“ひじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
46.5%
34.6%
15.0%
秘事0.9%
日出0.6%
鄙事0.5%
0.3%
非時0.3%
干死0.2%
匪事0.2%
日知0.2%
比治0.2%
0.2%
緋地0.2%
肱鉄砲0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
山口はひじをつきながら、甲谷のうろうろしつづける視線の方を自分も追った。外人たちがぼつりぼつりとホールの中へ這入って来た。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
車前草おおばこの間を蟻が右往左往しているのが眼の中に閃めきながら身体は右へ左へと転んだ。そのたびに彼はひじで縁板を弾ねて起上った。
宝永噴火 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
女房がすり寄って、そびえている肩に手をかけると、長十郎は「あ、ああ」と言ってひじを伸ばして、両眼を開いて、むっくり起きた。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ほかにいろいろ申上もうしあげたいこともありますが、それはおもわたくし一人ひとり関係かんけいした霊界れいかい秘事ひじぞくしますので、しばらくひかえさせていただくことにいたしましょう。
豊後の日出ひじという所に泊った時に、下関の鉄道管理局長をしていた大道良太氏に電話をかけて、東京の様子をきくと
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
中津なかつに居る間は漢学修業のかたわらに内職のような事をして多少でも家の活計を助け、畑もすれば米もき飯も炊き、鄙事ひじ多能たのう、あらん限りの辛苦しんくして貧小士族の家に居り
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
矢の根を深み、傷手よりひじりごころは
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
私はいま上醍醐かみだいごの山坊で、非時ひじ饗応もてなしをうけてゐる。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
俊寛 わしは干死ひじにするのだ。わしののろいが悪魔の心にかなうために。わしの肉体の力はつきた。わしに残っているのはただ魂魄こんぱくの力だ。わしのこの力で復讐ふくしゅうして見せる。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
(急に自分の地位をはっきりと意識したるごとく)あゝわしはどうして死にきれないのだ。すでに三七日も飲食おんじきっているのに! わしは干死ひじにすることもできないのか。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
そも〻、将門少年の日より、名籍を太政大殿に奉ずる今に十数年、相国摂政の世に、思はざりき、かゝる匪事ひじあげられんとは。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玉だすき 畝火うねびの山の 橿原かしはらの 日知ひじりの御代みよゆ あれましし 神のことごと つがの木の いやつぎつぎに あめの下 知ろしめししを そらみつ やまとを
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
若狭わかさ関谷川原せきやがわらという所は、比治ひじ川の水筋がありながら、ふだんは水がなくして大雨の時にばかり、一ぱいになって渡ることの出来ない困った川でありました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ひじばみたてる橋はしら
日本橋附近 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
背後うしろに立ったのが、朝参あさまいり婀娜あだたる美人で、罪もなく莞爾々々にこにこしながら、繻子しゅすの不断帯の間から、ふっくりと懐紙に包んだ紙入を抜いて取り、てのひらに拡げて緋地ひじ襤褸錦つづれにしきの紙入を開いた中から
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蝶吉に肱鉄砲ひじを食ッて、鳶頭かしらに懐中の駒下駄を焼かれた上、人のこどもを食おうとする、獅子身中の虫だとあって、内の姉御あねごに御勘気をこうむったのを、平蜘蛛ひらぐもわびを入れて、以来きっと心得まするで
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分では、指も、手首も、未だくっついているように思えたが、激痛に縮み上るような右手へ、左手を当てると、ひじから切り落されてしまっていて、生温かい血が、すぐ指の股から、流れ落ちた。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)