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ぜつちやう
絶頂に
仲の
惡かつた
時は、
二人ともに
背き
背きで、
外へいらつしやるに
何處へと
問ふた
事も
無ければ、
行先をいひ
置かれる
事も
無い、お
留守に
他處からお
使ひが
來れば
絶頂の
階までも、
天までも
上る
往來の道となりて
前面の
大手の
彼方に、
城址の
天守が、
雲の
晴れた
蒼空に
群山を
抽いて、すつくと
立つ……
飛騨山の
鞘を
払つた
鎗ヶ
嶽の
絶頂と、
十里の
遠近に
相対して