“あなぐら”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
53.5%
穴倉17.4%
穴蔵12.8%
地窖3.5%
穴庫2.3%
土室1.2%
穴藏1.2%
窖廩1.2%
土窖1.2%
洞府1.2%
穴窟1.2%
窖室1.2%
窖蔵1.2%
1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
母は私をひきづり、あなぐらのやうな物置きの中へ押しこんで錠をおろした。あの真つ暗な物置きの中へ私はなんべん入れられたらうな。
をみな (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「吾輩は、司令部の穴倉あなぐらへ、こいつを隠して置こうと思う。司令官に報告しないつもりじゃから、監禁かんきんの点は、君だけの胸に畳んで置いてくれ給え」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
が、それもこれもじきかれ疲労つからしてしまう。かれはそこでふとおもいた、自分じぶん位置いち安全あんぜんはかるには、女主人おんなあるじ穴蔵あなぐらかくれているのが上策じょうさくと。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
魔法使コルドゥーンは焼けた切株のあひだの石段を降りて行つた。そこには地中ふかく穿たれた彼の地窖あなぐらがあつた。
寶の穴庫あなぐらへ主人の莊太郎をさそひ入れたのは、お道に細工をさせて、動きの取れないところを捕へるためさ
其夜は其の花畑の下なる怪しき土室あなぐらにて雲烟、恍惚の境に遊び、天女の如き唐美人の妖術に夢の如く身を委せつ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
番人の瘠せ枯れたる若き唐人、驚き喜びて迎へ入るゝに、下の土室あなぐらにて待兼ねたる黄駝の喜びは云ふも更なり。わが携へたる生胆を一眼見るよりは珍重なり。お手柄なり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、れもれもぢきかれ疲勞つからしてしまふ。かれそこでふとおもいた、自分じぶん位置ゐち安全あんぜんはかるには、女主人をんなあるじ穴藏あなぐらかくれてゐるのが上策じやうさくと。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さうしてかれは一日中にちゞゆうまた一晩中ひとばんぢゆう穴藏あなぐらなか立盡たちつくし、其翌日そのよくじつ猶且やはりぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
俵はほとんど船室の出入口をも密封したれば、さらぬだに鬱燠うついくたる室内は、空気の流通をさまたげられて、窖廩あなぐらはついに蒸風呂むしぶろとなりぬ。婦女等おんなたち苦悶くもん苦悶くもんを重ねて、人心地ひとごこちを覚えざるもありき。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
観音丸かんのんまるは船体しょうにして、下等室はわずかに三十余人をれて肩摩けんますべく、甲板デッキは百人をきてあまりあるべし。されば船室よりは甲板デッキこそ乗客を置くべき所にして、下等室は一個の溽熱むしあつ窖廩あなぐらに過ぎざるなり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もしこのカーテンがなかったならば、この研究室は、まるで土窖あなぐらと同様な、陰惨なものであったろう。
白金神経の少女 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
彼等はそれから自分で造った洞府あなぐらの中に住んで時々出て来ては何か食べていたが、後ではパッタリ姿を見せなくなった。前もって食糧をしまい込んであるのかしらんがとにかく食いに出て来ない。
兎と猫 (新字新仮名) / 魯迅(著)
ところが、不思議なことには、前室がただれんばかりの高温にもかかわらず、今や前方に開かれてゆく闇の奥からは、まるで穴窟あなぐらのような空気が、冷やりと触れてくるのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
立派ではないが建てはなしの納屋、浴室、窖室あなぐらもあり、裏に鶏を飼い、水も掘井戸ほりいど、山から引いたのと二通りもあって、贅沢ぜいたくはないが不自由もない住居だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「この家の後ろに窖蔵あなぐらがあるから、それを開けて見たまえ」
酒友 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
往来の物音とこの沢山のあなぐらのような部屋部屋に満ちた白衣の病人の生活する音とが自分をつつんだ。