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臂
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ひじ
ふりがな文庫
“
臂
(
ひじ
)” の例文
この時、阿Qは
臂
(
ひじ
)
を丸出しにして(支那チョッキをじかに一枚著ている)
無性
(
ぶしょう
)
臭い見すぼらしい風体で、お爺さんの前に立っていた。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
女房がすり寄って、そびえている肩に手をかけると、長十郎は「あ、ああ」と言って
臂
(
ひじ
)
を伸ばして、両眼を開いて、むっくり起きた。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
また白花蛇
楊春
(
ようしゅん
)
は、
蒲州
(
ほしゅう
)
解良
(
かいりょう
)
の人、
大桿刀
(
おおなぎなた
)
の達人だった。腰は細く、
臂
(
ひじ
)
は長く、
綽名
(
あだな
)
のごとき妖蛇の感じのする白面青気の男である。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたしはかの二通の手紙を手に持っていたが、あたかも階段を降りようとする時に、何ものかが私の
臂
(
ひじ
)
をとらえたのを明らかに感じた。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
そこで巫女は一本の針を取り出し自分の
臂
(
ひじ
)
から血をとりそれを符につけて与え、別に又紙にそっと薬を包み仙水だと言って飲ませ
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
大王猿猴の勧めに依って弓を引いて敵に向いたもうに、
弓勢
(
ゆんぜい
)
人に
勝
(
すぐ
)
れて
臂
(
ひじ
)
背中
(
はいちゅう
)
に廻る。敵、大王の弓勢を見て
箭
(
や
)
を放たざる先に
遁
(
のが
)
れぬ。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
平生
(
へいぜい
)
の元気も失せて
呻吟
(
しんぎん
)
してありける処へ親友の小山中川の二人尋ね来りければ
徒然
(
とぜん
)
の折とて
大
(
おおい
)
に
悦
(
よろこ
)
び枕に
臂
(
ひじ
)
をかけて
僅
(
わずか
)
に
頭
(
こうべ
)
を
揚
(
あ
)
げ
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
爺いさんは一本腕の
臂
(
ひじ
)
を攫んだ。「まあ、黙って聞け。おれがおぬしに見せてやる。おれの宝物を見せるのだ。世界に類の無い宝物だ。」
橋の下
(新字新仮名)
/
フレデリック・ブウテ
(著)
相率いて
乞食
(
こじき
)
になったり、慧可・雲門にならって皆が
臂
(
ひじ
)
を切ったり
脚
(
あし
)
を折ったりした日には、国はたちまちにして滅びてしまうであろう。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
あまりに食い過ぎたときには、二の腕の肉が腹のようにふくれた。なんにも食わせない時には、その
臂
(
ひじ
)
がしびれて働かなかった。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
面は火のように、眼は
耀
(
かがや
)
くように見えながら涙はぽろりと
膝
(
ひざ
)
に落ちたり。男は
臂
(
ひじ
)
を
伸
(
のば
)
してその
頸
(
くび
)
にかけ、我を忘れたるごとく
抱
(
いだ
)
き
締
(
し
)
めつ
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「いイち!」と、ジャックは柳の木の上に立ち上って、
臂
(
ひじ
)
を拡げ、
踵
(
かかと
)
をそろえ、眼を、やがて舞い上ろうとする雲の
彼方
(
かなた
)
に注いで言った。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
そう気をもまれてはかえって困ると言って、ごろりと
囲炉裏
(
いろり
)
のほうを枕に、
臂
(
ひじ
)
を曲げて寝ころぶと、外は
蝙蝠
(
こうもり
)
も飛ばない静かな
黄昏
(
たそがれ
)
である。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「まあ、いやな先生!」彼女は
仰山
(
ぎょうさん
)
に
臂
(
ひじ
)
を曲げ腰をゆがめてカラカラと笑った。「これでも日本人としては、
純種
(
サラブレッド
)
ですわヨ」
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
二葉亭もまた蘇峰が高調した平民主義に共鳴し、
臂
(
ひじ
)
を
把
(
と
)
って共に語る友と思込んで、辞を低うし礼を尽して蘇峰を往訪した。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
火鉢の縁に
臂
(
ひじ
)
をもたせて、両手で頭を押えてうつむいている吉里の前に、
新造
(
しんぞ
)
のお熊が
煙管
(
きせる
)
を
杖
(
つえ
)
にしてじろじろと見ている。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
そして電車が止ったり動き出したりするのを意識の遠くでぼんやり数えていた。突然隣の
臂
(
ひじ
)
が僕の脇腹を押して来たのだ。
蜆
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
二人とも紅い
綃
(
しょう
)
の鉢巻をして、
髻
(
もとどり
)
に
雉
(
きじ
)
の尾を挿し、紫の小袖を着、腰に緑の錦を束ね、一方の手に
弾
(
はじきゆみ
)
を持ち、一方の手に青い
臂
(
ひじ
)
かけをしていた。
西湖主
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
巻煙草
(
まきたばこ
)
を取出していた
鼈四郎
(
べつしろう
)
はこれを聞くと、煙草を口に
銜
(
くわ
)
えたまま鉢を
掴
(
つか
)
み上げ
臂
(
ひじ
)
を伸して
屑箱
(
くずばこ
)
の中へあけてしまった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
夥しい小竜大蛇がうようよと火の中に鎌首をもたげているのみではない、なおよく見ると、あの
臂
(
ひじ
)
にも、この腕にも、竜と蛇が巻きついている。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
次郎はいきなり右
臂
(
ひじ
)
で俊三を突きのけた。俊三はよろよろと縁をよろけて、敷居に
躓
(
つまず
)
き、座敷の畳の上に仰向けに倒れた。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
彼等は皆竹籠を
臂
(
ひじ
)
にかけている所を見ると、花か木の芽か
山独活
(
やまうど
)
を摘みに来た娘らしかった。素戔嗚はその女たちを一人も見知って居なかった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
受付の十蔵、卓に
臂
(
ひじ
)
を置き
煙草
(
たばこ
)
吹かしつつ
外面
(
そとも
)
をながめてありしがわが姿を見るやその片目をみはりて立ちぬ、その鼻よりは煙ゆるやかに
出
(
い
)
でたり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
欣弥の
眼
(
まなこ
)
は
陰
(
ひそか
)
に始終恩人の姿に注げり。渠ははたして
三年
(
みとせ
)
の昔天神橋上
月明
(
げつめい
)
のもとに、
臂
(
ひじ
)
を
把
(
と
)
りて壮語し、気を吐くこと
虹
(
にじ
)
のごとくなりし女丈夫なるか。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうしてそのうちに……御覧なさい。この
臂
(
ひじ
)
の処が両方ともこんなに肉が出てピカピカ光っているでしょう。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ひと目見、ちょっと触ってみて、ヴァランタンの
臂
(
ひじ
)
のそばに丸薬入りの小函があることを見た、人々はヴァランタンが椅子の中に冷たくなっている事を知った。
秘密の庭
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
夜が明けてから見ると舟の中に魚の
翅
(
ひれ
)
が落ちていた。さしわたしが四、五尺ばかりもあった。そこでこれは宵に切った
臂
(
ひじ
)
であったということを悟ったのであった。
汪士秀
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
経世家的儒者中井竹山が山崎派を排斥して、竹内式部の事例に及び「『靖献遺言』を主張し、
臂
(
ひじ
)
を
攘
(
かか
)
げて
横議
(
おうぎ
)
し、目前の大害を引出し候」と
掊撃
(
ほうげき
)
したるを見れば
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
この小さな天皇には、ご
誕生
(
たんじょう
)
のときに、ちょうど、
鞆
(
とも
)
といって
弓
(
ゆみ
)
を
射
(
い
)
るときに左の
臂
(
ひじ
)
につける
革具
(
かわぐ
)
のとおりの形をしたお
盛肉
(
もりにく
)
が、お
腕
(
うで
)
に盛りあがっておりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
鶴さんはそれでも落着いたもので、そっと書かけの手紙を床の下へ押込もうとしたが、同時に、お島の手は傍にあった折鞄を
浚
(
さら
)
っていくために
臂
(
ひじ
)
まで
這出
(
はいだ
)
して来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
わしの左
臂
(
ひじ
)
が鶏になったら、時を告げさせようし、右臂が
弾
(
はじ
)
き弓になったら、それで
鴞
(
ふくろう
)
でもとって
炙
(
あぶ
)
り肉をこしらえようし、わしの
尻
(
しり
)
が車輪になり、魂が馬にでもなれば
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
男のさかやきはすでに一分ほど延び、日本服の上に金鎖のついた木の大きな十字架を首から下げ、手に念珠をもち二冊の書籍を腋にはさみ、
臂
(
ひじ
)
のやゝ上部を縛されて現れた。
イノチガケ:――ヨワン・シローテの殉教――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
獄丁二人が丁寧に罪人の左右の
臂
(
ひじ
)
を把って、椅子の所へ連れて来る。罪人はおとなしく椅子に腰を掛ける。居ずまいを直す。そして何事とも分からぬらしく、あたりを見廻す。
罪人
(新字新仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
分隊長はまさに双眼鏡をあげて敵の
方
(
かた
)
を望み、部下の砲員は
兵曹
(
へいそう
)
以下おおむねジャケットを脱ぎすて、腰より上は
臂
(
ひじ
)
ぎりのシャツをまといて潮風に黒める筋太の腕をあらわし
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
陽気そうに見えるもの、
賑
(
にぎや
)
かそうに見えるものが、幾組となく彼の心の前を通り過ぎたが、その中で彼の
臂
(
ひじ
)
を
把
(
と
)
って、いっしょに引張って行こうとするものは一つもなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
団茶はこれをあぶって
嬰児
(
えいじ
)
の
臂
(
ひじ
)
のごとく柔らかにし、紙袋を用いてこれをたくわう。初沸にはすなわち、水量に合わせてこれをととのうるに塩味をもってし、第二沸に茶を入れる。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
この時われは裏道を西向いてヨボヨボと行く一人の老翁を認めた。乞食であろう。その人の多様な過去の生活を現わすかのような継ぎはぎの
襤褸
(
ぼろ
)
は枯木のような
臂
(
ひじ
)
を包みかねている。
凩
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
卑弥呼は
臂
(
ひじ
)
に飾った
釧
(
くしろ
)
の
碧玉
(
へきぎょく
)
を松明に輝かせながら、再び戸の外へ出て行った。若者は
真菰
(
まこも
)
の下に突き立ったまま、その落ち窪んだ眼を光らせて卑弥呼の去った戸の外を見つめていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
と云いながら
長柄
(
ながつか
)
へ手をかけて抜こうとすると、小野は丸で見えんのではないから持って居った
煙管
(
きせる
)
で
臂
(
ひじ
)
を突きますと、八十兵衞は立上ろうとする途端にひょろ/\として尻餅を突くと
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
淡褐色となって
鱗
(
うろこ
)
のように脱落したのもある、風に
撓
(
た
)
められて「出」字状に
臂
(
ひじ
)
を張った枝は、
屈
(
かが
)
めた頭さえ推参者めがと叱るように突き退ける、栂の黒色の幹が、朽ちて水の中に浸っている
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
臂
(
ひじ
)
からは総がぶらぶら垂れている。胸の
辺
(
へん
)
には紐がひらひらしている。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「ドレ帰ろうか」ト「ヴィクトル」は
臂
(
ひじ
)
を杖に起ちあがろうとした。
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
葉子は心の中でこうつぶやくと、焼き捨てたように古藤の事なんぞは忘れてしまって、
手欄
(
てすり
)
に
臂
(
ひじ
)
をついたまま放心して、晩夏の景色をつつむ引き締まった空気に顔をなぶらした。木部の事も思わない。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
酔人の水にうちいるる石つぶてかひなきわざに
臂
(
ひじ
)
を張る哉
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
卓子に
臂
(
ひじ
)
を突いたまま眠って了った。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
わた抜や机に
臂
(
ひじ
)
をついてみて 雨帆
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
ひき倒されて転んだときに、左の
臂
(
ひじ
)
と左の足とを摺りむいただけのことで、出血の多かった割合に傷は浅かったので、溝口もまず安心した。
有喜世新聞の話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すると一隅から、黙れッと大喝して、
鞘
(
さや
)
走る剣と共に、諸葛瑾へ跳びかからんとする若者があった。関羽は叱咤して、その関平の
臂
(
ひじ
)
を抑え
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたくしの
獲
(
え
)
た五郎作の手紙の中に、整骨家名倉弥次兵衛の流行を詠んだ狂歌がある。
臂
(
ひじ
)
を傷めた時、親しく治療を受けて詠んだのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
尖った
臂
(
ひじ
)
と枯木にひとしい手をすぼめている。
軛
(
くびき
)
の下に押さえられているように垂れた頭の上から、彼女の背中が見える。髪の毛一本動かない。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
“臂(
肘
)”の解説
肘(ひじ、肱、臂)は、人間の腕の移行部で、上腕と前腕を繋ぐ肘関節(ちゅうかんせつ)と、これらを取り巻く筋や腱のことを指す。脚における膝に対応する。狭義には、腕を折り曲げたときに外側になる部分を指す。
(出典:Wikipedia)
臂
漢検1級
部首:⾁
17画
“臂”を含む語句
一臂
両臂
猿臂
臂力
長臂
片臂
六臂
半臂
三面六臂
左臂
肩臂
兩臂
腕臂
美香弊乃誉路臂
玉臂
臂掛
神臂
臂揺
臂枕
臂突
...