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かどまつ
ふりがな文庫
“
門松
(
かどまつ
)” の例文
長いささ
竹
(
だけ
)
と
門松
(
かどまつ
)
を立てならべ、しめをはりわたした通りのまん中を、いつも見かけるマーケットの
楽隊
(
がくたい
)
がねり歩いているのだった。
美しき元旦
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
卯平
(
うへい
)
は
久振
(
ひさしぶり
)
で
故郷
(
こきやう
)
に
歳
(
とし
)
を
迎
(
むか
)
へた。
彼等
(
かれら
)
の
家
(
いへ
)
の
門松
(
かどまつ
)
は
只
(
たゞ
)
短
(
みじか
)
い
松
(
まつ
)
の
枝
(
えだ
)
と
竹
(
たけ
)
の
枝
(
えだ
)
とを
小
(
ちひ
)
さな
杙
(
くひ
)
に
縛
(
しば
)
り
付
(
つ
)
けて
垣根
(
かきね
)
の
入口
(
いりくち
)
に
立
(
た
)
てたのみである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
後にまたウィーンの歳の暮に寺の広場で
門松
(
かどまつ
)
によく似た
樅
(
もみ
)
の枝を売る歳の市の光景を見て、同じような空想を
逞
(
たくま
)
しゅうしたこともあった。
五月の唯物観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
昨日も正月の十五日だから、朝からドンド燒きの支度で、私の家は家例で、
門松
(
かどまつ
)
だけは町内一番といふ大きいのを立てます。
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
門松
(
かどまつ
)
注目飾
(
しめかざ
)
りはすでに取り払われて正月も
早
(
は
)
や十日となったが、うららかな
春日
(
はるび
)
は一流れの雲も見えぬ深き空より四海天下を一度に照らして
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
さすがに新年早々はどこの店でも
門松
(
かどまつ
)
を立て、国旗をかかげ、回礼者の往来もしげく、鉄道馬車は満員の客を乗せて走る。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
花売とはいうけれども
門松
(
かどまつ
)
年木
(
としぎ
)
、または尋常の
薪
(
まき
)
や
枯枝
(
かれえだ
)
もあり、或いはぬれた
松明
(
たいまつ
)
とか、根無し
蔓
(
つる
)
という植物とか
謂
(
い
)
っている例も
喜界島
(
きかいじま
)
にはある。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
お
正月
(
しやうぐわつ
)
のお
飾
(
かざ
)
りを
片付
(
かたづ
)
ける
時分
(
じぶん
)
には、
村中
(
むらぢう
)
の
門松
(
かどまつ
)
や
注連繩
(
しめなは
)
などを
村
(
むら
)
のはづれへ
持
(
も
)
つて
行
(
い
)
つて、一
緒
(
しよ
)
にして
燒
(
や
)
きました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ことに
極
(
ご
)
くおしつまつて、もう
門松
(
かどまつ
)
がたつてゐるさういふ町を歩いてゐると、ちよつと
久保田万太郎
(
くぼたまんたらう
)
君の小説のなかを歩いてゐるやうな気持でいい気持だ。
一番気乗のする時
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこには立派な
門松
(
かどまつ
)
が立ててあり、門の片方の柱には、
味噌
(
みそ
)
溜
(
たまり
)
と大きく書かれた木の
札
(
ふだ
)
がかかっていた。黒い
板塀
(
いたべい
)
で囲まれた屋敷は広くて、倉のようなものが三つもあった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
門松
(
かどまつ
)
は雪の中へ
建
(
たて
)
、
七五三
(
しめ
)
かざりは雪の
軒
(
のき
)
に引わたす。
礼者
(
れいしや
)
は
木屐
(
げた
)
をはき、
従者
(
とも
)
は
藁靴
(
わらぐつ
)
なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
驛路
(
えきろ
)
の
馬
(
うま
)
の
鈴
(
すゞ
)
の
音
(
おと
)
、しやんと
來
(
く
)
る
道筋
(
みちすぢ
)
ながら、
時世
(
ときよ
)
といひ、
大晦日
(
おほみそか
)
、
道中
(
だうちう
)
寂
(
ひつそ
)
りとして、
兩側
(
りやうがは
)
に
廂
(
ひさし
)
を
並
(
なら
)
ぶる
商賈
(
しやうこ
)
の
家
(
いへ
)
、
薪
(
まき
)
を
揃
(
そろ
)
へて
根占
(
ねじめ
)
にしたる、
門松
(
かどまつ
)
を
早
(
は
)
や
建
(
た
)
て
連
(
つら
)
ねて、
歳
(
とし
)
の
神
(
かみ
)
を
送
(
おく
)
るといふ
城の石垣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
まだ
門松
(
かどまつ
)
や竹こそ見えないが、町にも何となく
年暮
(
くれ
)
げしきが色めいて
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
家
(
か
)
内
(
ない
)
これにかゝりて
夫
(
そ
)
れは
何
(
なに
)
ぞと
問
(
と
)
ふに、
知
(
し
)
らずや
霜月
(
しもつき
)
酉
(
とり
)
の
日
(
ひ
)
例
(
れい
)
の
神社
(
じんじや
)
に
欲深樣
(
よくふかさま
)
のかつぎ
給
(
たま
)
ふ
是
(
こ
)
れぞ
熊
(
くま
)
手
(
で
)
の
下
(
くだ
)
ごしらへといふ、
正月
(
しようぐわつ
)
門松
(
かどまつ
)
とりすつるよりかゝりて、一
年
(
ねん
)
うち
通
(
とほ
)
しの
夫
(
そ
)
れは
誠
(
まこと
)
の
商賣人
(
しようばいにん
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ある年の正月、
門松
(
かどまつ
)
のまだ取れないうちに赤坂の
家
(
うち
)
をたずねると、半七老人は格子の前に突っ立って、初春の
巷
(
ちまた
)
のゆきかいを眺めているらしかった。
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
門松
(
かどまつ
)
は雪の中へ
建
(
たて
)
、
七五三
(
しめ
)
かざりは雪の
軒
(
のき
)
に引わたす。
礼者
(
れいしや
)
は
木屐
(
げた
)
をはき、
従者
(
とも
)
は
藁靴
(
わらぐつ
)
なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
それで一束また一束、一日刈って束ねた
門松
(
かどまつ
)
を、ことごとくこの渦巻の中へ入れてしまう。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いい正月だな、おれのような者にも、
五
(
い
)
つ切れの餅を
授
(
さず
)
かったところを見ると、天は誰へも、正月だけはさせてくれるものとみえる。——
屠蘇
(
とそ
)
は満々と流れている加茂の水、
門松
(
かどまつ
)
は東山三十六峰。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身分
(
みぶん
)
が
惡
(
わる
)
いの
學校
(
がくかう
)
が
何
(
ど
)
うしたのと
宜
(
よ
)
くも
宜
(
よ
)
くも
勝手
(
かつて
)
な
事
(
こと
)
が
言
(
い
)
はれた
物
(
もの
)
、
先方
(
さき
)
は
忘
(
わす
)
れたかも
知
(
し
)
らぬが
此方
(
こちら
)
はたしかに
日
(
ひ
)
まで
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
る、
阿關
(
おせき
)
が十七の
御正月
(
おしようがつ
)
、まだ
門松
(
かどまつ
)
を
取
(
とり
)
もせぬ
七日
(
なのか
)
の
朝
(
あさ
)
の
事
(
こと
)
であつた
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
門松
(
かどまつ
)
やたをやめ
通
(
とほ
)
る
山
(
やま
)
の
裾
(
すそ
)
熱海の春
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
天明
(
てんめい
)
五年正月の
門松
(
かどまつ
)
ももう取られて、武家では具足びらき、町家では
蔵
(
くら
)
びらきという十一日もきのうと過ぎた。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ユというのは「ゆゆしい」などのユで、
元
(
もと
)
は
斎
(
いみ
)
の木または祝いの木のことであろうから、或いは最初
門松
(
かどまつ
)
などの下に立たせて、子どもにめでたいことを
唱
(
とな
)
えさせる習いがあったのかも知れぬ。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
T先生のお宅を出たのは午後三時頃で、赤坂の大通りでは仕事師が家々のまえに
門松
(
かどまつ
)
を立てていた。砂糖屋の店さきには七、八人の男や女が、狭そうに押し合っていた。
半七捕物帳:03 勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あたかも
歳
(
とし
)
の
暮
(
くれ
)
にて、春のいそぎの
門松
(
かどまつ
)
を、まだ
片方
(
かたほう
)
はえ立てぬうちに
早
(
はや
)
元日になりたればとて、今もこの家々にては吉例として門松の片方を地に伏せたるままにて、
標縄
(
しめなわ
)
を引き渡すとのことなり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“門松”の解説
門松(かどまつ)は、正月に日本の家の門前などに立てられる松や竹を用いた正月飾りである。松飾り、飾り松、立て松とも言う。新年の季語。古くは、木の梢に神が宿ると考えられていたことから、門松は年神を家に迎え入れるための依り代という意味合いがある。「松は千歳を契り、竹は万歳を契る」と言われ、松と竹で神の依代の永遠を願う。年神はこの松門を目印に降臨してくると言われる。
(出典:Wikipedia)
門
常用漢字
小2
部首:⾨
8画
松
常用漢字
小4
部首:⽊
8画
“門”で始まる語句
門
門口
門出
門並
門司
門前
門附
門扉
門違
門跡