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羽織袴
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はおりはかま
ふりがな文庫
“
羽織袴
(
はおりはかま
)” の例文
羽織袴
(
はおりはかま
)
といういでたちながら、口髭と丸く刈りこんだ
頤髯
(
あごひげ
)
を頤の下に蓄え、頭はきちんとポマードで固めて、茶色の眼鏡をかけている。
すり替え怪画:烏啼天駆シリーズ・5
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼はそのことを多吉夫婦に告げ、朝の食事をすますとすぐ
羽織袴
(
はおりはかま
)
に改めて、
茅場町
(
かやばちょう
)
の店へ勤めに通う亭主より
一歩
(
ひとあし
)
早く宿を出た。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『
僕
(
ぼく
)
ですか、
僕
(
ぼく
)
は』と
言
(
い
)
ひ
澱
(
よど
)
んだ
男
(
をとこ
)
は
年
(
とし
)
の
頃
(
ころ
)
二十七八、
面長
(
おもなが
)
な
顏
(
かほ
)
は
淺黒
(
あさぐろ
)
く、
鼻下
(
びか
)
に
濃
(
こ
)
き八
字
(
じ
)
髭
(
ひげ
)
あり、
人々
(
ひと/″\
)
の
洋服
(
やうふく
)
なるに
引違
(
ひきちが
)
へて
羽織袴
(
はおりはかま
)
といふ
衣裝
(
いでたち
)
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
座席に腰かけている人はパナマ帽に
羽織袴
(
はおりはかま
)
の中年紳士で、ペダルを踏んでいるのは十八九歳ぐらいの女中さんである。
藤棚の陰から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その芝居たるや、役者は
悉
(
ことごと
)
く
羽織袴
(
はおりはかま
)
、もしくはフロックコートで、
科白
(
せりふ
)
が又初めからしまいまで、漢語に片仮名まじりの
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい言葉ばかりである。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
▼ もっと見る
殊に私らの仲間ではうっかり
羽織袴
(
はおりはかま
)
でも着用に及び、扇子を持って歩き出そうものなら、それこそ馬鹿
奴
(
め
)
と叱られる位の進歩をさえ示して来たのである。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
羽織袴
(
はおりはかま
)
を着けている三十
恰好
(
かっこう
)
の男はくりくりした
二重瞼
(
ふたえまぶた
)
の、鼻の下の
髭
(
ひげ
)
を短く刈っていたりするのが、あとの四十年配の洋装の男よりも安っぽく思われた。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
頼んであった料理屋の板前が、車に今日の料理を積せて
曳込
(
ひきこ
)
んで来た頃には、
羽織袴
(
はおりはかま
)
の世話焼が、そっち行き
此方
(
こっち
)
いきして、家中が急に色めき立って来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
別にその事について文句は申さぬ。芸事で宗山の
留
(
とどめ
)
を刺したほどの
豪
(
えら
)
い方々、是非に一日、山田で
謡
(
うたい
)
が聞かして欲しい、と
羽織袴
(
はおりはかま
)
、フロックで押寄せたろう。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
フロックコートを着た知事代理や、制服を着けた警部長や、
羽織袴
(
はおりはかま
)
の村長などがみな会葬した。村の世話役があっちこっちに忙しそうにそこらを歩いている。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
總代等
(
そうだいら
)
はそれでも
羽織袴
(
はおりはかま
)
の
姿
(
すがた
)
であるが
一人
(
ひとり
)
でも
滿足
(
まんぞく
)
に
袴
(
はかま
)
の
紐
(
ひも
)
を
結
(
むす
)
んだのはない。
更
(
さら
)
に
其
(
そ
)
の
後
(
あと
)
から
鏡
(
かゞみ
)
を
拔
(
ぬ
)
いた四
斗樽
(
とだる
)
を
馬
(
うま
)
の
荷繩
(
になは
)
に
括
(
くゝ
)
つて
太
(
ふと
)
い
棒
(
ぼう
)
で
擔
(
かつ
)
いで
跟
(
つ
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
玄関前の広場を、モーニングや
羽織袴
(
はおりはかま
)
の人々が右往左往する中に、宗像博士と小池助手の姿が見えた。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
時はすでに午後四時過ぎ、
夕烏
(
ゆうがらす
)
の声
遠近
(
おちこち
)
に聞こゆるころ、座敷の騒ぎを
背
(
うしろ
)
にして日影薄き
築山道
(
つきやまみち
)
を
庭下駄
(
にわげた
)
を踏みにじりつつ上り行く
羽織袴
(
はおりはかま
)
の男あり。こは武男なり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
とお父さんは自ら
羽織袴
(
はおりはかま
)
でかしこまっている。夏休みに子供の袴はそう右から左へは見つからない。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
町々の人は少年を
歓迎
(
かんげい
)
し始めた。少年の姿を見ると
目出度
(
めでた
)
いと言って急いで
羽織袴
(
はおりはかま
)
で
恭
(
うやうや
)
しく
出迎
(
でむか
)
えるような商家の主人もあった。
華々
(
はなばな
)
しい行列で停車場へ送ったりした。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
着用なし三人は
何
(
いづ
)
れも
羽織袴
(
はおりはかま
)
に改め駕籠等は
懇意
(
こんい
)
の町人の家に
預置
(
あづけおき
)
小石川
指
(
さし
)
て急ぎ行に夜は次第に
更
(
ふけ
)
稍
(
やゝ
)
四ツ時と
覺
(
おぼ
)
しき頃小石川
御館
(
おんやかた
)
には到りたり
頓
(
やが
)
て御中の口へ
掛
(
かゝ
)
りて案内を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
幕いよいよ明かんとする時畠山古瓶以前は髯むぢやの男なりしを綺麗に剃りて
羽織袴
(
はおりはかま
)
の様子よく幕外に出でうやうやしく伊井一座この度鴎外先生の新作狂言
上場
(
じょうじょう
)
の
許
(
ゆるし
)
を得たる光栄を述べき。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
たまには、十度に一度は、一分間停車をすることもあったが、そうした時には、
羽織袴
(
はおりはかま
)
の管理者が、参列有志の名刺を、赤い
帛紗
(
ふくさ
)
をかけたお盆にのせてうやうやしく車の窓から
捧
(
ささ
)
げるのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
羽織袴
(
はおりはかま
)
の役人衆の後ろには大太鼓が続き、
禰宜
(
ねぎ
)
の松下千里も
烏帽子
(
えぼし
)
直垂
(
ひたたれ
)
の礼装で馬にまたがりながらその行列の中にあった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そのうちの一度は夏目先生のたしか七回忌に
雑司
(
ぞうし
)
が
谷
(
や
)
の墓地でである。大概洋服でなければ
羽織袴
(
はおりはかま
)
を着た人たちのなかで芥川君の着流しの姿が目に立った。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
観湖楼
(
くわんころう
)
の
羽織袴
(
はおりはかま
)
は、
特
(
とく
)
に
私
(
わたし
)
たちの
為
(
ため
)
ではない、
折
(
をり
)
から
地方
(
ちはう
)
の
顕官
(
けんくわん
)
の
巡遊
(
じゆんいう
)
があつた、その
送迎
(
そうげい
)
の
次手
(
ついで
)
である。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
停車場へ着くと、
提灯
(
ちょうちん
)
を持った男が十人余り出迎えていた。
法被
(
はっぴ
)
を着た男や、
縞
(
しま
)
の羽織に
尻端折
(
しりはしょ
)
りをして、靴をはいた男などがいた。中には
羽織袴
(
はおりはかま
)
の人もあった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
一つは立派な洋服姿の見たところ四十
恰好
(
かっこう
)
の男で、も一枚の方は
羽織袴
(
はおりはかま
)
を着けて鼻の下に短い
髭
(
ひげ
)
を
生
(
は
)
やした三十ぐらいの男の立姿である。私はそれを手に持ったまま
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
酒を呑んでいるらしい
羽織袴
(
はおりはかま
)
の代書人といったような男が、汚い
歯列
(
はなみ
)
を見せて、ニヤニヤと笑った。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とお父さんは
長火鉢
(
ながひばち
)
の前に
羽織袴
(
はおりはかま
)
のまま坐りこんで
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
従来
羽織袴
(
はおりはかま
)
に刀を帯びて席上にすわっていたものに
筒袖
(
つつそで
)
だん袋を着せ舶来の銃を携えさせて江戸城の内外を
巡邏
(
じゅんら
)
せしめるようになったというだけでも
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
家を畳んで、そのころ
渋谷
(
しぶや
)
の方のある華族の邸に住み込んでいた父親が、時々
羽織袴
(
はおりはかま
)
のままでここへ立ち寄ると、珍らしい菓子などを
袂
(
たもと
)
から出して正一にくれなどした。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この看板の前にのみ、洋服が一人、
羽織袴
(
はおりはかま
)
が一人、
真中
(
まんなか
)
に、白襟、空色
紋着
(
もんつき
)
の、
廂髪
(
ひさしがみ
)
で
痩
(
や
)
せこけた女が一人
交
(
まじ
)
って、都合三人の木戸番が、自若として控えて、一言も
言
(
ものい
)
わず。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
結婚の時に用いた夫の
羽織袴
(
はおりはかま
)
、それから彼女の身に
纏
(
まと
)
うた
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の類まで、吹通る風の為に静かに動いた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「いゝなあ、この
山毛欅
(
ぶな
)
一
本
(
ぽん
)
が、こゝで
湖
(
みづうみ
)
を
支
(
さゝ
)
へる
柱
(
はしら
)
だ。」そこへ
画架
(
ぐわか
)
を
立
(
た
)
てた——その
時
(
とき
)
、この
峠
(
たふげ
)
を
導
(
みちび
)
いて、
羽織袴
(
はおりはかま
)
で、
阪
(
さか
)
へ
掛
(
か
)
かると
股立
(
もゝだち
)
を
取
(
と
)
つた
観湖楼
(
くわんころう
)
、
和井内
(
わゐない
)
ホテルの
御主人
(
ごしゆじん
)
が
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お民は森夫や和助を呼んで
羽織袴
(
はおりはかま
)
に着かえさせ、
内膳
(
ないぜん
)
課の料理方へ渡す前にわざわざ西から取り寄せたという鮮魚の
皿
(
さら
)
に載せたのを子供らにも取り出して見せた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
通禧
(
みちとみ
)
は
烏帽子
(
えぼし
)
に
狩衣
(
かりぎぬ
)
を着け、剣を帯び、紫の
組掛緒
(
くみかけお
)
という
公卿
(
くげ
)
の
扮装
(
いでたち
)
であったが、そのそばには伊藤俊介が
羽織袴
(
はおりはかま
)
でついていて、いろいろと公使らの間を周旋した。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
羽織袴
(
はおりはかま
)
で、唯月給を貰ふ為に、働いて居るとしか思はなかつた。だつて君、
左様
(
さう
)
ぢやないか、尋常科の教員なぞと言ふものは、学問のある労働者も同じことぢやないか。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
早速
(
さっそく
)
彼は隣家の伏見屋へ下男の佐吉を走らせ、伊之助にも同行のよろこびを分けようとした。伊之助は上の伏見屋の方にいて、そのために手間取れたと言いわけをしながら、
羽織袴
(
はおりはかま
)
でやって来た。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
新郎
(
はなむこ
)
は
羽織袴
(
はおりはかま
)
、
新婦
(
はなよめ
)
も
裙
(
すそ
)
の長い着物で、並んで
撮
(
と
)
れていた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
羽
常用漢字
小2
部首:⽻
6画
織
常用漢字
小5
部首:⽷
18画
袴
漢検準1級
部首:⾐
11画
“羽織”で始まる語句
羽織
羽織地
羽織衆
羽織上
羽織組