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詠
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よ
ふりがな文庫
“
詠
(
よ
)” の例文
しかし万葉の恋歌は、一々の歌の内容は単純であっても、それの
詠
(
よ
)
まれた境位が必ずしも単純でなかったことを思わせるものがある。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
ことに
子
(
こ
)
どもらしい
氣持
(
きも
)
ちを
歌
(
うた
)
に
自由
(
じゆう
)
に
詠
(
よ
)
みこんだ
人
(
ひと
)
で、そんなのになると、つい/\よいわるいを
忘
(
わす
)
れて、
同感
(
どうかん
)
せずにゐられません。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
こういうところを
詠
(
よ
)
むのかいなと、ぼんやり思ってみたりして、この家も自分のものか借家なのか、
訊
(
き
)
いてみたこともなかったけれど
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それを読むと
俄
(
にわか
)
に興が動いて、先日、平安神宮で
詠
(
よ
)
みさしたまま想が纏まらないでしまったものを、暫く考えて次のように纏めてみた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
日ごろ半蔵を感心させるほどの素直な歌を
詠
(
よ
)
む。彼が開いて見る本の中には京大坂の町人の手に成った古版物や新版物の類もある。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
大伴家持の
山斎属目
(
さんさいしょくもく
)
の歌だから、庭前の景をそのまま
詠
(
よ
)
んでいる。「影さへ見えて」の句も既にあったし、家持苦心の句ではない。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
と
詠
(
よ
)
んだ事を思い出し、翌朝早く起きた時分に虎は居りませぬが月がよく
冴
(
さ
)
えて居ります。その月を見てまたその答に一首詠みました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「花に住む
鶯
(
うぐいす
)
、水に住む
蛙
(
かわず
)
の声をきけば、生きとし生けるものいずれか歌を
詠
(
よ
)
まざりける」とも述べおる如く、誠の声は
能
(
よ
)
く人を動かす。
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
また“まづたのむ
椎
(
しひ
)
の木もあり夏木立”と
詠
(
よ
)
み、余生をここに息づいたのみか、大坂で病んで死んだが、遺言によって、遺骸も
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕はあの令嬢の前へ出ると、何となく一種の感に打たれて、当分のうちは詩を作っても歌を
詠
(
よ
)
んでも愉快に興が乗って出て来る。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんな歌などを各自が
詠
(
よ
)
んで、行く先をも帰る所をも忘れるほど若い人たちのおもしろがって遊ぶのに適した水の上であった。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
コンナ和歌が私の唇から
辷
(
すべ
)
り出た。他人の歌を暗記していたのか、私が初めて
詠
(
よ
)
んだのかわからない。それ程スラスラと私の頭から辷り出た。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この詩の中には“安民処処巧安排、告示輝煌総姓柴”と云って、柴長官の告示によって人民が安心した事も
詠
(
よ
)
まれている。“拳匪紀略”には
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
歌を
詠
(
よ
)
みかけられて返しをせぬと、七生
唖
(
おし
)
にでもなるやうに思つてゐたらしい当時の人のことで此の返しはあつたのだらう。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
興に乗じて歌を
詠
(
よ
)
むつもりでしたろう。それが、どう間違ってか、白馬ヶ岳の焼野原と言ってしまったので、グッとあとが詰まったようです。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
千代能
(
ちよのう
)
という
尼
(
あま
)
さんは江戸期のはじめ頃に京都にいた人だが、この人が悟りを開いたときに
詠
(
よ
)
んだという有名な和歌がある。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
現に江戸の風俗詩
川柳
(
せんりう
)
に、小便組を
詠
(
よ
)
んだ洒落れた短詩が、數限りなく
遺
(
のこ
)
つてゐるのを見ても、その盛大さがわかります。
銭形平次捕物控:194 小便組貞女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし、当人は存外のんきに歌でも
詠
(
よ
)
んでいたのかも、それはわからない。顔の粉っぽいのは
白粉
(
おしろい
)
のつけそこねであったかも、それはわからない。
軽井沢
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
わたくしは詩を作り歌を
詠
(
よ
)
む。彼は知人の
采録
(
さいろく
)
するところとなって
時々
(
じじ
)
世間に出るが、これは友人某に示すにすぎない。
なかじきり
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
夏目先生は、楠緒さんのおなくなりの時に、「あるほどの菊投げ入れよ棺の中」という
手向
(
たむけ
)
の句をお
詠
(
よ
)
みになりました。
大塚楠緒子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
日本では専ら「うさぎ」また「のうさぎ」で通るが、古歌には
露窃
(
つゆぬすみ
)
てふ名で
詠
(
よ
)
んだのもある由(『本草啓蒙』四七)。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
太鼓橋を人の渡る処を
詠
(
よ
)
もうと思うたが、やはり出来ぬ。それを用いて恋歌を詠んで見よかと思うたばかりで出来ぬ。
車上の春光
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
月夜烏が啼き、ほととぎすが啼く、という趣を
詠
(
よ
)
んだのである。「跡や先」という言葉は、前後して啼くといったら、一番わかりいいかも知れない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
入日
(
いりひ
)
の落るを見て北條が歌を詠じたと云う……えゝ何とか云った……オヽ……「敵は打つ心
間
(
まゝ
)
なる鴻の台夕日
詠
(
なが
)
めしかつ浦の里」と
詠
(
よ
)
んだと申すて」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
己
(
じぶん
)
の家へ
伴
(
つ
)
れて来て和歌を
詠
(
よ
)
みあって
懐
(
おもい
)
を述べ、それから
観眤
(
かんじ
)
を極めると云う
殆
(
ほと
)
んど
追字訳
(
ついじやく
)
のような処もあって、
原話
(
げんわ
)
からすこしも発達していないが
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
歌
(
うた
)
詠
(
よ
)
む人の方便とのみ思ひ居し戀に惱みしと言ふさへあるに、木の
端
(
はし
)
とのみ嘲りし
世捨人
(
よすてびと
)
が現在我子の願ならんとは、左衞門
如何
(
いか
)
でか驚かざるを得べき。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
そうして、人民からは離れさられ、学問からは遠ざかり、ただ、たんに和歌を
詠
(
よ
)
むぐらいが、その仕事であつた。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
やっと体裁を繕って、自分の生活や気持とは大変に離れた環境の中で風流らしい歌も
詠
(
よ
)
んで、帰って来ると、自分の心を抑えることができないで憤慨する。
婦人の創造力
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
姫君は寂しい屋形の
対
(
たい
)
に、やはり昔と少しも変らず、琴を引いたり歌を
詠
(
よ
)
んだり、単調な遊びを繰返してゐた。
六の宮の姫君
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
自分に、
若
(
も
)
し、もう少し和歌の
志
(
こころざし
)
が
篤
(
あつ
)
く、愚直の性分があつたら、あの流儀は自分がやりさうなことであつた。その「ただ言歌」の心要として蘆庵の
詠
(
よ
)
んだ
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
ささめ、
為朝
(
ためとも
)
、
博多
(
はかた
)
、鬼百合、姫百合は歌俳諧にも
詠
(
よ
)
んで、誰も知ったる花。ほしなし、すけ、てんもく、たけしま、きひめ、という珍らしい名なるがあり。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこで叔父御が言わしゃるには、おれも長年烏帽子こそ折れ、腰折れすらも
得
(
え
)
詠
(
よ
)
まれぬは
何
(
なん
)
ぼう無念じゃ。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ゆえにこれを
根拠
(
こんきょ
)
として、
山上憶良
(
やまのうえのおくら
)
の
詠
(
よ
)
んだ万葉歌の秋の
七種
(
ななくさ
)
の中のアサガオは、
桔梗
(
ききょう
)
だといわれている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
歌でも
詠
(
よ
)
めたら、ひとつ
人麿
(
ひとまろ
)
と腕っ比べをしてやるところだった。あはははは。そらもひとつお代わりだ
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
(間)私が
比叡山
(
ひえいざん
)
で一生懸命修行しているころであった。
慈鎮和尚
(
じちんかしょう
)
様の
御名代
(
ごみょうだい
)
で宮中に
参内
(
さんだい
)
して天皇の御前で和歌を
詠
(
よ
)
ませられた。その時の題が恋というのだよ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
また
高市皇子尊
(
たけちのみこのみこと
)
の城上の
殯宮
(
ひんきゅう
)
の時に
詠
(
よ
)
める
柿本人麻呂
(
かきのもとのひとまろ
)
の長歌(万葉集巻二)によって更に有名であろう。
蓋
(
けだ
)
し
壬申
(
じんしん
)
の乱は、わが国史において未曾有の異変だった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
風鈴
(
ふうりん
)
の
短冊
(
たんざく
)
が先日の風に飛ばされたので、先帝の「星のとぶ影のみ見えて夏の夜も更け行く空はさびしかりけり」の歌を書いて下げた。
西行
(
さいぎょう
)
でも
詠
(
よ
)
みそうな歌だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「君なくてあしかりける……」とまた繰返し
詠
(
よ
)
み、そうであったか、そうであらざらんにはわが心もかく騒ぐまじきにと、生絹は涙せきとめることができなかった。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
その時の題は「
落花随風
(
らっかずいふう
)
」といって、風にしたがって散る花の風情を
詠
(
よ
)
むのであったが、だんだん読みあげてゆくうちに、ずばぬけて上手な一首が出て来た。それは
蒲生鶴千代
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「なぞと申して、菊めの名前が出ると、俄かにそわそわと足が早うなるのう。——一句浮んだ。茶の宵やほのかにゆらぐ恋心、京弥これを
詠
(
よ
)
む、とはどんなものぞよ」
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「わが
抱
(
いだ
)
く思想はすべて金なきに因するごとし秋の風吹く」と、薄命詩人石川
啄木
(
たくぼく
)
は
詠
(
よ
)
んでいます。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
雨情がこのうたを
詠
(
よ
)
んだのは、大分むかしのことであろう。いまはよしきりの鳴声もきかれない。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
まず四人同道で
伊勢
(
いせ
)
参宮
(
さんぐう
)
のために京都を出る時に、道すがら三人の者がそれぞれ詩や歌を
詠
(
よ
)
むと、道無斎がそれを聞いて、
滔々
(
とうとう
)
として次のごとき説法を始めるのである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
花鳥を
透
(
とお
)
し、花鳥を
藉
(
か
)
り、花鳥を描いて人の心を
詠
(
よ
)
む。人間を諷詠するもの、これが俳句である。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
詠
(
よ
)
みました。それをお
公卿
(
くげ
)
様へ送りました。一度逢って二度とは来ない、薄情な薄情なお公卿様へ
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
街
(
まち
)
にいでて
何
(
なに
)
をし食はば
平
(
たひら
)
けき心はわれにかへり来むかも」などと
詠
(
よ
)
んだ気もちであろうか。
茂吉の一面
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
この精神こそは
奈良朝
(
ならちょう
)
で有名な
光明皇后
(
こうみょうこうごう
)
のみ
心
(
こころ
)
を動かしたものであって、「折りつればたぶさにけがるたてながら
三世
(
みよ
)
の仏に花たてまつる
(三二)
。」とお
詠
(
よ
)
みになった。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
「
毎日
(
まいにち
)
おふろの
火
(
ひ
)
をたいてばかりおりました
下司女
(
げすおんな
)
に、どうして
歌
(
うた
)
なんぞが
詠
(
よ
)
めましょう。」
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
と
詠
(
よ
)
まれた吉野のことですから、都の人も吉野の美景を見ないのを残念だと申しておりますが、私は幼いときから、人の大勢いる所へ出たり、長い道中を歩いたりしますと
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
それにすぐ古くさい歌やなんか思い出すしまた歌など
詠
(
よ
)
むのろのろしたような
昔
(
むかし
)
の人を考えるからどうもいやだ。そんなことがなかったら
僕
(
ぼく
)
はもっと好きだったかも知れない。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
詠
常用漢字
中学
部首:⾔
12画
“詠”を含む語句
朗詠
御詠歌
歌詠
詠草
御詠
乞食者詠
自去何郎無好詠
諷詠
詠歎
詠嘆
詠歌
吟詠
題詠
朗詠集
詠進
詠唱曲
長秋詠藻
詠懐
詠楼
詠巻
...