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藁
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わら
ふりがな文庫
“
藁
(
わら
)” の例文
馬には、大豆、
馬鈴薯
(
じゃがいも
)
、
藁
(
わら
)
、
麦殻
(
むぎがら
)
の外に
糯米
(
もちごめ
)
を宛てがって、枯草の中で鳴く声がすれば、夜中に幾度か起きて馬小屋を見廻りました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
冬なので、薬用の木や
草本
(
そうほん
)
は殆んど枯れており、
藁
(
わら
)
で霜囲いをした脇のところに、それぞれの品名を書いた小さな札が立ててあった。
赤ひげ診療譚:01 狂女の話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そうかしら? と思いながらも、
溺
(
おぼ
)
れる者の
藁
(
わら
)
にすがる気持もあって、村の先生のその診断に、私は少しほっとしたところもあった。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
啓之助はあわててあたりを見廻して、納屋番の
藁
(
わら
)
ぶとんが積んであるうしろへ、女を隠した。そして自分から入口の土間へ姿をみせ
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
帆村にせきたてられて、兵曹長が中にはいってみますと、室内は四畳半ぐらいのひろさで、中には
藁
(
わら
)
が山のように積んでありました。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
いっぽうはまた
萱屋根
(
かややね
)
だけでなく、
藁
(
わら
)
やその他の植物で葺いたものがいろいろあって、それはいずれもみな三角がうんと
尖
(
とが
)
っている。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ジョンドレットはパイプに火をつけ、
藁
(
わら
)
のぬけた
椅子
(
いす
)
の上にすわって、
煙草
(
たばこ
)
を吹かしていた。女房は低い声で彼に何やら言っていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
藁
(
わら
)
の
小
(
ちひ
)
さな
極
(
きま
)
つた
束
(
たば
)
が一
把
(
は
)
は
大抵
(
たいてい
)
一
錢
(
せん
)
づゝであつた。
其
(
そ
)
の一
把
(
は
)
の
藁
(
わら
)
が
繩
(
なは
)
にすれば二
房半位
(
ばうはんぐらゐ
)
で、
草鞋
(
わらぢ
)
にすれば五
足
(
そく
)
は
仕上
(
しあが
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
客と家の者とが
繁
(
しげ
)
く出入して、夜もさわがしかった。武は七郎と小さな
室
(
へや
)
へ寝たが、三人の下男はその寝台の下へ来て
藁
(
わら
)
を敷いて寝た。
田七郎
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
いいのこすと、意を決したように、納屋の入口の
藁
(
わら
)
たばをがさがさ鳴らして踏み越えて行った。ゲンも、尾をぴんと立てて続いて行く。
睡魔
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
今は、一本の
藁
(
わら
)
にもすがりたい心持の義経は、心ならずも菊池を六条河原に引き出して首を斬ったので、惟義は喜んで味方に加わった。
現代語訳 平家物語:12 第十二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
いわゆる“福草履”なるもので、鼻緒は
藁
(
わら
)
を
心
(
しん
)
にして、厚い紙で巻いたのであるから、ごつごつして
頗
(
すこぶ
)
る
穿
(
は
)
きにくいものであった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すると、ボーイは
首肯
(
うなず
)
いて部屋を出て行ったが、間もなく等身大の
藁
(
わら
)
人形を
抱
(
かかえ
)
て戻って来た。藁人形には不格好に
胴衣
(
チョッキ
)
が着せてあった。
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何となく岩形氏に不似合な所持品と思われたので、溺れかかった人間が
藁
(
わら
)
でも掴むような気持で検査してみる気になったものであった。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「誰か飯をくれ、食うものをくれ、今日でもう
二十日
(
はつか
)
も飯を食わぬ……
藁
(
わら
)
でもいい、木の根でもいい、俺に何か食べるものをくれ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
はてな何でも
容子
(
ようす
)
がおかしいと、のそのそ
這
(
は
)
い出して見ると非常に痛い。吾輩は
藁
(
わら
)
の上から急に笹原の中へ棄てられたのである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
階段のあたりに置かれる麦
藁
(
わら
)
でつくった小奇麗なのもあれば、また非常に粗末な藁製の、一足一セントもしないようなのもある。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
その主人は、召使が話すのを、じっと聞いていましたが、杖ほどもある
藁
(
わら
)
すべを取って、それで、私の上衣の垂れを、めくりあげました。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
見徳庵——寺とはありませんが、外に似寄りのものもないので、平次とガラツ八は、
薪
(
まき
)
と
藁
(
わら
)
を積んだ小さい廢寺の中に入つて行きました。
銭形平次捕物控:135 火の呪ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
椅子
(
いす
)
につまっている
藁
(
わら
)
を調べたり、指先でそれに穴を開けようとしたり、鳥の声に耳を傾けたり、また
頤
(
あご
)
がはずれるような大
欠伸
(
あくび
)
をする。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
胸に燃ゆる
憤怨
(
ふんえん
)
の情を抱きながら、
藁
(
わら
)
すべにでも
縋
(
すが
)
りつきたい頼りない弱い心で、私達はそれから、二人の
在所
(
ありか
)
を探して歩いた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
地面から四米ぐらいの高さだったろう。その中へ
藁
(
わら
)
を敷詰めて、そこで私達は待つのだ。虎は往きに通った
途
(
みち
)
を必ず帰りにも通るという。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
水練の達者は、水面は浅いが、水深はかなり深い水底へくぐって行ったが、やや暫くあって、浮び出た時には
藁
(
わら
)
をも
掴
(
つか
)
んではいなかった。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
芋の穴と云うのは芋を
囲
(
かこ
)
う一畳敷ばかりの
土室
(
つちむろ
)
である。伝吉はその穴の中に俵の
藁
(
わら
)
をかぶったまま、じっと息をひそめていた。
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたしはこうして毎日通う塩浜の持ち主のところにいます。ついそこの
柞
(
ははそ
)
の森の中です。夜になったら、
藁
(
わら
)
や
薦
(
こも
)
を持って往ってあげましょう
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ランプのほやが
藁
(
わら
)
づとの隙間から見えていたのも、樺太らしい印象であったが、それよりも私には、野菜を入れた籠の方が強く心に残った。
ツンドラへの旅
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「ハア、少しも着けていません。ただ、どこかへ寝転んでいたと見えて、頭の繃帯へ
藁
(
わら
)
屑みたいなものを沢山つけていました」
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
僧が
引込
(
ひきこ
)
んだので三左衛門はそこへ
草履
(
ぞうり
)
を脱いであがった。庵の内には
藁
(
わら
)
を敷いて
見附
(
みつけ
)
に
仏間
(
ぶつま
)
を設けてあったが、それは扉を締めてあった。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
幹が横に、
大
(
おおき
)
く枝を張った、一里塚のような松の古木の下に、いい月夜でしたが、松葉ほどの
色艶
(
いろつや
)
もない、
藁
(
わら
)
すべ同然になって休みました。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
修繕材料の異臭が強く鼻をうつ。所々に傷口のできている本尊は蓮台からおろされて、須弥壇の上に敷いた
藁
(
わら
)
のむしろにすわらされている。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
私は、
藁
(
わら
)
屋根の上の例の
櫓
(
やぐら
)
を眺めながら、しばらくそんな史的考察に
耽
(
ふけ
)
つたのち、やをら立上つて、もと来た道を引返した。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「これこそ、ほんとに、爺さんの生涯の
功徳
(
くどく
)
といふもんだ。
藁
(
わら
)
も薪もから/\に
干
(
ひ
)
てゐるから、さぞ、よう燃えさつしやるこつたらうてば。」
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
藁
(
わら
)
にある薬品を加えて煮るだけでこれを真綿に変ずる方法を発明したと称して、若干の資本家たちに金を出させた人がある。
路傍の草
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
特に冷静というのではなく、ドタン場に於いても
藁
(
わら
)
をつかむ男で、その個性を生かして大成したのが彼の剣法であったのだ。
青春論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
自分は老いた兄夫婦が、四五人の男女と、
藁
(
わら
)
におで四方を取りかこったにお場でさかんに稲こきをしてるところを驚かした。
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
太縄の
藁
(
わら
)
のけばをむしりながら、今五郎は思う。少年がジュースを二本ぶら下げて戻って来た。五郎は受取りながら言った。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
蓑というと東京あたりでは、ごく粗末に
藁
(
わら
)
で作ったもののように考えますけれど、津軽のは全く違って、飾っておきたいほどの品であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
フィリップ夫婦は、
藁
(
わら
)
布団と、
羽根
(
はね
)
布団とを敷いてその上に寝るのである。毛布団というものをついぞ使ったことがない。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
藁
(
わら
)
の上の若い農夫はぎょっとしました。そして急いで自分の腕時計を調べて、それからまるで食ひ込むやうに向ふの怪しい時計を見つめました。
耕耘部の時計
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
かくて
孤児
(
みなしご
)
の
黄金丸
(
こがねまる
)
は、西東だにまだ知らぬ、
藁
(
わら
)
の上より牧場なる、
牡丹
(
ぼたん
)
が
許
(
もと
)
に養ひ取られ、それより牛の乳を
呑
(
の
)
み、牛の小屋にて
生立
(
おいた
)
ちしが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
清元
(
きよもと
)
倉太夫の子だというがそれは
貰
(
もら
)
いっ
児
(
こ
)
で、浜町花屋敷の
弥生
(
やよい
)
の女中をしていた女が、
藁
(
わら
)
の上から貰った子を連れて嫁入ったのだとも言った。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「全くです。流れかかってるんですよ。だからお願いします。
溺
(
おぼ
)
れかかった人は
藁
(
わら
)
でもつかむと言うじゃありませんか」
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
兜はなくて乱髪が
藁
(
わら
)
で
括
(
くく
)
られ、
大刀疵
(
たちきず
)
がいくらもある
臘色
(
ろいろ
)
の
業物
(
わざもの
)
が腰へ
反
(
そ
)
り返ッている。
手甲
(
てこう
)
は見馴れぬ手甲だが、実は
濃菊
(
じょうぎく
)
が剥がれているのだ。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
彼は、生え伸びた髪を無造作に
藁
(
わら
)
で束ねた。六尺豊かの身体は、鬼のような土人と比べてさえ、
一際
(
ひときわ
)
立ち
勝
(
まさ
)
って見えた。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
河岸ぶちに出て
藁
(
わら
)
たわしでごし/\洗っている姿にも、どこか鍛えられた藤間の
躾
(
しつ
)
けの線があり、見飽きない母でした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
○
藁
(
わら
)
ひとたけにてあみたつる。はじめはわらのもとを丸けてあみはじめ、末にいたりてわらをまし二筋にわけ折かへし
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
海岸に行くと、その海岸の砂を畑や人家に吹きつけるのを防ぐために、
藁
(
わら
)
やその他で、砂よけというものを
拵
(
こしら
)
えておる。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
一
疋
(
ぴき
)
で金串がまったく
占
(
し
)
められるような大きなのも二つ三つはあった。薄くこげるくらいに焼いて、それを
藁
(
わら
)
にさした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
頤
(
あご
)
で奥を
指
(
ゆびさ
)
して手枕をするのは何のことか解らない。
藁
(
わら
)
でたばねた髪の
解
(
ほつ
)
れは、かき上げてもすぐまた顔に垂れ下る。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
水蓮が枯れて泥ばかりの水鉢の奥から、霜よけの
藁
(
わら
)
まで嘴で突いた。彼は深い孤独の悲しみと恋しさに燃えながら猶あらゆる鳴きようで妻を呼んだ。
白い翼
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
“藁”の解説
藁(わら)とは、稲・小麦などイネ科植物の主に茎を乾燥させた物。稲作・麦作農業において発生する副産物であり、燃料、飼料、工芸品・藁葺屋根、生活用具などの原料として利用されてきた。
(出典:Wikipedia)
藁
漢検準1級
部首:⾋
17画
“藁”を含む語句
藁屑
藁人形
藁沓
積藁
藁包
藁草履
藁葺
麦藁
麦藁帽
藁束
藁苞
藁店
束藁
藁蓆
藁鞋
藁履
藁切
腹藁
藁切庖丁
切藁
...