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足痕
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あしあと
ふりがな文庫
“
足痕
(
あしあと
)” の例文
障子も
普通
(
なみ
)
よりは幅が広く、見上げるような天井に、血の
足痕
(
あしあと
)
もさて着いてはおらぬが、
雨垂
(
あまだれ
)
が
伝
(
つたわ
)
ったら
墨汁
(
インキ
)
が降りそうな古びよう。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あいや、あまりお騒ぎなさらぬ方が得策でしょう、かりそめにも天下の首城が、一盗賊に
足痕
(
あしあと
)
を
印
(
しる
)
された事さえ名誉ではありません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或いはまた山の麓の池川の
堤
(
つつみ
)
に、子供のかと思う小さな
足痕
(
あしあと
)
の、無数に残っているのをみて、川童が山へ入ったという地方もある。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
以て役人を
欺
(
あざむ
)
く段
不屆
(
ふとゞき
)
千萬なり其の申分甚だ
暗
(
くら
)
く且又
裾
(
すそ
)
の血而已に有らず庭のとび石に
足痕
(
あしあと
)
あるは既に捕手の役人より申立し如く其血を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
顔を洗って、
朝食
(
あさめし
)
をやっていると、台所で下女が泥棒の
足痕
(
あしあと
)
を見つけたとか、見つけないとか騒いでいる。
面倒
(
めんどう
)
だから書斎へ引き取った。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
盗人
(
ぬすびと
)
の
足痕
(
あしあと
)
を犬のように探れない鼻で実際香が嗅げようか、舌にしてもその例に
洩
(
もれ
)
ない、触感も至って不完全なもので
大きな怪物
(新字新仮名)
/
平井金三
(著)
「ハア、皆内側からネジが
締
(
しめ
)
てありました。それに窓の外の地面には、丁度雨のあとで柔かくなっていましたけれど、別に
足痕
(
あしあと
)
もないのでございます」
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「彼女の肌」と云う貴い聖地には、二人の賊の泥にまみれた
足痕
(
あしあと
)
が永久に印せられてしまったのです。これを思えば思うほど口惜しいことの限りでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大ラマの行列 すると道というような道は無論ないのですけれど広く人の
足痕
(
あしあと
)
のある所が道になって居る。その両脇につぶつぶと円い郵便函のような物が立って居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
昨日
(
きのう
)
降った雪がまだ残っていて高低定まらぬ
茅屋根
(
わらやね
)
の南の軒先からは
雨滴
(
あまだれ
)
が風に吹かれて舞うて落ちている。
草鞋
(
わらじ
)
の
足痕
(
あしあと
)
にたまった泥水にすら寒そうな
漣
(
さざなみ
)
が立っている。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
翌朝
(
よくちょう
)
出入
(
でいり
)
の
鳶
(
とび
)
の者や、大工の
棟梁
(
とうりょう
)
、警察署からの出張員が来て、父が居間の縁側づたいに土足の跡を検査して行くと、丁度冬の
最中
(
もなか
)
、庭一面の
霜柱
(
しもばしら
)
を踏み砕いた
足痕
(
あしあと
)
で
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ここ何年にも何十年にも人の踏んだ
足痕
(
あしあと
)
らしいものとてもなく、どこまでもただ
山懐
(
やまふところ
)
深く分け入ってゆくのであったが、やがて銃を
吊
(
つ
)
った我らの一隊が歩を停めたのは
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
第
(
だい
)
三
紀
(
き
)
の
泥岩
(
でいがん
)
で、どうせ
昔
(
むかし
)
の
沼
(
ぬま
)
の
岸
(
きし
)
ですから、何か
哺乳類
(
ほにゅうるい
)
の
足痕
(
あしあと
)
のあることもいかにもありそうなことだけれども、教室でだって
手獣
(
しゅじゅう
)
の
足痕
(
あしあと
)
の図まで
黒板
(
こくばん
)
に書いたのだし
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「探偵小説作家は、必ずポオの
足痕
(
あしあと
)
を踏んで行かねばならぬ」と言っているのを見ても、後世の探偵小説家の描く探偵は、
畢竟
(
ひっきょう
)
、ヂュパンの型を受け継ぐことになるであろう。
ヂュパンとカリング
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
我が党の
足痕
(
あしあと
)
へは、もう新しい世界の
隻足
(
かたあし
)
が来ている、吾輩の魂も、これから永遠の安静に
入
(
い
)
るべき時が来たから、最後の
言
(
げん
)
として、君にまで
懺悔
(
ざんげ
)
して置きたいことがあってやって来た
雨夜草紙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
鬼目博士の論文なら
嘗
(
かつ
)
て亜黎子未亡人の処で読んだ事がある。その頃まで、三十年前頃までは、微々として振わなかった日本の法医学界に、指紋と
足痕
(
あしあと
)
の重要な研究を輸入した科学探偵の大家だ。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
壬生
(
みぶ
)
の源左衛門叔父の注意で、門弟たちはみな立ち去ってしまった。
足痕
(
あしあと
)
だけが、その後の雪に
際
(
きわ
)
だって黒く数えられる。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
吹通
(
ふきとほ
)
しの
風
(
かぜ
)
砂
(
すな
)
を
捲
(
ま
)
きて、
雪駄
(
せつた
)
ちやら/\と
人
(
ひと
)
の
通
(
とほ
)
る、
此方
(
こなた
)
は
裾端折
(
すそはしをり
)
の
然
(
しか
)
も
穿物
(
はきもの
)
の
泥
(
どろ
)
、
二
(
に
)
の
字
(
じ
)
ならぬ
奧山住
(
おくやまずみ
)
の
足痕
(
あしあと
)
を、
白晝
(
はくちう
)
に
印
(
いん
)
するが
極
(
きまり
)
惡
(
わる
)
しなど
歎
(
かこ
)
つ。
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
御前
(
ごぜん
)
、訳ア御わせん。雪の上に
足痕
(
あしあと
)
がついて居やす。足痕をつけて行きゃア、
篠田
(
しのだ
)
の森ア、直ぐと
突止
(
つきと
)
めまさあ。去年中から、へーえ、お庭の崖に居たんでげすか。」
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
沙漠
(
さばく
)
の中に参りますとその公道といわれて居ったものも風が一遍吹くと
足痕
(
あしあと
)
も何も消えてしまう。でチベットには本当の道はラサの近所に少しあるだけの事で外には道らしい道はない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
竜頭峯
(
りゅうずほう
)
の山の
主
(
ぬし
)
竜筑房、神之沢の山の主白髪童子、山住奥の院の常光房は、すなわちともにその山姥の子であって、今も各地の神に祀られるのみか、しばしば深山の雪の上に
足痕
(
あしあと
)
を留め
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「先生、岩に何かの
足痕
(
あしあと
)
あらんす。」
イギリス海岸
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
城下民の中に
紛
(
まぎ
)
れていたり、他国の隠密の仕事の
足痕
(
あしあと
)
を、後から発見したりすることが、のべつといっていいほどあった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鉄砲疵
(
てツぱうきづ
)
のございます
猿
(
さる
)
だの、
貴僧
(
あなた
)
、
足
(
あし
)
を
折
(
を
)
つた
五位鷺
(
ごゐさぎ
)
、
種々
(
いろ/\
)
な
者
(
もの
)
が
浴
(
ゆあ
)
みに
参
(
まゐ
)
りますから
其
(
そ
)
の
足痕
(
あしあと
)
で
崖
(
がけ
)
の
路
(
みち
)
が
出来
(
でき
)
ます
位
(
くらゐ
)
、
屹
(
きツ
)
と
其
(
それ
)
が
利
(
き
)
いたのでございませう。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「先生、岩に何かの
足痕
(
あしあと
)
あらんす。」
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
草履
(
ぞうり
)
の
足痕
(
あしあと
)
がつく程、縁の先の大地には、青白い柿の花がいっぱいにこぼれていた。一学は
釣竿
(
つりざお
)
を納屋の横へ置いて来て
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それと
遽
(
にはか
)
に
心着
(
こゝろづ
)
けば、
天窓
(
あたま
)
より爪先まで氷を浴ぶる心地して、歯の根も合はず
戦
(
わなゝ
)
きつゝ、不気味に
堪
(
た
)
へぬ顔を
擡
(
あ
)
げて、
手燭
(
ぼんぼり
)
の影
幽
(
かすか
)
に血の
足痕
(
あしあと
)
を
仰見
(
あふぎみ
)
る時しも、天井より糸を引きて
一疋
(
いつぴき
)
の蜘蛛
垂下
(
たれさが
)
り
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
すらすらと霜の土橋に
足痕
(
あしあと
)
をのこして、今——その川向うの道を歩いてゆく、女と男のクッキリと見える影があった。
八寒道中
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われら附添って
眷属
(
けんぞく
)
ども一同守護をいたすに、元来、
人足
(
ひとあし
)
の絶えた空屋を求めて
便
(
たよ
)
った処を、
唯今
(
ただいま
)
眠りおる少年の、身にも命にも替うる
願
(
ねがい
)
あって、身命を
賭物
(
かけもの
)
にして、推して
草叢
(
くさむら
)
に
足痕
(
あしあと
)
を留めた以来
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夢というほど
纒
(
まと
)
まっている夢ではないから、幼少の頃の記憶が、何かの作用で、眠っている脳細胞の上へ虫みたいにムズムズ這い出し、神経の足の
足痕
(
あしあと
)
が
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鼈
(
すっぽん
)
の
足痕
(
あしあと
)
を
辿
(
たど
)
るよとも疑われた。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
つぶやいて
起
(
た
)
ち上がり、そこも狐狸妖怪の
足痕
(
あしあと
)
だらけな廊下をとおって、奥の炉のある部屋をさがしてゆく。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今朝も、まだ
川洲
(
かわす
)
の砂に千鳥の
足痕
(
あしあと
)
さえない夜明け方に、率八の舟は、
霞
(
かすみ
)
の中からゆうべの岸へ戻って来て
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ、
狼藉
(
ろうぜき
)
の夜の
足痕
(
あしあと
)
の残る、裏庭の
連翹
(
れんぎょう
)
の花は、春をいたずらに、みだれて咲いて——。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おおこれだな、
足痕
(
あしあと
)
は。ウム、やはり例の
賽銭
(
さいせん
)
荒しをする
不埒者
(
ふらちもの
)
に相違なかろう」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「憎いやつめ」腹だたしげに、踏み折れている草の
足痕
(
あしあと
)
を、
睨
(
ね
)
めつけている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分の踏んで行く先に何者の
足痕
(
あしあと
)
か、その草露はおびただしく汚れていた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
泥の
足痕
(
あしあと
)
を畳に残して、
盗
(
ぬす
)
ッ
人
(
と
)
猫のように台所から出てゆこうとすると
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鐘楼
(
しょうろう
)
や堂宇は崩れ放題、本堂のうちも
雀羅
(
じゃくら
)
の巣らしい。
覗
(
のぞ
)
いてみれば、観音像はツル草にからまれ、屋根には大穴があいている。そこらの
足痕
(
あしあと
)
は、狐のか狸のか、
鳥糞獣糞
(
ちょうふんじゅうふん
)
、すべて異界のものだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と記録的な
足痕
(
あしあと
)
を、この土地へのこすことだ。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵の大きな
足痕
(
あしあと
)
を、お杉婆は後から見た。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おッ、
足痕
(
あしあと
)
」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
痕
常用漢字
中学
部首:⽧
11画
“足”で始まる語句
足
足袋
足許
足下
足音
足掻
足駄
足利
足蹴
足跡