動機どうき)” の例文
けれども其真面目まじめは、単に動機どうき真面目まじめで、くちにした言葉は矢張好加減いゝかげん出任でまかせに過ぎなかつた。厳酷に云へば、嘘許うそばかりと云つてもかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
不味相まづさう容子ようすをしてはしるのは卯平うへいすべての場合ばあひつうじての状態じやうたいなので、おつぎのには格別かくべつ注意ちういおこさしむべき動機どうきひとつもとらへられなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そもそ此氷川このひがは境内けいだいひろつた一破片はへんいまでも保存ほぞんしてあるが)これが地中ちちう秘密ひみつさぐはじめた最初さいしよかぎで、石器時代せききじだい研究けんきうおもつた動機どうきとはなつたのだ。
さて只今ただいま申上もうしあげました不図ふととした動機どうきというのは、とし三浦みうら海岸かいがんおそった大海嘯おおつなみなのでございました。
そもそ硯友社けんいうしやおこつたについては、わたし山田美妙やまだびめうくん其頃そのころ別号べつがう樵耕蛙船せうかうあせんひました)と懇意こんいつたのが、動機どうきでありますから、一寸ちよつと交際かうさい大要たいえう申上まをしあげて置く必要が有る
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
屋内おくないはべつに取乱とりみだされず、犯人はんにんなにかを物色ぶっしょくしたという形跡けいせきもないから、盗賊とうぞく所為しょいではないらしく、したがつて殺人さつじん動機どうきは、怨恨えんこん痴情ちじょうなどだろうという推定すいていがついたが、さて現場げんばでは
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
建築けんちく耐震的考慮たいしんてきかうりよくはふるやうになつただい一の動機どうきは都市の建設である。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
さうです?——まじりけのない粗金あらがねきたな鐵屎かなくそよりも遙かにいゝよ。あなたは私を疑つてるやうですね。私は自分を疑つてはゐない。私は、自分の目的が何か、動機どうきが何かといふことは知つてゐます。
という気持にしかけられたことが動機どうきを成している。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
動機どうきは、たんに哲学上の好奇心からこともあるし、又世間せけんの現象が、あまりに複雑ふくざつ色彩しきさいを以て、かれあたまを染めけやうとあせるからる事もあるし
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ただ一つここで御披露ごひろうしてきたいとおもいますことは、神馬しんめけんで……。つまり不図ふとした動機どうきから小桜神社こざくらじんじゃ神馬しんめが一とうあらたにわれることになったのでございます。
いまその動機どうきについてこゝろみに三要件えうけんげてよう。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
その日曜にちえうかれまた安井やすゐふた。それは二人ふたり關係くわんけいしてゐるあるくわいつい用事ようじおこつたためで、をんなとはまつた縁故えんこのない動機どうきから淡泊たんぱく訪問はうもんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
えて昭和しょうわねんはるいたり、彼女かのじょひとつの動機どうきから霊視れいしほかさら霊言れいげん現象げんしょうおこすことになり、本人ほんにんとはちがった人格じんかくがその口頭機関こうとうきかん占領せんりょうして自由自在じゆうじざい言語げんごはっするようになりました。
だい三の動機どうきは、科學の進歩である。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
ところがそれが偶然ぐうぜん御米およねのためにめう行爲かうゐ動機どうき構成かたちづく原因げんいんとなつた。過去くわこ週間しうかんをつと自分じぶんあひだおこつた會話くわいわに、不圖ふとこの知識ちしきむすけてかんが彼女かのぢよ一寸ちよつと微笑ほゝゑんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ今更いまさらながらかれ級友きふいうが、かれ侮蔑ぶべつあたひする以上いじやうのある動機どうきから、貴重きちよう時間じかんをしまずに、相國寺しやうこくじつたのではなからうかとかんがして、自分じぶん輕薄けいはくふかぢた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)