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絶頂
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ぜつちやう
既に
目も
眩んで
倒れさうになると、
禍は
此辺が
絶頂であつたと
見えて、
隧道を
抜けたやうに
遥に一
輪のかすれた
月を
拝んだのは
蛭の
林の
出口なので。
天地間僕一
人、
鳥も
鳴かず。
僕は
暫らく
絶頂の
石に
倚つて
居た。この
時、
戀もなければ
失戀もない、たゞ
悽愴の
感に
堪えず、
我生の
孤獨を
泣かざるを
得なかつた。
過て宇都谷
峠に到れば
絶頂の
庵室地藏尊の
境内に
西行の
袈裟掛松あり其所の
脇へ年の頃五十位と見ゆる旅
僧のやつれたるが十歳許りの女の子を引立來り彼の
僧目を
絶頂に
仲の
惡かつた
時は、
二人ともに
背き
背きで、
外へいらつしやるに
何處へと
問ふた
事も
無ければ、
行先をいひ
置かれる
事も
無い、お
留守に
他處からお
使ひが
來れば
絶頂の
階までも、
天までも
上る
往來の道となりて
前面の
大手の
彼方に、
城址の
天守が、
雲の
晴れた
蒼空に
群山を
抽いて、すつくと
立つ……
飛騨山の
鞘を
払つた
鎗ヶ
嶽の
絶頂と、
十里の
遠近に
相対して
ぞ
籠たりける此所は名に
負周智郡大日山の
續き秋葉山の
絶頂なれば
大樹高木生茂り晝さへ
暗き
木下闇夜は猶さらに月
暗く
森々として
更行樣に如何にも
天魔邪神の
棲巣とも云べき
峯には
猿猴の木傳ふ聲谷には流水
滔々と
而木魂に
響遠寺の
鐘も
最物
凄く遙に聞ば
野路の
狼吼て青嵐
颯々と
梢を
而して、
婆さんの
店なりに、お
浦の
身体が
向ふへ
歩行いて、
見る
間に
其が、
谷を
隔てた
山の
絶頂へ——
湧出る
雲と
裏表に、
動かぬ
霞の
懸つた
中へ、
裙袂がはら/\と
夕風に
靡きながら
薄くなる。
詠め居たりしが
遙向に山一ツ見えけるにぞ吉兵衞は
水差に向ひ
彼高き山は
何國の山なりや
畫に
描し駿河の
富士山に
能も似たりと問ふ
水差答へて
那山こそ名高き四國の
新富士なりと答ふる
折から
此は
抑何に此山の
絶頂より
刷毛にて引し如き
黒雲の出しに水差は
仰天しすはや程なく
雨下しの來るぞや早く
用心して帆を
といつたほどであるから、お
恥かしいが、
私にしては
生れてはじめての
冒険で、
足萎え、
肝消えて、
中途で
思はず、——
絶頂の
石の
祠は八
幡宮にてましますのに、——
不動明王、と
念ずると、やあ