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笑顔
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えがお
ふりがな文庫
“
笑顔
(
えがお
)” の例文
旧字:
笑顏
妻
(
さい
)
の出た跡で、更に酒を呼んだ宗右衛門は、気味の悪い
笑顔
(
えがお
)
をして五百を迎える。五百は
徐
(
しずか
)
に
詫言
(
わびごと
)
を言う。主人はなかなか
聴
(
き
)
かない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
尾上
(
おのえ
)
てるは、
含羞
(
はにか
)
むような
笑顔
(
えがお
)
と、しなやかな四肢とを持った気性のつよい娘であった。浅草の或る町の三味線職の長女として生れた。
古典風
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そして、ふたりがうちにいて、ばらの花のあいだにすわってあそんだとき、カイちゃんがわらったとおりの
笑顔
(
えがお
)
が、目にうかびました。
雪の女王:七つのお話でできているおとぎ物語
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
田川夫人は
忙
(
せわ
)
しく葉子から目を移して、群集に取っときの
笑顔
(
えがお
)
を見せながら、レースで
笹縁
(
ささべり
)
を取ったハンケチを振らねばならなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
道路にのぞんだヴェランダに
更紗
(
さらさ
)
の寝巻のようなものを着た色の黒い女の物すごい
笑顔
(
えがお
)
が見えた、と思う間に通り過ぎてしまう。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
と言って、
笑顔
(
えがお
)
をしているのを見ては、弁の尼の心境とはあまりにも相違したものであると中の君はうとましく思った。もう一人の女房
源氏物語:50 早蕨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そこへ茶の間の
唐紙
(
からかみ
)
のあいたところから、ちょいと
笑顔
(
えがお
)
を見せたのは末子だ。脛かじりは、ここにも
一人
(
ひとり
)
いると言うかのように。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
小使が行ってみると、若い先生が指を動かしてしきりに音を立てているかたわらに、
海老茶
(
えびちゃ
)
の
袴
(
はかま
)
を
着
(
つ
)
けたひで子は
笑顔
(
えがお
)
をふくんで立った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
こういって
地蔵行者
(
じぞうぎょうじゃ
)
は、小さい手に取りまかれながら、背なかあわせに
負
(
おぶ
)
っている
地蔵菩薩
(
じぞうぼさつ
)
とそっくりのような人のよい
笑顔
(
えがお
)
をつくった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先生の
笑顔
(
えがお
)
がだんだんはっきりと近づいてくると、先生の両手が見えない
綱
(
つな
)
をひっぱっていることがわかって、みんな笑った。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
進んで
入牢
(
じゅろう
)
を急ぐ子どもたちと、喜んで牢を放たれるきょうだいたちが、右門のそでの陰でさびしく
笑顔
(
えがお
)
を送り合いました。
右門捕物帖:33 死人ぶろ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
おじいさんは、
自分
(
じぶん
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うえ
)
のことについては、なにを
聞
(
き
)
かれても、ただ
笑顔
(
えがお
)
を
見
(
み
)
せて、あまり
語
(
かた
)
らなかったのであるが
なつかしまれた人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
見ると母親はさっきの
激昂
(
げっこう
)
した様子は幾らか和らいで、越前屋の者に対しては
笑顔
(
えがお
)
をしながら、それでもまだ愚痴っぽく
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
語る人のあでやかな
笑顔
(
えがお
)
。それよりも前に、わたしはかなり重く信用してよい人から、こういうふうにも聞いていた。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
私
(
わたくし
)
は一
生
(
しょう
)
懸命
(
けんめい
)
、
成
(
な
)
るべく
涙
(
なみだ
)
を
見
(
み
)
せぬように
努
(
つと
)
めましたが、それは
母
(
はは
)
の
方
(
ほう
)
でも
同様
(
どうよう
)
で、そっと
涙
(
なみだ
)
を
拭
(
ふ
)
いては
笑顔
(
えがお
)
でかれこれと
談話
(
はなし
)
をつづけるのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
女はちょっと
笑顔
(
えがお
)
をしてのんだ。彼は銚子を下に置かずに注いでやった。女は飲むたびに、「本当?」ときいた。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
広子はいつか声の中にはいった
挑戦
(
ちょうせん
)
の調子を意識していた。が、辰子はこの問にさえ
笑顔
(
えがお
)
を見せたばかりだった。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「そうでござんすらいに……。」と、母親は
淋
(
さび
)
しい
笑顔
(
えがお
)
を作って、ずらりと傍に並んで坐った子供を見やった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
いつもニコニコ
笑顔
(
えがお
)
を作って
僅
(
わず
)
か二、三回の面識者をさえ百年の友であるかのように遇するから大抵なものはコロリと参って知遇を得たかのように感激する。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
にこにこした執事の
笑顔
(
えがお
)
と、おどけた返事がかえってくるのに、おじさんはステッキをふりまわして、女の子には見向きもしないで、通りすぎたというのだ。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
だから会っても
深酷
(
しんこく
)
な話はひとつもない。例のごとく、こしゃこしゃした
笑顔
(
えがお
)
で、
不順序
(
ふじゅんじょ
)
に思う事をいう。矢野が少し話をすれば大木はすぐのみこんで同情する。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
朝倉夫人が、不安な気持ちを
笑顔
(
えがお
)
につつんでたずねた。次郎がむっつりしていると、今度は朝倉先生が
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
先刻
(
さっき
)
取次に出た女は
其後
(
そのご
)
漸く下女と感付いたが、此時障子の蔭からヒョコリお亀のような
笑顔
(
えがお
)
を出して
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その一つ一つにちがった膚の色、肉のふくらみ、曲線の交錯、サイレンのようにみだらな
笑顔
(
えがお
)
、それらの細部を見つくすまでは、男心を飽きさせることはないのだ。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ちょうど
蝋細工
(
ろうざいく
)
の新婦の人形があって、首筋をあらわにし
橙
(
オレンジ
)
の花を頭につけ、窓ガラスの中で二つのランプの間にぐるぐる回りながら、通行人に
笑顔
(
えがお
)
を見せていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
しかしふと
伊香刀美
(
いかとみ
)
の
小
(
こ
)
わきにかかえている
羽衣
(
はごろも
)
を
見
(
み
)
ると、
急
(
きゅう
)
に
生
(
い
)
き
返
(
かえ
)
ったような
笑顔
(
えがお
)
になって
白い鳥
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
御淋
(
おさび
)
しゅう御座りましたろう、御不自由で御座りましたろうと
機嫌
(
きげん
)
取りどり
笑顔
(
えがお
)
してまめやかに仕うるにさえ時々は無理難題、
先度
(
せんど
)
も
上田
(
うえだ
)
の
娼妓
(
じょうろ
)
になれと云い
掛
(
かかり
)
しよし。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
次の日竜子は「わたし先生に手紙を上げて見ましょうか。」というと母はちょっと竜子の顔を見てすぐに
笑顔
(
えがお
)
をつくり、「病気でもないのに、お気の毒です。」と言った。
寐顔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
人の良い兄弟子の嬉しそうな
笑顔
(
えがお
)
を見て、若い子貢も微笑を禁じ得ない。
聡明
(
そうめい
)
な子貢はちゃんと知っている。子路の
奏
(
かな
)
でる音が
依然
(
いぜん
)
として殺伐な北声に満ちていることを。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
母は
笑顔
(
えがお
)
を見せもしないで、
不機嫌
(
ふきげん
)
な顔付をして、元のところへ置いて来るように言いつけた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それからかの女はわたしの小ざらを取って、また父の所へ一ぱい入れてもらいに行った。いっぱいにしてもらうと、かの女はかわいらしい
笑顔
(
えがお
)
をしながら、また持って来た。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
そして「いつだってこうなんですの。」とややとげとげしくいって、そのとげとげしさにぽっとあからんだ
笑顔
(
えがお
)
を裕佐に見せ、チラリとまた夫を顧みて、次の間へ立ち去った。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
今度は急に
鷲
(
わし
)
に
狙
(
ねら
)
われてる
鳩
(
はと
)
みたいに思われて来て
尚更
(
なおさら
)
いとしさ増したとこい、会うたんびに心配そうな様子してなさって前のような花やかな
笑顔
(
えがお
)
見せなさること一日もないのんで
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
『ありがとう。』幸吉は急いで中二階の方へ行った、しかし頭を
垂
(
た
)
れたまま。お梅は座敷の
隅
(
すみ
)
の方の薄暗い所に
蹲居
(
つくなん
)
で浪花節を聞いていたが、みんなが笑う時でも
笑顔
(
えがお
)
一つしなかった。
郊外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「ああ。今朝は大変気持ちがいいね。」こう云って親しい
笑顔
(
えがお
)
を見せてくれた。
恩人
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
可憐
(
かれん
)
な処女の面影が拭い消されて、人を
魅
(
み
)
するような
笑顔
(
えがお
)
がこれに代りました。お君は鏡にうつる自分の髪の黒いことを喜びました。その
面
(
かお
)
の色の白いことが嬉しくて
堪
(
たま
)
りませんでした。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
少女の泣顔の中から
狡
(
ず
)
るそうな
笑顔
(
えがお
)
が
無花果
(
いちじく
)
の
尖
(
さき
)
のように肉色に笑み破れた。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その
笑顔
(
えがお
)
の中には全く、処女湖に宿す、処女林のような純な表情があった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
借金返えしも
渋面
(
じゅうめん
)
つくって、さっさと返えしては
曲
(
きょく
)
が無い。『人生は厳粛也、芸術は快活也。』
真面目
(
まじめ
)
に計算しましょう。
笑顔
(
えがお
)
で払いましょう。其為にこそ私共は生れて来、生きて来たのです。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
由良は顔色をかえかけたが、
笑顔
(
えがお
)
になって、芳夫のほうへ向きかえた。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
お
座敷
(
ざしき
)
よといわれれば、三
度
(
ど
)
に一
度
(
ど
)
は
出向
(
でむ
)
いて
行
(
い
)
って、
笑顔
(
えがお
)
のひとつも
見
(
み
)
せねばならず、そのたび
毎
(
ごと
)
に、ああいやだ、こんな
家業
(
かぎょう
)
はきょうは
止
(
よ
)
そうか、
明日
(
あす
)
やめようかと
思
(
おも
)
うものの、さて
未練
(
みれん
)
は
舞台
(
ぶたい
)
。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
がとにかく彼を馬鹿にしたような
笑顔
(
えがお
)
であった。
笑われた子
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
笑顔
(
えがお
)
でいかなければならないんだ。
一坪館
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と
照彦
(
てるひこ
)
様はようやく
笑顔
(
えがお
)
が出た。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
笑顔
(
えがお
)
の
匂
(
にお
)
いは言わん方なし。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
その青年の単純な
明
(
あか
)
らさまな心に、自分の
笑顔
(
えがお
)
の奥の苦い渋い色が見抜かれはしないかと、葉子は思わずたじろいだほどだった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ゆがんだ
笑顔
(
えがお
)
をしながら中の君を見て、これほどにもりっぱな方が凡人の妻におなりになったとしたらどんなに残念に思われるであろう
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
たとえばまず
弟子
(
でし
)
に対する教師ぐらいな、あるいは事によるともう少しいばった態度で、
笑顔
(
えがお
)
一つ見せずにむしろ無愛想にあしらっている
試験管
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
と、うなずいた
長安
(
ながやす
)
の
笑顔
(
えがお
)
を見ると、ふたりはすぐ、
影
(
かげ
)
をけした。さっきの
駕籠
(
かご
)
のあとを
追
(
お
)
って夜道をいそいだようすである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先きの無邪気な、娘らしい処はもうなくなって、その時つつましい
中
(
うち
)
にも始終見せていた
笑顔
(
えがお
)
が、今はめったに見られそうにもなくなっている。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
“笑顔”の意味
《名詞》
笑顔(ショウガン えがお)
笑い顔。えがお。
(出典:Wiktionary)
“笑顔(微笑み)”の解説
ほほえみ(漢字表記では「微笑み」あるいは「頬笑み」、it: sorriso、fr: sourire、en: smile)とは、ほほえむことで、ほほえむとは声をたてずに、にこりと笑うこと。「微笑(びしょう)」とも。また、ほほえんでいる顔は笑顔(えがお)とも呼ばれる。近代では、"微笑の笑み"という言葉も存在している。
(出典:Wikipedia)
笑
常用漢字
小4
部首:⽵
10画
顔
常用漢字
小2
部首:⾴
18画
“笑顔”で始まる語句
笑顔造