトも
明
(
あきらか
)
にこれを意識した。
デカルト哲学について
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
美しい
怜悧
(
れいり
)
らしい言語の
明晰
(
めいせき
)
な女子である。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
彼らが凡人よりも早く事物の要点を見る
明晰
(
めいせき
)
の頭脳を有することは疑いなきも、また凡人の
窺知
(
きち
)
し得ざる苦労を
経
(
ふ
)
るのである。
光圀卿
(
みつくにきょう
)
の
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
打てば響くがごとく、塔十郎の答えは
明晰
(
めいせき
)
であった。だが、彼の言を信じれば、痴情でないと言った江漢老人の鑑定は根本から
覆
(
くつがえ
)
ってくる。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
非常
(
ひじやう
)
なもんだよ。
君
(
きみ
)
は
好
(
い
)
い
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いてくれた。
俺
(
おれ
)
の
頭腦
(
づなう
)
の
明晰
(
めいせき
)
を一
層確實
(
そうかくじつ
)
に
證據
(
しようこ
)
だてる
機會
(
きくわい
)
を
與
(
あた
)
へてくれた
事
(
こと
)
を
君
(
きみ
)
に
感謝
(
かんしや
)
するね。
待
(
ま
)
ちたまへ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
彼はゲルマン的な夢想に富めば富むほど、ラテン的な秩序と精神の
明晰
(
めいせき
)
とをますます要求した。それゆえフランスは彼にとって非常に貴重なものだった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
晰
漢検1級
部首:⽇
12画
“明”で始まる語句
明
明日
明瞭
明後日
明石
明朝
明白
明星
明方
明々