“人心地:ひとごこち” の例文
“人心地:ひとごこち”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花8
紫式部2
有島武郎2
泉鏡太郎2
田中貢太郎2
“人心地:ひとごこち”を含む作品のジャンル比率
哲学 > 心理学 > 超心理学・心霊研究4.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
母に先立たれ、いままた父に捨てられ、八重は人心地ひとごこちも無く泣きに泣いて、やがて覚悟をめ、青い顔を挙げて一言、
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
雨戸を開け、門を開け、掃除を濟まして、やつと人心地ひとごこちが付いた時、川向うの潮音寺の鐘が、ゴーンと耳を刺すやうに響いた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
をがたがたと鳴らしながら、こおりきったをあたためて、人心地ひとごこちびかえすのだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして少し人心地ひとごこちがついたので、帯の間から懐中鏡を取り出して顔を直そうとすると、鏡がいつのまにかま二つにれていた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
われわれは、水夫室なる罐詰の、とびらなるふたをあけて、初めて、人心地ひとごこちがつくのであった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
風呂場で水を浴び、台所の椅子に腰を下ろすと、はじめて正三は人心地ひとごこちにかえるようであった。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
いままで、がっかりとして人心地ひとごこちのなかったかれいさんでびあがりました。
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「私はどうしようかと思ったのですよ、坂の下まで夢中に駆けて来ると、書生さんが三人上からおりて来たので、やっと人心地ひとごこちがついたのですよ」
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
此處こゝ電燈でんとうがついて夕飯ゆふめししたゝめ、やゝ人心地ひとごこちになる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
婦女等おんなたち苦悶くもん苦悶くもんを重ねて、人心地ひとごこちを覚えざるもありき。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
陽はまだ庭さきにギラギラ照っていたが、畳の上には人心地ひとごこちよみがえらすものがあって、そのなかに黄色のワン・ピースを着た妻の姿があった。
苦しく美しき夏 (新字新仮名) / 原民喜(著)
青物の自動車が通れば朝の早い下の老人が間もなく起きることになっているので、政雄はやや人心地ひとごこちがつくとともに小便の苦しみがもうたえられなくなった。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
母子おやこ動顛どうてんしてほとん人心地ひとごこちを失ひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
倉地の浴したあとで、熱めな塩湯にゆっくり浸ったのでようやく人心地ひとごこちがついてもどって来た時には、素早すばやい女中の働きで酒肴しゅこうがととのえられていた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ほとんど人心地ひとごこちあらざるまでに恐怖したりし主婦あるじは、このときようよう渠の害心あらざるを知るより、いくぶんか心落ちいつつ、はじめて賊の姿をば認め得たりしなり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
われは人心地ひとごこちもあらで見られじとのみひたすら手足を縮めつ。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
渠等かれらあへおにではない、じきたれば人心地ひとごこちになつて、あたかし、谷間たにあひから、いたはつて、おぶつてた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
主膳は、人心地ひとごこちがなく物を言っているようであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこで蛾次郎は、はじめてホッと人心地ひとごこちにかえった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲板の方できこえた爆音のような大きな音は、一発きりで、あとはきこえなかった。もっとつづけさまに、爆撃されるだろうと、ふるえあがった船客たちは、このとき、ようやく人心地ひとごこちに戻った。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「もの思いから解放される日のない私なのだね、しばらくでも別れているのは苦しい。奥さんはどこにいるの、なぜここへ来て別れを惜しんでくれないのだろう、せめて人心地ひとごこちが出てくるかもしれないのに」
源氏物語:18 松風 (新字新仮名) / 紫式部(著)
生温なまぬるちやをがぶ/″\とつて、ぢいがはさみしてくれる焚落たきおとしで、つゞけに煙草たばこんで、おほい人心地ひとごこちいた元二げんじ
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人心地ひとごこちもなく苦しんだ目が、かすかいた時、初めて見た姿は、つややかな黒髪くろかみを、男のようなまげに結んで、緋縮緬ひぢりめん襦袢じゅばん片肌かたはだ脱いでいました。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、そのうち、あの最初さいしょ精神こころ暴風雨あらし次第しだいおさまるにつれて、わたくしきずつけられた頭脳あたまにもすこしづつ人心地ひとごこちてまいりました。
もう三日もこちら一睡も致さず論議ばかり致しておりましたせいか、人心地ひとごこち失いまして、よい智慧も浮びませぬゆえ、まことに我まま申上げてはばかり多いことで厶りまするが、ひと刻程ねむりをらせて頂きましてから
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
るな、るな、で、わたしたちは、すぐわき四角よつかどたゝずんで、突通つきとほしにてんひたほのほなみに、人心地ひとごこちもなくつてた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
惟光これみつ良清よしきよらは、自身たちの命はともかくも源氏のような人が未曾有みぞうな不幸に終わってしまうことが大きな悲しみであることから、気を引き立てて、少し人心地ひとごこちのする者は皆命に代えて源氏を救おうと一所懸命になった。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)
さればでございまする。夜前、戌時いぬのときばかりに、奥方がにはかに、人心地ひとごこちをお失ひなされましてな。『おのれは、阪本の狐ぢや。今日、殿の仰せられた事を、言伝ことづてせうほどに、近う寄つて、よう聞きやれ。』と、かう仰有おつしやるのでございまする。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)