避難ひなん)” の例文
すぐばんつじ夜番よばんで、わたしつて、ぶるひをしたわかひとがある。本所ほんじよからからうじてのがれて避難ひなんをしてひとだつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一方いつぽう屋外おくがい避難ひなんせんとする場合ばあひおいては、まだきらないうち家屋かおく倒潰とうかいし、しか入口いりぐちおほきな横木よこぎ壓伏あつぷくせられる危險きけんともなふことがある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それでわたしたちはかけ出して大きな門の下のトンネルに避難ひなんしなければならなかった。ひょうの夕立ち。たちまち道はまっ白に冬のようになった。
他の記事によると、イギリス軍のフランス撤退てったいについて、多数のフランス人が、汽船や飛行機にのって、イギリス本土へ避難ひなんして来たことをも報じていた。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
父は祖父をして遠方に避難ひなんし、兄は京都の英学校に居り、家族の中で唯一人ただひとりの男の彼は、母と三人の姉と熊本を東南にる四里の山中の伯父おじの家に避難した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ひるから、よるとなく、つづいた避難ひなんするひとたちのれも、さすがに、真夜中まよなかになると、いずれも、どこかに宿やどるものとみえて、往来おうらいがちょっとのあいだはとだえるのでした。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
避難ひなん列車の中でろくろく物も言わなかった。やっと梅田の駅に着くと、まっすぐ上塩町かみしおまちの種吉の家へ行った。途々みちみち、電信柱に関東大震災の号外が生々しくられていた。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
しかし、春枝夫人はるえふじん日出雄少年ひでをせうねんとはわたくしかたとも保證ほしやうしてひとかつ纎弱かよわ女性によせうと、無邪氣むじやきなる少年せうねんであれば、この二人ふたりをば避難ひなんせしめんとしきりこゝろいらだてたのである。
「だいじょうぶ暴風のおそれはありませんから、そう避難ひなんしないでください。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
提灯はともっているが、駕屋もいず、れもシンと下ろしてあるところをみると、そこらへ来かかった者が、火事に道をさえぎられて、ここに避難ひなんしたものか、或いは、不用意にここへ来た矢先
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またくなったわし大臣だいじんっていた時は、大噴火だいふんかがあって大臣だいじんが鳥の避難ひなんのために、あちこちさしずをして歩いている間に、この玉が山ほどある石にたれたり、まっかな熔岩ようがんながされたりしても
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ごらんなさい あそこを いま火星人くわせいじん洪水こうづゐ避難ひなんしてゐます
これぼく洞窟どうくつで、面倒めんだうになると此所こゝ避難ひなんするんです」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
年少者はことごとくほらの外へ避難ひなんせしめた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
かような場合ばあひかへりみると、屋外おくがい避難ひなんしてなる場合ばあひは、わづか二三秒にさんびよう軒下のきしたはなれることが出來できるような位置いちにあるときにかぎるようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そうです。ですから船員や乗客たちは、すこしもはやく船内に避難ひなんするようにいってください。そして戸などを
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この世の中にてられ、わすれられて、運命のもてあそぶままに西に東にただよって、広い大海のまん中に、目標もくひょうになる燈台とうだいもなく、避難ひなんの港もなかったみなし子が
横町よこちやうみち兩側りやうがはは、ひとと、兩側りやうがは二列ふたならびひとのたゝずまひである。わたしたちより、もつとちかいのがさきんじて町内ちやうない避難ひなんしたので、……みな茫然ばうぜんとしてる。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「どこかへ避難ひなんしているかもしれない。もう二、三にちってみよう。」といいました。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其時そのときはじめて船員等せんゐんら避難ひなんようけうせらるゝのである。
むしさら上層じようそうのぼるか、あるひ屋上おくじよう物干場ものほしば避難ひなんすることをすゝめるのであるが、實際じつさいかういふ賢明けんめい處置しよちられたれいしば/\みゝにするところである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
往来おうらいていますと、れてからも、避難ひなんをするひとれがつづいてとおりました。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
何處どこ大商店だいしやうてん避難ひなんした……店員てんゐんたちが交代かうたい貨物くわもつばんをするらしくて、がたには七三しちさんかみで、眞白まつしろで、このなか友染いうぜん模樣もやう派手はで單衣ひとへた、女優ぢよいうまがひの女店員をんなてんゐん二三人にさんにん姿すがたえた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あの巨獣きょじゅうは、おとなしいだけに、いったん怒らせると、ものすごくあばれるんだ。これはぐずぐずしていると、とばっちりが、こっちへまわってくるぞ。おう、みんな。今のうちに安全なところへ避難ひなんするんだ」
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
『いざ、夫人おくさん避難ひなん用意ようゐを。』と。
避難ひなんあな
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)