をみなおみな
母。——異体の知れぬその影がまた私を悩ましはじめる。 私はいつも言ひきる用意ができてゐるが、かりそめにも母を愛した覚えが、生れてこのかた一度だつてありはしない。ひとえに憎み通してきたのだ「あの女」を。母は「あの女」でしかなかつた。 九つくら …