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人心地
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ひとごこち
ふりがな文庫
“
人心地
(
ひとごこち
)” の例文
火
(
ひ
)
を
見
(
み
)
るな、
火
(
ひ
)
を
見
(
み
)
るな、で、
私
(
わたし
)
たちは、すぐ
其
(
そ
)
の
傍
(
わき
)
の
四角
(
よつかど
)
に
彳
(
たゝず
)
んで、
突通
(
つきとほ
)
しに
天
(
てん
)
を
浸
(
ひた
)
す
炎
(
ほのほ
)
の
波
(
なみ
)
に、
人心地
(
ひとごこち
)
もなく
醉
(
よ
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雨戸を開け、門を開け、掃除を濟まして、やつと
人心地
(
ひとごこち
)
が付いた時、川向うの潮音寺の鐘が、ゴーンと耳を刺すやうに響いた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そして少し
人心地
(
ひとごこち
)
がついたので、帯の間から懐中鏡を取り出して顔を直そうとすると、鏡がいつのまにかま二つに
破
(
わ
)
れていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「私はどうしようかと思ったのですよ、坂の下まで夢中に駆けて来ると、書生さんが三人上からおりて来たので、やっと
人心地
(
ひとごこち
)
がついたのですよ」
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
人心地
(
ひとごこち
)
失いまして、よい智慧も浮びませぬゆえ、まことに我まま申上げて
憚
(
はばか
)
り多いことで厶りまするが、ひと刻程
睡
(
ねむ
)
りを
摂
(
と
)
らせて頂きましてから
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
母に先立たれ、いままた父に捨てられ、八重は
人心地
(
ひとごこち
)
も無く泣きに泣いて、やがて覚悟を
極
(
き
)
め、青い顔を挙げて一言
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
もっとつづけさまに、爆撃されるだろうと、ふるえあがった船客たちは、このとき、ようやく
人心地
(
ひとごこち
)
に戻った。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
夜になっても、
今宮
(
いまみや
)
の
境内
(
けいだい
)
はにぎやかであった。そこで蛾次郎は、はじめてホッと
人心地
(
ひとごこち
)
にかえった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、その
中
(
うち
)
、あの
最初
(
さいしょ
)
の
精神
(
こころ
)
の
暴風雨
(
あらし
)
が
次第
(
しだい
)
に
収
(
おさ
)
まるにつれて、
私
(
わたくし
)
の
傷
(
きずつ
)
けられた
頭脳
(
あたま
)
にも
少
(
すこ
)
しづつ
人心地
(
ひとごこち
)
が
出
(
で
)
てまいりました。うとうとしながらも
私
(
わたくし
)
は
考
(
かんが
)
えました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そのとき、
彼
(
かれ
)
は、かすかに、
前方
(
ぜんぽう
)
にあたって、ちらちらと
燈火
(
ともしび
)
のひらめくのをながめたのであります。いままで、がっかりとして
人心地
(
ひとごこち
)
のなかった
彼
(
かれ
)
は
勇
(
いさ
)
んで
飛
(
と
)
びあがりました。
宝石商
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
われわれは、水夫室なる罐詰の、
扉
(
とびら
)
なる
蓋
(
ふた
)
をあけて、初めて、
人心地
(
ひとごこち
)
がつくのであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
風呂場で水を浴び、台所の椅子に腰を下ろすと、はじめて正三は
人心地
(
ひとごこち
)
にかえるようであった。——今夜の巻も終った。だが、
明晩
(
あす
)
は。——その明晩も、かならず土佐沖海面から始る。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
少し
人心地
(
ひとごこち
)
のする者は皆命に代えて源氏を救おうと一所懸命になった。
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
夜前、
戌時
(
いぬのとき
)
ばかりに、奥方が
俄
(
にはか
)
に、
人心地
(
ひとごこち
)
をお失ひなされましてな。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
主膳は、
人心地
(
ひとごこち
)
がなく物を言っているようであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
母子
(
おやこ
)
は
動顛
(
どうてん
)
して
殆
(
ほとん
)
ど
人心地
(
ひとごこち
)
を失ひぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
鎭
(
しづ
)
め給へ
篤
(
とく
)
と御相談の手段も御座候ふべし
古語
(
こご
)
にも
遠
(
とほ
)
き
慮
(
おもんぱ
)
かりなきときは近き
憂
(
うれ
)
ひありと申すは
正
(
まさ
)
しく是なるべし
然
(
され
)
ども三人
寄
(
よる
)
時
(
とき
)
は
文珠
(
もんじゆ
)
の
智慧
(
ちゑ
)
此平左衞門左仲御
附
(
つき
)
申し
居
(
をる
)
中
(
うち
)
は御安心
成
(
なさ
)
れ能々御思案候べしと種々相談しける
中
(
うち
)
良
(
やゝ
)
半日餘りお島が雪の中に
縛
(
いまし
)
められ
身神
(
しんしん
)
ともに
冷凍
(
ひえこゞ
)
え
人心地
(
ひとごこち
)
もなき
體
(
てい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
われは
人心地
(
ひとごこち
)
もあらで見られじとのみひたすら手足を縮めつ。さるにてもさきの
女
(
ひと
)
のうつくしかりし顔、
優
(
やさし
)
かりし眼を忘れず。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
倉地の浴したあとで、熱めな塩湯にゆっくり浸ったのでようやく
人心地
(
ひとごこち
)
がついて
戻
(
もど
)
って来た時には、
素早
(
すばや
)
い女中の働きで
酒肴
(
しゅこう
)
がととのえられていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
青物の自動車が通れば朝の早い下の老人が間もなく起きることになっているので、政雄はやや
人心地
(
ひとごこち
)
がつくとともに小便の苦しみがもうたえられなくなった。
女の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
歯
(
は
)
をがたがたと鳴らしながら、
凍
(
こお
)
りきった
血
(
ち
)
をあたためて、
人心地
(
ひとごこち
)
を
呼
(
よ
)
びかえすのだった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
陽はまだ庭さきにギラギラ照っていたが、畳の上には
人心地
(
ひとごこち
)
を
甦
(
よみがえ
)
らすものがあって、そのなかに黄色のワン・ピースを着た妻の姿があった。彼は柱に凭掛って、暫く虚脱のあとを吟味していた。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
惜しんでくれないのだろう、せめて
人心地
(
ひとごこち
)
が出てくるかもしれないのに
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
人心地
(
ひとごこち
)
もなく苦しんだ目が、
幽
(
かすか
)
に
開
(
あ
)
いた時、初めて見た姿は、
艶
(
つやや
)
かな
黒髪
(
くろかみ
)
を、男のような
髷
(
まげ
)
に結んで、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
襦袢
(
じゅばん
)
を
片肌
(
かたはだ
)
脱いでいました。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
生温
(
なまぬる
)
い
茶
(
ちや
)
をがぶ/″\と
遣
(
や
)
つて、
爺
(
ぢい
)
がはさみ
出
(
だ
)
してくれる
焚落
(
たきおと
)
しで、
立
(
た
)
て
續
(
つゞ
)
けに
煙草
(
たばこ
)
を
飮
(
の
)
んで、
大
(
おほい
)
に
人心地
(
ひとごこち
)
も
着
(
つ
)
いた
元二
(
げんじ
)
。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
渠等
(
かれら
)
は
敢
(
あへ
)
て
鬼
(
おに
)
ではない、
食
(
じき
)
を
得
(
え
)
たれば
人心地
(
ひとごこち
)
になつて、
恰
(
あたか
)
も
可
(
よ
)
し、
谷間
(
たにあひ
)
から、いたはつて、
負
(
おぶ
)
つて
世
(
よ
)
に
出
(
で
)
た。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ほとんど
人心地
(
ひとごこち
)
あらざるまでに恐怖したりし
主婦
(
あるじ
)
は、このときようよう渠の害心あらざるを知るより、いくぶんか心落ちいつつ、はじめて賊の姿をば認め得たりしなり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俵はほとんど船室の出入口をも密封したれば、さらぬだに
鬱燠
(
うついく
)
たる室内は、空気の流通を
礙
(
さまた
)
げられて、
窖廩
(
あなぐら
)
はついに
蒸風呂
(
むしぶろ
)
となりぬ。
婦女等
(
おんなたち
)
は
苦悶
(
くもん
)
に
苦悶
(
くもん
)
を重ねて、
人心地
(
ひとごこち
)
を覚えざるもありき。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
旦那
(
だんな
)
お
相乘
(
あひのり
)
參
(
まゐ
)
りませう、と
折
(
をり
)
よく
來懸
(
きかゝ
)
つた
二人乘
(
ににんのり
)
に
這
(
は
)
ふやうにして
二人
(
ふたり
)
乘込
(
のりこ
)
み、
淺草
(
あさくさ
)
まで
急
(
いそ
)
いでくんな。
安
(
やす
)
い
料理屋
(
れうりや
)
で
縁起
(
えんぎ
)
直
(
なほ
)
しに
一杯
(
いつぱい
)
飮
(
の
)
む。
此處
(
こゝ
)
で
電燈
(
でんとう
)
がついて
夕飯
(
ゆふめし
)
を
認
(
したゝ
)
め、やゝ
人心地
(
ひとごこち
)
になる。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“人心”で始まる語句
人心
人心収攬
人心持
人心恟々
人心惟危
人心収攬術