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胡麻
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ごま
ふりがな文庫
“
胡麻
(
ごま
)” の例文
今更
胡麻
(
ごま
)
を摺つても追つ付かぬぞ、——其方の家來、その
顎
(
あご
)
のしやくれた野郎が、昨日拙者が何をして居たか、くどく訊き居つたぞ。
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その中に
胡麻
(
ごま
)
や
黍
(
きび
)
や
粟
(
あわ
)
や竹やいろいろあったが、豆はどうであったか、もう一度よく読み直してみなければ見落したかもしれない。
ピタゴラスと豆
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ダッ! と片脚あげて与吉の
脾腹
(
ひばら
)
を蹴ったと見るや、
胡麻
(
ごま
)
がら
唐桟
(
とうざん
)
のそのはんてんが、これは! とよろめく与吉の面上に舞い下って
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「そこは正直でございましてな。お気に召さずば道中師屋、
胡麻
(
ごま
)
の
蠅屋
(
はいや
)
大泥棒屋、放火屋とでもご随意に、おつけなすってくださいまし」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それにまた、四階の人たちのところへはいり込むには、何かある魔法的な
秘訣
(
ひけつ
)
を、開けよ
胡麻
(
ごま
)
を、知っていなければならないほどだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
時には、その下頭小屋に、
胡麻
(
ごま
)
の
蠅
(
はえ
)
が手枕で宿をかり、悪玉どもがよからぬ相談の車座で
占
(
し
)
めることも、まことにやむを得ないわけです。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
胡麻
(
ごま
)
をすったその恩賞で引上げられたのだ、あいつは頼もしそうな面をして老中あたりの
頑固連
(
がんこれん
)
を
口説
(
くど
)
き落すには妙を得ている
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この法は、晴天の
巳
(
み
)
の時に、白
胡麻
(
ごま
)
の油を手の甲、指、額に塗り、日輪に向かいて
居
(
お
)
らしめ、手合わさしてわが口のうちにて
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
甲州
八田
(
はった
)
という村にあるしわぶき婆は、二貫目ばかりの三角な石で、これには炒り
胡麻
(
ごま
)
とお茶とを供えて、小児が風をひいた時に祈りました。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ではまねだけ、と云って与平は
盃
(
さかずき
)
を持った。膳の上にはなにかの酢味噌と、菜の
胡麻
(
ごま
)
あえと、雑魚の
佃煮
(
つくだに
)
などが並んでいた。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その木鉢は
餡
(
あん
)
と
胡麻
(
ごま
)
と
黄粉
(
きなこ
)
とになっているので、奥にいるのが粟餅をよいほどにちぎっては、その三つの鉢へ投げるのです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
せめて昔の物語りに出て来る
胡麻
(
ごま
)
の
蠅
(
はえ
)
にでもぶつかるか、或はまた、父母をたずねる女の巡礼と道連れになって、その哀れな身の上話をきいて
狂女と犬
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
強い
胡麻
(
ごま
)
塩の髪をぴったり刈りつけて、額が女の様に迫って頬には大きな
疵
(
きず
)
がある政の様子は、田舎者に一種の恐れを抱かせるに十分であった。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
與吉
(
よきち
)
の
横頬
(
よこほゝ
)
は
皮膚
(
ひふ
)
が
僅
(
わづか
)
に
水疱
(
すゐはう
)
を
生
(
しやう
)
じて
膨
(
ふく
)
れて
居
(
ゐ
)
た。
彼
(
かれ
)
は
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
の
機嫌
(
きげん
)
が
惡
(
わる
)
かつた。
南
(
みなみ
)
の
女房
(
にようばう
)
は
其
(
そ
)
の
水疱
(
すゐはう
)
に
頭髮
(
あたま
)
へつける
胡麻
(
ごま
)
の
油
(
あぶら
)
を
塗
(
ぬ
)
つてやつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
無暗
(
むやみ
)
に御世辞を使ったり、
胡麻
(
ごま
)
を摺るのとは違うが」と平岡はわざわざ断った。代助は真面目な顔をして、「そりゃ無論そうだろう」と答えた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今度は玉子焼鍋の底へ半紙を敷いて
胡麻
(
ごま
)
の油で
濡
(
しめ
)
しますがあんまり多過ぎるとカステラが臭くなりますからホンの紙へ浸みるばかりでいいのです。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
頬へかけて、円い
頤
(
あぎと
)
一面に
胡麻
(
ごま
)
のよう、これで頬がこけていれば、正に卒業試験中、燈下に書を読む風采であった。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
殊に門の上の空が、
夕燒
(
ゆふや
)
けであかくなる
時
(
とき
)
には、それが
胡麻
(
ごま
)
をまいたやうにはつきり見えた。
鴉
(
からす
)
は、勿論、門の上にある
死人
(
しにん
)
の肉を、啄みに來るのである。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
六五頁に「下級の長脇差、
胡麻
(
ごま
)
の蠅もやれば追剥も稼がうといふ程度の連中」ということが書いてある。
中里介山の『大菩薩峠』
(新字新仮名)
/
三田村鳶魚
(著)
汝
(
おの
)
れ相川様へ
胡麻
(
ごま
)
アすりやアがって、
己
(
おれ
)
の養子になる邪魔をした、そればかりでなくおれの事を
盗人
(
ぬすっと
)
根性があると云やアがったろう、どう云う訳で胡麻を
摺
(
す
)
って
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
瀬古 そうしておはぎはあんこのかい、きなこのかい、それとも
胡麻
(
ごま
)
……白状おし、どれをいくつ……
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
酒楼の下の岸には
画舫
(
がほう
)
もある、舫中の人などは
胡麻
(
ごま
)
半粒ほどであるが、やはり様子が分明に見える。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
胡麻
(
ごま
)
つぶのやうです。また望遠鏡でよくみると、大きなのや小さなのがあつて
馬鈴薯
(
ばれいしよ
)
のやうです。
烏の北斗七星
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ごんごん
胡麻
(
ごま
)
は老婆の
蓬髪
(
ほうはつ
)
のようになってしまい、霜に美しく
灼
(
や
)
けた桜の最後の葉がなくなり、
欅
(
けやき
)
が風にかさかさ身を震わすごとに隠れていた風景の部分が現われて来た。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「まさか、
胡麻
(
ごま
)
の
蠅
(
はえ
)
じゃあるめえ」と、半七はまた笑った。「
小博奕
(
こばくち
)
でも打つぐらいの奴なら、旅籠屋へきて別に悪いこともしねえだろう。道楽者は却って神妙なものだ」
半七捕物帳:14 山祝いの夜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
胡麻
(
ごま
)
の油だの、
豌豆
(
えんどう
)
まめだの、チーズだのを売りさばいて、自分たちは食う物も食わずに、一銭二銭の小銭から何千という金を積み上げて、あいつに仕送りしてやったのだ。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
雑草が露の重味で頭を下げ霧に包まれた太陽の
仄白
(
ほのじろ
)
い光りの下に
胡麻
(
ごま
)
の花が開いていた。彼は空を仰ぎ朝の香を胸いっぱい吸った。庭の片隅の野井戸の側に兄が
蹲
(
うずく
)
まっていた。
青草
(新字新仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
※
(
するめ
)
にくるんで乾物の荷と見せかけ、かろうじて
胡麻
(
ごま
)
の
蠅
(
はえ
)
の難をまぬかれた話もある。武州
川越
(
かわごえ
)
の商人は
駕籠
(
かご
)
で夜道を急ごうとして、江戸へ出る途中で
駕籠
(
かご
)
かきに襲われた話もある。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
実際は雨天体操場などという新しい名前はなくて、私たちは
溜
(
たま
)
りと呼んでいた。十分の休み時間には、この溜り一杯
胡麻
(
ごま
)
を散らしたように、児童たちが
真黒
(
まっくろ
)
く
群
(
むらが
)
って走り
廻
(
まわ
)
っていた。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
然し、そういう、一流の上品な味よりも、天ぷらを食うなら、天丼が一番
美味
(
うま
)
い。と言ったら、驚かれるだろうか。
抑々
(
そもそも
)
、天ぷらって奴は、昔っから、
胡麻
(
ごま
)
の油で揚げてたものなんです。
下司味礼賛
(新字新仮名)
/
古川緑波
(著)
だが、そろそろとその青かった月代が、
胡麻
(
ごま
)
黒く伸びかかって来ると、やはりよくない。どうもよくない。極め付きのあの退屈が、にょきりにょきりと次第に鎌首を
抬
(
もた
)
げ出して来たのです。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
まず、肉を高熱で充分煮込み、さらに五香の粉と酒に漬け込んで一昼夜を経、それを本
胡麻
(
ごま
)
の油でいためて、塩と醤油で味をつけ、野菜を添えて供したのが、これであります、と言うのだ。
香熊
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
樹木の幹の、でこぼこしているのを見ても、ぞっとして全身むず痒くなります。筋子なぞを、平気でたべる人の気が知れない。
牡蠣
(
かき
)
の貝殻。かぼちゃの皮。砂利道。虫食った葉。とさか。
胡麻
(
ごま
)
。
皮膚と心
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
道中の
胡麻
(
ごま
)
の
灰
(
はい
)
形の男にも見えた。あるいは又すり稼ぎのために入込んだ者のようにも思われた。あいつが仕事のついでに、
悪戯
(
いたずら
)
をして廻るのではあるまいか。そんな疑念をも生じたのであった。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
河岸
(
かし
)
に舟が着くと、船頭の女房二、三人が、
焙烙
(
ほうろく
)
で
胡麻
(
ごま
)
をいっている。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
やがて彼女の手より閃めき出でし蘭法
附木
(
つけぎ
)
の火、四方に並べし
胡麻
(
ごま
)
燈油の
切子硝子
(
きりこ
)
燈籠
(
とうろ
)
に入れば、天井四壁一面に架け
列
(
つら
)
ねしギヤマン鏡に、何千、何百となく映りはえて、二十余畳にも及ぶべき室内
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
*油は
胡麻
(
ごま
)
の古い貯蔵品が味がこなれていていい。
料理メモ
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「いやァ、うちは、
胡麻
(
ごま
)
をあげましたんじゃ」
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
どうも自分ながら
胡麻
(
ごま
)
の匂いがする。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
割合に
小
(
ち
)
さき
擂粉木
(
すりこぎ
)
胡麻
(
ごま
)
をすり
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「『開け、
胡麻
(
ごま
)
』は?」
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
久し振りで庵を訪ねた主人の前へ、一色道庵の示した丸藥の成分と言ふのは、人參、
松樹甘皮
(
まつのあまかは
)
、
胡麻
(
ごま
)
、
薏苡仁
(
よくいにん
)
、
甘草
(
かんさう
)
の五味だけ。
銭形平次捕物控:025 兵粮丸秘聞
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「知ってる、僕も名前だけは大いに聞いている、それから最近、お角という奴が、妙に
胡麻
(
ごま
)
をすっていることも知っている」
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大根や
蕪
(
かぶ
)
や人参や里芋などの野菜物に、五升ばかりの米と小豆と
胡麻
(
ごま
)
と、ほかに切った白い餅が、かなりたくさんあった。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
品川宿から高輪へかかると、海の風も
生温
(
なまぬる
)
く感じられてくる。街道は白く
旱
(
かわ
)
き上って、牛馬や荷駄馬の通るたびに、
蠅
(
はえ
)
が
胡麻
(
ごま
)
のように
埃
(
ほこり
)
を追う。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
側御用人の小身から、将軍家に
胡麻
(
ごま
)
を磨り老中に上がって七万七千石、それで政治の執り方といえば上をくらまし下を
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
豚饅頭にも色々ありますが、今日のは豚のロースといって赤い肉を細かく叩いて少しの
胡麻
(
ごま
)
の油と塩と
玉葱
(
たまねぎ
)
あるいは
葱
(
ねぎ
)
と一緒にまた叩き
交
(
ま
)
ぜて置いて
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そうして、いらッしゃる処が解らないでは、お迎いに
行
(
ゆ
)
くことが出来ませんから、これを……ッて、そう云って、
胡麻
(
ごま
)
を
一掴
(
ひとつかみ
)
、姉様の
袂
(
たもと
)
へ入れてあげたの。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「御菓子を」と今度は鶏の踏みつけた
胡麻
(
ごま
)
ねじと
微塵棒
(
みじんぼう
)
を持ってくる。
糞
(
ふん
)
はどこぞに着いておらぬかと
眺
(
なが
)
めて見たが、それは箱のなかに取り残されていた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ことに門の上の空が、夕焼けであかくなる時には、それが
胡麻
(
ごま
)
をまいたようにはっきり見えた。鴉は、勿論、門の上にある死人の肉を、
啄
(
ついば
)
みに来るのである。
羅生門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“胡麻”の意味
《名詞》
胡麻 (ごま)
シソ目ゴマ科ゴマ属に属する一年草の一種。学名:Sesamum indicum。胡麻の花は夏の季語。
黒い小さな点や粒。
胡麻点の略称。
(出典:Wiktionary)
胡
漢検準1級
部首:⾁
9画
麻
常用漢字
中学
部首:⿇
11画
“胡麻”で始まる語句
胡麻化
胡麻塩
胡麻塩頭
胡麻粒
胡麻鹽
胡麻塩髯
胡麻竹
胡麻白
胡麻摺
胡麻酢