“窖廩”の読み方と例文
読み方割合
あなぐら100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
俵はほとんど船室の出入口をも密封したれば、さらぬだに鬱燠うついくたる室内は、空気の流通をさまたげられて、窖廩あなぐらはついに蒸風呂むしぶろとなりぬ。婦女等おんなたち苦悶くもん苦悶くもんを重ねて、人心地ひとごこちを覚えざるもありき。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
観音丸かんのんまるは船体しょうにして、下等室はわずかに三十余人をれて肩摩けんますべく、甲板デッキは百人をきてあまりあるべし。されば船室よりは甲板デッキこそ乗客を置くべき所にして、下等室は一個の溽熱むしあつ窖廩あなぐらに過ぎざるなり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)