トップ
>
仰山
>
ぎょうさん
ふりがな文庫
“
仰山
(
ぎょうさん
)” の例文
ああ、なんとその鴻益は
仰山
(
ぎょうさん
)
なものにて、
荷衣白蓮
(
ホーイブレング
)
先生のわが世界に鴻業偉勲を顕わしたるは、驚き
入
(
いり
)
たることではありませんか。
禾花媒助法之説
(新字新仮名)
/
津田仙
(著)
またその色の変つた菊を、心あてに折らばやなどと
仰山
(
ぎょうさん
)
に出掛けて躬恒が苦心して折らんとしたるにや、笑止とも何とも申様がなく候。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「イヤイヤイヤイヤ」と大辻は
仰山
(
ぎょうさん
)
にその手を払いのけた。「探すのは、わしに
委
(
まか
)
せなさい。貸すくらいなら、壊した方がましだ」
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そんなよいところなら、一刻も早くやってもらいますわ。……わたし一人では淋しうおますよってに、
仰山
(
ぎょうさん
)
友達をつれてきます」
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
云いながら素早く山吹の手をギュッと握ったが、そこは
初心
(
うぶ
)
の娘である。「あれ!」と
仰山
(
ぎょうさん
)
な金切り声を上げ握られた手を振り
解
(
ほど
)
いた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
美和子は、わざと
仰山
(
ぎょうさん
)
なしかめっつらをして、低く笑ってみせた。前川は、不快なショックを感じて、云うべき言葉がなくなった。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「いいよ、知らせないでも。お秀なんかに知らせるのはあんまり
仰山
(
ぎょうさん
)
過ぎるよ。それにあいつが来るとやかましくっていけないからね」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あれ。……いやらしい」と、婆は
仰山
(
ぎょうさん
)
に、
男女
(
ふたり
)
を見くらべて、「まさかと思っていたら、なんてことなさるんですよ。人の
家
(
うち
)
でさ!」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天気がいいので女中たちははしゃぎきった冗談などを言い言いあらゆる
部屋
(
へや
)
を明け放して、
仰山
(
ぎょうさん
)
らしくはたきや
箒
(
ほうき
)
の音を立てた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
やれ理想、やれ人格、信仰だの
高尚
(
こうしょう
)
だのと、
看板
(
かんばん
)
さわぎばかり
仰山
(
ぎょうさん
)
で、そのじつをはげむの
誠心
(
せいしん
)
がない。
卑俗
(
ひぞく
)
な腹でいて議論に高尚がる。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
女ひとりを引っ立てて来るのに四、五人の
出張
(
でば
)
りはちっと
仰山
(
ぎょうさん
)
らしいが、庄兵衛の申立てによって奉行所の方でも幾分か警戒したらしい。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「あんた、
大須
(
おおす
)
の観音さんは賑かでなも。東京なら浅草のようだも。活動写真が
仰山
(
ぎょうさん
)
あって、店の小僧が毎晩行って困るわえも」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「いつ私が管を巻いたことがあります」と、小万は
仰山
(
ぎょうさん
)
らしく西宮へ膝を向け、「さアお言いなさい。外聞の悪いことをお言いなさんなよ」
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
佐助は何という意気地なしぞ男の
癖
(
くせ
)
に
些細
(
ささい
)
なことに
怺
(
こら
)
え
性
(
しょう
)
もなく声を立てて泣く
故
(
ゆえ
)
にさも
仰山
(
ぎょうさん
)
らしく聞えお
蔭
(
かげ
)
で私が叱られた
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ものを
仰山
(
ぎょうさん
)
に言って易水の寒さを咏じておるところを、俳句であっては極めて卑近に「根深の流れる」という事を以て軽くそれを叙しておる。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
今こそ帝国意匠会社などいふ
仰山
(
ぎょうさん
)
なものも出来たれ、凝つた
好
(
このみ
)
といへばこの中屋に極はまれり、二番息子の清二郎へ朝倉より雨を
衝
(
つ
)
いての
迎
(
むかえ
)
に
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
双方から出た
仰山
(
ぎょうさん
)
な脅し文句は沢山あったが、右の如く覚えやすくて口調のよい警句は、群衆心理を支配するに偉大なる効力があるものである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
この小さな町と自分のささやかな家とを訪れてきてくれて、無上の喜びと名誉とを得さしてくれた賓客にたいし、感動した
仰山
(
ぎょうさん
)
な祝杯を挙げた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「そして、大きな
大事
(
おおごと
)
、ちゅうのか。お前のいうこた、わかっちょる。
仰山
(
ぎょうさん
)
たらしいことばっかりぬかして、大体、人を
舐
(
な
)
めくさっちょるわい」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
大抵の女なら、別に美しいと思わないでもこうした場合に、「まあ素敵ですね」とか何とか
仰山
(
ぎょうさん
)
な言葉をつかうものだ。
謎の女
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
大けな大けな軍艦がいつかしらん来たなあ、ほら、沖で晩に電気いっぱいつけて、
仰山
(
ぎょうさん
)
仰山、ならんどったなあ、あんなんが来ても健は見えんの。
大根の葉
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
六平もまだや、さき方
嚊
(
かゝあ
)
さ迎に行ったれどどっちも帰らんわいの。子供を
仰山
(
ぎょうさん
)
連れとるさかいに大丈夫やろうけれど、あんまり遅いさかいまた子供を
恭三の父
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
だがもう蹄は延びなくなり、すり切れた鉄のすきまからは痛々しく血がにじみ出ていた。
匂
(
におい
)
で主人が判った。いつも訴えるような
仰山
(
ぎょうさん
)
な
嘶
(
いなな
)
き声で迎える。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
ちと
仰山
(
ぎょうさん
)
すぎましたな。それはそうとして、この窮屈な世の中で困った困ったといったって方図がありません。ないものもあるようにしたいものですが。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「いいや、こんなことに年寄りの出るところやおへん」と
一克
(
いっこく
)
そうに、わざと
仰山
(
ぎょうさん
)
に
頭振
(
かぶ
)
りをふったかと思うと
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
そしてあの
小径
(
こみち
)
この谷陰と、姫をさらう手立をさまざまに考えた。どういう積りかは知らぬが、
仰山
(
ぎょうさん
)
に
薙刀
(
なぎなた
)
までも抱えておった。いや飛んだ僧兵だわい。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
益々
(
ますます
)
雄弁
(
ゆうべん
)
に「ほんとに
嫌
(
いや
)
らし。山田さんや高橋さんみたいに、
仰山
(
ぎょうさん
)
、
白粉
(
おしろい
)
や紅をべたべた
塗
(
ぬ
)
るひといるからやわ」
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
金助が、けたたましい声を上げて、
仰山
(
ぎょうさん
)
な驚き方をして、打たれた頭を、盛んに撫でさすりましたから、お絹が
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
仰山
(
ぎょうさん
)
な声を立て顔色を
変
(
かえ
)
て逃廻ったが、新吉は平気で指でつまんで縁側から捨てた。彼は決して殺さなかった。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
少しく
仰山
(
ぎょうさん
)
に言いますと、娘が恋慕の情はにわかに恐怖の情と
憂愁
(
ゆうしゅう
)
の情に変って、それでは自分の母が死んだのではないか知らんという考えを起したです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「うん、よかよか。とっときなさい。短冊でんくれてやんなさり。そっでよかたい。」と片手を
仰山
(
ぎょうさん
)
にうち振ると、それからまた麦酒をグッとひとあおりだ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
「アコン、旦那に言って
山羊
(
やぎ
)
というもんを飼って貰いなさらんか。山羊の乳は
仰山
(
ぎょうさん
)
に滋養があるそうですど」
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
「お前とこの、子供は、まあ、中学校へやるんじゃないかいな。
銭
(
ぜに
)
が
仰山
(
ぎょうさん
)
あるせになんぼでも入れたらえいわいな。ひゝゝゝ。」と、他の
内儀
(
おかみ
)
達に皮肉られた。
電報
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
長崎やお江戸から赤紙付やら
早文
(
はやぶみ
)
やらあの通り
仰山
(
ぎょうさん
)
に届いておりますんだすが、当の唐木屋さんの行先がわからんことだすさかえ、どうしようもござりませんで
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
満月どののために
仰山
(
ぎょうさん
)
な
施餓鬼
(
せがき
)
をなされまして、御自身も頭を丸めて
法体
(
ほったい
)
となり、法名を
友月
(
ゆうげつ
)
と名乗り、朝から晩まで
鉦
(
かね
)
をたたいて京洛の町中を念仏してまわり
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
例えば
河内山宗俊
(
こうちやまそうしゅん
)
のごとく慌てて
仰山
(
ぎょうさん
)
らしく
高頬
(
たかほ
)
のほくろを平手で隠したりするような甚だ拙劣な、友達なら注意してやりたいと思うような挙動不審を犯すのであるが
初冬の日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
なるほどさっきのおしまいの喜劇役者に
肖
(
に
)
た人はたった一人異教徒席に座って
腕
(
うで
)
を組んだり髪を
掻
(
か
)
きむしったりいかにも
仰山
(
ぎょうさん
)
なのでみんなはとうとうひどく笑いました。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
死減一等の連中を地方監獄に送る途中警護の
仰山
(
ぎょうさん
)
さ、始終短銃を囚徒の頭に差つけるなぞ、——その恐がりようもあまりひどいではないか。幸徳らはさぞ笑っているであろう。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
と
仰山
(
ぎょうさん
)
に二人が
怯
(
おび
)
えた。女弟子の驚いたのなぞは構はないが、読者を
怯
(
おびやか
)
しては
不可
(
いけな
)
い。
滝壺
(
たきつぼ
)
へ
投沈
(
なげしず
)
めた同じ
白金
(
プラチナ
)
の釵が、其の日のうちに再び紫玉の黒髪に戻つた仔細を言はう。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は素早くその一端をつまみ上げてそうっと裏返し、いかにも面白そうに
飽
(
あ
)
くまでその行方を見守った。ところがものの二三分もせぬ中に突然彼は目をむいて
仰山
(
ぎょうさん
)
に驚き上った。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
見掛けは
甚
(
はなは
)
だ
仰山
(
ぎょうさん
)
な、その現われるや陰惨な翳によって四囲を
忽
(
たちま
)
ち
黄昏
(
たそがれ
)
の中へ暗まし、その毒々しい体臭によって、相手の気持を
仮借
(
かしゃく
)
なく圧倒する底の
我無者羅
(
がむしゃら
)
な人物であった。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
我々
(
われわれ
)
の
地方
(
ちほう
)
の
不作
(
ふさく
)
なのはピン
沼
(
ぬま
)
などを
枯
(
から
)
してしまったからだ、
非常
(
ひじょう
)
な
乱暴
(
らんぼう
)
をしたものだとか、などと
云
(
い
)
って、
殆
(
ほとん
)
ど
他
(
ひと
)
には
口
(
くち
)
も
開
(
き
)
かせぬ、そうしてその
相間
(
あいま
)
には
高笑
(
たかわらい
)
と、
仰山
(
ぎょうさん
)
な
身振
(
みぶり
)
。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
セエラはほんとうは、そんな
仰山
(
ぎょうさん
)
な真似はしたくなかったのでしたが、ミンチン先生はわざわざセエラを自分の部屋に呼んで、自分と一緒に行列の先頭に立てと仰しゃったのでした。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
それで、皇后はすぐ軍勢をお集めになり、神々のお
言葉
(
ことば
)
のとおりに、すべてご用意をお
整
(
ととの
)
えになって、
仰山
(
ぎょうさん
)
なお船をめしつらねて、勇ましく大海のまん中へお乗り出でになりました.
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
いくら恩人の子供にしたところでこうまで
莫迦
(
ばか
)
莫迦しい時代離れのした取扱いをする必要がなぜあるのだろうかと、この亡国連中の礼儀の
仰山
(
ぎょうさん
)
なのにはほとほと腹を抱える思いがした。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
と、もうまえに何度も話したらしいことを、もう一度
仰山
(
ぎょうさん
)
に言った。それから
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
一疋で穀六十ポンド、また豆ハンドレッド・エートを蓄うるものありとは
仰山
(
ぎょうさん
)
な。しかしこの事を心得た百姓は、その巣を掘って穀を過分に得、またその肉を常翫するから
満更
(
まんざら
)
丸損
(
まるそん
)
にならぬ。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
皆一度にと最初源氏は思ったのであるが、
仰山
(
ぎょうさん
)
らしくなることを思って、中宮のおはいりになることは少しお延ばしさせた。おとなしい、自我を出さない花散里を同じ日に東の院から移転させた。
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
木之助の胡弓は大層うまいとほめてくれた。木之助はうれしかった。「こんど来るときはもっと
仰山
(
ぎょうさん
)
弾けるようにして来て、いろんな曲をきかしてくれや」といったので木之助は「ああ」といった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
おばさんはまるで桜の花盛りでもほめるような
仰山
(
ぎょうさん
)
な口調で
朴歯の下駄
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
“仰”で始まる語句
仰
仰向
仰有
仰言
仰天
仰臥
仰々
仰付
仰反
仰飲